当研究室では,主に一次運動野への経頭蓋磁気刺激によって誘発される運動誘発電位や筋紡錘由来の求心性神経線維の電気刺激によって誘発される脊髄反射電位を手掛かりとして,ヒトの巧みな運動を実行可能にする脳神経系制御機構及びリハビリテーション分野への応用について研究しています.ヒトが合目的な身体運動を行う際には,スポーツ活動であれ日常生活活動であれ,様々な感覚受容器を介して送られてくる外界からの感覚情報を運動制御に関わる中枢神経系が統合・処理し,最終的に適切な運動指令が生成され,皮質運動野から運動実行に必要な複数の骨格筋に伝えられます.結果として周囲の環境や使用する道具に合わせた意味のある運動ができるようになります.このような複雑な情報処理が,時々刻々変化する周囲環境の変化に応じて瞬時に行われています.そして,反復練習によって運動は学習・記憶され,無意識でスムーズな運動が獲得されてきます.実際,新しい運動スキルを獲得する際には,最初は上手にできなくても練習を繰り返すうちに余分な動きがそぎ落とされ,洗練された動きに淘汰されていくことは誰もが経験することです.ところが,疾患や障害によって運動制御システムがうまく機能しなくなると,思うような運動が困難になり治療やリハビリテーションによってその機能回復を図ることが必要となります.つまり,ヒトの運動制御機構に関する研究は,巧みなスポーツスキルの背景にある脳神経系の機能や新たなスキル獲得のための効率的な学習方法を探る研究であると同時にリハビリテーションで実施される様々な手技の理論的根拠に迫る研究でもあります


また,当研究室ではメンバーが互いに協力して実験を行うことを大切にしています.磁気刺激実験ではPCや刺激装置を操作する人,刺激コイルを持つ人,実験全体の進行を管理する人など,チームワークが欠かせません.同僚の実験に参加することによって実験技術や背景知識を共有することができ,結果に関するディスカッションも自然に活発になります.

 

なお,研究室への参加には以下の要件を満たしていることが必要です.

【総合科学部特別研究(卒業研究)志望者】
1.総合科学部人間探究領域スポーツ健康科学授業科目群の3年次前期第1ターム開講「身体運動制御学」および3年次前期第2ターム開講「スポーツ健康科学実験・実験法B」の単位を取得していること.
2.卒業研究の受け入れ可能人数は3名.3年次8月からの研究室仮配属可能.


【大学院人間社会科学研究科入学志望者】

1.経歴における教育課程で生理学あるいは運動生理学等の単位を取得していること.

2.大学院入学試験の事前に面談を受けること.