第
13回例会報告
日時:2004年6月19日(土)午前10時_午後5時30分
場所:早稲田大学西早稲田キャンパス
14号館7階会議室(716室)
(当日の連絡先:14号館防災センター03_5266_9297)
●検討文献
タイトル1:月本洋『ロボットのこころ』森北出版
タイトル2:月本洋・上原泉『想像_心と身体の接点』ナカニシヤ出版
●文献について
『ロボットのこころ』『想像_心と身体の接点』は、想定している対象読者が工学系か文系(特に心理系)かの違いはあるが、同じ問題意識によって書かれた好著です。1980年代に自然科学、精神科学、哲学、言語学、コンピュータ・サイエンスなどを巻き込んだ学際的学問として、認知科学が飛躍的な発展を遂げたことはまだ我々の記憶に新しいところです。しかし、その認知科学は現在、深刻な困難に直面しているように思われます。それを反映して、これらの著書には自然科学、精神科学、哲学、言語学、コンピュータ・サイエンスが抱える問題を基本にもどって検討する章立が工夫されています。認知科学が直面する問題とは何か。認知科学がこれまで暗黙のうちにとってきた、意味と合理性を概念的なレベルで表現できるとする見方の行き詰まりということではないでしょうか。そうした問題が顕在化してきた背景には、脳神経科学の進歩や現象学に根ざした哲学上の転換があったと考えられます。脳科学研究におけるA.ダマジオ、哲学におけるM.ジョンソンの仕事はとりわけ重要な意味をもつものと考えられます。1990年代に入って、身体による経験や、経験を構造化する想像力の役割をネグレクトしてきたツケが一気に表面化してきました。テキストは、こうした問題状況を打開しようとする研究の流れに位置づけられます。
また、テキストの構成は、よくありがちな批判の言説を緻密に積み上げる戦略を避け、そこは粗いデッサンに留めながら、むしろ、オールタナティブな建設的方向性の提案に多くの紙面を割くというスタイルをとっています。『ロボットのこころ』は、身体による経験と、それらを構造化する想像力を実現する具体的モデルを、ロボットを通じて構築すること、また、『想像』は、想像力の発生的側面について、インターネット文化との共進化による変化に着目することなどを通じて、これまでの人工知能研究に新たな光を当てる試みがなされていると言えましょう。
●例会当日の時間割および報告者
司会:小島康次(担当幹事)
10:00_11:10 『ロボットのこころ』第1章・第2章
報告者:松本一教(神奈川工科大学)
11:10_11:20 小休憩
11:20_12:30 『想像』第3章・第4章
報告者:今津芳恵(早稲田大学大学院教育学研究科)
12:30_13:30
昼休み
13:30_14:40 『想像』第7章
報告者:上原泉(清泉女学院大学)
14:40_14:50 小休憩
14:50_16:00 『ロボットのこころ』第3章・第8章
報告者:大内 善広(早稲田大学大学院教育学研究科)
16:00_16:10 小休憩
16:10_16:50 ショートレクチャー
16:50_17:30 全体討論
テキストの著者月本洋先生をコメンテイターにお迎えしてショートレクチャーをお願いし、その後、全体討論を行います。
終了後、懇親会を予定しています。自由参加ですので、ふるってご参加ください。
●コメンテイター 月本洋先生のプロフィール
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。博士(工学)。東京電機大学工学部教授。ご専門は、人工知能,データマイニングです。現在、脳機能画像の解析手法,ロボットの自律的言語理解等のご研究に取り組んでいるところです。電子情報通信学会,人工知能学会,
AAAI,認知言語学会,科学基礎論学会,発達心理学会等に所属されています。主な著書には、「実践データマイニング」,「ロボットのこころ」,「Connectionism as Symbolicism」(共著),「想像」(共著),「やさしい確率・情報・データマイニング」(共著)等があります。今回は、これらの中から「ロボットのこころ」「想像」をテキストとして取り上げ、著者自身による詳細なレクチャーをしていただく予定です。
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■例会報告資料
必要に応じてダウンロードしてください。ダウンロードの方法
『想像』第3章・第4章 ワード
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