DNA Replication (1)
- (#9)なぜ、lagging strand のRNAプライマーは、DNAポリメラーゼによってプライマーとして利用された後にすぐに分解されないのでしょうか。古いRNAプライマーがすぐに分解されていれば、新しいRNAプライマーからpolymerizationを行ってきたDNAポリメラーゼが古いRNAプライマーが存在していた場所を続けて処理することができるはずだと思います。RNAプライマー部分を残しておいて、しばらくたってから再びDNAポリメラーゼが結合するということに、どんなメリットがあるのでしょうか。leading
strandはこのような作業はないのだから、leadin strand とlagging strand の複製において、タイムラグが生じてしまうのではないでしょうか。
- (#9-#20)確かにタイムラグが生じるような気がします。しかし、隣り合った複製フォーク同士がぶつかる際には、片方がリーディング鎖の場合もう一方はラギング鎖なので、全体としてタイムラグはうち消されるのかもしれません。また、ラギング鎖にはたくさんのプライマーが結合してDNA合成が同時に進むので、それほどタイムラグは生じないようにも思います。
- (#9-#14) 添付した図のようにDNAポリメラーゼVは二量体を形成してDNAを複製していくようです。このときラギング鎖は図のように折れ曲がっているので、リーディング鎖とラギング鎖の複製にはタイムラグは生じません。下の図のようにRNAプライマーからDNAポリメラーゼVがはずれるとかわりにDNAポリメラーゼTが結合し5’から3’エキソヌクレアーゼ活性を示し、RNAプライマーの除去、生じたすき間のDNA合成を行います。最後にDNAリガーゼが2つの岡崎フラグメントをつなぎます。このような機構があるためRNAプライマーをすぐに分解してDNAを不安定な状況におく必要はないと思われます。
- (#9ー#4) leading strand の複製の方が、lagging strandの複製より速いのではとの指摘ですが、ということは、複製速度の制御要因は、ヘリカーゼによる巻き戻しの速度になるのだろうか?しかし、ヘリカーゼの活性自体が、結局、lagging
strandの複製速度からフィードバック制御を受けている可能性もあると思います。
- (#9-#1)leading strand とlagging strand の複製においてタイムラグが生じてしまうのではないか、とあったがleading
strandの方が複製が早く進むのではないだろうか。どのくらいのラグが生じるのかは分からないが岡崎フラグメントは約200bpごとに作られる(かなり細切れな感じ?)のでそんなに大きなラグは生じないのではないだろうか?
- (#9-#2) RNAプライマーが分解されるのに時間がかかるのは、分解するための酵素などが合成されている時間なのではないでしょうか?
- (#12)DNA複製のメカニズムは、何度聞いてもその巧妙さに興奮と、感動を覚えます。クロマチンが非常に凝縮されている核において、長いDNAを正確に複製するという機構は、ヒトが知恵をしぼっても考えられるものではないと思います。複製タイミングは、遺伝子によって早期に複製されたり、後期に複製されたりと決まっていますが、それはヘリカーゼの結合のしやすさで決まっているのでしょうか?
- (#12ー#7)私も細胞の核の中で授業中にDVDで見たような巧みな機構が行われていることに感動します。DNA複製のタイミングはヘリカーゼの結合のしやすさというより、DNAstrandのトポロジーによって決定されているのではないでしょうか?2重らせんが緩むことにより複製タイミングが計られると思います。その結果としてヘリカーゼやプライマーゼなどの複製機構に関与する因子がが結合するのではないでしょうか?
- (#13)大腸菌とヒトでは、形態は似ても似つかないのに、複製方法がほぼ一緒だということが、ミステリーというか、神秘的だと思いました。fig5-1であったように個体、細胞にとって保存されなければならない性質なんだということを感じました。
- (#4)RNAプライマーが作られる位置に決まりはあるのか?RNAプライマーは、ほん
とに複製開始点から約200bpごとに、テキトーにくっつくだけなのか?
- (#6)今日の授業で、完璧とも言える遺伝子複製メカニズムが、大腸菌からヒトまで高い保存率で存在している事を知ってとても驚いた。ほとんど全ての生物が同じ複製機構を持つということは、一部の遺伝子は進化する事なく現在まで保存されてきたということになる。また、histon
4Hなどの重要な遺伝子ほど厳密に保存されていることから、repeat配列とunique配列との間には遺伝子複製メカニズムに何かちがいがあるとすれば、進化上の遺伝子変化による多様性は限られた中で起こっていると考えることができるかもしれない。
- (#14)DNA修復機構が最大のミステリーです。MutSが修復されるべき箇所のヌクレオチド構造のゆがみを認知し、MutLがヌクレオチドの転換を行っていると思われるが、その作業を確実にすばやく行えるということがミステリーです。安定なDNAをこのように後から正確に修復できるということがすごいとおもいました。
- (#7)本日の講義での最大の謎は、DNAポリメラーゼにエキソヌクレアーゼ活性があることです。このエキソヌクレアーゼ活性の作用により、間違った塩基対の校正、すなわちミスマッチ修復に関与していることである。DNAを合成している傍ら、分解反応を進め校正するという効率の良さには驚かされるが、間違って正しい塩基までも修復しないのかという疑問がわいてくる。また同じ修復でもMutS,MutLが関与する修復とは異なるのかという疑問もわいてきました。もし異なる段階なら、間違い探しを複数回繰り返してミスマッチの発生率をさらに下げるという非常に効率の良い反応であることがわかる。
- (#7-#17) DNA polymeraseのエキソヌクレアーゼ活性は複製しながらその場で誤りを正す手段、MutS、MutLによる修復は複製後のチェックのようですが、このように2重、3重の安全策をとって遺伝情報を子孫に正確に伝えていると考えると、やはり生命を受け継ぐ仕組みはすごいなと感じます。
- (#3)DNA primase, DNA helicase, そして2つのDNA polymeraseがひとつcomplexを作り、複製フォークのラギング鎖がループ状になるというのは、DNAポリメラーゼの移動を最小限に抑えるという意味でも非常に効率的であると思いました。RNA
primerが分解されたあとの部分のDNA polymeraseによるDNA合成は、タイミング的にそのしばらく後である、とのことでしたが、そのときの機構はどのようになっているか気になります。その時はやはり遊離のDNA
polymeraseがひたすら移動を繰り返しながらDNA合成を行っているのでしょうか。また、DNA helicaseが複製フォークを開いていく時の動きが、ATP
synthaseがプロトン輸送、ATP合成する時のF1の動きに酷似していた事が大変興味深いと思いました。双方の研究成果を互いにリンクさせることで新たな知見を期待できると思います。
- (#5)topoisomerase Uの作用により、2つの円形のDNA鎖がばらばらになる(図5−26)ようですが、やはりこのあとはDNA polymeraseなどの働きにより複製がそれぞれなされるのでしょうか?また、1本鎖になっても核内に折りたたまれて存在しているものなのでしょうか?また、新しく合成されたDNAの誤った塩基を認識するMutsなどがうまく機能しなくなると、子孫にはどのような問題が生じるのでしょうか?
- (#5-#9) 「新しく合成されたDNAの誤った塩基を認識するMutsなどがうまく機能しなくなると、子孫にはどのような問題が生じるのでしょうか?」に対して。Mutsが機能しなくなると、Strand-directed
mismatch repairが機能しなくなるといことにつながり、その結果エラーが残る可能性が100倍高くなり、致命的な変異が生じてくることもあるのではないかと思います。そのような変異が生じると、胎児の時点で死産といことにつながり、結果的には淘汰されていくと思います。
- (#5ー#9ー#5)やはり、Mutsが正常に機能しないと、子孫にエラーが残る危険性が相当高くなり、死産という結果を招くことにもつながってしまうようですね。これは、生命科学を学ぶ者にとっては、大変残酷な結果です・・・丁寧な回答ほんとうにありがとうございました。(#1)今回の講義のミステリーは、アミノ酸配列の変異が多いタンパク質と少ないタンパク質があるということである。今回の授業で初めて不思議に思った訳ではなく、学部時代に習ったときから不思議なのである。原理等は、今では不思議なことはあまり残っては無い(進化的に優位でない変異が起こった固体は生き残れない)が、私にとっては何故か”不思議”なのである。そのうち、すごく保存されているタンパクが優位に変異した”スーパー生物”が現れたりして…。また、DNAの情報を複製するのに大量のエネルギーが使用されていることも驚きであった。
- (#2)なぜ5´→3´方向にしかDNA合成は進まないのだろうか。3´→5´方向にも合成できればもっと速く合成できるのであろう。DNA合成はRNAプライマーから始まる。このRNAプライマーの合成だけでも様々な酵素が関与しているのだろう。RNAプライマーを合成する酵素、RNAプライマーを除去する酵素。この他にもいろんな酵素が働いてDNAの合成が起こっているのであろう。
- (#2-#10) 生物が生存していくためには、複製よりも転写のほうが重要だと考えます。転写の際に、3’→5’が起こってしまうと、スプライシングが正常に起こらなくなってしまいます。複製というのは、転写の延長でしかないのかもしれないですね。
- (#16)DNA 合成のためには一本鎖DNA にDNA polymerase が結合しなくてはならず、そのためにはRNA primer にslide
clamp とclamp loader が結合し、DNA polymerase を固定する必要がある。この際、RNA primer を認識するのはclamp
loader と思われるが、岡崎フラグメントが約200 塩基ごとに形成されるものなら配列により認識されることはないはずなのでその認識は何に基づくものなのだろうか?