Chromatin (1)
- (#2) ヌクレオソームはヒストンH2A、H2B、H3、H4の各2分子ずつの会合体で
あるヒストン8量体のまわりに、DNAが巻き付いたヌクレオソームコアと、DNAの巻き始めと巻き終わりの部位に結合した1分子のH1ヒストンで構成されている。この各ヒストンの結合はどうなっているのか?また規則的に構成されているのはどういう意味があるのでしょうか?
- (#3 )本日の講義では、クロマチンリモデリングと遺伝子発現の関係が取り上げられていましたが、一言で遺伝子発現といっても非常に多くの制御機構があります。これまでに一般的に論じられてきた転写因子タンパク群の結合による転写制御などがそれですが、それらの機構とクロマチンリモデリングが協調的に機能していると考えられないでしょうか。それを調べるためには、まずヒストンタンパクと他のタンパクとの相互作用の有無を見てみるのがよいと考えます。そのことにより遺伝子発現に関連する機構間の協調制御を見つけることが出来るかもしれません。
- (#3-#7) DNAの転写とクロモソームのリモデリングは協調しています。転写にしろ、複製にしろ、クロマチンがほどかれる必要がある。でないと適切な酵素が作用できないと思います。そのために、転写、複製が起こる時にはクロマチン構造がほどかれて、終わると同時に再びクロマチンを形成する機構が存在すると考えられます。
- (#3-#7-#3)御指摘の通り、DNAの転写とクロモソームのリモデリングは協調は間違いなく存在するのだと思います。それだけではなく、遺伝子発現に関わる多くの要素と、染色体の構造や動態に関わる多くの要素が、細胞周期の各phaseにおいて細かくしかも厳密に協調的に制御し合っていると考えるのが、細胞の効率性という面において自然であると思います。
- (#4) DNAにヒストンが巻きついてさらに、すごい複雑な高次構造をとっているのに、転写の時には、目的の領域に特異的にヌクレオソームをほどくことができるということですか?だとしたら、目的の領域を識別する指標は何なのか?やっぱり、DNA上のプロモータ配列なのでしょうか?
- (#4-#5) 私も多少疑問に思っていました。特異的に何かしらの指標を認識してヌクレオソームをほどいているのだとおもいますが、これはその部位に結合するタンパクの影響があるのか、またはヌクレオソームだけで何らかの認識作用がなされているのか不思議に感じました。
- (#5 )セントロメアは塩基配列によって支配されないような遺伝的形質であるepigeneticsの1種であり、ヒトの場合動原体の基盤になると考えられているα
satellite DNAのリピート配列というものが、ときには十分条件はおろか必要条件にすらならない場合があるというところに興味をそそられました。まだ詳しいことは知られていないようですが、そのαsatellite
DNAが存在していなくても、たまたまマイクロチューブが接合することで染色体が通常のように娘細胞に分裂し、さらに娘細胞にもその情報が行き渡り娘細胞も正常にふるまうことができる。では、αsatellite
DNAとは何なのかと、ほんとに重要なのかと考えてしまいますが、そのミステリーをとく鍵についてはわかりません・・・ただ、欠損していても正常に作用することができる、娘細胞に分裂することができることは非常に重要なことであるのではないかと思いました。
- (#5-#13) αsatellite DNAが欠損していてもmicrotubeがどうにか結合して染色体になりうる、遺伝できるという、というのは、とても重要なことだと思った。αsatellite
DNAが存在していなくても遺伝し続けるということは、種の存続の為には必要不可欠な事なのかもしれないと思った。
- (#6) なぜ染色体のcentromereに紡錘体が一度でも結合するとタンパク質が結合したという情報が記憶され、satelite DNAが欠損してしまってもcentromereとして機能し、細胞分裂を経ても記憶されたままなのか?また、centromere化した部分の遺伝情報は発
現可能なのか?centromereの遺伝子配列の一部を変えたものを染色体に組み込み、紡錘体が結合する前と後の塩基配列を比較することで、情報の記憶が塩基配列によるものなのかどうかを確かめる。
- (#7) DNA のメチル化がクロマチンの凝縮に関係しているということですが、メチル化 が直接的に転写調節にかかわっていることはないのでしょうか?研究方法は専門から
離れているためわかりませんが。
- (#10) 分裂に際して。染色体量が2倍になり分裂を開始します。その複製の起点となるのはoriginです。この開始起点から、染色体が複製されるときは、DNAが糸のようにでてきてから染色体構造になるのですか?それとも同時にヒストン蛋白も合成され、同様の染色体様で出てくるのでしょうか?
- (#10-#20) S期に染色体から複製されたDNAは、すぐにヒストンタンパク質に巻き付いてヌクレ オソーム構造をとると思います。小さな核内に通常の2倍ものDNAを入れるためにはヌ
クレオソーム構造をとらないと無理だと考えますので。複製された2つの染色分体を どのようにしてS期には近くに留めておいて、M期にそれぞれ別々に凝縮できるのか不
思議に思います。
- (#13)αsatelliteが存在しないのに、染色体がcentromereになりうるということ(fig.4-51 B)が、今回の講義の最大のミステリーだ。本来αsatellite
DNAに結合するはずのキネトコアは、それがないときに、何を基準にその場所に結合するのだろうか。私はこの疑問の答えとして、αsatellite DNAがぞんざいしないときには、その配列に似ている場所に結合するか、もしくは、実際には、αsatellite
DNAとキネトコアとの間には、他に結合を仲介する物質(蛋白質など)があるかの、どちらかだろうと考えた。
また、2mものDNAがヌクレオソーム構造が折り畳まれて、直径10μmの小さな核に入っているのも、つくづくミステリーだ。この中でさまざまな遺伝子調節蛋白質が働きながら、時々刻々、転写と3Rが起こっているというのは、ものすごくミステリアスであるとともに、エレガントなことだ。
- (#13ー#4)他に結合を仲介する蛋白質が存在するという意見に納得してしましました。その蛋白質が、染色体内で常にDNAに結合していて、DNA複製の時には、新しくその蛋白質をCENにくっつける。通常の場合、CENには、、母細胞側のDNAには、その蛋白質が存在していることから、新しい蛋白質も、CENにくっつくだろうし、変な位置にこの蛋白質がくっついた場合には、DNA複製の時、その蛋白質によって、新しい蛋白質は、変な位置ネオセントロメアにくっつくことになる。でこの蛋白質は、弱くaサテライトと相互作用をするが、キチンとDNAとくっつくには、母細胞側にその蛋白質が結合しているひつようがある。、、こう考えると全てが説明できるような気がしました。
- (#13-#4-#13)ご指摘のように考えるとなんだかすっきりスムーズに考えられます。
- (#13ー#10)centromereにはH1の代わりにCENPが付着します。キネトコアは、αsatelliteよりもCENPを認識するからなのではないでしょうか?つまり、centromereの存在しない染色体のとき、キネトコア付近にあるeuchromatinのH1
protainが、CENPに置き換わることによってキネトコアが付着できるようになるのではないでしょうか?このタンパク置換にはチェックポイントが関わっていて、一旦細胞周期が停止した時におこるのではないかと考えます。
- (#14) SMCdimarはなぜDNAをきれいに折りたためる場所にだけ結合するのか。もしもDNAのループとループの先端など間違った場所に結合してしまうと、かえってDNAの折りたたみを乱してしまうことになりかねない。SMCdimarの先端の構造を知る必要がある。
- (#14−#18) SMC dimerがDNAを折り畳みやすい場所にいつも結合することは、私もとても不思議だと思います。結合する部位を認識する機構が、先端の構造なのか、他にSMC
dimerをリクルートするタンパク質が存在するのか、私はこの2つのどちらかだと思います
- (#16) Fig.4-56で、クロマチンループにSMC蛋白が結合することでループの伸縮が調整されているが、この場合Hinge部の可変はどのように調整されるのか?SMC
dimer のATP結合部位にその調節機構が存在するのか?それとも、Hinge部そのものに可変調節機構が備わっているのだろうか?また、Hinge部で伸縮が調整されるなら、その調整を誘導する要因は何なのだろうか?
- (#17 )ヒトのセントロメア形成の柔軟性が興味深かった。 これまでに染色体構造に柔軟性があることは学習したが、セントロメアのような重要な部分までも変化しうることに驚いた。 何らかの異常によってαサテライトDNAの配列を失っても、kinetochore
proteins が染色体のある部分に結合してそこがセントロメアの働きをすることができ、さらにそれが記憶されて、以降ずっとセントロメアとして働くという説が面白いと思った。 αサテライト配列は多数がリピートしている様であるが、DNA上の一見無意味なリピート配列と、セントロメア異常の際のピンチヒッターとなる配列との関係はないのだろうか? またこの説はウィルスDNAの宿主内での分配機構の獲得にも当てはめることはできないか? ウィルスが宿主の細胞分裂に伴って自身のDNAも娘細胞に分配するには、何らかのDNA分配機構を獲得する必要がある。 上記のようにウィルスDNAの配列の一部がヒトのセントロメアとしての機能を持つようになれば、ウィルスDNAは非常に安定に分配されるようになるだろう。 これが持続感染の原因にはならないか?
ヒト意外の生物でも、このようなセントロメアの柔軟性をもっているのだろうか?
- ( #17-#3) セントロメア形成の柔軟性の話を元に、ウィルスDNAの宿主内での分配機構獲得のことに着目している点で大変面白いと思いました。ウィルスには非常に多くのゲノム形態のものが存在する為、そのような機構を用いた分配機構獲得系を持つものが存在する可能性は十分にあると思います。しかしそれがすべてのウィルスに当てはまるかと言えばそうではないとも思います。例えば宿主染色体中に自己の染色体を組み込むウィルスなどは分配機構までも宿主に任せられるので自己で分配機構を獲得する必要がありません。
- (#18) セントロメアに結合するタンパク質が、どのようなメカニズムでセントロメアDNAに特異的に結合するのか、とても不思議に感じました。初めは、セントロメア配列に多く存在するα
Satelite DNAを認識しているのだろうと考えました。しかし、セントロメアとなる配列がない場合でもneocentromere が形成されることはα
Satelite DNAがセントロメアにとって絶対なものではないことを示唆しています。もしかすると、α Satelite DNAが存在する場合はそれを認識するという機構、存在しない場合には別の機構が働いているのかもしれません。
- (#20) 活性化したセントロメアを形成するためには、必ずαサテライトDNAが必要であると考えていたので、αサテライトDNAを持たないネオセントロメアの存在にはとても
驚きました。ネオセントロメアが形成されている部位には何か特徴的なDNA配列はな いのでしょうか?また、ネオセントロメアがセントロメアと全く同様に働くのであれ
ば、なぜ私たちの持つ全ての染色体のセントロメアはαサテライトDNAを含んでいる のでしょか?進化の過程で少しでも安定なセントロメアを持つ染色体のみが保存され
たのでしょか?とても不思議に思いました。
- (#20-#12) セントロメアにはαサテライトが必要条件であると考えていたので、αサテライトなしのセントロメアの存在に私もたいへん驚かされました。細胞分裂は、細胞にとって非常に重要な過程なので、セントロメアの欠損は深刻な問題だと考えられます。よって、柔軟なセントロメアの存在は大変必要なことだと思います。進化の過程で安定的
にセントロメアになれる配列が保存されたという考えに、とても納得がいきました。 おそらく、セントロメアになれる配列は染色体上にたくさんあって、もっとも安定的
なセントロメアの配列が進化の過程でセントロメアとして保存され、欠損などなにか トラブルが起こった時のために、ネオセントロメアとなる配列が潜んでいるのではと
思いました。