No.ReSCL-9
英語タイトル:
Remote estimation of water clarity in optically complex estuarine water
日本語訳タイトル:
光学的に複雑な河口水における水の透明性の遠隔推定
筆者:
Woodruff, D. L., Stumpf, R. P., Scope, J. A., and Paerl, H. W.
要旨:
AVHRRの衛星画像は,North Carolina 州のPamlico Sound estuaryにおける濁度計測としての光消散(KPAR)(light attenuation)モニタリングができる可能性のあるデータソースである.衛星データから導かれる反射率(Rd;実質R630nm)とKPARとの関係を表す一般的な光学的な方程式を,現場で収集された10日分の水質と画像(から導かれる)反射率を使って校正した.また,吸収や亜表層反射率の分光データは,反射率とKPARの関係を使って植物プランクトン(phytoplankton pigments),有機物質(organic matter),懸濁物質(suspended sediments)の濃度に変換した.光学的にPamlico Sound estuaryは溶存体と粒子体の有機物両方の吸収があるため,懸濁物質による散乱が支配的である.Pamlico SoundにおけるRdとKPARの関係(r2=0.72)は様々な環境条件で役立つものと考えられる.しかしRdと懸濁物質濃度との関係は小さく,堆積物の性質によって影響されると考えられる.この川においてRdとKPARの関係を構築する時,可視波長域で吸収が大きく,変化が激しい場合は排除した.Pamlico Soundで開発したRdとKPARの関係は,従来SeaWIFSデータを使って同様な堆積物の性質を持つ沿岸湾や河口で広い地域で使えるアリゴリズムとして提案されたDelaware BayやMobile Bayの結果とよく一致している.
(訳:作野)
訳者コメント:
Pamlico
Sound estuaryは巨大な汽水域(10000km2を超える)であるが,入り江は水深2〜8m,クロロフィル濃度が0〜20μg/l程度,SSや透明度の値も中海と同レベルである.したがって,ここで用いられるAVHRRを使った手法はLandsatやSPOTの中海画像でも応用できるのではないかと考えられる.特に反射率をKPARに変換するアルゴリズムは中海の水質推定アルゴリズムを構築する際に,非常に役立つ(物理的な根拠が論じやすい)と考えられる.