No.ReSCL-1
英語タイトル:
Atmospheric correction of SeaWiFS imagery over turbid coastal waters: A practical method
日本語訳タイトル:
濁度の高い沿岸水に対するSeaWIFSの大気補正−現実的な方法
筆者:
Hu, C., Carder, K. L., and Muller-Karger, F. E.
要旨:
現在のSeaWIFSアルゴリズムは、765nmと865nmのバンドに基礎をおいた大気補正法を使っているので水柱反射率(water-column reflectance)が邪魔をして、濁ったCase IIの水における水面放射輝度(water-leaving radiance)値がしばしば負となった。そこで我々は765nmと865nmの総反射率から水柱反射率を分離する簡単かつ現実的な方法を示す。まずエアロゾルは比較的狭い空間(〜50‐100km)ではエアロゾルタイプ(aerosol type)はあまり変化しないと仮定して、ほとんど濁っていない水上でエアロゾルタイプを定義する。そしてニアレストネイバー法(nearest neighbor method)を使って濁った水域にそのタイプを適用する。エアロゾルタイプが決まっているので、濃度は変化できる。765nmと865nmにおけるエアロゾル反射率と水柱反射率の両方が求められる。NASAの標準大気補正法はより短波長のエアロゾル散乱データを得ることによって行われる。この単純な方法は、メキシコ湾において様々な大気条件の下、試験されている。そして水面放射輝度とクロロフィル濃度の推定誤差を小さくするように改良されている。さらにNASAの標準アルゴリズムでは大気補正が間違っている地域はマスクして、水面放射輝度とクロロフィル濃度が補間されている。本論文で提案した方法は、マイン湾(Gulf of Maine)とハリケーン後の濁ったメキシコ湾において現場データと他の濁水域用のアルゴリズムを使って比較した。マイン湾では大気補正アルゴリズムを適用した場合、ほとんど失敗することなく精度が向上した。メキシコ湾ではわずかな画素において他の方法よりも大気補正の失敗があったが、それぞれクロロフィルの過剰推定(overestimate)はなく、負の水面放射輝度はほとんどなかった。
(訳:作野)
訳者コメント:
SeaWIFSは外洋または沿岸のクロロフィル濃度を推定する目的で設計されたセンサでSPOTやLandsatと比べ空間分解能が粗く、波長分解能がよい。宍道湖・中海では同センサの適用は難しいがSPOTやLandsatの大気補正法のヒントとなる文献だと思われる。