東アジア言語学会
Society for the Study of East Asian Languages

735-8524 東広島市鏡山1丁目1−1
広島大学大学院教育学研究科留学生専門教育内
東アジア言語学会


創刊号に掲載されたヴィジョン

 本研究会の名前は「東アジア言語研究会」であるが,この東アジアの言語とはおおよそ日本から西は中国の新彊やチベット,北はバイカル湖から南はベトナムやタイ周辺で話されている,あるいはかつて話されていた言語を指している。従って,一口に東アジアの言語といっても,そこには数多くの多様な姿をした言語が見られることになる。

 しかし,個々の言語の研究状況はどうであろうか。断片的にしか研究されていない言語が数多くある。また,研究されている言語でも研究されつくされているということもないであろう。

 東アジアの言語を対象とした研究会をつくり,その研究会誌をだそうと,広島大学で東アジアの言語を研究対象にしている人々が集まり話し合ったのが一昨年の2月ごろのことである。その後,研究会の名称を「東アジア言語研究会」に,その研究会誌を「東アジア言語研究」(年1回発行)に決めた。あらゆる言語を対象とするのでもなく,ある特 定の言語を対象とするのでもなく,東アジアの言語だけを対象とした研究会というのはユニークな存在ではないだろうか。

 本研究会の基本方針は,何よりも個別言語の詳細な研究にある。そして,個別言語の研究を通じて言語理論へ貢献することにある。つまり,東アジアの言語の詳細な研究を通じて言語現象に新たな見方を追求していこうというのである。

 また,近年は周知のように数多くの少数言語が消滅の危機にある。大言語であっても,方言の多様性は失われつつある。これは,人類の貴重な文化遺産が失われることを意味するものである。こうした消滅の危機にある言語あるいは方言が消滅するまでに,1つでもその姿を記録にとどめておければと考えている。

 研究会が今後どのように発展していくのか,しばらくの間は試行錯誤模索が続くかもしれない。東アジアの言語を研究しているみなさんには,ぜひこの会にご協力願いたい。異なる言語を研究対象とした人々との交流は,研究のみならず多くのことに刺激をもたらすものである。

 




東アジア言語研究の紹介


第7号(2004)

佐野 三枝子(大阪外國語大學校)
『明治 字典』ey boinun 音節末 子音 ‘n’wi 片仮名(katakana) 表記

伊藤 恵美子(名古屋大学大学院)
断り場面で認められたジャワ語・インドネシア語の表現
−Hofstedの指標から解釈して− 

第6号(2003)

佐野 三枝子(大阪外國語大學校)
話法 動詞ey boinun 漢字語wa 固有語wi 共存

佐藤 暢治(広島大学)
保安語積石山方言の下位方言と帰属意識
−話者の視点からの考察− 

小高 裕次
東アジア漢字文化圏における識字教育の一例
−『千字文』『百家姓』と『新集金砕掌置文』−

金 龍(広島大学大学院)
語順から見た日本語らしさ
−朝鮮語との比較の視点から−

第5号(2001)

小高 裕次
西夏語における形態素 の機能について

佐野 三枝子(大阪外國語大學校)
『津島 日記』wa『朝鮮 見聞録』ey boinun 二重母音kwa 語頭子音群wi 片仮名表記ey tayhaye 

井上 雅子(奈良女子大学大学院)
ミゾ語類型論

佐藤 暢治(広島大学)
年都乎保安語における若干の特徴

第4号(2000)

橋本 邦彦(室蘭工業大学)
現代モンゴル語副動詞構文における再帰所有接尾辞について

小高 裕次
西夏語における名詞後置詞の分類2

黄 其正(広島大学大学院)
接尾辞「−じみる」の派生プロセスと表現特徴

佐野 三枝子(大阪外國語大學校)
開化期 uy 學部 編纂 ney kaci 教科書 ey buinun 原因・理由 lul nathanay 接続 表現 ey tayhayo

佐藤 暢治(広島大学)
保安語の変容と社会変化 −問題点と今後の課題−

第3号(1999)

佐野 三枝子(大阪外國語大學校)
漢字 入門書『類合』kwa 『新摎゙合』
 −釋(字義)kwa 漢字ui 對應ey tayhaye−

佐藤 暢治(広島大学)
東部裕固語における1人称複数代名詞について

小高 祐次(広島大学大学院)
西夏語における名詞後置詞の分類

第2号(1998)

佐野 三枝子(ソウル大學校 大學院)
『繪入 異國 旅硯』考

橋本 邦彦(室蘭工業大学)
現代モンゴル語の心理述語

佐藤 暢治(広島大学)
保安語同仁方言年都乎における複数標示の問題点

于 康(関西学院大学)
現在漢語”特指疑問句”与現代日語”内容性疑問句”的比較
−以名詞性疑問詞為主−

創刊号(1997)

小高 裕次(広島大学大学院)
西夏語の韻書に現れる文法述語「助語」について

佐藤 暢治(広島大学)
保安語同仁方言における自動詞主語の格標示

于 康(南京大学・広島大学大学院)
漢外語言対比研究中的語法与文化関係

東アジア言語研究の申し込みについて

東アジア言語研究をご希望の方は、 号数(創刊号在庫無し)と部数を明記のうえ、返信用切手とともに(一部200円)、上記の住所に郵便でご連絡ください。



東アジア言語研究投稿規定

  1. 執筆要項
    1. 投稿者は、原則として東アジア言語学会員に限る。
    2. 投稿の際には、ワープロ完全原稿(A4)をフロッピーとともに提出すること。
      1. 原稿は横書きとし、1行あたりの字数を40字、1ページあたりの行数を38行とし、原則として15枚分(参照文献・註を含む)までとする。
      2. 原稿の1枚目には、題目・執筆者名・所属・キーワード(5つ以内)を記すこと。
      3. 本文中の註は字の右肩に1)のように通し番号をつけ、本文とは別の用紙にまとめること。書式は、執筆者に委ねる。
      4. 目次は英文用も作成するため、別紙に題目と執筆者名を記すこと。
  2. 締め切り
    1. 3月31日必着
  3. 提 出 先
    1. 〒739-8524
      東広島市鏡山1丁目1番1号
      広島大学大学院教育学研究科留学生専門教育内
      東アジア言語学会会
  4. 発行予定日
    1. 5月31日


入会手続き

入会を希望される方は、研究会まで e-Mail か郵便でご連絡ください。
年会費は、一般5,000円・学生その他2,500円。

Last updated Nov 9, 2004.