扇状地 松川
TO−63−7X C5−6, 7使用
- 扇状地の地形−松川扇状地
- 1)アナグリフ画像による概観
- 山地と平地との間に南東方向に傾斜した,扇形をした地形が見える。扇形の地形は川の左岸に広がっている。山際には家のような建物が集積して見える。扇央部分は家が一つ一つ分散して見える。川の右岸に木が多い。扇端では道路沿いに集落が見える。川に沿うように水田に利用されているところもある。
- 2)児童生徒の学習内容
- 山地と平地との間には,川によって運ばれてきた土砂が扇形に堆積してできた扇状地ができる。この扇状地は松川が削った山の土砂を福島盆地に堆積させた地形である。扇頂(扇状地の最上流部)には山際に集落があり,主として果樹園に利用されている。扇央(扇状地の中央)には家が一つ一つ分散してあり,そのまわりは果樹園に利用されている。扇端(扇状地の下流部)は道路沿いに集落が見える。川の流れと並行して水田に利用されているところもある。そのまわりは果樹園になっている。ここでは主になしが栽培されている。
- 3)教材の解説
- 阿武隈川の支流である松川は山形県米沢市南東部に発して板谷の小盆地を経て,赤岩付近の峡谷部を抜けて福島盆地に流れている川である。その盆地に流れ出たところに広がる扇状地を松川扇状地と呼んでいる。
- 扇状地とは谷の出口を頂点として,河川によって形成された半円錐形の砂礫の堆積地形である。河川が山地から平坦地に流れ出す際に,傾斜が急に減少することにより運搬力をなくし砂礫を堆積する。河川はたえず,より傾斜の大きな場所を求めて流路を変更するため,谷口を頂点とする半円錐状の堆積地形をつくる。扇状地は粒の大きな砂礫が堆積しているために水はけがよく,扇状地上の川は水無川になりやすい。増水期には氾濫を起こすことがある。地下水が深い上に,洪水の危険性も大きい扇央の開拓は遅れる。扇端では湧水帯があるために,集落や耕地が早くに立地する。道路の集まる扇頂には山間部との物資集散の要地として,谷口集落が栄える場合もある。
- この扇状地は松川の左岸に広がっている。扇頂は果樹園(主に梨)に利用されている。扇央は右岸では流路沿いに河川敷や針葉樹林になっている。それ以外は果樹園が広がっている。扇端では道路沿いに集落がある。川の北の方では流路に沿うように帯状に田んぼが見える。それ以外は扇央と同じく果樹園が広がっている。扇央には北東−南西方向の低崖が見られる。これは松川の流路に対して直交する向きにあり,松川の侵食によるものとは考えにくいことから活断層による断層崖であると考えられる。