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広島大学大学院
医歯薬学総合研究科
創生医科学専攻
遺伝子制御科学研究室


〒734-8551
広島市南区霞1-2-3
TEL: 082-257-5280
FAX: 082-257-5284

フロンティア微生物研究センター
(産学官連携拠点)
TEL: 082-257-5288

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乳酸菌は、その生育環境の違いによって、動物乳酸菌と、植物乳酸菌に大別できます。前者は、腸管内や牛などの乳房付近に生息する乳酸菌で、チーズやヨーグルトの製造に利用されています。
 一方、植物乳酸菌は、味噌や漬物などの醗酵食品に見出されます。一般的に植物乳酸菌は、胃酸や胆汁に対し高度耐性を示すことから、動物乳酸菌と比べ、生きたまま腸に届きやすく、しかも高い免疫賦活活性を持つことがわかってきました。
当研究室では、果物、野菜、花、薬用植物などに特化して乳酸菌を探索・分離し、これまでに 350株を超える同定済み植物乳酸菌からなる「ライブラリー」を樹立しています。そのライブラリー中に敗血症の原因菌や虫歯菌の増殖を強く阻害する「抗菌ポリペプチド」をつくる乳酸菌、「γ-アミノ酪酸 (GABA)」を高生産する乳酸菌、慢性胃炎や胃潰瘍のリスクファクターとしてのピロリ菌( Helicobacter pylori )の増殖を抑制する物質を産生する乳酸菌、体内脂肪の蓄積を抑制する効果が期待できる乳酸菌など、有用な植物乳酸菌を数多く発見してきました。
 現在、それらの植物乳酸菌の機能性を科学的に検証しています。
また、基礎研究に加え、植物乳酸菌を活用すべく、主に広島地域の中小食品系企業と連携し、産学共同で新しい機能性食品の開発に取り組んでいます。植物乳酸菌による世界初のハードヨーグルトを始め、 GABAを含有する漬物、パン、梅酒など、既に10種を超える機能性製品が商品化されています。しかもそれらの製品は、広島大学との産学連携の成果として生み出された証拠として、「 BioUniv Hiroshima 」というブランド名(広島大学が商標登録)を冠して、市場に登場しています。


 

抗生物質は、感染症の治療薬として人類に大きく貢献しています。
これまでに発見された抗生物質の 7割は、土壌中細菌の仲間「放線菌」によって産生されるものです。すなわち細菌が病原菌に対抗するための薬をつくるのです。 当研究室では、 Streptomyces 属の放線菌を研究材料としています。
 現在、 DCSを生産する Streptomyces lavendulae ATCC11924 を用いて、DCS生合成遺伝子クラスターと、この菌が保有する別の抗生物質の生合成遺伝子の発現制御機構に関する研究を推進しています。 抗生物質の生合成遺伝子の研究は、「異種の宿主を用いた抗生物質の大量生産」や「生合成遺伝子の改変による新規生理活性物質の創生」につながります。具体的には、以下の内容で研究を進めています。

(1) DCS生合成遺伝子クラスター
 DCSの分子量は102と非常に小さく, その構造もシンプルであるにもかかわらず、その生合成遺伝子はこれまでクローニングされていませんでした。私たちは、最近DCSに対する自己耐性遺伝子の近傍からDCS生合成遺伝子群(これをクラスターと呼ぶ)のクローニングと異種宿主を用いてDCSを生産することに成功しました (掲載論文;Antimicrob.Agents Chemother.54,2010)。現在、DCSの生合成経路を詳細に解明するための研究を推進しています。

(2) その他抗生物質の生合成遺伝子クラスター
  ポトロマイシンは,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やバンコマイシン耐性腸球菌に有効なペプチド系抗生物質です。現在,ボトロマイシンを生産する放線菌Streptomyces bottropensisから,その生合成遺伝子のクローニングを試みています。また,抗腫瘍活性を有する抗生物質ストレプトニグリン,および,C-ヌクレオシド系抗生物質であるショウドマイシンの生合成遺伝子について,それぞれ,それらの生産菌であるStreptomyces flocculusおよびStreptomyces showdoensisからクローニングを試みています。
最終的には,これら抗生物質の生合成遺伝子を利用することにより,新規の生理活性物質の創生を目指しています。


  今や、タンパク質の一次構造(アミノ酸配列)は容易に知ることができます。しかし、この情報だけではタンパク質の機能を知ることは困難です。そこには「タンパク質の立体構造レベルでその機能を明らかする」という取り組みが必要で、この領域の学問を構造生物学と呼んでいます。タンパク質の立体構造情報は , ドラッグデザインや新規タパンク質の創生に役立ちます。
 当研究室では、構造生物学的手法を駆使して、当研究室で発見した、新奇機能を持ったタンパク質の構造を明らかにすることを通じて、タンパク質の機能と構造との相関性を理解しようと試みています。また、一部のタンパク質に関しては、詳細な構造解析を実施し、タンパク質に特異的な化学反応を原子レベルで理解しようと試みています。具体的な研究対象として

(1) 放線菌および乳酸菌の自己耐性因子の立体構造解析
抗生物質生産菌の自己耐性機構を分子構造のレベルで明らかにすることによって、今後出現する薬剤耐性菌の耐性機構を予測するとともに、耐性菌に有効な抗生物質を新たにドラッグデザインすることができると期待されます。興味深いことに、抗菌性ポリペプチドを生産する乳酸菌がいます。
 私たちが、未生菜から分離した Enterococcus mundtii 15-1A は、抗菌ポリペプチド (mundticin 15-1A と命名 )を生産します。最近、 mundticin 15-1A に対する自己耐性因子の構造を決定しました。ちなみに、乳酸菌研究者たちは、乳酸菌の抗菌ペプチドに対する自己耐性因子を immunity protein (免疫タンパク質)と呼んでいます。

(2) DCS生合成酵素の立体構造と機能の解析
抗生物質は、菌の生育には必須ではない「二次代謝経路」を用いて生合成されます。二次代謝に関わる酵素は、特異的な反応を触媒することが多く、化学工業分野で役立つかも知れません。また、二次代謝経路の酵素として、ポリケタイド合成酵素や非リボソーム型ペプチド合成酵素 (NRPS)が有名ですが、一次代謝経路の酵素の構造が微妙に変化することにより、二次代謝経路の酵素として使われていることも多いようです。

(3) 創薬に役立つタンパク質の立体構造解析
創薬やコスメトロジーの分野に役立つタンパク質として、シミやソバカスの原因物質であるメラニン色素生成酵素「チロシナーゼ」の構造研究を進めています。チロシナーゼの立体構造と、触媒機構の関連性を明らかにすることは、新しい美白剤のドラッグデザインにも役立つことから、その構造研究は極めて注目されています。事実,当研究室が 2006 年に発表した「チロシナーゼの三次元構造」を決定した学術論文 (Journal of Biological Chemistry, USA) は、 2011年12月時点で190回以上引用されています 。



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