児童・生徒のワーキングメモリと学習支援

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研究のねらい

 本研究では,「ワーキングメモリ」をキーワードに,小学校入学から高等学校卒業後の就労までの発達障害児童生徒等の支援を行うことを目的としています。

 現在,ワーキングメモリの研究は,特に,特別支援教育の現場で注目されています。それは,ワーキングメモリが国語や算数(数学)の学習と密接に関連しており,発達障害を抱え,学習に遅れを示す子どもの多くがワーキングメモリに問題を抱えているからです。
 これまで私たちは,発達障害等のために学校で何らかの不適応を示すケースに対してアセスメントを行い,その子どもたちを支援している教師等に子どもの特性や支援方法についての情報を提供してきました。そこで明らかになった現在の課題に,以下のことがあります。
 第1に,自閉スペクトラム症(ASD)の子どもや注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは,その発達特性が見た目で明確であるため,早期に見いだされやすく,早いうちから支援を受けやすい傾向にあります。しかし,学習障害の子どもは,目立たず,単に知的能力が不十分な子どもとして,小学校中高学年まで見逃されやすくなっています。そのような学習障害の子どもへの対応としては,音声に敏感な小学校低学年の時期から支援を行った方が,学習の遅れを防ぐ可能性が高くなります。
 第2にこれまでの研究から,一般に,かな文字や漢字,文章の読みに困難を示す児童生徒は,言語領域のワーキングメモリに問題を示し,かな文字や漢字の書き,計算に困難を示す児童生徒は,視空間領域のワーキングメモリに困難を示すことがわかっています。しかし,そのような児童生徒の発達特性を踏まえた上での支援が十分に行われていません。
 第3に現在,高校や大学を卒業しても,発達障害のため,職場に適応できず,発達障害者支援センター(障害者職業センター)に多くの方が来所しているが,発達障害者支援センターでも発達障害者に対する就労支援のノウハウや人材が足りないため,十分な対応ができていないという現状があります。
 

そこで,以下の3点を主な目的として研究を行います。

1)
国語および算数の学習に困難が予想される小学校1年児童の(学習障害のリスクのある児童)をワーキングメモリアセスメントによって早期に見出し,支援するシステムを開発する。
2)
インターネットにより,ワーキングメモリアセスメントを行い,発達障害や学習の問題を抱える児童生徒に対する支援方法のアドバイスを教師・支援者等に提供するシステムを開発する。
3)
ワーキングメモリプロフィールと就労に関する行動特性の関連性を明らかにし,発達障害者支援センター等でジョブコーチを手助けするシステムを開発する。

 なお,研究の実施に際しては,個人情報の取り扱いおよび実験協力者に対する安全に十分留意します。

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