発達心理学会認知発達理論分科会 第24回例会のご案内
今回は、Mertzoff,A.N. &
Prinz,W.(2002) The Imitative Mind:
Development, Evolution, and Brain bases. Cambridge University Pressを取り上げます。模倣研究の第一人者MertzoffがPrinzと共に編集した本にふさわしく、本書では、世界の第一線の研究者たちが、乳児から、大人、類人猿、ロボットに至るまでの広範囲にわたる模倣の問題を深く掘り下げて論じています。今回の例会では、この本の中から特に、発達に関係する4つの章を読むことにしました。各レポーターが1章ずつを担当し、内容の要約と解説を行い、全員でその内容について議論するという仕方で会を進めます。そのあと、午後の終わりにミニレクチャーとして、チンパンジーの認知発達研究に取り組んでおられ、模倣を含めた親子間の学習過程に関心をお持ちの京都大学霊長類研究所の田中正之先生にお話ししていただきます。
今回の例会は、昨年9月に続き、名古屋で4回目の開催となります。交通の便のよいところですので、認知発達に関心をお持ちの各地の皆様のご参加をお待ちしております。
●日時 :
12月22日(土)午前10時~午後5時半
●場所 : ウィル愛知(愛知県女性総合センター)会議室
〒461-0016 名古屋市東区上堅杉町1番地 tel. (052)962-2511~3 fax (052)
962-2477
●検討文献
Mertzoff,A.N. & Prinz,W.(2002) The Imitative Mind:
Development, Evolution, and Brain bases. Cambridge University Press
なお、以下に検討文献の案内、目次がありますので、ご覧ください。
http://www.cambridge.org/catalogue/catalogue.asp?isbn=9780521806855
●例会当日の時間割および報告者
10:00 開会
10:10-11:20 第1章 Meltzoff,A.N.: Elements of a
developmental theory of imitation
報告者:中嶋理香さん(姫路獨協大学)
11:20-12:30 第2章 Nadel,J.: Imitation and imitation
recognition: Functional use inpreverval infants and nonverbal children in
autism.
報告者:瀬野由衣さん(名古屋大学大学院博士後期課程院生)
12:30-13:40 昼休み
13:40-14:50 第5章 Rochat,P.: Ego function of early imitation.
報告者:常田美穂さん(北海道大学大学院OD)
14:50-16:00 第8章 Prinz,W.: Experimental
approaches to imitation.
報告者:森口佑介さん(京都大学大学院博士後期課程院生)
16:00-16:10 休憩
16:10-17:10 ミニレクチャー
「チンパンジーの子どもの学び方 ~親のしていることはしたくなる~」
講演者: 田中正之先生
(京都大学霊長類研究所行動神経研究部門思考言語分野助教)
17:10-17:30 総括的討論
講演者紹介
田中先生は、現在、京都大学霊長類研究所・行動神経研究部門・思考言語分野の助教で、これまで、アイとアユムをはじめとする3組のチンパンジーの母子の発達研究プロジェクトに、松沢先生、友永先生と共に取り組んでこられました。周知のように、この研究プロジェクトは世界的に注目を集めており、その現段階での成果は、『Cognitive Development in Chimpanzees』(Matsuzawa,T., Tomonaga,M. & Tanaka,M.〔Eds.〕 という本となって昨年(2006年)、Springerより出版されました。田中先生は、その編者のお一人であるとともに、チンパンジーによる自然の事物のカテゴリー化に関する一章を執筆されています。また、田中先生には、チンパンジーのお絵かきに関するユニークな研究があり、今回の例会では、この研究や、母子が共に同じ課題に取り組む場面の研究から見えてきた、チンパンジーの子どもの学び方について、模倣の問題にもふれつつ、お話しいただくことになりました。先生のミニレクチャーが、人間の子どもとチンパンジーの子どもの学び方の相同性と異同性について知り、人間にとって模倣とは何かを改めて考える機会になれば、と思います。(文責:加藤義信)
参考文献:田中正之(2003)チンパンジーの子どもの学び方. 発達96:102-112.
田中正之, 友永雅己, 松沢哲郎 (2003) 3組のチンパンジー母子の発達研究プロジェクト-チンパンジー発達研究への新たな試み-. 心理学評論 3(45):
296-308.
友永雅己,田中正之,松沢哲郎(編著) (2003) チンパンジーの認知と行動の発達.京都大学学術出版会.
●参加申し込み・参加費・問い合わせについて
事前の参加申し込みは必要ありません。また,参加費に関しましては,日本発達心理学会認知発達理論分科会員の皆さんは、規約にありますように年会費(今回のみの参加費ではありません)として1000円徴収しますが、院生など定職のない人は無料です。
●会場までの交通案内
JR名古屋駅から地下鉄東山線藤が丘方面行きに乗車し「栄」で下車(5分)、名城線市役所方面行きに乗り換え「市役所」下車(3分)、東へ徒歩10分、市政資料館(赤レンガの古い建物)の前の新しいきれいな建物がウィル愛知です。なお、名古屋駅からは地下鉄桜通線野並方面行きに乗車し「久屋公園」で下車し、名城線市役所方面行きに乗り換えることもできます。
詳しくは、ウィル愛知のホームページ(http://www.will.pref.aichi.jp/)をご覧ください。
●問い合わせ
本例会について,内容に関してのお問い合わせは加藤義信(第24回例会幹事:愛知県立大学)E-mail:
yo-kato@lit.aichi-pu.ac.jp,その他に関しては山名裕子(事務局:秋田大学)E-mail:
yamana@gipc.akita-u.ac.jpまでお願いいたします。
また,認知発達理論分科会の紹介や過去の例会に関しましては,下記のホームページをご覧ください(http://home.hiroshima-u.ac.jp/shinsugi/t_cd/)
●懇親会
研究会終了後、会場近くにて懇親会を開く予定です。こちらもご参加を歓迎いたします。なお、学生会員・参加者には参加費の割引があります。
加藤義信(愛知県立大学文学部)