消費者月間講演会(2002年5月8日)

ネット社会の光と影〜ネチケットのすすめ〜

成定 薫

(広島大学総合科学部教授/科学史・科学論)


☆ネット社会の光の部分

コンピュータ・ネットワークが張り巡らされ、日常生活は非常に便利になった。(ETV特集「情報の爆発(20世紀をつくった科学技術 第3回)」 視聴 )

 ○自動販売機の管理

 ○救急医療システム

 ○新幹線のチケット販売

 ○連絡・コミュニケーションの手段

 

ネット社会の進展は社会変革・政治変革をもたらした。

 旧社会主義諸国では通信・出版の自由が大幅に制限されていた。その結果、通信・複写・コンピュータ技術などの発達が遅れた。しかし、衛星TVとパソコン通信の普及が人々を目覚めさせ、冷戦を終結させた。

 

☆ネット社会の影の部分

インターネットは「悪用」される可能性があり、それを規制・阻止するのは法律的・技術的に非常に難しい。 (クローズアップ現代「インターネットは誰のものか」視聴)

 ○発禁本の公表(フランス)--法律の未整備

 ○危険思想(ネオナチ)の宣伝(ドイツ/カナダ)--「言論・思想表現の自由」

 ○インターネット賭場(イギリス)--「文化・価値観の違い」

 ○有害情報の氾濫(アメリカ)--監視・法的規制は可能か(「言論・思想表現の自由」)

日本でも多くの問題が起こっている。(クローズアップ現代「危ない情報がかけめぐる」視聴)

 ○猥褻画像

 ○薬物販売

 ○個人「攻撃」

 

☆ネチケットのすすめ

快適で安全なネットワークライフのためにはネチケット(=ネットワーク市民のエチケット)を身につけることが必要

1. トラブルを未然に回避して自分自身を守る

 ○パスワードの管理(銀行のキャッシュカードと同じ。誰にも教えない)

 ○自分のプライバシーを守る(自宅住所・電話番号・写真などは公表しない)

 ○電子メールのマナー(相手に不快感を与えない。チェーンメールを送らない)

 ○コンピュータ・ウイルスに注意(変なメールはすぐに捨てる)

2.(知らないうちに)違法行為をしないよう注意する

 ○コンピュータ・ウィルスを配布しない(変なメールはすぐに捨てる。違法コピーはしない)

 ○基本的人権/他人のプライバシーを侵害しない

 ○著作権に留意する(ホームページに雑誌等の写真、ミュージック・データなどを載せない)

 

☆結論:車社会とネット社会の対比

比較的成熟した車社会と未成熟なネット社会 

車社会(約百年の歴史)

ネット社会(約10年の歴史)

自動車(世界的にほぼ統一)

コンピュータ・端末(統一規格なし)

道路(高速道路と一般道)

インターネット(高速回線と電話回線)

管理者(国、地方など責任の所在明確)

管理者?(ボランティアによる運営、責任の所在不明確)

道路交通法規はかなり整備。違反者には厳しい罰則。

法律は未整備。違反者、クラッカーは野放し?

運転免許制度完備

免許制度なし

安全教育・交通マナー教育(学校教育と社会教育を通じて)

ネチケット(学校教育? 社会教育?)