植物内生アグロバクテリアとはなにものか?
<背景>
アグロバクテリアは病原菌として知られていますが、土の中にも、病気で無い植物の内部にもアグロバクテリアが見つかります。
一般的に、植物の内部に病気を生じさせずに共存している微生物を内生菌と呼びます。
実は内生菌アグロバクテリアの方が病原菌よりも遥かに多いと見積もられます。 しかし、植物組織内で何をしているのか を含めてほとんどわかっていません。
  そこで、私達は多数の植物内生菌株からできるだけ多くのアグロバクテリアを単離して病原菌株と比較する研究を始めました。
現在までに、多数のの内生アグロバクテリアを得て分析しているところです。
分類・機能・生態の全ての面で大変に興味深い現象がわかってきています。

いわゆるアグロバクテリアの代表的な種はAgrobacterium tumefaciens (Rhizobium radiobacterと同じ)です。 この種は、かなり多様性が大きくて種内の菌株達は9個を越えるグループに分けられます。グループとグループの間では、染色体DNAの塩基配列で言うと15%もの違いがあります。
これだけ異なると異なる種として登録されるレベルです。
実際のところ各グループに種名を与える研究者も居ます。 ところが、グループが異なっても持っている遺伝子のレパートリーと遺伝子が並んでいる順序はほぼ全く同じです。

グループ毎に、植物病原菌が多い、もっぱら人体サンプルから単離される、もっぱら環境(土など)から単離される、など違いがあります。
これまで、植物病原菌はTiプラスミドあるいはRiプラスミドを持つことが判っています。また、染色体DNAにも感染に必要な遺伝子が複数見つかっています。これ以上には理解がすすんでいない。
もっと深く知るには、グループ間の違いを丁寧に詳細に調べる必要があります(取り組み中)。

内生菌を多数単離したのは、複数のゲノムを同時に比較すると内生菌生活に重要な遺伝子が明確になると考えたからです。
詳しいことは研究室で