特に意識して選んだわけではありませんが、 気がつくと最近は女性作家のもの (しかもハヤカワミステリー文庫では何故か背表紙が赤のものばかり) を多く読んでいます。
「シリーズものは読破したい!」などと考えていると なかなか新しい世界を開拓する余裕がないのですが、 他にもいろいろ読んでみたいと思っています。

アガサ・クリスティー
<ミス・マープル,エルキュール・ポアロ,etc.>

いかにもイギリスのおばあちゃまといった感じのミス・マープル、 嫌味なくらい自信家のベルギー人ポアロ。 政治的な事件あり、財産目当ての事件あり、遠い過去に端を発する事件あり…。
イギリスの習慣やマザー・グースを知っていれば、より楽しめると思います。

リリアン・J・ブラウン
<シャム猫ココ&ジム・クィララン>

探偵猫といえば、日本では赤川次郎の「三毛猫ホームズ」シリーズが有名ですが、 猫好きの人にはこちらの方がおすすめです。 ココと相棒のヤムヤム、二匹の猫らしいいたずらや気まぐれに振り回される クィラランの暮らしぶりが楽しめます。 ココがヒントを与えクィラランが謎を解いていくシーンも、 無理がないように思います。
2001〜2年にかけて日本語訳の出版が遅れていたシリーズ5作目、6作目も出版され、 クィラランを取り巻く人々の関係もわかってきました。

ポーラ・ゴズリング

手に汗にぎる戦慄のシーンあり、躍動感あふれるアクションシーンあり、 疲れた大人の葛藤あり。 その中で男女の心の綾が女性らしい細やかさで織り込まれていて、 読み応えがあります。

コナン・ドイル
<シャーロック・ホームズ>

馬車が行き交い、霧に包まれたロンドンの街。 パイプをくゆらせ、バイオリンを奏でる名探偵ホームズ。 シャーロキアンと呼ばれる彼のファンは世界各国に数多くいて、 「最後の事件」で彼が姿を消してから100年以上たった今も、 ベーカー街221番地Bには相談の手紙が続々と送られているそうです。 依頼人には "ホームズの秘書" の名前で丁重なお断りの手紙が送られるとも聞いたのですが、 今でも続いているのでしょうか。 19世紀後半という時代のせいか、躁鬱が激しいホームズの性格のせいか、 それともマリファナを吸う習癖のせいか、決して明るい印象はないのですが、 天才ホームズの傍らにいる凡人ワトスン博士の存在が 暗さを抑えてくれています。

山村 美紗
<キャサリン・ターナー&浜口一郎,小菊&沢木潤一郎 etc. +狩矢警部&橋口刑事>

シリーズものも、そうでないものもありますが、 ほとんどの作品に共通する点がいくつかあります。 舞台は京都、主役は女性、脇役の狩矢警部と橋口刑事…。 麻美、麻衣子など、登場人物の名前に「麻」という字がよく使われているのも 特徴でしょうか。
残念なのは多くが「連続」殺人事件で、 何人もの命が奪われないと解決しないというところ。 探偵役が本当に「名」探偵なら もっと早く解決されていいような気もするのですが…。
ついでですが、テレビドラマ化された作品では 娘の山村紅葉さんが名脇役ぶりを発揮なさっています。

内田 康夫
<浅見光彦,岡部和雄,竹村岩男 etc.>

京都にこだわる山村美紗とは対照的に、全国各地が舞台になっています。 「今度はうちの地域を舞台にしてくれ」という依頼もあるとか。
テレビシリーズや映画でも人気の浅見光彦は特にファンが多く、 アサミストと呼ばれています。 光彦を演じた俳優さんもたくさんいますが、ファンの好みは分かれるようです。 私は芸能界のクイズ王(?)辰巳琢郎さんの印象が強いのですが、 榎木孝明さんや沢村一樹さんは内田氏に顔立ちが似ているので、 もしかしたら内田氏がイメージする光彦に近いのかもしれません。 このお二人には是非、陽一郎と光彦の兄弟として共演してほしいと思っています。 (高嶋政弘・政伸兄弟の演じた浅見兄弟は年も近すぎるし、 個人的にイメージと違うなぁと思ったのですが。)


Misa Kurokawa (misa@hiroshima-u.ac.jp)