オールド・ニュータウンの再生 "Old" New Town Project


■概要 Summary

日本型ニュータウンは、通勤・通学に適した鉄道網や幹線道路網の沿線に開発、立地している。その地区内交通は、ペリーの近隣住区論をはじめとする計画理論に基づき最適な施設配置と交通静穏化施策に投資がなされ、その結果、歩行者や自転車に適した環境が整えられてきた。ところが近年、団塊世代にあたるNT居住者が一斉に定年退職期を迎えたことで、都心への通勤・通学環境の魅力は喪失し、高齢者自身の運動能力や移動支援者との互助関係が衰退するにつれて、生活や移動の機会が保障されない社会的排除の問題が顕在化しつつある。  本研究では、高齢化が一斉に進む都市郊外ニュータウン(NT)を住民が自由に安心して外出できる居住区へと再生するため、近年実用化が進む新しい乗り物「パーソナルモビリティ(以下PM)」の利活用を念頭に、高齢者世帯の社会的排除の問題を理論的かつ実証的アプローチにより解決することを試みる。具体的には、1980 年代初期に広島市郊外の傾斜地に開発されたニュータウンに居住する高齢者とその家族を研究対象とし、@PMの普及過程の予測、APM利用のための地区内道路のリスク評価、B適正な地区内交通手段分担関係、C効率的な生活関連施設の再配置、の4つの課題を扱う地区交通モデルを提案し、高齢化したNTの新しい地区交通計画手法について再考する。

■研究体制 Research Team

  • 藤原章正(広島大学大学院国際協力研究科・教授)
    張峻屹(広島大学大学院国際協力研究科・教授)
    塚井誠人(広島大学大学院工学研究院・准教授)
    桑野将司(神戸大学大学院工学研究科・助教)
    力石真(広島大学大学院国際協力研究科・特任助教)
    田中健太(広島大学大学院国際協力研究科・学生)
    吾妻樹(広島大学工学部・学生)

■実態調査 Surveys

・2010年10月18〜31日:第1回生活実態調査@高陽ニュータウン
 −2週間AD調査(GPS携帯)、社会的ネットワーク調査、走行危険箇所調査
・2011年10月17〜30日:第2回生活実態調査@高陽ニュータウン
 −社会実験(PMの貸出)、2週間AD調査(GPS携帯)、走行危険箇所調査、PM普及・利用に関するSP調査

以上の調査にご協力いただきました高陽ニュータウンの住民の皆様に心から感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。

■研究成果 Publications

  1. 田中健太 (2011) オールド・ニュータウンにおける高齢者のモビリティと社会的排除, 2010年度広島大学工学部卒業論文
  2. 力石真, 藤原章正, 田中健太, 張峻屹 (2011) 活動空間の広がり及び社会的接触量に基づく社会的排除の計測方法の提案, 土木計画学研究・講演集, Vol.43 (CD-ROM). (Chikaraishi, M., Fujiwara, A., Tanaka, K., Zhang, J. (2011) A method for measuring social exclusion based on activity space and social contact, Proceedings of Infrastructure Planning, Vol. 43, CD-ROM (in Japanese))
  3. Chikaraishi, M., Fujiwara, A., Zhang J., Tanaka, K. (2011) Identifying short-distance trips in neighborhood by combining GPS trajectories and individual-specific spatiotemporal information, Paper presented at the 9th International Conference on Transport survey Methods, November 14-18, Termas Puyehue, Chile, 2011.

■出版物 Press

Mobilityシニア社会の交通政策〜高齢化時代のモビリティを考える
編者:高田邦道、著者:藤原章正ほか
日本交通政策研究会研究双書 26
出版社名:成山堂書店
発行年月:2013年 05月、ISBNコード:9784425928118
定価:¥2,730(税込)

過去数年間TSGグループで行ってきた中山間地域およびオールドニュータウンのモビリティ戦略の研究成果の一部がまとめられています。