活動状況

2020年度 HINDAS 第2回 研究集会 報告

【日時】2020年7月18日(土)14:00〜16:20

【場所】オンライン開催(zoom)

 

【報告】

宇根義己(金沢大学) :

「日本市場向けアパレル生産のインド展開—品質管理と商慣行に着目して—」

日本におけるインドからの衣類輸入は9位(2019年)であり,輸入量は増加傾向にあるが,現地での生産実態は十分に理解されていない。本発表では,デリー首都圏で操業する日系企業A社とインド企業B社を事例に,その生産システムを明らかにするとともに,品質管理体制および日本アパレル業界の商慣行としての「(全数)検品」に着目した。

両社とも日本にオフィス・営業機能を有し取引相手との近接性を確保していること,糸・生地などの材料や加工はインド国内の主要繊維産地から調達・実施され広域的な企業連関がみられること,サンプル送付など輸送面で工場が空港に近接することが重要であることなどが明らかになった。さらに,検品については両社でその能力と実施範囲等に差がみられていること,ただしインド企業B社は日本との取引により検品能力を向上させる学習などの点が示唆された。

討論では,斯業特有の女性労働力の確保方法や確保困難性,雇用形態・雇用期間,日本的生産システムやバリューチェーンにおける検品の意味や意味づけに関して有意義な議論が得られた。検品をたんに品質管理の一環と捉えるのではなく,日本アパレル産業特有の慣行や日本的生産システムのなかにどう位置づけるか,引き続き研究を重ねていきたい。 

 

 

友澤和夫(広島大学)・鍬塚賢太郎(龍谷大学)・ 宇根義己(金沢大学)Nury I.(Lotus India Biz Ltd.):

誰が財・サービスを供給するのか? デリー首都圏工業団地内農村の「第3の層」—

友澤(2016)、友澤ほか(2018)によれば、デリー首都圏の工業労働力は請負化が進み、その供給はビハール州やUP州などの「請負ワーカー・べルト」に負っていた。しかし、工業化は労働市場の形成ばかりでなく、人々の新しい営みとそれが発現される空間を生み出している。本報告は、そうした動向をサバルタン・アーバニゼーションの一形態と捉え、その実際を明らかにすることを目的とするものである。本研究の対象は、デリー首都圏の工業団地内農村・B村である。友澤ほか(2018)では、B村を、村人と工業労働者の2つの層が住み生活する空間とみてきた。ただし、そこには多数の財・サービス供給機能が立地しており、その担い手が第3の層に措定できるのではないかという仮定の下で、彼らの出身地や社会経済的属性を把握した。

本発表は中間報告であり、現状では以下の点が明らかになった。1)第3層への参入は、①B村人、②NCR内の国道48号沿線県出身者、③ビハール・UP州出身者の3つに大別され、空間的な捉え方が有効である。2)①の場合、前職はなく、需要や技能などが店舗経営を始める契機である。開始したビジネスについては、需要を見込んだものや、技能を要するものが上位に入る。3)③の前職は、IMTマネサールの工場勤務が多く、前職なしが続く。前者は第2層から第3層への移動とみなされる。後者には、先行してB村に移住した友人・知人、家族・親戚による呼び寄せが介在している。4)②は、友人・知人、家族・親戚の介在による知識提供のほか、自身にB村の知識があった者が多い。前職については、前職なしが多く、他業種であった者がつぎ、工場勤務経験者は少ない。①と③の中間的な特性を示した。今後は、本発表では提示できなかった他の収集済みデータを組み込んで、第3層の社会経済的特性を明らかにした。

 

 

 

     

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