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ミトコンドリアの機能を改善する化合物・方法について -

目次

赤色光

Improving mitochondrial function significantly reduces metabolic, visual, motor and cognitive decline in aged Drosophila melanogaster.   Weinrich TW, Coyne A, Salt TE, Hogg C, Jeffery G.   Neurobiol Aging. 2017 Dec;60:34-43. doi: 10.1016/j.neurobiolaging.2017.08.016.   PMID: 28917665   チトクローム C oxidase (COX, 複合体 IV)がよく吸収する 670nm (赤)の光を高齢のショウジョウバエに当てると、ミトコンドリアの機能が改善されると書いてある。

2020 年 7 月に、以下のような一般向けニュース記事が公開されていた。「「赤い光を1日3分間だけ見つめる」ことで衰えた視力を改善できるとの研究結果」   https://gigazine.net/news/20200702-looking-red-light-improve-eyesight/   ミトコンドリアについて言及されている。

2020 年 9 月に、赤い光を頭に照射することで神経に関する病気の症状が改善されることを試す、治験に関する記事がサイエンス誌(科学界を代表する一流雑誌)に掲載されていた。頭に赤く光る 'Light helmet' を被っている写真が掲載されている。ミトコンドリアについても少し言及されている。しかし「プラセボ効果」である可能性が高いと、効果に懐疑的な研究者も多いと記されている。

Trials begin for a new weapon against Parkinson’s: light (パーキンソン病に対する新しい武器、光の治験が始まる)  Gunjan Sinha   Science 18 Sep 2020: Vol. 369, Issue 6510, pp. 1415-1416 DOI: 10.1126/science.369.6510.1415

硝酸イオン

動物で、「硝酸イオンはミトコンドリアの機能を高める」ということが報告されている。   Can Dietary Nitrates Enhance the Efficiency of Mitochondria?   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3049330/   その仕組みについては一酸化窒素の関与が考えられている。   野菜に含まれる硝酸塩は毒か薬か? 還元的NO合成経路の研究小史   http://www.jsbba.or.jp/pub/journal_kasei/   化学と生物(日本農芸化学会)Vol.57 No.11 Page. 665 - 668 (published date : 2019年11月1日)  山崎 秀雄教授による解説

Dietary inorganic nitrate improves mitochondrial efficiency in humans.    Larsen FJ, Schiffer TA, Borniquel S, Sahlin K, Ekblom B, Lundberg JO, Weitzberg E.   Cell Metab. 2011 Feb 2;13(2):149-59. doi: 10.1016/j.cmet.2011.01.004.   PMID: 21284982

植物で硝酸イオンを感知するセンサーとして働く転写因子が発見された。  NIN様タンパク質7転写因子は植物の硝酸塩センサー  Kun-Hsiang Liu, Menghong Liu, Ziwei Lin and more  https://www.science.org/doi/10.1126/science.add1104

植物では、硝酸イオンは発芽を促進することが知られている。発芽の際にはミトコンドリアが修復、新生されると「発芽生物学」という本に書いてある。「ミトコンドリアが修復される」と当たり前のように書いてあるがどんな仕組みで修復されるのか。種子のミトコンドリアは活性が低い状態になっているが、それは乾燥し成熟すると自然に受動的にそうなるのだろうか。活性を積極的に低下させるしくみがあるのだろうか。 2019 年 12 月に  Redox-mediated kick-start of mitochondrial energy metabolism drives resource-efficient seed germination.   Nietzel T, など Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 Dec 23. pii: 201910501. doi: 10.1073/pnas.1910501117. [Epub ahead of print]   PMID: 31871212   という論文が発表された。成熟した種子のタンパク質では、ミトコンドリアマトリックス(内膜の内側)が酸化された状態になっている。発芽時に急速に還元状態に変化する。ミトコンドリアに存在する Alternative oxidase は酸化型では活性が低く、還元型になると活性化する。発芽に適さない条件では効率の悪い AOX が使われなくなるという仕組みは合目的的である。

発芽においてミトコンドリアはとても重要だということのようだが、それについてどんなことをどのように調べればよいのか。ミトコンドリアがうまく働くようにできれば発芽率がよくなったり一斉に発芽するようになるのだろうか。寄生植物の発芽は、ストリゴラクトンのような宿主由来の分子が存在することで開始するようになっている。その仕組みに、ミトコンドリアが関わっていたりしないだろうか。植物ではミトコンドリアは単独で働くだけでなく葉緑体などの他のオルガネラと連携して機能を果たしている。発芽時は葉緑体は光合成を行わない状態にある。そのときに葉緑体(プラスチド)はどんな役割をもち、どのようにミトコンドリアと連携しているのだろうか。

Arabidopsis Seed Mitochondria Are Bioenergetically Active Immediately upon Imbibition and Specialize via Biogenesis in Preparation for Autotrophic Growth という論文が 2017 年に発表された。   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5304351/

発芽の最初期(吸水から6時間)に起きる転写活性化に関与している転写因子を同定したすばらしい研究成果が、南原博士らのグループによって報告されている。   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5064020/   

2019 年 2 月には  Mitochondrial small heat shock protein mediates seed germination via thermal sensing.   Ma W, Guan X, Li J, Pan R, Wang L, Liu F, Ma H, Zhu S, Hu J, Ruan YL, Chen X, Zhang T.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 Feb 14. pii: 201815790. doi: 10.1073/pnas.1815790116. [Epub ahead of print]   PMID: 30765516   という論文が発表された。 

ALA (5-アミノレブリン酸)

ミトコンドリアの電子伝達系複合体 III, IV, また Cytochrome C には、ヘムが必須の要素として含まれている。ALA はヘム生合成の前駆体となる重要な化合物で、動物、植物、微生物の成育を促進する効果が報告されている。植物では肥料の成分として有効なことから既に実用的に広く使われている。動物、ヒトにも有用な効果がある。   https://www.kochinews.co.jp/article/409397/  新聞記事  この記事の下の方に、 「5-ALAは、ミトコンドリアの機能を向上させることが知られており、埼玉医大を中心としたミトコンドリア病の第3相医師主導治験が進められています。」と書かれていた。   

化学と生物(日本農芸化学会の機関誌) 61(3): 107-109 (2023)  「生命の根源物質5-アミノレブリン酸の生理機能と多様な分野での応用について : 5-アミノレブリン酸の機能と応用」  千葉櫻先生(東京農業大学生命科学部)による解説

5-アミノレブリン酸とクエン酸鉄で、ミトコンドリア複合体 I の活性低下によるダメージを回復させることが成功している。   https://www.tmu.ac.jp/news/topics/35932.html   東京都立大 安藤先生のグループの研究成果紹介

タウリン

タウリンはイオウ原子を含む化合物で細胞内ではアミノ酸から合成される。動物の細胞に多く含まれている。ミトコンドリアロイシンtRNA がタウリンで修飾されること、それがうまくいかない病気が存在することが解明されている。タウリンを摂取することで症状を改善できることが明らかにされている。

https://www.amed.go.jp/news/release_20190219-01.html 「難病指定ミトコンドリア病の患者に光―既存薬タウリン、MELAS脳卒中様発作への適応―日本初の承認薬に」

健康な人間、加齢した人間がタウリンを摂取した場合にもミトコンドリアによい影響があるかどうかは研究中らしい。   Taurine supplement makes animals live longer - what it means for people is unclear.   Vidal Valero M. Nature. 2023 Jun 9. doi: 10.1038/d41586-023-01910-4. Online ahead of print. PMID: 37296260    https://taisho-lab.jp/interview/article/1.html   「細胞レベルの研究がたどり着いた肌の若返りの鍵」 大正製薬の研究

Kinetin カイネチン

「Mitigating mitochondrial defects ミトコンドリア異常の軽減」  https://www.science.org/doi/10.1126/science.ade5296?utm_source=sfmc&utm_medium=email&utm_campaign=JapanHighlights&utm_content=alert&et_rid=51967918&et_cid=4383649  サイエンス誌で、 

Mitigation of age-dependent accumulation of defective mitochondrial genomes   Pei-I Tsai, Ekaterina Korotkevich, and Patrick H. O’Farrell   accepted June 6, 2022 2022 119 (31) e2119009119  https://doi.org/10.1073/pnas.2119009119  Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 119, e2119009119 (2022). 

という論文の紹介がされていた。ショウジョウバエでは有害な変異を持つミトコンドリアを排除する仕組みを活性化することができる。 ショウジョウバエでは植物ホルモンの一種である Kinetin カイネチン にその効果があった。マウスの餌にカイネチンを混ぜて食べさせても効果があった。

調べてみるとかなり以前から「カイネチンが動物細胞、ミトコンドリアに作用する」という論文があった。

A neo-substrate that amplifies catalytic activity of parkinson’s-disease-related kinase PINK1   Cell. 2013 Aug 15;154(4):737-47. doi: 10.1016/j.cell.2013.07.030. Nicholas T Hertz 1 , Amandine Berthet, Martin L Sos, Kurt S Thorn, Al L Burlingame, Ken Nakamura, Kevan M Shokat  PMID: 23953109 PMCID: PMC3950538 DOI: 10.1016/j.cell.2013.07.030

Rescue of a human mRNA splicing defect by the plant cytokinin kinetin.   Slaugenhaupt SA, Mull J, Leyne M, Cuajungco MP, Gill SP, Hims MM, Quintero F, Axelrod FB, Gusella JF.    Hum Mol Genet. 2004 Feb 15;13(4):429-36. doi: 10.1093/hmg/ddh046. Epub 2004 Jan 6.    PMID: 14709595  

Mitochonic Acid 5 (MA-5) 

Mitochonic Acid 5 (MA-5), a Derivative of the Plant Hormone Indole-3-Acetic Acid, Improves Survival of Fibroblasts from Patients with Mitochondrial Diseases.   Suzuki T, Yamaguchi H, Kikusato M, Matsuhashi T, Matsuo A, Sato T, Oba Y, Watanabe S, Minaki D, Saigusa D, Shimbo H, Mori N, Mishima E, Shima H, Akiyama Y, Takeuchi Y, Yuri A, Kikuchi K, Toyohara T, Suzuki C, Kohzuki M, Anzai J, Mano N, Kure S, Yanagisawa T, Tomioka Y, Toyomizu M, Ito S, Osaka H, Hayashi K, Abe T.   Tohoku J Exp Med. 2015;236(3):225-32. doi: 10.1620/tjem.236.225.   PMID: 26118651   http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26118651

動物のミトコンドリアの機能低下を回復させる化合物で、興味深いことに植物ホルモンであるインドール酢酸に側鎖が結合した構造をしている。

紹介記事: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20151126_01web.pdf   「ミトコンドリア病に対する新規治療薬の開発」    「MA-5 はミトコンドリア内に存在するミトフィリンという膜タンパク質に結合して ATP を増やす」と書かれている。 ミトフィリン Mitofilin はミトコンドリア内膜に局在して、クリステの形成や ATP 合成酵素の働きを助けるらしい。図5にそう書かれている。酵母にも似たものがあり yeast Fcj1 と呼ばれている。シロイヌナズナにも似たもの Mic60 = At4g39690 がある。

化学と生物 59(7): 339-345 (2021) 解説:ミトコンドリア病とその治療薬開発に向けて−ミトコンドリア創薬の基礎研究と臨床応用   鈴木 健弘、阿部 高明 両先生による解説記事  ミトフィリンに MA-5 が結合することで、ATP 合成酵素が活性の高い二量体を取りやすくなる。

https://www.mitomoonshot.med.tohoku.ac.jp/   ミトコンドリア活性化を通じて健康に貢献することを目指す、阿部 高明先生を代表者とした大規模なプロジェクトが進行している。

栄養増感薬の転用スクリーニングにより、ロメリジンが慢性骨髄性白血病のミトコンドリア代謝阻害剤として同定

https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.adi5336?utm_source=sfmc&utm_medium=email&utm_campaign=JapanHighlights&utm_content=alert&et_rid=51967918&et_cid=5246837

動物の培養細胞を培養する際には炭素源として普通グルコースを用いる。グルコースは解糖系による ATP 合成、ミトコンドリア電子伝達系による ATP 合成に用いられる。グルコースの代わりにガラクトースを炭素源にすると、ガラクトースを直接解糖系で代謝できないので、相対的にミトコンドリアに頼る割合が高くなる。そのことを利用して、ガラクトース培地での生育を特異的に阻害する化合物をスクリーニングした。そういった化合物は「ミトコンドリア代謝阻害剤」である可能性が高く、慢性骨髄性白血病を治療する薬として有望である。その結果ロメリジンという薬が見いだされた。

絶食によって活気づくミトコンドリアの分裂

SCIENCE SIGNALING の記事を翻訳したものが公開されている。 リンク

スペルミジン (SPD)

「スペルミジン (SPD) はT細胞の脂肪酸酸化を直接活性化し老化による抗腫瘍免疫の低下を回復させる」 理化学研究所のプレスリリース  https://www.riken.jp/press/2022/20221028_2/index.html

このプレスリリースに、「SPDは試験管内実験にて短時間でミトコンドリア機能を上昇させました。生化学的解析によりSPDはミトコンドリアに存在する脂肪酸酸化を担う酵素(MTP)に直接結合し、その酵素活性を上昇させることが明らかになりました。」と書かれている。

Methylation-controlled J protein (MCJ)  を不活性化すると複合体 I が相対的に活性化する

Manipulating mitochondrial electron flow enhances tumor immunogenicity   KAILASH CHANDRA MANGALHARA など   SCIENCE 21 Sep 2023 Vol 381, Issue 6664 pp. 1316-1323   DOI: 10.1126/science.abq1053

Methylation-controlled J protein (MCJ) は動物のミトコンドリア複合体 I に含まれるタンパク質で、「 an endogenous CI-interacting protein in the inner mitochondrial membrane, knockout of which leads to increased CI activity over CII and the formation of supercomplexes 」  と書かれている。複合体 II (コハク酸デヒドロゲナーゼ)から供給される電子の流れが相対的に弱くなり、コハク酸の量が増加して間接的にエピジェネティックな変化が起きる。その結果免疫のシステムが働きやすくなる。

化合物TLAM

https://www.riken.jp/press/2020/20201110_1/index.html   理化学研究所のプレスリリース 「機能低下したミトコンドリアを活性化させる化合物 −解糖系酵素ホスホフルクトキナーゼ阻害剤とその新活性の発見−」

ミトコンドリア活性が低く解糖系に頼る割合が高いがん細胞は、低グルコース培地で生育しにくい。この現象を利用して、低グルコース状態(2-デオキシグルコースという化合物を与えている)でも生育できるようにする化合物をケミカルライブラリーからスクリーニングするという、すばらしいアイデアに基づいた研究が成功している。

ビタミン、NAD

Nature の日本語紹介ページで、「NAD+のde novo合成はミトコンドリア機能を増強して健康状態を改善する」という記事が紹介されていた。   De novo NAD+ synthesis enhances mitochondrial function and improves health p354   doi: 10.1038/s41586-018-0645-6  2018年11月15日号

サイエンス誌の日本語紹介ページで、「ビタミンB3はミトコンドリアの脆弱性を低下させ老化マウスの緑内障発症を予防する」という記事が取り上げられていた。   http://science.sciencemag.org/content/355/6326/756   ビタミンB3はニコチン酸、ニコチンアミドで、NAD の生合成の前駆体になる。   

「ビタミンB2の新たな機能―老化の原因となるミトコンドリア機能低下を改善するメカニズム解明―」 神戸大学 長野先生、鎌田真司教授らの研究グループによる成果   https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2021_11_02_01.html#:~:text=%E7%A5%9E%E6%88%B8%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%82%B7,%E3%82%8B%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8

Does Abiotic Stress Cause Functional B Vitamin Deficiency in Plants?   Hanson AD, Beaudoin GA, McCarty DR, Gregory JF 3rd.   Plant Physiol. 2016 Dec;172(4):2082-2097. Review. PMID: 27807106    高温、低温ストレスによる生育の抑制がビタミンを与えることで回復する例が紹介されている。

トリゴネリン

トリゴネリンは生物が作る窒素原子を含む化合物で、ニコチン酸の窒素原子にメチル基がついた構造をしている。ニコチン酸と同様に、NAD の生合成と関連があるので NAD の量を増やす役割が期待されている。

Trigonelline is an NAD+ precursor that improves muscle function during ageing and is reduced in human sarcopenia.   Membrez M など   Nat Metab. 2024 Mar;6(3):433-447. doi: 10.1038/s42255-024-00997-x. Epub 2024 Mar 19.   PMID: 38504132

トリゴネリンは NAD の前駆体として働き筋肉の働きをよくすることが示された。   https://ameblo.jp/mtsh-tnk-26/entry-12846208159.html  https://www.eurekalert.org/news-releases/1038568  などでも紹介されている。

https://forest-of-scholars.sec.tsukuba.ac.jp/archives/39101  筑波大学の研究で、トリゴネリンにミトコンドリア機能などを活性化する働きがあることが明らかにされた。

特許

https://patents.google.com/patent/JPWO2016067968A1/ja   検索   ミトコンドリア機能改善剤の特許    これもミトコンドリア機能改善剤の特許   

メチレンブルー

Methylene blue does not bypass Complex III antimycin block in mouse brain mitochondria.   Gureev AP, Shaforostova EA, Popov VN, Starkov AA.   FEBS Lett. 2019 Mar;593(5):499-503. doi: 10.1002/1873-3468.13332. Epub 2019 Feb 20.   PMID: 30734287

Mitofusin を活性化してミトコンドリア同士の融合を促進

Small molecule agonist of mitochondrial fusion repairs mitochondrial dysfunction.   Guo Y など  Nat Chem Biol. 2023 Jan 12. doi: 10.1038/s41589-022-01224-y. Online ahead of print. PMID: 36635564

イメグリミン Imeglimin

ttp://tenjin.futata-cl.jp/doctor/talking_23.html   糖尿病専門医である野見山先生による解説

Imeglimin normalizes glucose tolerance and insulin sensitivity and improves mitochondrial function in liver of a high-fat, high-sucrose diet mice model.   Vial G, Chauvin MA, Bendridi N, Durand A, Meugnier E, Madec AM, Bernoud-Hubac N, Pais de Barros JP, Fontaine É, Acquaviva C, Hallakou-Bozec S, Bolze S, Vidal H, Rieusset J.   Diabetes. 2015 Jun;64(6):2254-64. doi: 10.2337/db14-1220. Epub 2014 Dec 31.   PMID: 25552598

1-acetoxychavicol acetate (ACA)

「タイショウガの成分が異常な免疫反応を抑制する仕組みを解明 〜 ミトコンドリアのダメージを軽減して対応〜」   https://bsw3.naist.jp/research/index.php?id=2282

1-acetoxychavicol acetate (ACA) がミトコンドリアで生じたダメージを軽減する。それはミトコンドリアでの活性酸素生成を抑制してミトコンドリア DNA の酸化を防ぐことによる。

シルニジピン

プレスリリース ミトコンドリアの品質を維持する既承認薬を発見―慢性心不全や難治性疾患への適応拡大に希望―    https://www.amed.go.jp/news/release_20181114-01.html

インドール化合物

A novel endogenous indole protects rodent mitochondria and extends rotifer lifespan.   Poeggeler B, Sambamurti K, Siedlak SL, Perry G, Smith MA, Pappolla MA.   PLoS One. 2010 Apr 21;5(4):e10206. doi: 10.1371/journal.pone.0010206.   PMID: 20421998

ベタイン

ベタインは植物や微生物の塩ストレス耐性を高めることでよく知られている分子である。化学シャペロン的作用があり、酵素の失活を抑える。他にも化学シャペロン作用を持つ分子が知られている。

Betaine is a positive regulator of mitochondrial respiration.   Lee I.   Biochem Biophys Res Commun. 2015 Jan 9;456(2):621-5. doi: 10.1016/j.bbrc.2014.12.005. Epub 2014 Dec 8.   PMID: 25498545

Biochemical Studies on the Protective Effect of Betaine on Mitochondrial Function in Experimentally Induced Myocardial Infarction in Rats   Balaraman Ganesan, Rangasamy Rajesh, Rangasamy Anandan, Nanjappan Dhandapani    Journal of Health Science 53 巻 (2007) 6 号 p. 671-681    DOI https://doi.org/10.1248/jhs.53.671

Ursocholanic acid rescues mitochondrial function in common forms of familial Parkinson’s disease.   Mortiboys H, Aasly J, Bandmann O.   Brain. 2013 Oct;136(Pt 10):3038-50. doi: 10.1093/brain/awt224. Epub 2013 Sep 2.   PMID:   24000005

MH84: A Novel γ-Secretase Modulator/PPARγ Agonist--Improves Mitochondrial Dysfunction in a Cellular Model of Alzheimer’s Disease.   Pohland M, Hagl S, Pellowska M, Wurglics M, Schubert-Zsilavecz M, Eckert GP.   Neurochem Res. 2016 Feb;41(1-2):231-42. doi: 10.1007/s11064-015-1765-0. Epub 2015 Dec 31.    PMID: 26721513

Uric acid and anti-TNF antibody improve mitochondrial dysfunction in ob/ob mice.   García-Ruiz I, Rodríguez-Juan C, Díaz-Sanjuan T, del Hoyo P, Colina F, Muñoz-Yagüe T, Solís-Herruzo JA.   Hepatology. 2006 Sep;44(3):581-91.    PMID: 16941682

Melatonin improves mitochondrial respiratory chain activity and liver morphology in ob/ob mice.   Solís-Muñoz P, Solís-Herruzo JA, Fernández-Moreira D, Gómez-Izquierdo E, García-Consuegra I, Muñoz-Yagüe T, García Ruiz I.   J Pineal Res. 2011 Aug;51(1):113-23. doi: 10.1111/j.1600-079X.2011.00868.x.    PMID: 21355880

アラントイン allantoin

Effects of Rhizome Extract of Dioscorea batatas and Its Active Compound, Allantoin, on the Regulation of Myoblast Differentiation and Mitochondrial Biogenesis in C2C12 Myotubes   Junnan Ma など   Molecules 2018, 23(8), 2023; https://doi.org/10.3390/molecules23082023

アラントインは化粧品の有効成分として使われている。ベタインと併用されることがある。植物のストレス下での生育を促進することも知られている。

フラボノイド

Apigenin protects endothelial cells from lipopolysaccharide (LPS)-induced inflammation by decreasing caspase-3 activation and modulating mitochondrial function.   Duarte S, Arango D, Parihar A, Hamel P, Yasmeen R, Doseff AI.   Int J Mol Sci. 2013 Aug 28;14(9):17664-79. doi: 10.3390/ijms140917664.   PMID: 23989609

Quercetin up-regulates mitochondrial complex-I activity to protect against programmed cell death in rotenone model of Parkinson’s disease in rats.   Neuroscience. 2013 Apr 16;236:136-48. doi: 10.1016/j.neuroscience.2013.01.032. <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23357119

Complex I and cytochrome c are molecular targets of flavonoids that inhibit hydrogen peroxide production by mitochondria.   Biochim Biophys Acta. 2011 Dec;1807(12):1562-72. doi: 10.1016/j.bbabio.2011.09.022. <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22015496  ケルセチンなどのフラボノイドは健康に良いことが知られている。その仕組みの一部にミトコンドリアが関係しているのかもしれない。

植物由来テルペン化合物

Natural terpenes prevent mitochondrial dysfunction, oxidative stress and release of apoptotic proteins during nimesulide-hepatotoxicity in rats.   Singh BK, Tripathi M, Chaudhari BP, Pandey PK, Kakkar P. PLoS One. 2012; 7(4):e34200. doi: 10.1371/journal.pone.0034200.    PMID: 22509279

ユビキノンと関連する分子

Mitochondria-targeted quinones suppress the generation of reactive oxygen species, programmed cell death and senescence in plants.   Samuilov VD, Kiselevsky DB, Oleskin AV.   Mitochondrion. 2018 Apr 30. pii: S1567-7249(18)30006-0. doi: 10.1016/j.mito.2018.04.008. [Epub ahead of print] Review.   PMID: 29723685   

MitoQ improves mitochondrial dysfunction in heart failure induced by pressure overload.   Ribeiro Junior RF, Dabkowski ER, Shekar KC, O Connell KA, Hecker PA, Murphy MP.   Free Radic Biol Med. 2018 Mar;117:18-29. doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2018.01.012. Epub 2018 Feb 2.   PMID: 29421236

MH84 improves mitochondrial dysfunction in a mouse model of early Alzheimer’s disease.   Pohland M, Pellowska M, Asseburg H, Hagl S, Reutzel M, Joppe A, Berressem D, Eckert SH, Wurglics M, Schubert-Zsilavecz M, Eckert GP.   Alzheimers Res Ther. 2018 Feb 13;10(1):18. doi: 10.1186/s13195-018-0342-6.   PMID: 29433569

https://en.wikipedia.org/wiki/Plastoquinone に、プラストキノンの類縁化合物 SKQ1 という分子が、ミトコンドリアで抗酸化作用を示すと書いてある。       Protective effects of mitochondria-targeted antioxidant SkQ in aqueous and lipid membrane environments.   Antonenko YN, Roginsky VA, Pashkovskaya AA, Rokitskaya TI, Kotova EA, Zaspa AA, Chernyak BV, Skulachev VP.   J Membr Biol. 2008 Apr;222(3):141-9. doi: 10.1007/s00232-008-9108-6. Epub 2008 May 21.   PMID: 18493812

ストリゴラクトン

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2634080/   菌根菌のミトコンドリアを活性化するストリゴラクトン   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2528133/   菌根菌の NADH Dehydrogenase 活性が上がる

植物ホルモンや植物化学調節剤には動物にも作用するものがあることが知られている。ストリゴラクトンは動物細胞のミトコンドリアにも作用するだろうか。   Strigolactone GR24 upregulates target genes of the cytoprotective transcription factor Nrf2 in skeletal muscle   F1000Res. 2018 Sep 13;7:1459.   doi: 10.12688/f1000research.16172.2. eCollection 2018.   Shalem Raju Modi, Tarja Kokkola    PMID: 30728949 PMCID: PMC6347031   という論文があった。

NRF2活性化によるミトコンドリア機能制御

NRF2 (Nuclear factor erythroid 2-related factor 2)は動物細胞で働く、親電子性物質(electrophile)に応答して活性化する転写因子である。第二相解毒代謝酵素や抗酸化酵素,抗酸化物質の生合成経路の遺伝子発現を制御する。Keap1 という因子は NRF2 のプロテアソームによる分解を促進することで NRF2 の活性を制御する。

NRF2 に関するすばらしい解説が「化学と生物(日本農芸化学会機関誌)」に掲載されている。

「エネルギー代謝におけるKEAP1-NRF2制御系と硫黄代謝の役割 − KEAP1-NRF2制御系によるミトコンドリアエネルギー代謝への寄与」 化学と生物(日本農芸化学会機関誌)61(4): 188-195 (2023)  草野 佑典、村上 昌平、本橋 ほづみ 各先生による解説

「未病制御におけるNrf2酸化ストレス応答機構の役割とその分子機構」  化学と生物(日本農芸化学会機関誌)Vol.62 (2024) No.3 Page. 145 - 153  伊東 健, 葛西 秋宅, 多田羅 洋太 各先生による解説

ウロリチンA

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022052400396&g=bnw   「ウロリチンAのミトコンドリア修復機能をヒトで実証」   時事ドットコムのニュース   ウロリチンA は、エラグ酸という、ザクロなどの植物が作る化合物が腸内細菌によって代謝され生成する化合物である。 https://en.wikipedia.org/wiki/Urolithin  Urolithin - Wikipedia

銅を効率よく細胞内、ミトコンドリアへ供給する

Elesclomol restores mitochondrial function in genetic models of copper deficiency   Shivatheja Soma, Andrew J. Latimer, Haarin Chun, Alison C. Vicary, Shrishiv A. Timbalia, Aren Boulet, Jennifer J. Rahn, Sherine S. L. Chan, Scot C. Leary, Byung-Eun Kim, Jonathan D. Gitlin, and Vishal M. Gohil   PNAS published ahead of print July 23, 2018 https://doi.org/10.1073/pnas.1806296115    Elesclomol は抗がん剤として開発された分子で銅イオンと結合する。この分子が遺伝的に銅イオン欠乏になるミトコンドリアに銅イオンを効率よく供給できることが発見された。


植物でミトコンドリアの機能が低下するとよいことは何も起きないが、病気の動物ではなぜかそうでもないらしい。また線虫、ショウジョウバエでもそうでもないらしい。

Novel mitochondrial complex I inhibitors restore glucose-handling abilities of high-fat fed mice.   Martin DS, Leonard S, Devine R, Redondo C, Kinsella GK, Breen CJ, McEneaney V, Rooney MF, Munsey TS, Porter RK, Sivaprasadarao A, Stephens JC, Findlay JB.   J Mol Endocrinol. 2016 Apr;56(3):261-71. doi: 10.1530/JME-15-0225.    PMID: 26759391

The cell-non-autonomous nature of electron transport chain-mediated longevity.   Durieux J, Wolff S, Dillin A.   Cell. 2011 Jan 7;144(1):79-91. doi: 10.1016/j.cell.2010.12.016.   PMID: 21215371

「生理学 ミトコンドリア損傷による長寿」   https://www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/ec-20131105.asp   このことについて解説して頂いているページ   http://sudachi.hateblo.jp/entry/2018/08/29/120149   動物では、体内の一部の組織においてミトコンドリアに適度な損傷が起きることで、他の組織の細胞に様々な影響(良い効果を含む)が出るという現象が見いだされている。

デルタロドプシン

https://www.jiji.com/jc/article?k=000000142.000021495&g=prt   「ミトコンドリア機能を回復させることで神経細胞死の予防に成功」 ミトコンドリア電子伝達系複合体の機能が低下すると、ミトコンドリア内膜の内側から外側へのプロトン輸送も低下する。デルタロドプシンは光エネルギーを用いてプロトンを能動輸送できるタンパク質で、これをミトコンドリア内膜で働かせることにより光依存的にミトコンドリア機能を回復させることに成功した。光合成の仕組みに似ている。

インタビュー、プレスリリース、科学ニュース

https://www.riken.jp/press/2020/20201110_1/index.html   理化学研究所のプレスリリース 「機能低下したミトコンドリアを活性化させる化合物 −解糖系酵素ホスホフルクトキナーゼ阻害剤とその新活性の発見−」

https://www.teu.ac.jp/topics/2016.html?id=224   「ミトコンドリアを活性化する成分を探索し、 長寿のメカニズムを解き明かしたい」 佐藤教授の研究紹介

https://www.pref.chiba.lg.jp/kodomo/oshirase/press_310204.html   「5-アミノレブリン酸とクエン酸第一鉄ナトリウムによるミトコンドリア病に対する酵素強化療法の開発に関する研究成果の発表について」千葉県こども病院のプレスリリース

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00431253   https://www.jiji.com/jc/article?k=000000142.000021495&g=prt   「ミトコンドリア保護でパーキンソン病改善−順天堂大が発見」 今後の目標としてミトコンドリアを保護する薬剤の開発が挙げられている。

https://www.popularmechanics.com/science/health/a36905562/us-military-testing-anti-aging-pill/   「The U.S. Military Is Testing a Pill That Could Delay Aging」   NAD を増やす作用がある化合物をサプリメントにするらしい。ミトコンドリアのイラストが掲載されている。

Widespread cell stress and mitochondrial dysfunction occur in patients with early Alzheimer’s disease   ASHWIN V. VENKATARAMAN など SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE 17 Aug 2022 Vol 14, Issue 658 DOI: 10.1126/scitranslmed.abk1051