■発達心理学会認知発達理論分科会 第28回例会のご案内
今回は、昨年(2008年)、名古屋大学で博士の学位を取得した木村美奈子さんと瀬野由衣さんのお二人に、博士論文の内容を執筆中の苦労話を交えつつ報告していただきます。お二人の研究はいずれも、幼児期の認知発達、とりわけ表象機能の発達にかかわる内容であり、この問題領域に関心のある方々や、これから博士論文に挑戦しようとしている大学院生のみなさんの積極的参加を期待いたします。
久し振りの名古屋での例会ですが、これまで使用してきた会場とは異なる場所での開催となります。お間違いのないよう、下記の情報をご参照ください。
●日時
:6月13日(土)午前10時00分~午後4時
●場所
:名古屋港湾会館4階第5会議室
(名古屋市港区入船2丁目1-17 tel:052-652-7151)
JR名古屋駅で東海道線上りに乗り換えてJR金山駅下車、地下鉄名城線の名古屋港行きに乗って終点「名古屋港」下車、2番出口より西に徒歩3分。なお、地下鉄名城線は、金山駅で同じホームに二方向の電車が入ります。「名古屋港」行きに間違えないよう乗ってください。
名古屋港湾会館のHPは以下の通りです。地図も見られます。
http://www.nagoyaaqua.jp/kaik/index.html
すぐ近くには、日本有数の規模を誇る名古屋港水族館があります。例会終了後、希望者みんなで水族館を見学の予定です。
●例会当日の時間割および報告者
10:00 開会
10:10-12:10 「幼児・児童における映像の表象性に関する理解の発達」
報告者:木村美奈子(愛知県立大学非常勤講師)
コメンテータ:中垣啓(早稲田大学教育学部)
12:10-13:20 昼休み
13:20-15:20 「幼児における心的状態の理解に関する発達的研究 -知識の心的保持と行為抑制に着目して-」
報告者:瀬野由衣(東京大学大学院学校教育学研究科・教育学研究員)
コメンテータ:月本洋(東京電機大学工学部)
15:20-15:30 休憩
15:30-16:00 総括的討論
●発表内容
木村美奈子さん
「幼児・児童における映像の表象性に関する理解の発達」
*要旨:私たちは日々,様々な外的表象に囲まれて生活している。中でもテレビ映像は,子どもたちの生活と切っても切りはなせない存在であり,その影響の是非は社会的にも大きな関心の的となってきた。しかし,この問題を考えるには,まず子どもがこうした映像をどのように見ているか,理解しているかを明らかにする必要がある。
そこで本博士論文では,4歳から6歳までの幼児と,小学校2年生児童を対象に,ビデオ映像の対象を実在と区別し,表象として理解していく過程を調べた。また,ビデオ映像の理解と写真の理解を比較し,表象性理解を困難にする要因についても検討を行った。さらに,これまでの映像理解の発達研究を統合する発達段階モデルを提案した。
瀬野由衣さん
「幼児における心的状態の理解に関する発達的研究 -知識の心的保持と行為抑制に着目して-」
*要旨:筆者は,子どもが人の行動の背後にその人に固有の心的世界が存在することを理解するようになる発達過程に関心をもち,研究に取り組んできた。
本発表では,筆者自身のこれまでの研究で得られた知見を中心に紹介する。具体的には,健常児では,4~5歳頃から自他の心的状態の差異を自覚化するようになること(瀬野・加藤,2007),他者の心(心的状態)を考慮したコミュニケーションの成立には,行為を一時的に抑制し,自分の有する知識を心的に保持する能力の発達が関わるという結果(瀬野,2008)を中心に報告し,今後の研究の方向性について議論する予定である。
●参加申し込み・参加費・問い合わせについて
事前の参加申し込みは必要ありません。また,参加費に関しましては,日本発達心理学会認知発達理論分科会員の皆さんは、規約にありますように年会費(今回のみの参加費ではありません)として1000円徴収しますが、院生など定職のない人は無料です。
●問い合わせ:本例会について,内容に関してのお問い合わせは加藤義信(第28回例会幹事:愛知県立大学)E-mail: yo-kato@lit.aichi-pu.ac.jp,その他に関しては山名裕子(事務局:秋田大学)E-mail: yamana@gipc.akita-u.ac.jpまでお願いいたします。
また,認知発達理論分科会の紹介や過去の例会に関しましては,下記のホームページをご覧ください(http://home.hiroshima-u.ac.jp/shinsugi/t_cd/)
●懇親会:例会終了後、名古屋駅近くに戻って懇親会を開く予定です。こちらも参加を歓迎いたします。なお、学生会員・参加者には参加費の割引があります。
加藤義信(愛知県立大学文学部)