児童・生徒のワーキングメモリと学習支援

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1)ワーキングメモリの小さい子どもの授業態度


 ワーキングメモリの小さい子どもは,一般に,授業において,次のような態度が見られます。
①クラスでの話し合いに参加できません。
②教師の指示通りできません。
③情報の保持と負荷のかかる心的処理が組み合わされた課題を遂行するのが困難です。
④複雑な課題で自分の進行状況を把握することが困難です。
⑤様々なことを忘れてしまうため,不注意で,気が散りやすいと教師に見なされています。


2)ワーキングメモリの小さい子どもに対する学習支援


 ワーキングメモリの小さい子どもが落ち着きのない態度を示し,授業に参加しないのは,それらの子どもが教師の発問や指示を覚えながら,考えて挙手したり,課題を遂行したりすることが難しいためです。ワーキングメモリの小さい子どもは,ほうっておくと,学力が伸びず,学習に遅れがでます。そのため,ワーキングメモリの小さい子どもに対して教師が適切な学習支援を行う必要があります。
 まず,HUCRoWを用いて,クラスの子どものワーキングメモリアセスメントを行います。アセスメントの結果を見て,クラスの中でワーキングメモリの小さい子ども3人程度に注目します。表1に記載した「ワーキングメモリの小さい子どもに対する授業での支援方略」の中で,できることをしてみます。次第に,支援方略を広げていきながら,注目した子どもの授業中の態度に変化が見られるかどうかを確認します。表の下に,支援方略のチェックリストがあります。ダウンロードして印刷し,授業で実施した支援方略にチェックをつけます。注目した子どもの反応を確認しながら,支援方略を適宜,工夫してきましょう。








1)情報の構造化
多重符号化

2)長期記憶の利用

3)情報の最適化
スモールステップ>

4)注意のコントロール
自己制御

a) 授業の構成





1. 学習(活動)の目標を明確にする(子どもを主語にして,「~する」「~できる」と表現する)

2. 最後に授業をふりかえり,まとめる


1. 最初に前回の授業の内容を確認する

2. 学習の流れをパターン化する

1. 授業を短いユニットに分ける

2. 学習(課題解決)のプロセスを細かく区切る

1. 学習の流れを明示し(板書またはカード),見通しを持たせる

2. 学習の流れの中で,今,何が行われているか明示する

3. 学習の自己評価をさせ,シールなどのトークンシステムを採用する


b) 学習形態,学習環境,学習のルール





1. 音声情報,視空間情報,触覚など多感覚を利用する

2. 作業の手順を図式化するなど,視覚的に提示する


1. 漢字や九九など,子どもが分からないとき,すぐに参照できるカードなどを準備する

1. 考える時間や問題解決の時間を十分にとる

2. 課題の量を子どもに応じて調整する

1. ペア,グループで活動する

2. 学習のルール(支援が必要なとき,話すとき,聞くとき,姿勢など)をあらかじめ決める

c) 指示の出し方,発問や説明の仕方





1. 大切な指示は文字で示す

2. 「教科書の○ページ」のように,説明に対応する箇所を板書するなどして明示する

1. あらかじめ話の要点や関連する事例をあげる。

1. 短い言葉で簡潔に指示する

2. 指示や発問を繰り返す

3. 発問を選択式にする

4.「要点を3つ話します」のように聞きやすい工夫をする

5.指示代名詞は使わない


1. 注目させてから(「はい,聞きましょう」など)指示を出す

2. 子どもに指示や話の内容を復唱させるなどして,理解しているかどうかモニタリングする

3. 活動の途中,こまめに声をかける

4. 全体指示の後,必要な子どもに個別に指示をする


d) 教材・教具





1. 絵やイラストなどの視空間的情報を使い説明する

2. 考え方が分かるようなワークシートを準備する


1. 知っている事例や具体物を使い,説明する

2. ワークシートで類似した問題を解かせる

1. ワークシートを活用し,授業のユニットごとに,目標とする活動に子どもが専念できるようにする

1. 必要な教材以外は,机の中に片付ける

e) 板書の工夫,ノート指導





1. 発音の似ていることばや聞き誤りやすいことばを板書する

1. 板書の仕方やノートの取り方をパターン化する

1. 話を聞くときと書くときは時間を分ける

2. ノートをとる箇所は,「ノート」と書いたカードをはる

1. 色チョークや色ペンを効果的に用いる(大事なところ,キーワードに線を引く,漢字の偏やくくり,部首を色分けするなど)

2. マス目や線を利用して文字や数字の位置を見分けられるようにする


f) 子どもの発表,作文





1. 子どもの発表後,教師がそのポイントを整理する

1. 教師が子どもの発表を教材や分かりやすい事例と対応づける

2. よく知っているテーマや経験した出来事を取り上げる

1. 教師が子どもの発表を適宜,区切り,リヴォイシングを行う

2. ワークシートを活用し,子どもが文章を補い,作文を完成させる

1. 発表の仕方のルールを決めて,カード等に明示する

2.作文の手がかりを書いたカードを用意する(「いつ」「だれが」「どこで」などの5W1H,「はじめに」「つぎに」などの接続詞)





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