浅井さんからメールが届きました。(浅井-1

 SDIについて自分の考えをまとめておきます。

 

 まずSDIの構想それ自体は有意義だったと思います。現代の科学はどんどん高度化し、研究にかかる費用も増大しています。この費用を負担できるのは国と企業しかありません。SDIによってもたらされた巨額の資金は科学をより発展させました。このことを科学者として嬉しく思わずにはいられません。

 もちろん番組で批判されているとおり問題も多かったと思います。特に虚偽の発表やごまかしの実験は無駄以外の何物でもありませんでした。SDIのメインの宇宙配備が到底不可能だったということは、別段問題ではありません。理想を追い求めるのは当然です。ただ、大統領の発言という形で短期間の成果を求められ、多くの資金を獲得し続けるために詐欺的な行為が行われたことは残念で仕方ありません。

 最初からSDIを長期的なものと位置づけ、研究への資金の配分をメインに据えた科学発展プログラムとしておけばこういった問題も起こらなかったのではないかと思います。現にSDIのもたらした科学の発展は宇宙には出ませんでしたが、地球上でしっかりと使えるものです。SDIの構想は良かったが、運用が良くなかった。と、まとめることができると思います。

 またこのSDIが進められる上でメディアの問題についても話が及びましたが、メディアには科学リテラシーが欠如していると思います。メディアが科学についても扱う以上、メディアの人間にも科学についての最低限の知識は必要です。日本の場合この問題は、突き詰めれば高校・大学教育の段階で文系理系という区分がなされてしまうことに起因していると思います。改善には教育を変えていくほかないでしょう。

 そして、現在のMDについて。

 MDは防衛のための兵器であるので、究極的には平和に寄与すると考えます。核抑止力、相互確証破壊を崩してしまう、という意見もあるが、相互確証破壊などというのはそもそも脆弱で後ろ向きな戦略であり、いざというときに役に立たないものだ。それに比べればMDは能動的に防衛するという意味で理想に近い。とにかく防衛的な兵器であるので、いくら戦略的なバランスが崩れようとも防衛することができれば問題はない。

 もちろんこれは技術的ハードルが非常に高く、なかなか難しいことだが、防衛のための軍事の発展として、悪くない目標であるはずだ。

先制攻撃論が平和的でないことと比べても守るだけの防衛兵器は平和的である。現実的にはMDはまだまだ確実性に欠けるため、現在における、より確実な防衛手段としては先制攻撃が妥当だと思います。

 MDSDI、核も含めて、やれることをやらないという選択肢はありえない。みんなで発展をやめて弱い武器だけにして平和にしようよ、なんて考えはナンセンス。

 科学が発展の手を止めるなど、科学の根源が研究者の趣味や興味にある以上、ありえないしあってはならない。そう思います。