『山のあなた〜徳市の恋』 を観ました。 公開2日目だからなるべく空いている時間帯を…と思い、9:30からの初回上映を選択。 確かに空いていたけど、空き過ぎじゃない? という気もしました。 観客は、私も含めて20〜30名ぐらいだったような気がします。 公開2日目にしては、ちとさみしいぞ。 前の人の頭で見えなかったら嫌なので、一番後ろの列を選び、座高を高くするためのクッションもゲットしたのに、肩透かし。 予告編が始まると同時に、クッションを隣の席に置きました。 まぁ、そんなことはどうでもいっか。
映画ですが、まず景色がとてもきれいでした。 冒頭の徳市と福市が歩く山のシーン、途中美千穂が水辺で手拭いをすすぐシーンの背景の滝、他のシーンもどれも美しく、心が洗われるようでした。 70年前の映画のカヴァー (正確にはコピーでは?という気もしますが) なのですが、くすっと笑えるシーンもいくつかあり、あまり古さを感じさせない内容だったように思います。 現代との大きな違いは、日本語の美しさ。 「〜ですわ」 なんて言葉遣いも、美千穂役のマイコさんにはぴったり合っていて、とても自然に耳に入ってきました。 マイコさんはこれが映画デビュー作らしいのですが、上品な雰囲気が役にぴったりはまっていて、とても素敵でした。 常に強気な徳市と、とても気弱な福市の対比もおもしろかった。 山道を歩くシーンや、子どもにちょっかいを出された時の反応の違いとか。 4人の学生と喧嘩して相手をぼこぼこにした徳市と、5人の女学生にやいのやいの言われて押されまくりの福市の対比も見事。 名コンビです。 ラストの徳市と美千穂の別れのシーン。 一言も言葉を交わさないままで、馬車が走り去ってから徳市が必死で追いかける場面がとても切なくて、ちょっとうるっときたのですが、後からよく考えると、惚れっぽい徳市はきっとこれからもいろんな女性に恋をしていくんだろう。 たぶんこの温泉場での出会いを深く胸に刻むのは、美千穂の方なんだろうなぁなんて思ってしまいました。 エンドロールの最後の最後まで、とても美しい映画でした。 ここ数年、映画館に行く機会が増えているのですが、エンドロールが終わるまで1人も席を立たなかった映画はこれが初めてです。 最後までほわほわと癒される、そんな映画でした。
|