様々なソフトウェアと PubChem のような分子データベース(立体的な分子構造を表すデータファイルなどがデータとして収められている)によって、細胞を構成する様々な分子の電子状態を計算してカラーのきれいな画像で出力できるようになった。 しかし、単にソフトウェアにデータを与えてボタンを押して結果を出すだけなら子供でもできる。そんなことで満足していてはいけないので、電子の運動を表現する、計算する方法について勉強する。
シュレーディンガー方程式は電子などの運動を表現する式である。細胞内に含まれる普通の有機化合物では、「時間を含まないシュレーディンガー方程式」を用い、解くことで電子状態の計算ができる。そこでこの時間を含まない式について学ぶことにする。まだよくわかっていないので書きながら修正していく。
時間を含まないシュレーディンガー方程式にはいくつかの書き方があり、同じことを示している。
はハミルトニアン。ハミルトニアンについては、後でよく考えてみる。ここでは、「ハミルトニアンは、電子の全エネルギー = 運動エネルギー + ポテンシャルエネルギー を表す式、計算 単なるエネルギーを表す値ではない」ということにする。「単なるエネルギーを表す値ではない」というのは、「ハミルトニアンは演算子でもある」と様々な資料に書かれていることに相当する。単なる値ではないということを言い換えると、「普通の数値で行える計算が、ハミルトニアンではできない・またその逆もある」というようにも言える。例えば普通の数値では A x B = B x A で交換律が成り立つが、ハミルトニアンは行列の場合と同じように、乗算で交換律が成り立たない。 AB ≠BA このことは例えば井本稔先生の「有機電子論解説 第 4 版」では 198, 199 ページに書かれている。このことについても後で考える。ハミルトニアンとラグランジアンについて これ以外にもハミルトニアンというものは持ち合わせていなければならない性質がある。例えばハミルトニアンからそれに対応する固有値と固有関数(または固有ベクトル)を計算できないと困ったことになる。それらについて理解できたら書き足してみる。
は波動関数。これについても後でよく考えてみる。ここでは、「電子の存在状態、分布を表現する関数」ということにする。また「原子や分子を対象とする場合、波動関数は電子そのものであり、電子が飛んでくる=波動関数が飛んでくる」と考えてもよいかもしれない。
は、「正しい軌道を占有しそこを動いている、という条件を満たした電子」が保持する全エネルギー(と、私には思える)。ハミルトニアンも全エネルギーだが、ハミルトニアンの方には軌道に関する条件は付かない。また上に書いたようにハミルトニアンは「演算子であって単なるエネルギーを表す値ではない」などの性質をもつ。 そこに違いがある。
この式の形は、行列の固有ベクトルと固有値を求める時に出てくる形と同じものである。行列の固有値は、その行列を分解する・対角化することなどに有用に用いられる。それと同じように、ハミルトニアンについて固有値と固有関数を求めることができ、この場合固有値が になる。
行列の固有値は、その行列の列の数だけ存在する。それと同じように、ハミルトニアンに関する固有値も複数存在する。最も低い値の固有値はエネルギーが最も低い状態に対応する。一番安定で 「エネルギー基底状態」 と呼ばれる。 エネルギー基底状態の軌道を占有して動いている電子の、エネルギーを計算することが基本になる。
そもそも固有値、固有ベクトルとはなにか。行列の場合、単純に考えるとこれらは、対象とする行列をうまく分解することを可能にする、「数値」と「ベクトル」の組み合わせというように考えられる。 固有値は必ず固有ベクトルとセットになって計算される。「値」というから数値が一つあるだけなのかというとそうではなく、元の行列の列の数と同じだけの個数の、固有値と固有ベクトルのセットが生じる。
行列の場合、固有値について以下のように考えてみる。行列 A があるとする。固有ベクトルを B、固有値を λ とすると、
という関係が成り立つように、それらの値が決められる (%*% は行列、ベクトルのかけ算)。手で計算するのはとても大変だが、R 言語などを使うと簡単に計算できる。ハミルトニアンの場合は計算するのはもっと難しい。これから勉強していく。
左辺では行列 A だったところが、右辺では固有値 λ に置き換わっている。 このことから、固有値は元の行列の性質を保持しながら縮約した、大切な部分を取り出したようなものと考えることもできる。 これはシュレーディンガーの式の場合も同じであり、ハミルトニアンが元の演算子、固有値がそこから大切な部分を取り出した成分で、「正しい軌道を占有しそこを動いている、という条件を満たした電子」が保持するエネルギーに相当する。 様々な分野で、固有値を求めることがとても重要な意味を持つ数値を得ることにつながることがよく知られている。
「固有値」「固有値分解」については、「物理数学の直観的方法 第 2 版」(長沼伸一郎著)という本で解説されている。
固有値は行列の場合でもハミルトニアンの場合でも「一番目の固有値」「二番目の固有値」… というように、整数と組み合わさって、連続しない値として出てくる。「量子の世界ではエネルギーの値が連続せずにお互いに離れている」というようなことが昔の素人向け解説によく書いてあったが、それはこのことが元になっている。「整数性が露頭している」と表現されていたことがあった。
「一番目の固有値」「二番目の固有値」… というように値が出てくることは、このようにも解釈できる。「一番目の軸」「二番目の軸」…というようにたくさんの軸からなる空間(多次元空間)がある。それぞれの軸に対応する固有値によって指定される、その空間の特定の場所が、電子の状態と対応している。軸の数はつねに整数だから、「整数性が露頭している」ということになる。
量子はどこが量子らしいかというと、運動方程式がシュレーディンガーの式になって、普通の粒子、物体の運動方程式と全然別のものであるということである。「エネルギーの値が連続しない」ということはその結果として出てくる。現在では本でもインターネットでも優れた解説がたくさん入手できるので勉強しやすくなっている。
玉虫文一先生の「物理化学序論 三訂版」では、356 ページに「波動方程式」として次の式が書かれている。
は上と同じで波動関数。
も上と同じで、「正しい軌道を占有しそこを動いている、という条件を満たした電子」が保持する全エネルギー(と、私には思える)。
は、電子がもつ位置(ポテンシャル)エネルギー。水素原子の場合の例として、 という式が示されている。原子核の+と電子の−が引きつけ合うことを表現している。
この式は、よく似ているが少し違う形で書かれていることもある。微分の部分を右辺に移して、両辺に をかけ算する。
そうすると、
微分の部分の、 は外に出せるので、
左辺をくくると、
になる。こうすると に似てきて、
に対応するものが、 ということになる。 は定数なので には含めないらしい(含むように書いてある資料もある)。V の部分も に対応させる際は定数を含めず、 とするように資料に書かれている。
は、電子の運動エネルギーに対応する。 は、電子と原子核が電気的に引きつけ合うことによるポテンシャルエネルギーに相当する。だから運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和=全エネルギー で、ハミルトニアンということができる。
「ハミルトニアンは全エネルギーであり、演算子でもある」と、どんな資料を見ても書かれている。演算子は作用素と書いてあることもある。 が、演算を具体的に数式として表現した例ということになる。
参考にしたページ:http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~bunshi06/8/8-1.html 大阪市立大学 三宅 弘之先生による「インターネット講座 分子の世界を覗いてみよう」
は、ラプラシアンと呼ばれ、 と言う記号で表される。
ラプラシアンは、ナブラ という、ベクトルの演算子から作ることができる。 多変数の関数(この場合座標で x, y, z の三つの変数がある)に対する「偏微分という演算を行う操作」をベクトルになるように並べたもの(傾きに相当)をナブラ と呼ぶ。ナブラのような「演算を行う操作」を示す記号は演算子と呼ばれる。
ナブラ はベクトルなので、ナブラとナブラのかけ算はベクトルの内積になる。それによって得られる演算子がラプラシアン になる。これはナブラとは異なりベクトルではなくなる。
何かの関数にナブラ を作用させると、その関数の勾配(傾き)を表すベクトルになり、grad と呼ばれる。
ラプラシアン は「勾配の勾配」になって、二回微分を関数に作用させることになる。ラプラシアンはベクトルの内積なのでベクトルではなくなり、各成分を足し合わせた値になる。
ここで出てくる二回微分にはどういう意味があるのか。 http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/cgi-bin/pukiwiki/index.php?%C5%C5%BC%A7%B5%A4%B3%D8I2012%C7%AF%C5%D9%C2%E813%B2%F3 前野先生の電磁気学の解説では、二階微分は「両端を固定したゴムひもの復元力」と対応させることができることが紹介されている。ある関数のラプラシアン = 0 という式は、その関数は釣り合い状態にある(復元力 = 0)ということを表現できる。復元力 = 0 ということは、「基準になる位置に戻って安定している」と解釈することもできる。ゴムひもの場合なら、左右の端を固定してまっすぐにぴんと張っている状態が基準になる位置で、ラプラシアン = 0 の状態に対応する。中間の部分を上か下に引っ張ると凹凸ができ、二階微分は 0 でなくなる。
ある関数のラプラシアン + 何らかの外部の力 = 0 という式は、そのラプラシアンが表現する復元力と、外部の力が釣り合い状態にあると解釈することもできる。シュレージンガーの式ではポテンシャルエネルギーが「外部の力」に対応するので、ポテンシャルエネルギーの形が変わると、ラプラシアンの方もそれに対応するように違うものになる。
復元力だけでなく「復元エネルギー」と考えてもよいかもしれない。座標に関する一回微分を傾きと考えれば、二回微分は曲がりと解釈できる。平らなゴムの板が曲がることによって復元力、また元の安定した平らな状態に戻ろうとするエネルギーが生じる。
シュレーディンガーの式ではどういう解釈ができるのか。 は、電子の運動エネルギーに対応する。
というように考えてみる。
このようにも書いてみる。「波動関数はゴムのようなものであり、曲がる(二回微分で表現)ことができる。曲がることで、ゴムが曲がった状態と同じように復元エネルギーを持つようになり、そのエネルギーがポテンシャルエネルギーと釣り合うことで安定した状態になる。」 もちろんこういう描像が電子の運動のすべてを正しく表現できるわけではないが、ほんの一部分でも理解したような気になれれば少しは役に立つ。
このことに関する説明がされているページ http://hr-inoue.net/zscience/topics/chemicalbond/chemicalbond.html 「雑科学ノート」化学結合の話 井上氏(工学博士)による解説 吉田伸夫氏によるページ http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/index.htm の「科学の回廊」に、「シュレディンガーはいかにして波動方程式を見い出したか?」 という解説がある。
雑誌 数理科学 2009 年 9 月号 60 ページに、土佐先生による「シュレーディンガー方程式をどのように出してくるか」というためになる解説がある。 物理でよく用いられる、「要請」を元にした考え方の有効性が示されている。
吉田氏の解説に従って考えてみる。
ここで考えている波動方程式は、電子などの素粒子の運動を表現する式である。電子に波の性質があることのみに注目して、電子を波動関数 という形で表現する。 だから「電子が飛んでくる」ということは、「波動関数 が飛んでくる」と言ってもよいことになる。関数が飛んでくると言うのは変な気もするが、生物、人間のような複雑なものがこの世界に存在するくらいだから、関数が空を飛ぶくらいのことが実際に起きても特におかしくはない。
波動関数を要素とする波動方程式は、いくつか満たしていないといけない性質がある。物理の本ではこのことをよく「〜ということが要請される」と書かれているが、そのことに相当する。それらの、絶対に満たしていないといけない性質、条件を元にして方程式の形を決めていくことができる。
要請=絶対に満たしていないといけない性質、条件 満たしていない考え方、数式、モデルは反則になり除外される。
波動方程式の場合、以下のようなことを満たしていないといけない。吉田氏の解説では 4 つ書かれているが、ここでは簡単にする。
要請その1: 電子に波の性質があることのみに注目する。
電子は見方、観測法によっては粒子のように見えるが、そのことはここでは考えない。
要請その2: 電子を表現する波は、定常波 standing wave と呼ばれる、「時間的な変動は空間的に伝播しない(岩波 理化学事典による)」タイプの波動であるとする。 生物には必ず寿命があるが、電子には寿命がない。寿命がないということは、「昔も今も未来も全く同じように存在する」と言うことになる。 ここで考えている対象は電子を表現する波だから、その波は常に一定の値の波長(波数)と振幅を保ちながらずっと振動を続けている。その波は決して途切れる、止まる、急に乱れることはない。 それを理化学事典では「時間的な変動は空間的に伝播しない」というわかりにくい言い方をしている。 言い換えると、「その波は、それが振動し占有する空間において、いくら時間が経過しても一定の形を保っている・性質が変化することはない」ということになる。 こういうタイプの波を定常波と言い、「節」と「腹」が存在することが特徴である。
節は、その定常波において、つねに値が一定(0)で変化しない位置である。
腹は、その定常波において、値が最大値から最小値まで変化・振動する(振幅が最も大きい)位置である。
定常波では、節と腹が一定の間隔で交互に並んでいる。その間隔は変化することはない。
定常波が「いくら時間が経過しても一定の形を保っている・性質が変化することはない」ということは、「その波は節と腹の間隔、腹における振幅、波長などの性質が、時間が経過しても全く変化しない」ということである。このことから、ここで考える電子を表現する数式には時間 t を入れる必要はなくなる。これを「時間に依存しない波動方程式」ということが、吉田氏の解説に書かれている。
定常波のタイプの波を表現する数式にはいろいろなものがあり、ずっと以前からよく研究されていたことが吉田氏の解説で紹介されている。その一つが、シュレーディンガーの式の元になった。ヘルムホルツの方程式というそうである。
このヘルムホルツの方程式にも、 や が出てくる。 シュレーディンガーの式と大きく異なる部分として、光の速度 c が入っているところがある。 電子の場合も光の速度を考える方が一見よいように思えるが、そうではないということにシュレーディンガーは気がついた。そこで c が入っている部分を書き換えることにした。
は、分子は電子の振動数、分母は光の速度である。
振動数は 周期現象について、同じ状態が単位時間あたりに繰り返される回数。周波数とも言う。
速度は 距離/単位時間
そうすると、 は(電子の)振動が繰り返される回数/(光の)距離 ということになる。 ここでは上に書いたように電子を波として扱う。波において 振動が繰り返される回数/距離 は、波数と呼ばれる値(一回の振動が単位となる距離あたりに繰り返される回数)になる。その逆数が波長 λ になる。 だから、 の部分は、 に置き換えることができる。
ここで、電子の波長 λ を表すド・ブロイの式を使う。
電子の波長
は、プランク定数 m は電子の質量 v は電子の速度
この式については後で勉強する。
元の式 の の部分を に置き換えて、さらに で置き換えると、
二乗の部分を、運動エネルギー と関連づけるように変形すると、その部分は
と書き直せる。
このことから、 の部分が出てくる。吉田氏の解説にあるように、運動エネルギー は( 全エネルギー E - ポテンシャルエネルギー V )と表現できる。その形にすると、玉虫先生の本に書かれている波動方程式と一致する。
土佐先生の解説では、Eisberg の本に書かれている四つの要請が紹介されている。
この場合は、時間を含む形の式が導かれる。
土佐先生の解説が掲載されている数理科学 2009 年 9 月号の 10 ページには、江沢先生による、時間を含まない形の式の導き方が紹介されている。
「ハミルトン−ヤコビの方程式」は、一つの方程式で、「一定のエネルギーを保持している」のような条件を満たす複数、多数の軌道・状態・解を表現することができる。 この性質は、もっと別の分野のいろいろなことを数式で表現するのに使えるかもしれない。
玉虫先生の本の波動方程式は電子の運動を表現している。電子は三次元空間を運動するので、ラプラシアンの部分も x, y, z が出てきている。 その分計算も面倒になる。運動が一次元の場合、波動方程式はどうなるだろうか。
このことについて、EMAN氏の「EMANの物理学」の「調和振動子」のセクションに解説されていた。 量子力学に従う粒子がバネに結合して振動しているとする。その場合の波動方程式が書かれている。
この場合も になるが、一次元の場合に合わせた計算しやすい形の式が提示されている。
玉虫先生の本の波動方程式では プランク定数 h をそのまま使っている。そうすると h と一緒に がいつも出てくる。 粒子の一回の振動は、三角関数を用いて一回円周をぐるりと回って元に戻ってくることに置き換えられる。円周の長さは なので が出てくる。 そこで h を で割り算した値を として、h の代わりに使う。
この式
を解く方法が解説されている。「解く」と言っても、単純な筆算とは解き方が異なる。
シュレーディンガー方程式のように複雑な式の場合、「この式の解は、こういう性質を持っていなければならない。だから、こういう形の方程式が、この式の解になるのではないか。」という予測をして、その予測が正しいことを計算によって確かめるという方法で解を見つけていく。 こういう方法は、生物学などの実験科学と似ている。実験科学の場合は、これまでに得られている知見を元にして、「もしこの考えが正しければ、この生物にこういう処理をしたらこの代謝産物の量が大きく増えるはずだ」というような予測をして、その予測が正しいことを実験によって確かめるという方法で、正しい理解に近づいていく。理論家の場合は実験ではなくて計算、数値実験で確かめることになる。
「この式の解は、こういう性質を持っていなければならない。」というような条件がたくさんあればあるほど、正しい解を見つけやすくなる。だから、式を変形してわかりやすくすることで、そういう条件を見つけやすくしないといけない。
まず、三次元の波動方程式と、この式
を比較してみる。
玉虫先生の本の波動方程式を少し変形すると、
二つの式の左辺を見比べると、 の部分が変化して、分子の が、ただの 2 に置き換わっている。 これは h を にしたために、簡単にできている。
右辺はポテンシャルエネルギー V の部分が に置き換わっている。 これも EMAN氏の解説に出てくる。この場合バネにつながっている量子的な粒子について考えている。その粒子は振動しているので、バネにつながった粒子の振動の公式をまず出してくる。こういう元になる式をうまく選んで、先人の成果にうまく乗っかることが大切らしい。
その式は「自由振動の減衰振動解」という式で、 x は振動する変数 A は振幅定数 は「減衰ファクター」 は角固有振動数 は位相定数
「角固有振動数」というのは、振動数 に をかけ算した値で、上に書いたように一回の振動は一回円周をぐるりと回って元に戻ってくることに置き換えられる。円周を一周するとその角度は なので が出てくる。振動数をそのように補正するので「角」をつけて(角度の角)角振動数という。 バネにくっついたおもりの場合、バネ定数とおもりの質量で振動数が決まり、その振動数を固有振動数という。
今考えている量子的な粒子は波の性質を持っていて、上に書いたようにそれは定常波で「いくら時間が経過しても一定の形を保っている・性質が変化することはない」ので、減衰ファクターは0になり、
となる。
バネにくっついたおもりの場合、バネ定数とおもりの質量で振動数が決まり、その振動数を固有振動数という。どうきまるかというと、
となっている。
いま必要なのはバネについた粒子のポテンシャルエネルギー V で、それは都合のよいことにバネ定数 k と粒子の位置 x だけで表現できる。変数は x だけだから
これに出てくる を を用いて書き換えると、
になる。x は で表現できる。
という違いがある。
今回は から始めてみる。
ここで、「 は、どういう性質を持っていなければならないか」ということを考えてみる。 物理の本ではよく「〜ということが要請される」と書かれているが、そのことに相当する。
要請その(1) 変数(パラメーター)の値が無限大に近い・無限小に近いような特別な値の時にも等式が成り立つように、 は決められなければならない
上の式では、振幅に相当する x が一番重要なので、「x が無限大に近いほどとても大きい」という場合について考える。そういう極端な場合の方がわかりやすくなる。
この場合、ポテンシャルエネルギー V は なので、V も無限大に近いくらい大きい値になる。すると運動エネルギー E は V よりもずっと小さくなるので、 を に置き換えてもよい。
右辺に m が入っている。今回の場合、m はいくつでなければならないという制限はない。だから、m は式を解くのに都合がよい値にしてしまえばよい。都合のよい値にして問題ない数は、どんどんそうするべきであると、物理の本に書かれていた。だからそうしてみる。
で置き換えた右辺は で 定数の部分は ここで だったから、それを代入すると になる。この値が1になるように、 にする。そうすると式が簡単になって、
x は無限大に近いほどとても大きい
にできる。
ここでまた、「 は、どういう性質を持っていなければならないか」ということを考えてみる。
左辺は の二階微分になっている。右辺は に をかけ算している。 だから、二階微分すると が出てくるような関数だと都合がよい。 そういう関数を探してみると、 が良さそうだとまず推測、予測してみる。
その予測が正しいかどうかを調べるために、 に当てはめて計算してみる。
左辺は2階微分で、1回目は合成関数の微分の公式を使う。 、 と書き換えることができて、求めたいのは これを計算してみると
これをもう一回微分するには、関数の積の微分公式を使う。 この場合
計算すると
今は「x は無限大に近いくらい大きい」という条件で計算しているので、 は と考えてもかまわない。そう考えると、左辺は になる。
右辺は簡単で、
比べてみると、残念ながら4倍値が異なっている。そこで、その分を補正するために、指数の部分を2で割り算した を次に試してみる。
すると左辺は 、 と書き換えることができて、一回目の微分は
それをもう一回微分すると
今は「x は無限大に近いくらい大きい」という条件で計算しているので、 は と考えてもかまわない。そう考えると、左辺は になる。
右辺は簡単で、
左辺と右辺を見比べると、一致している。だから は、x が無限大に近いくらい大きいという条件で、シュレージンガーの式の解になる。
しかし、この解には問題がある。x が大きくなると もどんどん大きくなり発散してしまう。これは「確率が無限に大きくなる」ということに相当して、あり得ないことが起きることになってしまう。
要請その(2) 解となる数式から導かれる・推測される物事が、実験結果や既知の法則、決まりと矛盾してはいけない
だから、また別の解を探さないといけない。そこで としてみる。この式は、正規分布の関数と同じ形でよく使われ、計算がやりやすく、x が無限に大きくなると値は 0 に収束する。最大値は x = 0 の際の 1 なので、値が 0 から 1 までに収まる。この性質は確率と対応させるのに都合がよい。
すると左辺は 、 と書き換えることができて、一回目の微分は
それをもう一回微分すると
今は「x は無限大に近いくらい大きい」という条件で計算しているので、 は と考えてもかまわない。そう考えると、左辺は になる。
右辺は簡単で、
左辺と右辺を見比べると、一致している。だから は、x が無限大に近いくらい大きいという条件で、シュレージンガーの式の解になる。 また、この解は 0 から 1 までの値しか取らないので、確率と対応させるのに都合がよい。
次に、x が別の値を取る際にも解として成り立つように、 を改良する。 そのために、この式に「適当な x の関数」(EMAN 氏の解説だと H(ζ))をかけ算した式を作る。その式を元のシュレーディンガー方程式 に代入して、うまく成り立つように「適当な x の関数」を決める。
これをやってみる。
元のシュレーディンガー方程式 において、m と k はどんな数でもよいので、解くのにもっとも都合がよい数にする。上で行ったように、 とする。 すると、
また、
だから、右辺は k もどんな数でもよいので、一番都合がよいように決める。k = 2 にすると一番簡単になり都合がよいのでそうすると、
「右辺 - 左辺 = 0」 にしたほうがわかりやすいのでそうすると、
ここで、上に書いたように、x が無限大に近いくらい大きい時に波動方程式の解 になる という式を、どんな x に対しても解になるように改良するために、 ということにする。
そうすると、 この式を書き直してみる。書くのが大変なので、 ということにする。本当は x の関数であるということから と書くべきだが、面倒なので省略する。
3番目の項の、二階微分の部分は具体的に計算できる。上にも出てきた関数の積の微分公式を使う。 の微分は合成関数の微分で、これも上に出てきたのと同じで、その結果を使えて都合がよい。
3番目の項を微分する。一回目は
二回目は
この二階微分を3番目の項として使うと、
H(x) を主役にして書き直すと、
これは少し簡単にできて、 これを偏微分の記号を使って書き直すと、
この式が、どんな x, どんな に対しても成り立つようにするには、 が、x がどんな値を取っていても、常に成り立つ必要がある。この式は EMAN 氏の解説の式(4) に相当する。
だから次に、今出てきた式がどんな x に対しても成り立つように式を解くことで、H(x) を決めないといけない。 ここでも、「H(x) はこういう式で表現できるのではないか?何か都合のよい形の式はないか?」という推測をして、それが正しいかどうかを計算で確かめる、そういう試行錯誤を当たりを引くまで繰り返すという方法をとる。
どういう式だと都合がよいか?今扱っている対象は、「量子力学に従う粒子がバネに結合して振動している」である。すでに「量子的な粒子の運動を表現する際には、量子数と呼ばれる整数が必ず出てくる」ということを知っている。 だから、H(x) に相当する式には整数 k (k = 0, 1, 2, …)が一つ以上含まれていないといけない。これも「要請」の一つになる。 k をどう取り込むべきか? H(x) は二階微分できないといけない。x の二乗、三乗、… が含まれていれば、問題なくできるだろう。だから H(x) を x の多項式 … というようにして、k は 、k = 0, 1, 2, … と言う具合に式に取り込んでみる。 書き直すと と表現することができる。
この式はどのように解釈できるだろうか。EMAN氏の解説に一つの解釈が書かれている。x が 0 に極めて近いとき、x を 3 乗、4 乗、と繰り返しかけ算するとそれらの値は 0 とみなしてもよくなる。だからその場合、実質的には x の 2 乗までしか考えなくてもよい。 また定数の項は、この関数のグラフを書いた場合関数全体を平行移動させる、上にずらす働きしかしていない。 x の 1 乗の項は、それがあってもなくても、2 乗の項があるならこの関数は二次関数になる。そのグラフを書いた場合、グラフの形はつねに二次関数の形のままで、一次の項は関数全体をずらす働きしかしていない。 だから x の 2 乗の項が支配的に効いてくることになる。
(どこかに最低の値を取る点があって、左右対称になめらかに二次関数の形で値が上昇していくことは、x の 1 乗の項があってもなくても同じだから、その性質が変わらないことが大切なのだろう)
このことから、x が 0 に極めて近い=原点から小さな範囲で振動している(普通はこう考えてもよい)場合、この式の 2 乗の項が支配的になる。 元々の設定の「量子力学に従う粒子がバネに結合して振動している」では、粒子がもつポテンシャルエネルギーは で表現できた。 原点から小さな範囲で振動している場合、H(x) もそれと同じ x の 2 乗の項が支配的になり、「量子力学に従う粒子がバネに結合して振動している」状態のポテンシャルエネルギーに一致しているので、その振動の基本的な性質を変化させにくい。 このことから、H(x) を上に書いたような形だと推定することに妥当性がある。
H(x) の一階微分は … になって、
もう一回微分すると … になって、
これらを当てはめると、
の部分は、全部 k = 0 からに統一すると都合がよい。また、それぞれの項に がある。これらも に統一できると都合がよい。 そうなるように式を変形しないといけない。私の場合、これは実際に書いてみないと間違えてしまう。そこで書いてみると、
は、k = 1 なら k = 2 なら k = 3 なら k = 0 からにしてまとめると になる。 これによって前についている x が、うまい具合に の内部に取り込める。 また を にすることもできている。
は、k = 2 なら k = 3 なら k = 4 なら の部分を に取り替えられると、他の項とくくることができて都合がよい。そこで k = 0 からに変換してまとめると になる。
これらを当てはめると、
これがつねに成り立つには、
この式から、 が決まっていれば、 を決められる。それを繰り返して ・・・ 偶数の系列が決められる。 また が決まっていれば、 を決められる。それを繰り返して ・・・ 奇数の系列が決められる。
k = 0 の場合 になって、
この系列は k が偶数なので次は k = 2 で、 だから
k = 1 の場合 になって、
この系列は k が奇数なので次は k = 3 で、 だから
このままだと、k が大きくなる方向へどこまでも続く。しかし、ここでまた別の「要請」があるので、そうならないように制限がかかる。
要請: H(x) が無限に大きくなってはいけない
H(x) は x の多項式 … で、k は 、k = 0, 1, 2, … と言う具合に式に取り込んであった。 上の偶数、奇数の式だけだと、 がどこまでも続いてしまう場合が生じる。どこまでも続いても 0 に収束するならよいが、この場合そうならないので困る。
しかし例えば k = 0 の場合、E = 1 なら になる。するとその後の … も 0 になり、H(x) をうまく決めることができる。k = 2 の場合は E = 5 でうまくいく。k = 4 では E = 7 で、結局 になっていればよいことになる。 これは k = 1, 3, 5,… の場合も になっていればよい。しかし E は一つの値しかとれないので、E を偶数の k に合わせて決めた場合は、奇数の k の方は にすることでその後を全部 0 にする。 E を奇数の k に合わせて決めた場合は、偶数の k の方は にすることでその後を全部 0 にする。
以上のように、E を整数性のある値 に決めることによって、H(x) をうまく決定することができる。
実際に書いてみると、
k = 0 なら E = 1、a1 = 0、a2 から後は全部 0 だから
k = 1 なら E = 3、a0 = 0、a3 から後は全部 0 だから
k = 2 なら E = 5、a1 = 0、a4 から後は全部 0 だから
k = 3 なら E = 7、a0 = 0、a5 から後は全部 0 だから 上の方に書いたように、x が 0 に近い場合は よりも高次の項はとても小さくなってしまう。だから k が大きい場合は考える必要はない。
以上のように H(x) を決めることができ、解を出すことが一応できる。
だったから、
k = 0 なら E = 1 で、
k = 1 なら E = 3 で、
k = 2 なら E = 5 で、
この解が合っていること、元の式の k, m(バネ定数、質量)を他の値に変えても大丈夫なことを確かめることについては、すばらしい解説が多数公開されているので省略する。
上の式を眺めて、解釈してみる。
k = 0 というのは、一番エネルギー E が低い、安定な状態に相当する。このとき は正規分布の形になる。 細胞内に存在する代謝産物の量を測定する。対照となる野生型、それに何か処理をしたサンプルの両方で測定して割り算する。さらに対数に変換する。 そうすると、たいていの場合 0 (比率は 1 )を中心とした正規分布に近い形になる。 0 が中心になるのは、野生型の値が中心で、そこに自然長のバネの片側がきていると考えることもできる。
(つづく)
このことについては、広江克彦氏の「趣味で量子力学」という本を参考にする。
一番単純な水素原子の状態を表現するシュレーディンガーの式は、厳密に解を求めることができる。
しかしもっと複雑な分子や結晶を表現する場合は、複数の原子核、複数の電子を考えないといけなくなる。そのために、ハミルトニアンの項が増える。以下のような 5 個の項が必要になる。
参考にしたすばらしい資料: https://mmnakayama.jimdo.com/study/第一原理計算%EF%BC%91/ 中山先生による解説 「第一原理バンド計算(基礎編)」
分子では原子核や電子が複数あるので、上に書いた項をそれぞれの粒子について決め、全部足し合わせる。これでは複雑すぎて計算できないので近似をする。そのために
「原子核(陽子と中性子)は電子よりもずっと重いので、原子核と電子の相対的な位置が変化することはない。言い換えると、原子核がわずかに移動すると、電子はその移動に瞬時に対応して移動するので相対的には何も変化がない」
ということにする。これを断熱近似、ボルン・オッペンハイマー近似というそうである。 こういうことにすると、数式の項の一つが0になって少し簡単な形に書き換えられる。
この近似で簡単にしたハミルトニアンを、さらにできるだけ計算がしやすいような形に変形する。それを用いて
を作る。しかしそれだけではまだ複雑すぎて解くことができない。波動関数の方も、計算しやすい形に限定しなければならない。
参考にしているすばらしい解説: 「第一原理計算と密度汎関数理論」白井光雲先生による解説 https://dora.bk.tsukuba.ac.jp/~takeuchi/?%E6%AD%A6%E5%86%85%E3%80%80%E4%BF%AE 筑波大 武内先生 https://whyitsso.net/physics/quantum_mechanics/index.html 「ハートリーフォック方程式の導出」K M氏
波動関数は関数の一種なので、引数をとる。上の方で考えてみた一番単純な、バネがついた量子の波動関数の場合、その引数は、軸上の位置を表す座標 だけで済んだ。 しかし、分子を構成する電子全体を表現する波動関数では、引数は電子一つにつき一つ必要になる。引数(パラメーター)が増えれば増えるほど、方程式を解いて答えを導くことは難しくなる。物理や数学ではパラメーターの数が多いモデルや式は嫌がられることが多いらしいが、その原因の一つなのだろう。
そこで対策として、まず「変数分離法」という、とても役に立つ重要なテクニックを用いて式を書き直す。
一番簡単な例を考えてみると、 というように、「引数が複数ある関数は、引数が一つの関数を組み合わせることによって書き直せる」ということを仮定する。 それが成り立つ場合は計算がしやすくなり、解を求められる。都合のよいことに、求められた解をうまく組み合わせて使うと、仮定が成り立たない場合についても計算ができるようになる。
今回の分子軌道の場合の波動関数は
r_i は電子 i の座標
これが
と、関数の積に書き換えられることになる。こういう単純に掛け合わせた形を「ハートリー積」というそうである。ハートリーという名前は量子化学の計算でよく出てくる。 この場合、関数は N 個で、関数の引数は、電子 1 から電子 N まで、N 種類ある。
この式では、N 番目の関数には N 番目の電子が引数になっている。このことを解釈すると、「N 番目の波動関数には、N 番目の電子が必ず対応している」ということを表現している。
しかし、ここで電子の性質に関する「要請」が出てくる。電子の性質を正しく表現する波動関数の数式は、その要請を満たすものでないといけない。 満たさない式は反則となり除外される。
ここでの要請は、「電子は区別することができない。不可弁別性をもつ」というものである。電子がいくつあるかは数えられる。N 個あるとする。それらの電子に 1 番目の、2 番目、… と番号をつけて区別することはできない。 このことから、上に書いた式の関数 それぞれに、 から までが同等に引数となった式でなければ電子の性質を正しく表現した式にはならない。
このことから のように、N x N 個の項を組み合わせた式を考える必要がある。
さらに電子の性質に関する「要請」が出てくる。電子の性質を正しく表現する波動関数の数式は、その要請を満たすものでないといけない。 満たさない式は反則となり除外される。
その要請は、「電子は、入れ替えに対して反対称」というものである。これは数式で書いた方がよっぽどわかりやすくて、
二つの引数である と を入れ替えると、関数の値は絶対値では同じだが正負が逆になる。
都合のよいことに、行列式というものは「行または列の入れ替えに対して反対称」の性質を持っている。これがうまく使える。また行列式を使うと、N x N 個ある要素を組み合わせて一つにまとめて考えられる(N 個の電子をひとまとめにした波動関数=分子軌道 を作れる)のでこれも都合がよい。
行列式は、行列の要素を組み合わせて乗算し、それらを足し合わせる・引き算することで一つの値を得る。今回の場合、変数分離で分解した波動関数が行列の要素(行)になる。 列の数は電子の数になる。 都合のよいことに、波動関数同士を組み合わせて乗算し、それらを足し合わせる・引き算することで合成した波動関数は、やはり波動関数として扱うことができる。 この都合のよい性質によって計算が可能になる。
そこで、 を、行列の形に並べてみる。
電子1 | 電子2 | … | 電子N | |
関数1 | .... | |||
関数2 | .... | |||
..... | .... | |||
関数N | .... |
行列式について復習した。整数の順列が出てくる。
行列式は
は、順列の要素の「入れ替え(置換)回数」、N は行列の行、または列の数 行列式は正方行列でないと計算できない。 sign は符号で、偶数回の置換だと + プラス、奇数回の置換だと - マイナス
2行2列の行列では (1, 2) が基本の順列になる。(1, 2) と (2, 1) で全部の組み合わせで、(1, 2) は基本そのままなので入れ替え(置換)は 0 回、これは偶数回の置換
(2, 1) は基本から 1 回置換したものなので奇数回の置換
行列の要素を とすると、a の添え字の 1 番目はいつも 1, 2 の順番で、2 番目は順列に従って (1, 2) か (2, 1) になる。
(1, 2) に対応するのは (1, 2) は偶数回置換なので符号はプラス
(2, 1) に対応するのは (2, 1) は奇数回置換なので符号はマイナス
だから が、2次の正方行列の行列式
置換・入れ替えという操作は、足し算や引き算と同じような演算の一種と考えることができる。電子について考えるときには置換はとても重要な操作になる。
(つづく)
量子化学の計算プログラムには必ず「セルフコンシステント」という語句が出てくる。 これも中山先生による解説を参考にする。
セルフコンシステント: まず初期値を設定して、解きたい対象であるシュレーディンガーの式に矛盾、不都合がない状態になるように、ハミルトニアン、波動関数を計算する。計算して出てきた値を式に代入して、また計算する。それを繰り返しても、出てくる解が変化しなくなった状態
というように考えてみる。その状態になることが、シュレーディンガーの式を計算機で解くと言うことに相当する。一回の計算ではそういう状態にならない(二回目の計算では異なる解が出てくる)が、何回も計算を繰り返すことで解の変化が小さくなっていき、最後にはセルフコンシステントになるように収束することを目標にする。計算を繰り返すことを iteration イタレーション 反復法 という。
なぜこんなことをしなければならないかということが中山先生による解説に書かれている。ハミルトニアンにはポテンシャルエネルギーが含まれている。ただ含まれているだけでなく、波動関数が変化するとポテンシャルエネルギーも変化する。このことによって、解を求めるために波動関数を変化させたなら、その波動関数を用いてポテンシャルエネルギーを計算して更新しなければならない。
(反復によって解を求める簡単な例題を考えてみる)
(つづく)
井本稔先生の「有機電子論解説 第 4 版」では 197 ページから「分子軌道法」に関して書かれている。
(つづく)
vim: set ts=8 sts=2 sw=2 et ft=a111_modified_flexwiki textwidth=0 lsp=12: