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はじめに -

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これらのページに記されている文章は、私が行っている研究について、思いついたこと、調べたことを忘れないように適当に記録して、考えをまとめるために書いているものです(単なる私の思いつきにすぎないことが多くを占めています)。 &br()
そのため、他の人が読んでも意味がわかりにくいでしょう。「そんなことはノートにでも書いておけ」と思う人が多いでしょうが、こうやってネット上にさらしておくことで得られる利点もあります。

また、興味深い価値の高い推奨されるべき論文や解説を見つけたら、それを書き留めるという目的もあります。

植物の細胞壁は細胞の周囲に単独で存在するのではなく、細胞膜、細胞内の表層細胞骨格と結合し連携して(Cell wall-plasma membrane-cytoskeleton continuum、連続体) 細胞表層を形成しています。結合連携している部分と「マイクロドメイン」の関係も示唆されています。 &br()
この連続体は、動物細胞でのインテグリンを中心としたシステムのように、植物の細胞にとって非常に重要な役割を果たしていると考えています。

また、細胞壁を含む表層構造物を構築するためには大量のエネルギーと栄養資源を必要とするため、特に一次壁の場合、細胞内の基礎代謝や栄養シグナルが細胞表層の構築に多大な影響を与えると思われます。
&link2(このことを変異体の単離と解析により実際に示した、私自身の論文%%%http://pcp.oxfordjournals.org/cgi/reprint/pcj051?ijkey=bdCMzQI5Y8B2sDQ&keytype=ref)   &link2(その論文をさらに説明%%%http://home.hiroshima-u.ac.jp/naka/wiki/wiki.cgi?Plant%a1%a1Cell%a1%a1Physiology%a1%a147%286%29%a1%a1772%2d783%282006%29_%a4%cb%a4%c4%a4%a4%a4%c6) (二次壁の場合は、様々な転写因子による分化と共役した制御が日本のグループなどにより解明されています)

私が出した成果は、細胞内の基礎代謝や栄養シグナルにミトコンドリアが深く関わっていることを示しています。ミトコンドリアの変化がその他の部分に影響を与えるしくみについて、今まで知られていなかったことが浮かんできたので現在調べています(普遍性はないかもしれないけれど)。


物理学では泡やセル構造の研究が進んでいます。泡には「界面エネルギー」を定義することができます。生物の細胞に泡のモデルを援用して「細胞表層エネルギー」を定義することができます。   ''Turning a plant tissue into a living cell froth through isotropic growth.''   Corson F, Hamant O, Bohn S, Traas J, Boudaoud A, Couder Y.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 May 26;106(21):8453-8. Epub 2009 May 7.  物理、力学的な「細胞表層エネルギー」と細胞内の化学的エネルギーに関連、相関があるかもしれません。単純な考え:「生物」細胞内での「化学的」エネルギー生産が不効率になると「物理的」細胞表層エネルギーが低下するように細胞形態、表層構造が変化する? 細胞表層の力学的センサーについては動物細胞や微生物を用いすばらしい研究が進んでいます。

最近、細胞壁を構成する多糖類生合成の異常(例:cev1 変異によるセルロースの量の減少)や、細胞表層に局在するタンパク質をコードする遺伝子の変異がシグナルとなり、植物ホルモンの量や作用機構に影響を与えることが認められるようになってきました。

このことに関する論文の例: &br()
&link2(Hernandez-Blanco C, Feng DX, Hu J, Sanchez-Vallet A, Deslandes L, Llorente F, Berrocal-Lobo M, Keller H, Barlet X, Sanchez-Rodriguez C, Anderson LK, Somerville S, Marco Y, Molina A.    Impairment of cellulose synthases required for Arabidopsis secondary cell wall formation enhances disease resistance.   Plant Cell. 2007 Mar;19(3):890-903. Epub 2007 Mar 9.%%%http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17351116?ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum)

それ以外にも、細胞表層と細胞内を結びつける、関連づけるシステムは存在し解明されようとしています。

これらの「細胞表層と細胞内の相互作用」の機構の解明に関して興味がある方がもしいれば、その参考になれば幸いだと考えています。