ネタバレがあります。 ご注意ください。
京極夏彦の最新刊 『邪魅の雫』 を読み終えました。 817ページ、あっという間という感じ。 前作の 『陰摩羅鬼の瑕』 が単調であまりおもしろいと感じなかったので、今回の 『邪魅の雫』 には期待大。 そして、その期待を裏切らないおもしろさでした、テンポ良く話が進むのが良い。 途中で誰が犯人 (黒幕とでも言うべきか) かもそれが誰に成りすましているかも全体の動機もわかってしまうのですが、6件の殺人事件の個々の詳細がわからなかったので京極堂の憑き物落としが始まるのが本当に待ち遠しかった。 あ、でも今回は憑き物落としって感じでもなかったか。 今回は榎木津の事件だったんだなぁ。 榎木津ファンとしては榎木津の昔の恋人が出てくるのはショックでしたが (他人には興味がないと思っていたので)、今作は榎木津の人間的な面をいろいろ見ることができて良かった。 青木と益田は今回初めてまともに名前で呼ばれたんじゃないだろうか。 本人達同様、読んでいるこっちも驚きました。 あと、悩む榎木津ってのも新鮮だった。 今までは悩みとは無縁で、何も考えず破壊しまくるイメージでしたからね (一応考えがあってのことなのだろうけど)。 あとめずらしく関口がしっかりして見える場面もあって、それも新鮮でした。 結構まともなことを言ってましたし頼もしく思える場面もありましたね、今回は。 『鉄鼠の檻』 に出ていたらしい (全然覚えていない) 神奈川県警の山下警部補がすっかり良い人っぽくなっていたのですが、『鉄鼠の檻』 ではどうだったのか。 たぶん、嫌な感じだったんじゃないかと思いますが、それを確認するために読み返したい気がします。 途中で登場人物の名前が変わっていたと日記に書いていた件 ("澤井" が "澤田" になっていた) ですが、I 先生に聞いてみたら 「えっ、そうなの? 全然気づかなかった」 「やっぱり…」 ってな展開でした。 気づいてないかもとは思ったけど、本当に気づいてなかったとは。 一体何を読んでらっしゃったのか。 6件の殺人事件の被害者の名前、1人でも言えますか!? > I 先生 (たぶん既に全て忘れてらっしゃると思う。) 何か全然本の感想じゃなくなってきていますが、今作は京極堂、関口、榎木津の友情みたいなものも感じられて良かったな。 でも次の作品ではまた元の3人なんだろうな (その方が良いか)。
いつもカバーの内側に次回作の予告が書かれているのですが、今回は書いてなかったので 「ん?」 と思ったのですが、巻末の著作一覧の一番下に 『?の碑 (ぬえのいしぶみ)』 とあったのできっとこれが次回作のタイトルなのでしょう。 出るのは何年後なのだろうか…。 …あれ? 「ぬえ」 の漢字が出てませんね。 「空鳥 (1文字ね)」 で 「ぬえ」 です。
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