1) 栄養素の疾病予防における新たな生理機能の探索

 食生活におけるビタミンB6の摂取量と癌発症との関連性を強く示唆する知見が蓄積しつつあります。当研究室では、特に、ビタミンB6の大腸癌を予防する栄養素としての可能性を示しており、その生理機能の謎に迫りたいと考えています。ビタミンB6の従来から知られている補酵素としての機能以外にも、新たな生理作用が存在すると考えており、現在では、ビタミンB6の抗炎症作用や細胞増殖抑制作用などの新しい生理作用に着目し、その作用機構の解析を、培養細胞レベル、また動物個体レベルで行っています。

 さらに、ビタミンB6の遺伝子発現に対する影響にも注目しています。特に、現在までに下に示すようにさまざまな転写因子と相互作用することが明らかになりつつあります。



 そこで、ビタミンB6の遺伝子発現に対する影響を検討するために、例えば、下に示したようなDNA microarray法などを用いてビタミンB6食によって発現量の変動する遺伝子を網羅的に調べて、重要な遺伝子の検索を行っています。さらに、その遺伝子産物の生理機能にも迫ることで、ビタミンB6の生体に与える影響を明らかにしたいと考えています。




2)新しい付加価値を持った食品の開発

 最近では、地域密着型研究として、柑橘類を用いた食品研究を行ってきました。広島県の面する瀬戸内海は風光明美な大自然を有するだけでなく、温暖な気候を利用して多くの柑橘類が栽培されています。特に、広島県産である経済品種を用いて、その有用性を幅広く探した結果、広島県産の八朔において血中中性脂肪などの低下作用など、その効果は他柑橘類と比較しても際立っていると考えられました。同時に、広島県内の食品メーカーと協力して、柑橘を用いた新しい商品の開発に携わる機会をいただきました。