グロ−バル社会と経済
担当教官: 李 東碩(い とん そく)
(研究室の場所): 総合科学部 A818 (内線番号): 6407
科目区分: 教養的教育 パッケージ別科目 現代文明と国際社会
視 角: 社会・世界の視角
開設曜日時限: 後期 火1・2限 O.H. 月12:00〜1:00
キーワード:世界化 資本主義 排除型格差社会 マイノリティ・コミュニティ
パッケ−ジの中でのこの授業の位置:
現段階世界経済のグローバル化の到達点とメカニズムを理解することを通して、
21世紀世界経済体制の特徴と諸問題を解明する本パッケ−ジの目標に迫る。
この授業の位置づけ:
世界経済体制論アプローチは、およそ3千に及ぶ世界経済という単一プレート(体制)の
到達点と方向性を解明するため、@世界経済史、A世界経済構造論、B地域経済体制論、
C世界経済・環境・危機管理体制論、Dマイノリティ・コミュニティ論によって構成される。
@世界経済史は、1万年前の農業革命、1千年前の商業革命、18世紀末の産業革命、
20世紀末の情報革命による四つの世界経済のグローバリゼーションと、それに伴う
マイノリティ・コミュニティの破壊過程を考察する。特に、富の世界一極集中化と
排除型格差社会の世界化といった現段階の到達点を明らかにする。
A世界経済構造論は、産業のIT/ITの産業化、グローバル証券化に伴う企業間・製品間・
労働可能人口間の世界重層化を、現段階の支配的資本である世界金融資本の蓄積水準、
組織形態および行動様式の変化と関連付けて解明する。
B地域経済体制論は、世界経済構造に規定され、各国の国家体制の転換、超国家機関
による各地域内および地域間の貿易・通貨体制の再構築過程を考察する。特に、東アジ
ア地域の経済体制が如何にして再編しているかを明らかにする。
C世界経済・環境・危機管理体制論は、世界経済・環境・危機管理体制が世界金融資本に
よって、富の世界一極集中化と排除型格差社会化を加速させている仕組みを明らかに
する。特に、社会環境権(生存権)と自然環境権(生命権)の縮小・剥奪メカニズム
を解明する。
Dマイノリティ・コミュニティ論は、一握りの世界金融資本家による世界の富の独占と、
大多数の世界労働可能人口の排除型格差社会化が加速する現段階のグローバリゼー
ションを如何に断ち切り、マイノリティが自らの環境権を回復できるコミュニティづくりの道筋
を析出する。
本授業は主に世界経済構造論を扱う。
授業の目標等:
1980年代以降の世界経済体制の形成・確立過程について、@グローバリゼー
ションの過去・現在・未来、AIT化と証券化に伴う世界金融資本の蓄積体制転換、
B企業・製品・労働者間の世界重層化、C国や都市の体制転換の順で解説する。
授業の内容・計画等:
1.世界経済体制の過去・現在・未来(10/5)
2.世界金融危機の推移・背景・到達点(10/12)
3.古い神話と新しい現実(1章:10/19)
4.変わる世界経済地図:貿易と直接投資(2章:10/26)
5.1980年代以降の産業のIT化と金融の証券化(11/2)
6.高度化する国際分業:フラグメンテーション(3章:11/9)
7.東アジアの企業・産業・労働者間の重層化過程(11/16)
8.トランスナショナル企業の台頭(4章:11/30)
9.デジタル化/モジュラー化/ハイパー・モビリティT(5章:12/7)
10.デジタル化/モジュラー化/ハイパー・モビリティU(5章:12/14)
11.新生GMの対アジア戦略と狙われた国債市場の今後(1/11)
12.サービス投入の増大とプロフェッショナル・サービス(6章:1/18)
13.市場/国家/都市(7章:1/25)
14.トランスナショナル化する世界の行方(終章:2/1)
15.総括(2/8)
テキスト・教材・参考書等:
杉浦章介『トランスナショナル化する世界:経済地理学の視点から』、
慶応義塾大学出版会、2009年
成績評価の方法:
試験(一回のレジュメ報告と2/3以上の出席が必修)
履修上の注意・受講条件等:
レジュメは、月曜日夕方5時までdslee@hiroshima-u.ac.jp
(件名:グローバル社会と経済)に送ること。
ただし、手書きの場合は、研究室(総科A棟818号室)に直接もってくること(厳守)。
メッセージ:
富の世界一極集中化と排除型格差社会化が加速する現段階世界経済体制を
的確に捉えるとともに、社会・自然環境破壊の悪循環から脱却するために、
東アジアにおけるマイノリティ・コミュニティづくりに実践的に取り組んでほしい。
試験問題(前期)
共通問題と各論問題(選択一)、計2問に答えなさい。
【共通問題】
2008年9月の世界金融危機について、その原因(金融商品を介して)と、FRB、G20、IMF
といった超国家機関の処方箋から読み取れる今後の世界経済・環境・危機管理体制の
方向性を略述した後、「排除型格差社会の世界化」を如何に断ち切るか、各自の意見を
述べよ。
【各論】
1問
「富の世界一極集中化」に向けた「トランスナショナル化する世界」の現状について、
@世界貿易と投資の活性化、A分業のフラグメンテーション化、B企業のトランス
ナショナル化、C生産のデジタル・モジュラー化、D産業の「ITサービス化」の中から
一つを取り上げ具体的に論述せよ。
2問.
世界金融危機後、益々加速する「排除型格差社会の世界化」への対策について、
杉浦章介とP.クルーグマンの経済地理学、そしてジョ―シ・゙ソロスの提案の意義と限界
を述べよ。