第30回水郷水都全国会議東広島大会宣言


「みんながかかわる里山・里海」をテーマに


第30回水郷水都全国会議は2014年12月6日、7日の両日、広島県の東広島市で広島大学を会場に開催された。本大会には、全国で水環境の保全活動や水を大切にした地域づくりに取り組む市民・行政・研究者・事業者など142人が参加した。

 東広島市が位置する西条盆地・賀茂台地は、多数のため池を有し、赤瓦の民家と水田、里山のコントラストが美しい農村景観が広がり,龍王山系からの地下水を活かした酒造りにより、日本三大銘醸地の一つと称される。特に近年は地元の酒造会社が主導して,一升一円の基金を原資とする水源地の森を守る市民活動を行っている。また、広島大学が東広島市に完全移転して、20年が経とうとしているが、地域と大学との連携により、それらの市民運動が活発化してきている。大会では,当地の水環境に関わる諸活動の報告を得て、活動における水質や生物多様性に対する意識、活動を発展・継続するための財源、大きな対立軸はなくてもじわじわと環境劣化が進む地域での市民活動のあり方など、これからの市民活動の課題について話し合った。

 近年,山と海とのつながりに関心が高まり,マネー資本主義に対する里山資本主義も提唱されている。このような自然と社会の新たな関係を模索する動きがある一方,一時期抑えられていた公共事業が活発化する動きもみられる。ある地域では産・官・学・民の連携や協働による環境づくりが志向され、また、ある地域では中央政府の思惑と、土地の自然とともに生きてきた地域住民の思いが鋭く対立する。大会2日目は,このような多様な関わり方があることを承知したうえで、全国各地の報告をもとに、「里海(湖)の環境再生」、「治山・治水・水資源:開発と住民自治」、「伝える・つなげる:環境教育・市民活動」の3つのテーマを議論した。

 全体会と分科会を通して注目されたことは、30年にわたる水郷水都活動を続けてきた中で、地域の自然環境および社会環境が変わってきたこと、それにともない活動の対象や進め方も変わってきたこと、そして、それは地域によってさまざまであることである。そのような多様性を意識した中で、国内外の市民活動の連携を図りながら、市民主体の環境保全・地域づくりを模索しなければならない。身近な環境の劣化に不感症・無関心になることなく、市民、研究者、行政、企業などさまざまな立場を超えて、「みんながかかわる」場をつくっていくことが求められる。

しかし、一方で環境に関わる問題は、地域の中だけで解決できるような問題ではなく、グローバルな、あるいはナショナルな構造的問題として存在している。社会のあり方そのものを問い直し、変革していかなければ解決できないことの方がむしろ多い。それに寄与できる市民運動の新基軸を模索すべきであり、時には対立の先にその活路を見出すことも必要であるし、運動をいかに次世代につなげていくのか、息の長い活動の進め方も真摯に考えなければならない。

 水郷水都全国会議の30年目の節目にあたり、次の10年、20年に、つねに新たな環境価値を創造・発信し続ける市民運動を進めることをここに誓う。


         2014年12月7日

                     第30回水郷水都全国会議東広島大会参加者一同