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一酸化窒素 -



野菜に含まれる硝酸塩は毒か薬か? 還元的NO合成経路の研究小史   http://www.jsbba.or.jp/pub/journal_kasei/   化学と生物(日本農芸化学会)Vol.57 No.11 Page. 665 - 668 (published date : 2019年11月1日)  山崎 秀雄 著

植物の生体防御機構における一酸化窒素の機能 - 日本生化学会  https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880192/index.html 川北一人 著 - 2016 -


Recommendations on terminology and experimental best practice associated with plant nitric oxide research.   New Phytol. 2019 Sep 3. doi: 10.1111/nph.16157.   PMID: 31479520

一酸化窒素とタンパク質 N 末端のシステイン

Nitric oxide sensing in plants is mediated by proteolytic control of group VII ERF transcription factors.   Gibbs DJ, Md Isa N, Movahedi M, Lozano-Juste J, Mendiondo GM, Berckhan S, Marin-de la Rosa N, Vicente Conde J, Sousa Correia C, Pearce SP, Bassel GW, Hamali B, Talloji P, Tome DF, Coego A, Beynon J, Alabadi D, Bachmair A, Leon J, Gray JE, Theodoulou FL, Holdsworth MJ.   Mol Cell. 2014 Feb 6;53(3):369-79. doi: 10.1016/j.molcel.2013.12.020. Epub 2014 Jan 23.   PMID: 24462115

一酸化窒素は、酸素と共存して ERF group VII というタイプの転写因子の N 末端から二番目のシステイン(プロテアーゼで最初のメチオニンが取れるので末端になる)を酸化する。 そうなると ATE1/2, PRT6 等によるタンパク質分解機構に認識され分解して失活する。 その結果二次的にアブシジン酸の働きが抑えられたり様々なことが起きて、種子発芽の促進などの作用が生じる。



銅アミンオキシダーゼがアルギニンからの NO 合成に影響を与える

Copper amine oxidase 8 regulates arginine-dependent nitric oxide production in Arabidopsis thaliana.   Groß F, Rudolf EE, Thiele B, Durner J, Astier J.  J Exp Bot. 2017 Apr 1;68(9):2149-2162. doi: 10.1093/jxb/erx105.  PMID: 28383668

モリブデン酵素 AO,XDH が NO合成酵素の役割も果たす

Nitrite-dependent nitric oxide synthesis by molybdenum enzymes.   Bender D, Schwarz G.   FEBS Lett. 2018 Jun;592(12):2126-2139. doi: 10.1002/1873-3468.13089. Epub 2018 May 27. Review.   PMID: 29749013

Putting xanthine oxidoreductase and aldehyde oxidase on the NO metabolism map: Nitrite reduction by molybdoenzymes.   Maia LB, Moura JJG.   Redox Biol. 2018 Oct;19:274-289. doi: 10.1016/j.redox.2018.08.020. Epub 2018 Aug 30. Review.   PMID: 30196191

Aldehyde oxidase は有害なアルデヒドを酸化するだけでなく、ABA 生合成の最終段階でも働いている。補酵素として FeS クラスター、Thio-MoCo (モリブデンコファクターにもう一つ S 原子が付いたコファクター)をもつ。 XDH は AO とよく似た酵素でキサンチンの代謝に働く。



ABA の受容体である PYL/PYR/RCAR のチロシン残基に、一酸化窒素が作用することで ABA の作用を抑えることが解明されている。一酸化窒素は発芽を促進することが知られている。ABA の作用を抑えるためと考えられている。

http://www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/ra-20150901-3.asp   「チロシンニトロ化によるPYR/PYL/RCAR ABA受容体の不活性化が植物の一酸化窒素によるABAシグナル伝達の迅速な抑制を可能にしている」

Alternative oxidase (AOX) と一酸化窒素

Alternative oxidase is an important player in the regulation of nitric oxide levels under normoxic and hypoxic conditions in plants   Aprajita Kumari Pradeep Kumar Pathak Mallesham Bulle Abir U Igamberdiev Kapuganti Jagadis Gupta   Journal of Experimental Botany, erz160, https://doi.org/10.1093/jxb/erz160 Published: 10 May 2019

この研究グループはミトコンドリア電子伝達系が、好気的な条件において、ストレスによる一酸化窒素の生成に寄与していると主張している。ストレスや変異によって AOX が強く働くようになると、電子が複合体 III, CytC, 複合体 IV (シトクロム経路)を流れなくなる。それによって、シトクロム経路を流れる電子がストレス下でリークすることによる亜硝酸の還元が起きにくくなり一酸化窒素の生成量が減少する。 一方低酸素条件では AOX が酸素の代わりに亜硝酸に電子を与えて一酸化窒素を生成すると書いてある。

AtNOA1 と硝酸還元酵素

植物の一酸化窒素に関わる遺伝子として AtNOS1 という遺伝子が見つけられた。その遺伝子が変異すると一酸化窒素の生成に影響があることは確かめられている。その論文を出したグループは AtNOS1 は一酸化窒素を合成する酵素であるというデータを発表した。しかし、他の酵素の活性を一酸化窒素を合成する活性と間違えていたという可能性があるらしい。そのグループがそれをあたかも認めるかのような論文を出している。

Interference with the citrulline-based nitric oxide synthase assay by argininosuccinate lyase activity in Arabidopsis extracts.   Tischner R, Galli M, Heimer YM, Bielefeld S, Okamoto M, Mack A, Crawford NM.    FEBS J. 2007 Aug;274(16):4238-45. Epub 2007 Jul 25.

AtNOS/AtNOA1 is a functional Arabidopsis thaliana cGTPase and not a nitric-oxide synthase.   Moreau M, Lee GI, Wang Y, Crane BR, Klessig DF. J Biol Chem. 2008 Nov 21;283(47):32957-67. PMID: 18801746

AtNOS1 は、改名されてAtNOA1 (NO-associated) と呼ばれている。プラスチドで働いていることが見いだされた。

http://atted.jp/data/locus/823899.shtml ATTED のリンク At3g47450

https://www.uniprot.org/uniprot/Q66GP9   noa1 は一酸化窒素と関係ない他の性質によっても見いだされ、別の名前も付けられている。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26435530/   RESISTANT TO INHIBITION BY FOSMIDOMYCIN 1 (RIF1)   SUPPRESSOR OF VARIEGATION (SVR10)   葉緑体の転写後調節が変化するらしい。

他生物に存在する、AtNOA1 とよく似たタンパク質について

他の生物にも、AtNOA1 とよく似たタンパク質が存在している。

The structure of YqeH. An AtNOS1/AtNOA1 ortholog that couples GTP hydrolysis to molecular recognition.   Sudhamsu J, Lee GI, Klessig DF, Crane BR.   J Biol Chem. 2008 Nov 21;283(47):32968-76. doi: 10.1074/jbc.M804837200. Epub 2008 Sep 18.   PMID: 18801747

動物にも、シロイヌナズナの AtNOA1 と似たものがある。それはミトコンドリアに局在していることが報告された。ミトコンドリアのタンパク質合成などの機能を正常に働かせるために必要とされている。NO との関連は直接ではない。

NOA1 is an essential GTPase required for mitochondrial protein synthesis.   Kolanczyk M, Pech M, Zemojtel T, Yamamoto H, Mikula I, Calvaruso MA, van den Brand M, Richter R, Fischer B, Ritz A, Kossler N, Thurisch B, Spoerle R, Smeitink J, Kornak U, Chan D, Vingron M, Martasek P, Lightowlers RN, Nijtmans L, Schuelke M, Nierhaus KH, Mundlos S.   Mol Biol Cell. 2011 Jan 1;22(1):1-11. doi: 10.1091/mbc.E10-07-0643. Epub 2010 Nov 30.   PMID: 21118999

hNOA1 interacts with complex I and DAP3 and regulates mitochondrial respiration and apoptosis.   Tang T, Zheng B, Chen SH, Murphy AN, Kudlicka K, Zhou H, Farquhar MG.   J Biol Chem. 2009 Feb 20;284(8):5414-24. Epub 2008 Dec 22.  

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=21771794   Nitric oxide-associated protein 1 (NOA1) is necessary for oxygen-dependent regulation of mitochondrial respiratory complexes.   Heidler J, Al-Furoukh N, Kukat C, Salwig I, Ingelmann ME, Seibel P, Kruger M, Holtz J, Wittig I, Braun T, Szibor M.   J Biol Chem. 2011 Sep 16;286(37):32086-93. doi: 10.1074/jbc.M111.221986. Epub 2011 Jul 19.   PMID: 21771794

known to control respiratory activity and cell death as well as the assembly or stability of ribosomes although its mode of action is enigmatic と書かれている。

動物の NOA1 は、別名として C4orf14 という名前でも呼ばれていて、研究が進んでいる。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/?term=c4orf14

シロイヌナズナではプラスチドでNOA1 が働いていると報告されている。

Hunting for plant nitric oxide synthase provides new evidence of a central role for plastids in nitric oxide metabolism.   Gas E, Flores-Perez U, Sauret-Gueto S, Rodriguez-Concepcion M.   Plant Cell. 2009 Jan;21(1):18-23. Epub 2009 Jan 23.    PMID: 19168714


Cucumber (Cucumis sativus L.) Nitric Oxide Synthase Associated Gene1 (CsNOA1) Plays a Role in Chilling Stress.   Liu X, Liu B, Xue S, Cai Y, Qi W, Jian C, Xu S, Wang T, Ren H.   Front Plant Sci. 2016 Nov 11;7:1652. eCollection 2016.   PMID: 27891134

植物によってちがいがあり、キュウリでは「ミトコンドリア型」と「プラスチド型」の NOA1 があり、シロイヌナズナではプラスチド型の NOA1 しかないのかもしれない。

植物では硝酸還元酵素も、NO の生成を触媒していることが確立されている。複数の NO 生成経路があると考えられる。

Nitric reductase-dependent nitric oxide production is involved in cold acclimation and freezing tolerance in Arabidopsis.   Zhao MG, Chen L, Zhang LL, Zhang WH.   Plant Physiol. 2009 Oct;151(2):755-67. doi: 10.1104/pp.109.140996. Epub 2009 Aug 26.   PMID: 19710235

この論文も、植物を低温で処理して馴化させている。それによって葉におけるNOの蓄積量(蛍光で見ている)が増大する。それには硝酸還元酵素のアイソフォームの一つである NIA1 が主に働いている。正常な状態での NO 生成には NOA1 も関わっている。これらのことを変異体(nia2, nia1nia2, noa1)を用いて示している。 硝酸還元酵素、特に NIA1 が NO 生成に果たしている役割を示す、よい論文である。

様々な要因による NO 生成の誘導について論じられている。ABA とオーキシンは NR による NO 生成を促進する。SA による NO生成、メカニカルストレスによる NO生成は NOA1 と関係する NO生成を促進する。 NIA2 は NIA1 よりずっと多量発現している。しかし NO生成には NIA1が貢献している。

Nitric oxide accumulation in Arabidopsis is independent of NOA1 in the presence of sucrose.   Van Ree K, Gehl B, Chehab EW, Tsai YC, Braam J.   Plant J. 2011 Oct;68(2):225-33. doi: 10.1111/j.1365-313X.2011.04680.x. Epub 2011 Jul 26.   PMID: 21689173

noa1 では NO の量が減ると言われている。しかし条件によってそうならないらしい。noa1 では、培地にショ糖を加えることで NO が生成すると書かれている。それは SA によってもっと増える。野生型ではショ糖を加える・加えないによる変化はない。noa1 はショ糖を加えない培地では葉緑体の機能が悪いが、加えた培地では生育が回復する。noa1 の機能は葉緑体の発達が主で、NO に対する影響は間接的である。

植物の NO については様々な説がある。NO の分解にミトコンドリアが関係しているという報告もあった。   

Nitrite reduction and superoxide-dependent nitric oxide degradation by Arabidopsis mitochondria: influence of external NAD(P)H dehydrogenases and alternative oxidase in the control of nitric oxide levels.   Wulff A, Oliveira HC, Saviani EE, Salgado I.   Nitric Oxide. 2009 Sep;21(2):132-9. Epub 2009 Jul 1.   PMID: 19576290

Nitric oxide degradation by potato tuber mitochondria: evidence for the involvement of external NAD(P)H dehydrogenases.   de Oliveira HC, Wulff A, Saviani EE, Salgado I.   Biochim Biophys Acta. 2008 May;1777(5):470-6. Epub 2008 Mar 6.   PMID: 18371295

植物ではプラスチドでNOが作られ、ミトコンドリアで分解されるとすればもっともらしい、植物らしいような気もする。分解と言っても、superoxide と反応するのだから、かえって反応性が高い活性窒素 (peroxynitrite など) に変化するのかもしれない。また、酸素がある好気的な条件で起きるので、生理的意義も大きいだろう。以前からミトコンドリアでNOが生成するという報告があったが、それは hypoxia, anoxia 条件でのことだった。

最近でも、ミトコンドリアでの NO生成に関する新しい論文も出ている(以前と同じグループだが)。

Plant mitochondria: Source and target for nitric oxide.   Igamberdiev AU, Ratcliffe RG, Gupta KJ.   Mitochondrion. 2014 Feb 19. pii: S1567-7249(14)00017-8. doi: 10.1016/j.mito.2014.02.003.   PMID: 24561220

複合体IVでは、本来の反応では教科書に書いてあるように酸素に電子が受け渡され水が生じる。 特別な条件では、酸素にすべての電子を受け渡すことができず、NO2 に電子が受け渡され NOが生じるように書かれている (nitrite reduction by electron leakage)。嫌気条件では酸素がないので NO2 に電子が供与されやすい。嫌気条件でなくても、電子伝達が盛んに起きていれば副反応のように NO生成がおきる?著者らは、酸素の場合その仕組みで superoxide が生成するので、nitrite の場合もその仕組みで NOが生成するのではないかと書いている(3ページ目の左下)。しかしそういう例をはっきり示した論文はない。単なる推測のように思える。「時間あたりの電子移動数が大きい(電子伝達が盛ん)」「酸素が少なめ(水や寒天に浸った根など)で、亜硝酸の濃度がとても高い」という条件でなければいけないだろう。

NO は複合体IV に対する結合を、酸素分子と競合阻害する性質も持つ。 嫌気条件以外のどのような条件で、ミトコンドリアからの NO生成がおきるのか、 何か調べる方法が必要になる。

Nitric oxide is required for homeostasis of oxygen and reactive oxygen species in barley roots under aerobic conditions.   Gupta KJ, Hebelstrup KH, Kruger NJ, George Ratcliffe R.   Mol Plant. 2014 Apr;7(4):747-50. doi: 10.1093/mp/sst167. Epub 2013 Nov 27. No abstract available.   PMID: 24285092

Atnoa1 mutant Arabidopsis plants induce compensation mechanisms to reduce the negative effects of the mutation.   Majláth I, Szalai G, Papp I, Vanková R, Janda T.   J Plant Physiol. 2011 Jul 15;168(11):1184-90. Epub 2011 Mar 9.   PMID: 21392840   ポリアミンとサリチル酸が出てくる。

noa1 では光合成が阻害され葉が黄色くなる。葉緑体に局在することと一致している。生育も悪くなる。

スペルミジンが増加している。スペルミジンなどのポリアミンは、アルギニンからプトレシンを経由して合成される。 植物でも尿素回路は重要な働きをしていて、アルギニン、オルニチン、シトルリンはその構成要素である。アルギニン、オルニチンからポリアミン合成経路に分岐する。 動物ではアルギニンは NO の前駆体になる。植物でもアルギニンから作られる NO は存在するのかどうなのか、はっきり示すことは難しいらしい。

同時に SA の量が増加している。NO と SA に関係があることはよく知られている。「NO は SAシグナルの下流で働く因子」と、Discussion に書かれている。しかし川北先生の総説には、NO が NPR1 タンパク質を S-ニトロソ化して細胞質に止める(SA 作用が起きない)と書かれている。NO と SA は複雑な関係がある。

この論文では植物を低温(4度)で処理しているが、植物の低温適応と SA に関係があることが知られている。低温処理によって、野生型では結合型の SA が増加している。noa1 では常温でも二倍以上多く、低温処理でさらに少し増加する (Fig. 5)。noa1 で SA が増える理由は不明で、光合成などが阻害されることによる様々なストレスが原因かもしれないと書かれている。

https://www.uniprot.org/uniprot/Q66GP9   noa1 は一酸化窒素と関係ない他の性質によっても見いだされ、別の名前も付けられている。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26435530/   RESISTANT TO INHIBITION BY FOSMIDOMYCIN 1 (RIF1)   SUPPRESSOR OF VARIEGATION (SVR10)   葉緑体の転写後調節が変化するらしい。

The Arabidopsis Prohibitin Gene PHB3 Functions in Nitric Oxide-Mediated Responses and in Hydrogen Peroxide-Induced Nitric Oxide Accumulation.   Wang Y, Ries A, Wu K, Yang A, Crawford NM.   Plant Cell. 2010 Jan 12.

この論文では、過酸化水素を与えることによる NO 生成について記載されている。NO は、ABA, オーキシン, SA, メカニカルストレス, 過酸化水素などによって生成が促進されることになる。

PROHIBITIN 3 forms complexes with ISOCHORISMATE SYNTHASE 1 to regulate stress-induced salicylic acid biosynthesis in Arabidopsis.   Seguel AL, Jelenska J, Herrera-Vasquez A, Marr SK, Joyce MB, Gagesch KR, Shakoor N, Jiang SC, Fonseca A, Wildermuth M, Greenberg JT, Holuigue L.   Plant Physiol. 2018 Feb 1. pii: pp.00941.2017. doi: 10.1104/pp.17.00941.   PMID: 29438088

PHB3 は葉緑体に存在し、サリチル酸生合成酵素 ICS1 と複合体を形成して、酵素活性を高めていることがわかった。PHB3 が欠損するとストレスによるサリチル酸の増加が少なくなる(半分くらいに減る)。サリチル酸の量を決める仕組みの一つに、生合成酵素のプロヒビチンによる安定化が関係していることが示された。他のホルモンでもそういうこと(生合成酵素が他のタンパク質で安定化する・特にストレス条件で)があるかもしれない。サリチル酸、アブシジン酸、ジャスモン酸は葉緑体に生合成酵素の一部が存在し、ストレスと関係が深い。

NITRITE REDUCTASE ACTIVITY OF NON-SYMBIOTIC HEMOGLOBINS FROM ARABIDOPSIS THALIANA.   Tiso M, Tejero J, Kenney CT, Frizzell S, Gladwin MT.   Biochemistry. 2012 May 23. [Epub ahead of print] PMID: 22620259

hypoxia, anoxia 条件では、植物ヘモグロビンが NO 合成酵素として働くことが示された。しかしヘモグロビンは NO を硝酸に酸化するという説もある。条件によって逆向きに反応するのかもしれない。


タバコの一種 N.sylvestris の変異体 CMS1(CMSI) は、NADH dehydrogenase deficient でミトコンドリアゲノム上の NAD7 遺伝子が欠失 deletion している。 この変異体は一酸化窒素の量が少ない。

Respiratory complex I deficiency results in low nitric oxide levels, induction of hemoglobin and upregulation of fermentation pathways.   Shah JK1, Cochrane DW, De Paepe R, Igamberdiev AU.   Plant Physiol Biochem. 2013 Feb;63:185-90. doi: 10.1016/j.plaphy.2012.11.022. Epub 2012 Dec 5.

低酸素では fermentation pathways が働くようになる。一酸化窒素が低酸素応答に大切な役割を果たしていることは、Gibbs らの論文で示されている。低酸素では一酸化窒素と酸素が共同して起きるシステインの酸化が起きなくなって転写因子が安定になり応答が起きる。

Nitric oxide sensing in plants is mediated by proteolytic control of group VII ERF transcription factors.   Gibbs DJ, Md Isa N, Movahedi M, Lozano-Juste J, Mendiondo GM, Berckhan S, Marin-de la Rosa N, Vicente Conde J, Sousa Correia C, Pearce SP, Bassel GW, Hamali B, Talloji P, Tome DF, Coego A, Beynon J, Alabadi D, Bachmair A, Leon J, Gray JE, Theodoulou FL, Holdsworth MJ.   Mol Cell. 2014 Feb 6;53(3):369-79. doi: 10.1016/j.molcel.2013.12.020. Epub 2014 Jan 23.   PMID: 24462115


NO-overproducer mutant として nox1 (cue1) というものが存在する。アルギニン、シトルリンと NO の量が増えていると書かれている。ポリアミンや他のアミノ酸の量はどうなっているのだろうか。

Involvement of nitric oxide and auxin in signal transduction of copper-induced morphological responses in Arabidopsis seedlings.   Peto A, Lehotai N, Lozano-Juste J, León J, Tari I, Erdei L, Kolbert Z.   Ann Bot. 2011 Sep;108(3):449-57.   PMID: 21856638

Nitric oxide causes root apical meristem defects and growth inhibition while reducing PIN-FORMED 1 (PIN1)-dependent acropetal auxin transport.   Fernández-Marcos M, Sanz L, Lewis DR, Muday GK, Lorenzo O.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Nov 8;108(45):18506-11. Epub 2011 Oct 21.   PMID: 22021439

nox1 は cue1 という変異体と同じ遺伝子に変異を持つ。cue1 は、chlorophyll a/b binding protein underexpressed 1 の略である。変異遺伝子は At5g33320 http://atted.jp/data/locus/At5g33320.shtml であり、葉緑体内包膜に局在する ホスホエノールピルビン酸/リン酸 輸送体をコードする。

直接 NO の合成や代謝に関係しているわけではないように思えるが、いくつかの論文で NO の作用を示すために使われている。   http://arabidopsis.org/servlets/TairObject?type=locus&name=At5g33320

植物でも尿素回路は重要な働きをしていて、アルギニン、オルニチン、シトルリンはその構成要素である。アルギニン、オルニチンからポリアミン合成経路に分岐する。植物では尿素回路は葉緑体に存在している。尿素回路の流れが悪くなる -> アルギニンなどが蓄積する -> ポリアミン、NO が増加する   この理屈だと、NO の量とポリアミンの量に比例関係が出てきてもおかしくないことになる。 しかし亜硝酸から生じる NO の方が主要な経路なら、そうならないだろう。


HY1 遺伝子はヘムを分解する遺伝子をコードしていて、分解すると一酸化炭素と鉄が生じる。 この遺伝子が失活すると一酸化窒素の量が増える。

Arabidopsis HY1 confers cadmium tolerance by decreasing nitric oxide production and improving iron homeostasis.   Han B, Yang Z, Xie Y, Nie L, Cui J, Shen W.   Mol Plant. 2014 Feb;7(2):388-403. doi: 10.1093/mp/sst122. Epub 2013 Aug 23.   PMID: 23974911

この論文の abstract に、「The mutation of HY1, which exhibited lower glutathione content than Col-0 in root tissues, was able to induce nitric oxide (NO) overproduction, Cd(2+) accumulation, and severe Fe deficiency in root tissues」と書かれている。HY1 は heme oxygenase 1 (HO1) の変異体で、これも葉緑体で働いている。Heme oxygenase は、ヘムを分解して単体の鉄を生じる。これが変異するので鉄がヘムに配位したままになりやすいだろう。鉄と NO に関係があるという論文はいくつもある。

Roles of NIA/NR/NOA1-dependent nitric oxide production and HY1 expression in the modulation of Arabidopsis salt tolerance.   Xie Y, Mao Y, Lai D, Zhang W, Zheng T, Shen W.   J Exp Bot. 2013 Jul;64(10):3045-60. doi: 10.1093/jxb/ert149. Epub 2013 Jun 6.   PMID: 23744476   という論文もあった。

hot5 (GSNOR の変異体)

NO は反応性が高い化合物である。様々な化合物が NO と他の化合物の反応により生じる。その一つに GSH との反応がある。 NO と GSH の反応で GSNO S-ニトロソグルタチオン が生成する。 GSNO は、分解して NO を放出することができる。NO reservoir (一時的な貯蔵形態: NO は不安定だが、GSNO は比較的安定)としての働きがある。またタンパク質のシステイン残基のニトロシル化を引き起こすこともある。

GSNOR は、GSNO の GSSG + NH3 への分解を触媒する酵素である。この酵素が働くと、GSNO の生理作用は抑制される。 シロイヌナズナでは、この酵素をコードしている遺伝子(At5g43940  http://atted.jp/data/locus/834417.shtml )に変異を生じている hot5 変異体が見いだされている。 hot5 で発現が上昇している遺伝子は、GSNO または NO で上方制御されていると推測される。

Modulation of nitrosative stress by S-nitrosoglutathione reductase is critical for thermotolerance and plant growth in Arabidopsis.   Lee U, Wie C, Fernandez BO, Feelisch M, Vierling E.   Plant Cell. 2008 Mar;20(3):786-802. doi: 10.1105/tpc.107.052647. Epub 2008 Mar 7.   PMID: 18326829

The Arabidopsis PARAQUAT RESISTANT2 gene encodes an S-nitrosoglutathione reductase that is a key regulator of cell death.   Chen R, Sun S, Wang C, Li Y, Liang Y, An F, Li C, Dong H, Yang X, Zhang J, Zuo J.   Cell Res. 2009 Dec;19(12):1377-87. doi: 10.1038/cr.2009.117. Epub 2009 Oct 6.   PMID: 19806166

NO と鉄

NO は、電子が Nから 7個、Oから 8個で合計15個を含む。一つの電子は、最高エネルギーの電子を含む分子軌道 (HOMO) に一つだけ入った状態になる。そのせいで様々な性質を示す。その一つが、鉄などの遷移金属との反応性である。

それだけでなく、植物の鉄栄養状態に対する応答にも、NO が関与していることがある。

NO は鉄硫黄クラスター Iron-sulfur cluster を破壊する:鉄硫黄クラスターを含む酵素の活性を阻害する

Nitric oxide modulates the activity of tobacco aconitase.   Navarre DA, Wendehenne D, Durner J, Noad R, Klessig DF.   Plant Physiol. 2000 Feb;122(2):573-82.   PMID: 10677450

Nitric oxide and peroxynitrite activate the iron regulatory protein-1 of J774A.1 macrophages by direct disassembly of the Fe-S cluster of cytoplasmic aconitase.   Cairo G, Ronchi R, Recalcati S, Campanella A, Minotti G.   Biochemistry. 2002 Jun 11;41(23):7435-42.   PMID: 12044177


NO を精度よく測定するいろいろな方法がある。NO と反応して蛍光を発する色素がよく使われている。

NO を測定するための電極が発売されている。

http://www.pttco.co.jp/product2.html?works_id=23   PTT社が「溶存成分マイクロセンサー」を販売している。一酸化窒素、酸素、硫化水素、水素などがある。製造元は Unisense 社である。論文でも使われた例が多数ある。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/?term=3478589   Nitric oxide and nitrous oxide turnover in natural and engineered microbial communities: biological pathways, chemical reactions, and novel technologies   Frank Schreiber, Pascal Wunderlin, Kai M. Udert, George F. Wells   Front Microbiol. 2012; 3: 372. Prepublished online 2012 June 11. Published online 2012 October 23. doi: 10.3389/fmicb.2012.00372   PMCID: PMC3478589


データベース化され公開されているマイクロアレイデータを有効に使うことはきわめて 重要である。シロイヌナズナで、一酸化窒素と関係するものをリストにしてみる。

ArrayExpress で検索して出てくるもの:

この二つは同じものらしい。Description の文章が同一である。以前使われていた、遺伝子が8000しか載っていないアレイによるデータである。 データの質はよくないように思える。使わない方がよいだろう。

野生型、AtHB1 (植物ヘモグロビン)-overexpressing plants の二者について、それぞれ通常の条件、中程度の低酸素ストレスを与えた。 それらの植物の種子鞘 (siliques) から RNA を抽出して分析した。

植物ではヘモグロビンは共生に働いていることがよく知られている。しかし通常の生育時にも重要な働きをもち、個体全体で発現している。 ヘモグロビンは一酸化窒素と相互作用することが知られている。 一酸化窒素はミトコンドリアの電子伝達系(特にチトクロムC)を阻害する だけでなく、重要なシグナル物質でもある。Tiso M ら(2012)は、低酸素、無酸素状態(ヘムが酸素を含まなくなる)では HB1, 2 が NO 合成酵素として働くことを示している。

シロイヌナズナ HB1 (AtGLB1, AHb1) の機能、ストレス応答に対する効果、一酸化窒素との相互作用を探ることを目標にした。 そのために、HB1 を種子特異的に働くプロモーター (LeB4) の元で高発現した。 マイクロアレイ実験に、発達中の種子鞘(発芽後45日の植物体から採取)をもちいた。 通常状態、中程度の低酸素ストレス(酸素濃度 10.5%)の二つの条件 で、暗所、一時間処理した。 種子鞘を採取し、RNA を抽出して分析した。 野生型、HB1ox (2) x 通常状態、低酸素 (2) x 3回ずつ繰り返し = 全部で 12 サンプル

Affymetrix Genechip を使っている。R 言語の RMA パッケージで cel ファイルを処理したデータが、processed data として公開されている。 Processed data と書いてあっても中身は様々なものがあるが、このデータの場合は一番使いやすく信用できる形に処理されている。

論文が発表されている。   Seed-specific elevation of non-symbiotic hemoglobin AtHb1: beneficial effects and underlying molecular networks in Arabidopsis thaliana. Thiel J, Rolletschek H, Friedel S, Lunn JE et al. BMC Plant Biol 2011 Mar 15;11:48. PMID: 21406103

このデータの問題点としては「組織が種子鞘という特殊な部分である」と言うことがある。 しかし低酸素で大きく発現が変化している遺伝子を見てみると、一般的に「低酸素で発現が変化する遺伝子」と言われているものがこのデータでも出てきている。 問題ないのかもしれない。

Dissecting physiological and transcriptional responses of nitric oxide to drought stress by increasing in vivo nitric oxide content in Arabidopsis   Released on 3 June 2014, last updated on 7 June 2014


このデータには乾燥ストレスを植物に与えたサンプルからの結果が入っている。しかしなぜか、有名な乾燥ストレス応答性転写因子である DREB1A などの転写産物量が乾燥ストレスによって全く増えていないことになっている。それ以外にも?なところがある。

Constitutive production of nitric oxide leads to enhanced drought stress resistance and extensive transcriptional reprogramming in Arabidopsis.   Shi H, Ye T, Zhu JK, Chan Z.   J Exp Bot. 2014 May 27. pii: eru184. PMID: 24868034

NO-deficient vs wild type Col-0 Arabidopsis seedlings   Released on 1 November 2012, last updated on 8 November 2012

noa1, noa1nia1nia2 の遺伝子発現変化を測定している。

優れた論文も発表されている。   Nitric oxide sensing in plants is mediated by proteolytic control of group VII ERF transcription factors.   Gibbs DJ, Md Isa N, Movahedi M, Lozano-Juste J, Mendiondo GM, Berckhan S, Marin-de la Rosa N, Vicente Conde J, Sousa Correia C, Pearce SP, Bassel GW, Hamali B, Talloji P, Tome DF, Coego A, Beynon J, Alabadi D, Bachmair A, Leon J, Gray JE, Theodoulou FL, Holdsworth MJ.   Mol Cell. 2014 Feb 6;53(3):369-79. doi: 10.1016/j.molcel.2013.12.020. Epub 2014 Jan 23.   PMID: 24462115


動物の一酸化窒素合成酵素はヘム鉄を含み分子内に P450 還元酵素を併せ持っているので P450 の一種である。しかし通常の P450 との構造の相同性は低い。植物の一酸化窒素合成酵素については、さまざまな論文が出ている。硝酸還元酵素に一酸化窒素合成活性があることが示されている。その場合亜硝酸 nitrite が一酸化窒素に変化する。しかし合成活性を持つ分子が複数存在し、それらに電子伝達を行う分子が関与している可能性はありうる。 

Plant nitric oxide synthase: a never-ending story?   Trends in Plant Science  (2006)  Volume 11, Issue 11、Pages 524-525. Tomasz Zemojtel, et al.

Planchet, E. et al. (2005) Nitric oxide emission from tobacco leaves and cell suspensions: rate limiting factors and evidence for the involvement of mitochondrial electron transport. Plant J. 41, 732 - 743.

Barroso JB, Corpas FJ, Carreras A, Sandalio LM, Valderrama R, Palma JM, Lupianez JA, del Rio LA.    Localization of nitric-oxide synthase in plant peroxisomes.    J Biol Chem. 1999 Dec 17;274(51):36729-33.


生成した一酸化窒素はミトコンドリアの電子伝達系(特に複合体 I、 II、IV) を阻害する。単に阻害するだけでなく電子伝達系からの活性酸素の生成を促進すると言われている。

Biochim Biophys Acta. 1999 May 5;1411(2-3):351-69.    Nitric oxide and mitochondrial respiration.    Brown GC.

Free Radic Res. 1999 Dec;31 Suppl:S205-12.    Nitric oxide generation by soybean embryonic axes. Possible effect on mitochondrial function.    Caro A, Puntarulo S.

Shiva S, Brookes PS, Patel RP, Anderson PG, Darley-Usmar VM (2001)    Nitric oxide partitioning into mitochondrial membranes and the control of respiration at cytochrome c oxidase.    Proc Natl Acad Sci USA 98:7212-7

Alternative oxidase は一酸化窒素で阻害されにくいらしい。  
Huang X, von Rad U, Durner J.    Nitric oxide induces transcriptional activation of the nitric oxide-tolerant alternative oxidase in Arabidopsis suspension cells.    Planta. 2002 Oct;215(6):914-23. Epub 2002 Jul 25.

AOX1a が一酸化窒素処理で強く誘導されることが報告されている。他にはペルオキシダーゼ、Hsc70、 APX1 や GST が誘導される。一酸化窒素で処理すると AOX を介した呼吸が活性化する。AOX の阻害剤を与えると一酸化窒素に対する感受性が高まる。ミトコンドリアと一酸化窒素の関連性を示している。 AOX1a は様々な環境要因で誘導される。それらの誘導に一酸化窒素が関わっているという可能性も考えられる。 


植物での例としては、鹿児島大学の下田博士(内海先生のグループ)がミヤコグサ(Lotus japonicus)の根からの NO 生成を測定されている (Fig.9, 10)。DAF-FM diacetateが化学プローブとして使われている。

Plant Cell Physiol. 46(1): 99-107 (2005) 
Symbiotic Rhizobium and Nitric Oxide Induce Gene Expression of Non-symbiotic Hemoglobin in Lotus japonicus Yoshikazu Shimoda 1, Maki Nagata 1, Akihiro Suzuki 2, Mikiko Abe 2, Shusei Sato 3, Tomohiko Kato 3, Satoshi Tabata 3, Shiro Higashi 2 and Toshiki Uchiumi 2, 4

低温処理、低酸素条件、根粒菌処理によって NO 生成(蛍光強度)が増大することが示されている。

この論文では、植物ヘモグロビンと NO 生成の関連が示されている。LjHb1 遺伝子の mRNA量は、一酸化窒素処理で非常に強く誘導される (Fig. 6, 7)。低温処理、低酸素条件、根粒菌処理によっても誘導される (Fig.4, 8)。一酸化窒素と植物ヘモグロビン、根粒形成の関係を明確に示した優れた成果である。

イタリアのグループが、タバコをオゾン処理することで一酸化窒素が生成すること、それが AOX1a の mRNA量の増加に必要であることを示している。

Plant Physiology 142:595-608 (2006)    Interaction between Nitric Oxide and Ethylene in the Induction of Alternative Oxidase in Ozone-Treated Tobacco Plants    Luisa Ederli, Roberta Morettini, Andrea Borgogni, Claus Wasternack, Otto Miersch, Lara Reale, Francesco Ferranti, Nicola Tosti2 and Stefania Pasqualini

SNP を用いて NO 処理するとAOX1a mRNA量は増加する (Fig.5)。 DAF-FM diacetate で葉の横断切片を処理することで、一酸化窒素を検出している (Fig. 6)。オゾン処理で一酸化窒素の生成が誘導されるが、それは一過的で 2.5時間でもとのレベルに戻ってしまう。 オゾン処理によってエチレン生成も誘導されるが、それを阻害剤で抑制しても AOX1a mRNA量は増加する。一方一酸化窒素のスカベンジャーで処理すると誘導は強く抑制される (Fig.8)。

また、一酸化窒素は解糖系の重要な酵素である glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase のシステイン残基をニトロ化する。それは動物でも植物でも起きるという報告がある。それによって活性は阻害される。
リンク: Plant Physiology 137:921-930 (2005)  Proteomic Identification of S-Nitrosylated Proteins in Arabidopsis   Christian Lindermayr, Gerhard Saalbach and Jorg Durner

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