骨・軟部腫瘍

はじめに

整形外科で扱う腫瘍は四肢(上肢、下肢)や脊椎にできる腫瘍です。良性腫瘍でも四肢や脊椎の機能等を考慮した治療が必要です。悪性腫瘍では、他の臓器に転移(特に肺に多い)することがあります。したがって、診断をできるだけ早期に正確につけ、適切な治療を行うことが重要です。最近では、様々な診断方法や治療方法が進歩し、悪性腫瘍といえども決して不治の病ではありません。当科では、患者さんの四肢機能をできるだけ温存した治療方法を行った上で、腫瘍が根治されるよう、集学的な治療を行っています。

診察日

火曜日(初診、午後)と木曜日(再診、午前)で、久保、古田、作田の3名で診察しています。

手術件数

悪性骨・軟部腫瘍を中心に手術を行っており年間の手術件数は120例であり、徐々に件数は増加しています。
悪性骨・軟部腫瘍の手術件数は2003年~2018年(15年間)で409例です。

  症例数
悪性骨腫瘍 159例
・骨肉腫 40例
・悪性線維性組織球腫 20例
・軟骨肉腫 19例
  症例数
悪性軟部腫瘍 250例
・悪性線維性組織球腫 90例
・脂肪肉腫 74例
・平滑筋肉腫 10例

治療に関して

悪性腫瘍の治療では生命的予後が最も重要です。画像診断、化学療法が進歩し、多くの患者さんが治癒し、切断ではなく患肢を温存することが当たり前となった今日では、温存した患肢の機能も重要な課題となっています。当科ではこの課題に早くから取り組んできました。

1. 密封小線源組織内照射(ブラキセラピー)

重要な血管・神経が悪性腫瘍と接している場合、従来では切断するしか方法がなかった症例に対して、腫瘍切除後の創内に特殊なチューブを留置し、そのチューブに放射線治療の線源を挿入し照射することにより患肢を温存する方法です。当院放射線科と共同し行っています。短期間にしかも集中的に標的に高線量を照射可能です。当科では1995年よりこの治療を行っており、患肢温存が困難な悪性軟部腫瘍症例に対して良好な成績を得ています。

2. 遊離複合組織移植による再建について

腫瘍を切除した後は高度な組織欠損を生じます。再建方法にはさまざまな方法がありますが、耐久年数に限界のある人工関節で再建するより、自分の組織で再建する方が長期的には有利です。当科では1975年より腫瘍切除後の再建に血管柄付き組織移植を行ってきました。近年では、腫瘍切除後の骨欠損が大きくなる場合に、腫瘍を切除した自分の骨を温熱処理し、血管柄付き骨移植と併用して再建することで良好な成績を得ています。

3. 術中MRIやVirtual Reality (VR)を用いて安全かつ残存腫瘍を減らす試み

骨巨細胞腫や再発しやすい腫瘍は残存腫瘍をいかに減らすかが、患者の予後、治療成績を左右します。そこで腫瘍切除後に術中MRIを行うことにより残存腫瘍がないかを確認することが可能です。骨軟部腫瘍領域において術中MRIを用いた施設は、国内で広島大学が初めてです。一方で、血管に隣接した腫瘍を切除する際に、出血をなるべく防ぐために術前、術中の立体把握が重要となります。我々はVR技術を用いることにより、より正確に腫瘍と血管の位置を把握し安全に手術を行っています。

術中にMRI検査を施行し、矢印で示す残存腫瘍があることを確認し、追加切除します。

左図のように術部に3Dイメージを、ハンドフリーで右図のようにゴーグルを
装着しながら立体把握を行いながら手術することができます。