宮之浦岳登山
平成12年7月、かねてより行ってみたいと思っていた屋久島を旅しました。上陸して、まず最初に目指したのは九州地方最高峰、1935mの宮之浦岳でした。
鹿児島からフェリーで屋久島に上陸。着いたその足で港から、登山口であるヤクスギランド行きのバスに乗り込みました。
今回の登山コースは宮之浦岳登山のもっとも一般的なコース、ヤクスギランドから安房林道を通って淀川入口に行き、淀川小屋→花之江河→宮之浦岳→新高塚小屋→縄文杉
→大株歩道→荒川口というもので、山中で2泊の予定です。
ハイライトは、3日目。樹齢2200年以上、世界最大と言われる縄文杉をはじめ、大王杉、ウィルソン株といった杉の巨木を見ることが出来ます。
1日目
初日はヤクスギランドまでバスで移動、バスの終点から宿泊予定の淀川小屋に向かって林道を歩いていたところ、タクシーで通りかかった登山者にひろってもらい、登山口(淀川入口)まで運んでもらいました。登山口から淀川小屋までは40分ほど。ずいぶん楽して小屋につくことが出来ました。
(バスの終点から登山道入り口まで結構距離があるので、時間的に余裕のない人はタクシーの利用をおすすめします。)今日は淀川小屋に宿泊。2日目はいよいよ、山頂にアタックです。
2日目
昨夕から降り始めた雨は、一夜明けても降り止まず、山頂を目指すには、あいにくの天気になりました。なかなか出発する気になれず、だらだらと準備をするうちに、
何組かのパーティーが追い越していきました。いつまでも小屋には居られないので、雨が小降りになったのを見計らって、仕方なく(?)出発。
(左)淀川小屋から1時間ほどのところに、花之江河があります。ここは日本で最南端の高層湿原です。
(右)霧の中から突然現れたヤクシカ。シャッターの音にちょっと驚いた様子でしたが、それほど警戒することもなく、のんびり草を食べていました。
午前中は小雨がぱらつくあいにくの天気でしたが午後からは次第に雲が切れ、宮之浦岳のダイナミックな表情を楽しむことが出来ました。
今日は、新高塚小屋まで歩いて、宿泊。シーズン前で、平日のためか、小屋に居たのは、私と昨日タクシーに乗せてくれた人のほかに、2グループだけでした。
小屋の中は、がらがらでしたが、せっかくテントを持ってきていたので小屋の前でキャンプすることにしました。
人なつっこいヤクシカが、餌をもらおうと、すぐそばまで近づいてきました。
3日目
3日目は宮之浦岳登山のハイライト、縄文杉を見ることが出来ます。
小屋を出て、しばらく歩くと、道は下りになります。しばらく下って、まず最初に目に飛び込んでくるのが、縄文杉(左)です。今日のコースは、
縄文杉をはじめとして、大王杉(中)、ウィルソン株(右)と、屋久杉怒濤の3連発です。
巨木に育つ屋久杉の中でも、特に樹齢を重ねたものだけあって迫力があり、神々しささえ感じました。
縄文杉からの下山道は、木で組んだ階段で整備され、とても歩きやすくなっています。ウィルソン株から、登山道を少し下ると、今度は昔木材の切り出しに
使われていたトロッコ道(大株歩道)を歩くことになります。ここからは道も平坦で、楽と言えば楽なのですが、あまりの単調さのため、歩くのに飽きて、これまでの疲れが一気に出てきました。
途中、歩道を横切る沢で休憩したり、林業で栄えていた頃の村の跡を見たりしながら、下山口を目指します。このとき私は、初日に山小屋に一緒に泊まった人と一緒に歩いていたので、
話をして気を紛らわすことが出来ましたが、一人だったら、はっきり言って嫌になっていたでしょう。(大株歩道を歩く人は、連れを見つけましょう。)
肩に食い込む荷物の重みに耐えながら、取り憑かれたように歩き、荒川の登山口に到着。そこで私たちの目の前に一台のタクシーが・・・
「乗ろうか・・・」「はい。」で、タクシーに乗って、麓の町まで下ることにしました。荒川口には、トイレはあっても、公衆電話はなく、携帯も圏外です。荒川口は圏外なのに、なぜか縄文杉の前で
携帯が通じるので、タクシ−を呼ぶためには縄文杉付近からタクシー会社に電話をかけておく必要があります。さもなくば荒川口から1時間ほど歩いたところに公衆電話とバス停があるので、そこまで歩くことになります。
私たちは運良く、客待ちのタクシーをつかまえることが出来たのでした。久しぶりに見る舗装道路を一気に下り、宮之浦岳に別れを告げました。