DMって何?

DMは、Double Minutesの頭文字。dminと略すのが正しいと主張する人もいるが、DMあるいはDMsと呼んでいる人の方が多いと思う。昔の人が、がん細胞の分裂中期染色体標本を染色して観察したところ、染色体の合間に対をなした(double)、微小な(minutes)染色体が見えたのでDouble Minutes (DM)と呼んだ。その後の研究で、DMは、がん細胞中で遺伝子増幅した遺伝子から作られていることがわかった。DMは数メガ塩基対の巨大な環状DNAからなっている。環状だからテロメア構造を持たない。また、DMはセントロメアも持たない。セントロメアを持たないから、細胞分裂期に不均等に娘細胞に分配される。しかし、セントロメアを持たないのに安定に娘細胞に伝わってゆく。これは、DMが分裂期染色体に付着することにより分配されるからである。これを、ヒッチハイク機構と呼んでいる。

 左の図は、ヒト大腸がん細胞株COLO 320DM細胞の、分裂中前期の像。染色体DNAは赤い蛍光色素(PI)で検出し、たくさん見えるDMは緑で検出した。つまり、この細胞で遺伝子増幅している配列すべてとハイブリダイズするプローブ(微小核プローブ)を用いてFISH法により検出した。緑と赤が重なるった所は、上の写真では黄色に見えている。

 

研究内容のページへ

トップページへ