研究概要


 水生生物は極めて多種多様に富み、想像もできないような不思議な生き様を送るものが数多く存在します。しかし、一見、複雑で奇妙に見える生命現象でも、その設計図と計画書は、遺伝子という形でゲノム中に書き込まれています。このことはすなわち、それらの遺伝子にコードされているタンパク質群の機能と挙動を調べることによって、生命現象のしくみを分子レベルで理解することが可能であることを意味します。

 私たちの研究グループでは、水生生物の興味深い生命現象の分子メカニズムの解明を目指し、分子生物学生物有機化学の二つのアプローチを組合せて研究を進めています。具体的には、遺伝子工学的手法による遺伝子クローニング発現解析・機能解析、各種クロマトグラフィーを組合せた生物活性物質の精製・単離、機器分析による構造解析などが、主な実験内容となります。いずれのアプローチも、まず現象に関与する分子群を同定することから始まり、それぞれの分子の機能とお互いの関係を細かく調べることによって、分子メカニズムの全容解明に向けて、一歩一歩近づいていくという研究スタイルです。




研究プロジェクト

ミズクラゲの変態に関する研究 2006-現在)

 瀬戸内海でもよく見かけるミズクラゲは、有性世代無性世代を繰り返しながら、風変わりな一生を送ります(左図)。ミズクラゲの受精卵は、雌クラゲ体内で分裂して楕円形のプラヌラ幼生となります。成長したプラヌラは海中に泳ぎだして、貝殻や岩などに付着して、小さなイソギンチャクのような形をしたポリプに変態します。ポリプは、出芽や分裂によって無性的に増殖していきます。冬になって水温が低下すると、ポリプは、皿を数枚重ねたような形をしたストロビラに変態します。その後、それぞれの「皿」が一枚ずつ遊離して、小さなクラゲの形をしたエフィラとなり、さらに成長して成体クラゲ(メデューサ)となります。私たちの研究グループでは、このダイナミックな変態現象を制御する分子メカニズムを解明したいと考えています。
 現在、変態に伴って発現量が変化する遺伝子群の解析と、変態を誘導または抑制する生物活性物質の探索・同定の、両方面からの研究を進めています。

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ベラ科魚類の性転換に関する研究 2002-2012

 このプロジェクトは水圏資源生物学研究室坂井陽一先生との共同研究です。飼育実験や行動観察などのマクロな実験は坂井先生のグループが担当し、分子レベルのミクロな実験は私たちのグループが担当しました。

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