デジタルペンを用いた身元確認用デンタルチャートシステム

災害時には被災死亡者の身元を確認するという作業も重要な作業である。現在、歯科における身元確認は身元不明者の警察による死体検案終了後、デンタルチャートに口腔内の状態の記録を取り、生前資料と照合することで正確な鑑定書を作成することで行われる。しかしながら、この重要な歯科情報は個々の医院・病院が保持しており、データベースとして機能することが明白であるにも関わらず、大規模災害・事故・事件が発生した際にデータを利活用できるようには整備されていない。東日本大震災で具体的な課題として浮き彫りになった点として以下のようなことがあげられる。
・作成されたデンタルチャートは手入力でPCに入力しなければいけない。
・本人照合確認を行うため生前の歯科所見との突き合わせ作業に時間を要する。
・鑑定書の作成において法医学で教育は行われているが作成を支援するシステムが無い。
これらの課題を解決する手段の一つとして、2013年より広島大学救急集中治療医学教室が開発したデジタルペンを利用したトリアージタグシステムの技術をベースに、神奈川歯科大学災害法医歯科学講座と共同で、身元確認用デンタルチャートシステムとして発展させ、フィールドでの検証を広島県警察歯科医会が協力し研究開発を進めてきたものである。平成26年8月に広島市で起こった土砂災害のときはまだプロトタイプであったが、実際に6名のご遺体の身元確認で使用され、動作不具合がないことを確認している。このシステムによって期待される効果として、「災害現場での記入で直接データ入力された状態となるため、現場活動の負担が軽減できる」
「チャートと写真が紐づけされており、取り違えが軽減可能」「デンタルチャートの確認は遠隔地の歯科医師にも分担可能」「診療所の歯科情報が集約されれば照合がシステム上で可能となる」などがあげられる。

チャート一式
チャート一式

広島大学 救急集中治療医学
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