1.抗生物質の生合成マシナリー(設計図)の精密解析と物質生産への応用

 Streptomyces rochei 7434AN4 株は、2つのポリケチド抗生物質ランカサイジン・ランカマイシン(図1)を生産し, 線状プラスミド pSLA2-L (200 kb), -M (100 kb), -S (17 kb) をもつ。 これまでの研究によって, 2つの抗生物質生合成に関与する遺伝子群は pSLA2-L 上にコードされていることがわかった。 当研究室でpSLA2-L の全塩基配列決定を完了し, 全長が 210,614 bp 143 個の ORF をもつことが明らかになった。 その上にはランカサイジンとランカマイシンの2つのタイプIPKS遺伝子群に加えて, 構造未知のタイプ II PKS 遺伝子群, カロテノイド生合成遺伝子群, そして多くの制御遺伝子などが見つかった。この pSLA2-L はその全長の 3/4 を2次代謝関連遺伝子が占めるという極めて特異的な線状プラスミドである(図2)。さらに、ランカサイジン・ランカマイシンはともにタンパク合成阻害剤として作用するが、両者の共存によりリボソーム構造が変化し、抗菌シナジー効果を有することがAda Yonath博士らとの共同研究により明らかとなった。


 

 ランカサイジンは図1に示したように6員環ラクトンを環内に含む, 炭素−炭素結合による特異な17員環構造を有しており, 従来のマクロライド系抗生物質とは全く異なる化学構造である。その化学構造の新規性から活性発現のメカニズムおよび生合成起源に大いに興味が持たれている。我々は、ランカサイジン生合成に注目して、(1) 炭素炭素結合による大員環形成機構、(2) ポリケチド鎖伸長におけるモジュール・反復混合型PKSの存在、などを明らかにしてきた。

 我々は、遺伝子破壊株の構築及びそれから得られる代謝産物の解析を研究手法の軸としている。本課題では、生物有機化学・遺伝学・生化学・分子生物学を駆使して総合的に解析を行い, ランカサイジンの特異なポリケチド生合成マシナリーの全容解明を目指して研究を行っている。加えて14員環マクロライド化合物ランカマイシン, type-II PKS 遺伝子群, カロテノイド生合成遺伝子群, さらには染色体上にコードされた特異二次代謝生合成マシナリーについても解析を行っている。

 この研究を足がかりにして遺伝子改変などによる革新的新規抗生物質創製への応用, さらには二次代謝遺伝子群が線状プラスミドに密集して形成されたメカニズムに関しての知見も得たいと考えている。

・ 二次代謝産物生合成機構の網羅的解析(生合成マシナリー)

・ 二次代謝酵素による分子多様性創出

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