教授より皆様へ

木内 良明

Professor
木内 良明Yoshiaki Kiuchi

We are the best!
 2006年8月に広島大学眼科学教室の教授として赴任して10年の歳月が経過いたしました。2016年7月には教授就任10周年記念の祝賀会を盛大に開いていただき、誠にありがとうございました。同窓会、広島県眼科医会をはじめとして祝賀会に出席いただいた先生方、およびこの10年間眼科学教室の活動をサポートいただいた方々に感謝いたします。1997年に国立大阪病院に異動してからの9年間は国立大阪病院、大手前病院眼科で臨床三昧の生活を送っておりました。広島大学に戻ってまいりますと、授業の進め方、人事制度など大きく変わっておりました。やはり大学というところは特殊な組織と思います。教育、研究の環境を少しずつ整えながら、臨床のシステムを整備しました。臨床能力は手術件数で評価されます。手術件数は増えて、どこに出しても恥ずかしくない数字になりました。10年が過ぎてひと段落といったところですが、次のコンセプトをWe are the best.に定めました。広島大学が世界トップ100を目指しています。大学の目指すトップ100に貢献し、自分たちも成長するための基本的な価値観です。

We are the best.のための戦略
 1)診療のbestのために
1.標準化: best practiceに向けた標準化です。患者さんを毎日診察して、大体OKでしょうと指導医が許可を与えて退院するというシステムは時代遅れです。科学的なエビデンスを基に診療を組み立てます。指導医の許可を待つ必要はありません。不都合が生じたときはその理由を考えて、その問題点を克服する手段を講じて、術式の改善につなげます。クリニカルパスの本来の姿です。
2.連携、ネットワークの活用:広島大学の弱点は助教枠が乏しいことにあります。人がいなければ物事は前に進みません。広島市内の関連病院のつながり、連携を密に行います。いくつかの病院には大学病院から患者を紹介して手術させていただいています。理想としては医師の交流をもっと密にして関連病院というよりも大学病院の一部として機能してくれればと願っています。

2)研究のbestのために
1.やはり連携、ネットワークの活用:研究の分野も他施設との協力関係を推し進める。現在、姫路のツカザキ病院、岡山大学、愛媛大学、松江赤十字病院、山口大学、香川大学、高知大学など中四国の緑内障外来の先生方と共同の勉強会、臨床研究を行っています。またシンガポール大学、東京大学、東北大学、鹿児島大学とも協力関係にあります。広島大学単独で行うよりも少ない労力で、レベルの高い研究を行うことができます。
2.海外との交流:10月からはインドネシアのハサヌディーン大学から大学院生が3名やってきます。眼科医の奥さんも一人ついてきます。実験、臨床研究に大きな力となります。逆に同じく10月から宮城先生がカリフォルニアのUC Davisに留学します。これからも多少無理をしてでも、あちこちに人を送り出したいと考えています。海外でも国内でも広島から外に出るだけでネットワークが広がり、その先生のスキルアップにもつながります。

3)教育のbestのために
1.医師の教育:最も大切なポイントです。日本眼科学会は眼科のsubspecialtyを政治上の配慮から公に作ることを否定しています。しかし、現実には角膜、緑内障、網膜、小児眼科、神経眼科などのsubspecialtyに分かれています。米国のシステムに準じてfellow systemを作ることにしました。2年の間fellowになり、一定の数の手術、論文発表、学会発表をこなせば眼科学教室が修了書を出します。意識してdutyを付加することで知識、技量の高度化を図ることができます。大学院との組み合わせも可とします。
2.学生の教育:学部学生の教育も重要です。そもそも大学医学部の存在意義もここにあります。さらに眼科に興味を持ってもらい、将来の入局にもつなげなければいけません。時間と手間をとられるけど業績になりません。これだけを専門とする担当医が必要です。幸い助教の中に熱心に取り組んでくださる先生がいます。9月から5年生のポリクリの指導を助けてくださる開業の先生も出てきて、助かっています。手術室での手洗い、ガウンの着用から始まって、手術動画を手術室のサーバーからの取り出す方法を教えます。その動画を医局に持ち帰って、必要なところを切り出し、レポートに張り付けさせます。必要な文献をPub Medや医学中央雑誌を使って検索し、論文や総説を探す方法も教えます。近いうちに授業は英語で行うようになるでしょう。今年からスライドだけでも極力英語にするようにお達しが出ました。臨床眼科学会や日眼総会のスライドも全て英語になることが決まったと伺っています。「グローバル化=全て良い」ではありませんが、日本に閉じこもることは許されません。

目指す組織のカルチャー・風土
我々はプロフェッショナルの集団です。サラリーマン組織ではありません。構成員に求めるものは組織に対する忠誠心(忠誠心もあったほうが良い)ではなく、各医師のプロフェッショナルな誇りと自己成長です。自分たちがベストなパフォーマンスを持つことを誇りにして働きたい。極端に言えば「Up or Out」(成長しないものは去れ)です。プロフェッショナルとして日々努力し、おのれの能力を高めていく必要があります。このようなカルチャーをはぐくみます。自分の技術を磨きたい、今までできなかったこんな手術ができるようになりたい。このような希望を持つ方は大歓迎です。リオデジャネイロオリンピックにおけるメダリストのインタビューを聞いていると、栄光を獲得する前に、全ての選手が人並み以上の練習努力を積んでいることがわかります。

以上を今後数年間の目標として行動したいと思っています。同窓会の先生方のご支援、ご指導のほどをよろしくお願いいたします。

2016年10月

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