Chromatin (2)
- (#3 )ヘテロクロマチンとユークロマチン、その両者の本質的な違いとは何なのでしょうか。本日の講義でのH4 tailのアセチル化やSir proteinとの結合の話を聞いていると、ますますその両者に本質的な違いが無いような気がしました。ユークロマチンにも活性の無いものがあり、その凝集度もヘテロクロマチンと活性型ユークロマチンの中間程度であることからもわかるように、ヘテロクロマチンとユークロマチンの境界は曖昧であるような印象を受けます。しかしそれぞれの領域には明らかな違いも見受けられるため、構造上の相違や反応面での違いを今後明確の示していくべきだと思います。
- (#3-#4)私も、言われてみると同じ意見を持ちました。ヘテロクロマチンとユークロマチンの定義は、DAPIとかで染まるかどーかを顕微鏡レベルで見ることだったと思います。ところで、例えばヘテロクロマチンの全ての遺伝子がほんとに転写offになっているというわけではなく、たぶん6とか7割offぐらいの気がします。それは、ユークロマ
チンでは3−4割くらいと思います。結局、1つ1つの遺伝子の配列レベルの領域の転写のon offとその領域のヌクレオソームの状態を比較を細かく検討していくしかないと思えてきました。かといって、ヘテロクロマチンとかの大きなレベルの効果も全く無いとはいえない気もします。納得できる説明のつく日はいつが来るのでしょうか?
- (#3-#5)heterochromatinは、DNA-bindina proteinが呼び寄せるSir proteinの結合により遺伝子が発現しなくなり、そしてhiston
H4 tailがアセチル化されているeuchromatinは本来のl遺伝子発現をする。確かにHDACによる脱アセチル化が起こりますが、うまくは言えませんがこのアセチル化と脱アセチル化をうまく利用し、お互いそれぞれ染色体上に機能しているのではないかなと思います。
- (#3-#9)ヘテロクロマチンとユークロマチンとの間の本質的な違いは、”転写活性があるかないか”ではないでしょうか。
- (#3-#16)活性クロマチンと不活性クロマチンとの違いとして、活性クロマチンは特定の型のヒストンH1と結合し、ヌクレオソーム・ヒストンが極端にアセチル化され、ヌクレオソーム・ヒストンH2Bが不活性クロマチンほどリン酸化されておらず、変形ヒストンH2Aに富み、染色体タンパクHMG14、HMG17と結合する点が挙げられる。ヘテロクロマチンとユークロマチンの境界を明らかにするなら、活性ユークロマチンと不活性ユークロマチンの違いや、同じ不活性型であるヘテロクロマチンとの相違点や共通点についても細かく分類する必要がある点で同感なので、上記の点などをより細かく検討するべきだと思います。
- (#3-#4, 5, 9, 16)-#3) 科学研究を進める時、我々が得る新たな知見の多くはまず大きい次元での現象として観察されます。そしてその事象についての理解のためにより小さな目線での研究理解が進んで行くというのが、多くの場合の流れであると思います。今回もクロマチン構造の凝縮の度合いの違いという大きな次元で分類、定義されたヘテロクロマチン、ユークロマチンについて、より小さな目線で理解をしようとしたら両者の境界が曖昧になってきたということだと思います。#4,
16の方が言及されているようにやはり分子レベルでの機構をより深く解明する必要を感じます。その結果として当初の定義が塗りかえられることも有り得ると思います。現在の定義ではユークロマチンにも不活性なものがあるため、転写活性の有無で両者を分けることは出来ないと思います。
- (#4)今回の最大のミステリーは、細胞が増殖するとき、DNAが複製された時に は、クロマチンの構造、(ヒストンの位置や、メチル化、アセチル化などの修飾)は
伝達されるのか?ということです。テロメア付近や、CEN付近に組み込んだ、レ ポーター遺伝子は発現しにくい話からも、エピジェネテックな制御が存在するのは明
らかですが、娘細胞は、母細胞からどの遺伝子を転写すればいいのかを、イチイチ全 ての細かい遺伝子について、クロマチン構造変化を使って伝達してもらったりしてる
のだろうか?非効率的でないか?ということです。そういえば、この前の授業で、近 縁種の遺伝子の順番が似ている話もありましたし、細胞は、結構大雑把に染色体のこ
の辺りは、密な構造をとって、この辺りは、ほどけた構造をとって、、、、といった 制御をしてる気もするのですが。
- (#5 )ヘテロクロマチン付近に、活性を持つ遺伝子が転移により移ると、不活性化が引き起こされる。しかし、時々所々に活性化が再び見られ、その記憶がきちんと娘細胞に伝えられる。この時、その再活性化は酵素などによるヘテロクロマチンのアセチル化、または発現の際に再び転移による遺伝子の移動が見られるからなのでしょうか?おそらく脱アセチル化酵素であるHDACなどを使用することで少し解決しそうな気がしますが・・・
- (#6)なぜ間期の染色体構造は混ざり合うことなく独立したテリトリーを作るのか?核の大きさと、折り畳まれているDNAの長さから考えると、染色体の凝縮がクロマチン構造に戻るといっても、スペース的な問題で混ざり合うことができないからという気もするが、DNAは周りの環境に左右されることなく染色体単位でテリトリーを作ることができるのだろうか?
- (#6-#12)間期の核で、染色体がそれぞれ独立した領域を持っていることが、もしスペース的なものではないとしたら、いったいどのような働きによるものなのでしょうか。
しかし、効率的に染色体を凝縮させるためには、そのような働きが必要であると思わ れます。
- (#7)ヘテロクロマチンがユークロマチンに広がらないように、バウンダリー配列が存在することはわかりましたが、ではバウンダリー配列にはヒストンテイルがないのでしょうか?もしくは、ヒストンテイルが存在しても、脱アセチル化されにくいなどの、サープロテインが結合しにくい機構が存在するのでしょうか?
- (#7-#1)ヘテロクロマチンがユークロマチンに広がらないように、バウンダリー配列が存在することはわかりましたが、ではバウンダリー配列にはヒストンテイルがないのでしょうか?もしくは、ヒストンテイルが存在しても、脱アセチル化されにくいなどの、サープロテインが結合しにくい機構が存在するのでしょうか?私も同じくこの事について不思議に思いました。大きさ(配列の長さ)の割合というのがイメージがつかなくて分かりにくいですが、ほんの少しの配列であって、sir
proteinsが結合できない位の大きさならば、それはそれでヒストンテイルが存在せずヘテロクロマチンやユーロクロマチンの中に紛れていそうなのですが、ヒストンテイルが存在するとなるとヘテロクロマチンのようにsir
proteinが結合して存在するのか、ユークロマチンのようにアセチル化されて存在するのか?という感じである。
- (#10)heterocchromatinはboundaryの働きによって、euchromatinでの進出を抑制されています。しかもheterocchromatinは単にSir
protainが付着しただけです。すると、このboundaryはSir protainと結合能を持っていないだけでなく、以降のgeneとの接合をも防ぐ働きがあるということですか?Sir
protainの付着にはhiston tairのアセチル化です。boundaryにはhiston tairのアセチル化とその維持の機構が存在するのですか?またそれはどのようにして行われるのですか?
- (#11)本日の講義で取り上げられた、MARの存在と機能について最も興味深かった。足場としての機能だけでなく、転写調節を担うといわれていたような。そうなると、MARを活性化、不活性化させることによって、遺伝子発現が調節されるため、MARの活性、不活性を司るものが何か存在するのか、また、その重要なMAR領域を認識し、結合する足場タンパク質の構造はどうなっているのかということが疑問でした。
- (#12)クロマチンがヘテロクロマチン化しているか、ユークロマチン化しているか、遺伝子発現にとって非常に重要であると思います。そのヘテロクロマチン、ユークロマ
チン領域の境目である、boundary領域に私は今回最大のミステリーを感じました。 boundary配列はいったいどのような構造をしているのでしょうか。
- (#13) Figure4-46で、heterochromatinとeuchromatinのboundaryがなくなった遺伝子は、euchromatin領域がheterochromatin領域に侵入したり、その逆が起こったりする。今回の最大のミステリーは、そのような遺伝子が、boundaryが存在しないのになぜ、ほぼ安定に遺伝するかということだ。進化的には、獲得した形質を逃すまいとするのだろうと考えた。
- (#16)Fig.4-44 のNuclear Matrix についてですが、この構造体を足場として結合している部分のDNA は固定されていると思われるので、複製や転写の際にはその工程を阻害してしまうのではないでしょうか?また、分裂期にはこの構造体はどうなっているのでしょうか?
- (#16-#7)確かにMARによってDNA足場構造に結合して安定化しているために、転写や複製の際には邪魔になると思われます。しかし、この結合は塩基同士による水素結合ではなく、アミノ酸側鎖による静電力や比較的ゆるい水素結合により安定化しているそうです。ということは、比較的緩い力により結合しているためにポリメラーゼが来ても強引に引き離されることも考えられると思います。また、MARがDNAトポイソメラーゼの認識領域になっているので、トポイソメラーゼによって切られた際に足場から瞬間的に離れているのかもしれません。あくまで推測なのですが。。。
- (#18)今回の講義では染色体の核内分布に非常に興味を持ちました。間期核内におい
て、各染色体はそれぞれテリトリーを持ち、さらに基本的に核の内部はユークロマチンで外部はヘテロクロマチンという構造をとっています。あの長いDNAを核にコンパクトに収納したうえ、このような構造を形成し、さらに複製・転写・修復や分裂までしてしまう核には、素直に感動しました。
- (#20)テロメアの位置効果によって不活性化された遺伝子が、しばらく培養すると同一のコロニー内でも活性化されることがあることに不思議だと感じました。ヘテロクロマ
チンとユークロマチンの境界がはっきりしていない為に起こるのかもしれませんが、扇形に白く染まっているコロニーを見ると、一度変化した形質はしばらく安定であるように思えます。