2024年10月
10月20日.南総里見八犬伝(十)を読み終え,(十一)に突入.今年中には読了できそうです.
10月17日.トポロジカル表面状態の確率分布をparaview(フリーの3次元可視化ソフト)を用いて3次元空間プロットしようとしたら,使い方が全く分からず手も足も出ない.半年前に決死の覚悟で修得したのに,全て忘却の彼方.学生さんに教えを乞うしかなさそうです.
2024年9月
9月10日.今日は論文用の図を書きました.やればできる子なのだ.
2024年8月
8月31日.モモンガは外来語だと思っておりました.八犬伝第八輯巻第五付録(南総里見八犬伝(五))より引用.「…、今も日光山の頭にて、ご鼠(ごそ)の老犬なるものを、モモングワアといへり。モモンはモミの訛り也。グワアはそが鳴く声なるべし。」(ご鼠の「ご」はムササビ.環境依存文字なので表示できず.)
8月27日.なんとか科研費の申請書を書き上げる.去年はネタ切れ状態で無理攻めして惨敗.今年はせめて善戦したいものです.
8月9日.非人道的な科研費電子申請システムと格闘中.どうしてもErrorが出て入力が完了できない.1時間ほど試行錯誤した結果,金額を記入すべき欄に稼働率を記入していたことに気付く.砂礫のごとき人生かな.
2024年7月
7月20日.翻訳の助けを借りずに楽しめる書籍が恋しくなったので,一念発起して「南総里見八犬伝」を読むことにする.岩波文庫版は古書店で入手可能ではあるものの活字が極小とのことなので,奮発して新潮日本古典集成別巻の全12冊を取り寄せる.高等学校における古典の成績は高度に悲劇的ではありましたが,そんな私でもなんとか読めそうであり一安心.
7月13日.素人の感想を述べるとすれば,「ユリシーズ」における文体や構成の革新性は感嘆の対象にはなり得るが,愉悦の源泉とは言い難い.結局,少数派に属する好色お下劣変態おじさん(レオポルド・ブルーム)の懐の広さと毅然とした生き様に感銘を受けてしまったと云うことか.高度に革新的な書物を極めて古典的に楽しんでしまったのでありました.
7月6日.ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」(丸谷・永川・高松訳,集英社文庫ヘリテージシリーズ)を読了.なぜ面白いと感じてしまうのか,論理的に説明するのが難しい小説なのであります.確認のため各所を繰り返し読み返したため,全体を2回分くらい読んだ気分です.
2024年6月
6月22日.やっと第17挿話(IV巻)を読み終えました.読み進める際,過去の挿話を確認するためにI巻からIII巻も手元に置く必要があります.通勤時に読書時間を確保できないのが痛い(流石に文庫本4冊を携えて通勤する気にはならない).
2024年5月
5月18日.ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」(丸谷・永川・高松訳,集英社文庫ヘリテージシリーズ)を読んでいます.訳注が膨大である上に,過去の挿話との関連を確認する作業に手間を取られ,なかなか先に進みません.現在,第14挿話(III巻)を読み終えたところなり.とても面白いので,ちんたら読み進めることにいたします.
2024年4月
4月7日.少し早いとは思いつつバジリコの種を蒔く.早くペスト・ジェノヴェーゼを食したいものです.
4月5日.数年前から学生実験「論理回路・デジタル回路」を担当させられていますが,学生さんから教科書に不備が多いとのご指摘を受けてしまいました.素人なりに努力して約一週間で改訂作業はほぼ終了.だいぶ読みやすくなったと自負しております.座学に限れば論理回路の講義が出来そうな気分です.
学生の頃,論理回路には知的好奇心が掻き立てられなかったので無視してやり過ごしましたが,こんな目に合うとは皮肉な巡り合わせとしか言いようがありません.
大阪市立大工学部の助手に採用されてから約三十年経過しましたが,初めて工学部の教員らしい仕事をした気になったとさ.
2024年3月
3月24日.ヒロシのぼっちキャンプ(Nos. 181 and 182, season 8)を観ながら怠惰に過ごす.ヒロシ氏は鼻歌でボレロを奏でながら,白飯の上に豚生姜焼きを移送するのでありました.
3月9日.録画しておいた「東京暮色」(監督 小津安二郎)を観る.山田五十鈴さんが上手すぎる.
2024年2月
2月12日.録画しておいた「宗方姉妹」(監督 小津安二郎)を観る.長いあいだ「むなかたしまい」と認識しておりましたが,正しくは「むねかたきょうだい」なのでありました.大変恥ずかしい.
2024年1月
1月27日.はじめて経鼻胃内視鏡検査を受ける.大変しんどい.こっちが涙目になっているのに,看護師氏は容赦なくぐりぐりと内視鏡を操作し続けるのでありました.
1月17日.年末年始を通して院生K氏の髪の色が黒→金→緑と目まぐるしく時間発展するさまに感銘を受ける.これも青春.
1月年始.ジェイムズ・ジョイスの「若い芸術家の肖像」(丸谷才一訳,集英社文庫ヘリテージシリーズ)を読んで感銘を受ける.浜辺の少女の姿から啓示を受ける場面は大変美しい.
2023年12月
12月27日.あっと言う間に「芝浜」や「掛取萬歳」の季節になってしまいましたとさ.
12月21日.学生さんから計算プログラムが上手く走ってくれないとの報告を受け,地味に対応する.私に計算機関係の助言を乞うようでは技術者として生きて行けない,生きる資格もないと誠実に諭したのでありました.
2023年11月
11月10日.録画しておいた「日曜日が待ち遠しい」(監督 フランソワ・トリュフォー)を観る.トリュフォーの遺作となってしまった軽妙なサスペンス映画.学部の2年生(3年生?)の頃に仙台駅東口にあった映画館で観た記憶があるので,30数年振りか.颯爽と行動するファニー・アルダンがとても素敵.
2023年10月
10月29日.
毎日新聞(10/28(土) 17:45配信)によると,27日の国連総会において「ヨルダン案の共同提案国に名を連ねたパキスタンのアクラム国連大使は採決前、ハマスを名指ししたカナダ案について「片方だけを非難するのは公平ではない」と表明。「イスラエルによる(パレスチナの)占領が問題の原罪だ」と訴えると、議場から大きな拍手が起きた。」とのこと.一刻も早い停戦を.
10月1日.「吉田類の酒場放浪記」が放送20周年を迎えたそうです.放送が始まった頃は朝の放送を見てから出勤したものです.あの爛れた生活が懐かし.
2023年9月
9月29日.某誌のeditorより,先日referee reportを送った論文の最終結果について報告が届く.最近は算数が絶望的に面倒な論文ばかり回ってくるので辟易しています.体に悪い仕事はいやでありんす.
9月24日.録画しておいた桂文之助師匠の「宇治の柴舟」を聴く.初見の上方噺なり.崇徳院と紺屋高尾(幾代餅),夢金を合わせたような噺でありました.
2023年8月
8月15日.「ダブリン市民」は読み終えたが,やはり書店に出掛ける気力が湧かない.録画しておいた「夜明けの祈り(2017年)」(監督 アンヌ・フォンテーヌ)を見て盆休みはおしまい.
8月12日.ジェイムズ・ジョイスの「若い芸術家の肖像」を読もうと思い立ったが,購入しに書店に出掛ける気力が湧かない.弥縫策として「タブリン市民」(安藤一郎訳,新潮文庫)を読み始める.私が所持しているのは五十三刷(1988年8月)なのでありました.安藤訳はとっくの昔に絶版とのこと.
2023年7月
7月11日.40歳台後半から60歳代前半の男性は風疹の抗体保有率が低いので抗体検査を受けろと,市から散々せっつかれておりました.幼少時,おたふく風邪に罹ったことは明確に覚えていますが風疹の記憶は残っていないので近所の医院で検査してもらいました.その結果,充分な量の抗体があるので予防接種は受けなくてもよいことになりました.人並の経験は積み重ねてきたのだなあと感慨に耽るのでありました.
2023年6月
6月17日.CLEVASに置いてある動画をTeamsで共有して配信する練習を行う.音声を共有できず困りましたが,何とか解決.やればできる子なのだ.
6月12日.就職活動で苦戦していた院生氏より朗報が届く.めでたしめでたし.
6月11日.「トリコロール/赤」を見る.少し感心しました.
6月10日.録画しておいた「トリコロール/青」と「トリコロール/白」(監督 クシシュトフ・キェシロフスキ)を見る.感心しない.
2023年5月
5月20日.最近,BS松竹東急で放映される昔の映画を網羅的に鑑賞しております.「初恋のきた道」,「グッバイ、レーニン」,「ポネット」,等々.そのなかで「ロゼッタ」(監督 ダルデンヌ兄弟)は圧倒的に頭抜けておりました.神経に損傷をもたらす劇薬なり.
2023年4月
4月12日.緊急連絡網に記載するので携帯電話の番号を申告せよとの指令が届く.携帯電話を所持していないと正直に答えるしかないが,何故か少し恥ずかしい.
4月1日.学会のお仕事(***代表)が無事に終了し,一息ついたところです.無事に終了は個人的見解なり.4月からは学校のお仕事(***長)を仰せつかってしまったので,自転車操業状態はまだまだ続くのでありました.***長とか***代表,***委員長と云った仕事に適性が無いことは絶望的によく理解しているが,昨今の人員不足のため引き受けざるを得ない.この不条理は退職まで続くのあろうか.
2023年3月
3月31日.オンライン会議を完全に失念し,KさんとTさんに怒られる.ごめんなさい.算数がややっこしい論文のreferee reportをねちねち書いていたら,集中しすぎて時間感覚を喪失したのでありました.
3月6日.会議の日程調整を行う度に気付かされてしまう切ない事実.自分自身は最近忙しいと感じているのに,誰よりも相対的に暇なのでありました.
3月2日.ロスナイって何ですか.換気システムのことらしいのですが,私にはさっぱり分かりません.
2023年2月
2月5日.ドラム式洗濯機の使用法を学習する.やればできる子なのだ.
2023年1月
1月7日.「ラ・カテドラルでの対話」を読了.学生の頃は難解な小説と感じておりましたが,技巧を凝らした娯楽小説と認識するのが正解か.読んでいて楽しいが,深い余韻は残らない.
1月6日.Medscape (2023年1月4日)で拾ったReutersの記事(2022年12月29日)には
TOKYO (Reuters) - Japan on Wednesday recorded 415 COVID-19 deaths, the highest-ever count for a single day, health ministry data showed.
と書いてありました.また,
In the past seven days, Japan had the world's largest confirmed COVID-19 infections and the second-most deaths after the United States, according to a tally by the World Health Organization.
とのこと.政策によって引き起こされた人災ではなかろうか.
2022年12月
12月31日.雑務に追われとんでもなく忙しい年末でした.研究は全く進まず無念なり.来年は頑張ります.気分転換のために,バルガス=ジョサの「ラ・カテドラルでの対話」(桑名一博・野谷文昭訳,集英社)を読み始める.30数年振り.本作や「族長の秋」が収められていた「ラテンアメリカの文学」(箱入単行本の全集)は絶版になってしまったようです.知りませんでした.
2022年10月
10月28日.予想外の数値計算結果に悩まされること一週間.計算プログラムの極めて単純な間違いに気付く.超絶ふぁんしぃな可能性をあれやこれやと思案して損しましたとさ.
2022年9月
9月25日.「アンダーグラウンド(1995年)」(監督 エミール・クストリッツァ)を見る.最初の5分で見るのを断念しかけたが,大変おもしゅろうございました.大団円がとても素敵.実は,同じ監督の「パパは、出張中!」を大昔から見たいと思っていながら,いまだに叶いません.
9月23日.「長江哀歌(2006年)」(監督 賈樟柯)を見る.期待していたせいか脚本が少々物足りない印象を受けたが,見終わった後に主演俳優氏(男性の方)の何気ない台詞やぱっとしないお姿が目に浮かぶのでありました.好演と云うことでしょう.
9月13日.学会主張中.宿に戻ってはじめて気付く.一日中Tシャツの前と後ろを反対にして着ていたことに.私はある種の天才かもしれない.
9月8日.ストレスチェックの結果が届く.私はストレスをあまりかかえていないそうです.まあ,そうかもしれない.
2022年8月
8月30日.学会のお仕事用エクセルファイルで平均点と標準偏差を計算できるようにすべく奮闘する.これは無理かもしれない.やればできる子にも限界があるのだ.
2022年7月
7月24日.学会のお仕事用エクセルファイルにプルダウンメニュー(ぷちっと押すと選択肢が表示される仕組み)を導入すべく奮闘する.1時間ほど試行錯誤して何とか成功しました.私にできるとは思っていなかったので大いに感動する.やればできる子なのだ.
2022年6月
6月13日.非エルミート系の量子力学に嵌ってしまってさあ大変.散乱状態の正規直交性が示せずに難儀しておりましたが,先ほど神のお告げに導かれ無事解決することが出来ました.めでたしめでたし.
2022年5月
5月28日.チボー家の人々は「1914年夏」(五巻の前半まで続く)を読み終えた時点で中断してしまいましたが,本日,読了しました.学生の頃は何とも思わなかった「エピローグ」が大変面白いのでありました.精神が老化したせいでしょうか.
5月8日.まだ四巻目の半分です. 少し盛りました.本当は半分ではなく3分の1.
5月1日.3日かけて「チボー家の人々・第1巻」を読了.30数年振り.私の手元にあるのは,教養部に居た頃,知人から破格値で譲り受けた箱入5巻組.当時,チボー家の人々は大学生になったら読むのが当たり前の小説だと思っていた.白水社のサイトには,「小津安二郎監督の映画『麦秋』の会話「面白いですねえ、チボー家の人々」「どこまでお読みになって?」「まだ四巻目の半分です」は有名。」と書いてありました.これは冒頭の北鎌倉駅における朝の情景.「どこまでお読みになって?」は原節子さん演じる紀子の台詞なり.
2022年4月
4月17日.ペストジェノヴェーゼ用のバジリコの種を撒く.ペストジェノヴェーゼとは,すり潰したバジリコの葉と松の実をオリーブ油と摺り下ろしたパルミジャーノ(←牛チーズ),ペコリーノ(←羊チーズ)と和えたペースト状のパスタソース.通常ニンニクの摺り下ろしも投入するが,私は苦手なので省略.ジェノワではトロフィエと云う捻じれたひも状のショートパスタと合わせるのが定番です.しかし,これは手に入れにくいので,私はフジッリで代用しています.とても美味しい.白葡萄酒とともに食せば悦楽.
ここでは,須賀敦子氏の教え(出典は「霧の向こうに住みたい」所収の「ジェノワという町」)に従い,ジェノヴァ(←正しい日本語発音)をジェノワと表記しました.イタリアの空港で「ジェノヴァ」と正しく日本語発音したら首を傾げられ,「ジェノワ」と言い直したら通じたことが何度かあります.
2022年3月
3月19日.修士の学生さんを誤魔化す程度の理解では不充分なので,もう少し勉強しました.学会で恥をかかない程度の理解に到達した気がします.やればできる子なのだ.
3月11日.修士論文の主題作りのため,トポロジカル絶縁体のトポロジカル不変量について今更ながら根性で勉強する.行列のパフィアンなんて真面目に考えたことがなかったので大変苦戦しましたが,なんとか最低限の理解(←修士の学生さんを誤魔化す程度の理解)は達成した気がします.ところで,パフィアンは数学用語可愛い子選手権に出場したら優勝するのではなかろうか.
インドマグロ(ミナミマグロ)の脳天を食しつつ,
YWV45 もう,のう天竺に行くようなね….(←意味は良く分からない.)
居酒屋酔仙にて角煮大根を注文し,
YWV46 これに合うお酒を推薦していただきたいんですが.
2022年2月
2月20日.修士論文の発表会が終わって一息ついたところです.後は卒業論文発表会を残すだけとなりました.
狭山市駅(←実家から徒歩一時間の最寄り駅)にて.
YWV42 すごく美味しいお茶で有名な所です.でも,おちゃけもあると思います.
紹興酒とピータンを摂取しつつ,
YWV43 ピータンはひょっとすると楊貴妃の涙かなと….(←意味は良く分からない.)
熟練店員さんに鯉の生刺しを注文し,
YWV44 恋が芽生えそうなので….
2022年1月
1月4日.「ファウスト-悲劇第二部」(手恤x雄訳,中公文庫)を読了.こんなに面白いとは思いませんでした.
1月1日.ゲーテ大先生の「ファウスト-悲劇第一部」(手恤x雄訳,中公文庫)を読了.こんなに読みやすいとは思いませんでした.とても楽しい.
2021年12月
12月28日.会議をすっぽかしたり,誤ってフィッシングサイトに接続して始末書を書かされたり,滅茶苦茶な年末でありました.来年は少しまっとうな人間になりたいものです.
茄子のカリカリ揚げを食しつつ,
YWV40 もお,なすがままって感じですね.
バイスサワーを摂取しつつ,
YWV41 これが美味しいというアドバイスを頂きました.
2021年11月
11月3日.「無法松の一生(1943年)」(監督 稲垣浩) を4Kデジタル修復版で観る.三船敏郎と高峰秀子の1958年版は経験済ですが,坂東妻三郎と園井恵子の1943年版は初見.検閲による削除箇所が多いためか少々分かりにくい個所もあるが,1958年版の記憶を想起しつつ充分に楽しむことができました.坂東妻三郎の松五郎は嵌り過ぎるくらいに嵌っており,園井恵子(←勉強不足でよく存じません)も好演.吉岡敏雄の少年時代を演じた子役氏が後の長門裕之と知ってびっくり.
稚鮎のピザを食しつつ,
YWV38 あゆすべき味ですね.
しめ鯖を食しつつ,
YWV39 しめ鯖しめしめこの旨味,と云う感じでしょうか.(←意味は良く分からない.)
2021年10月
10月31日.「洪水」(フィリップ・フォレスト著, 澤田直・小黒昌文訳,河出書房新社) を読了.すべては消失する定めにある.
10月6日.学校のアカウントに多要素認証設定が義務付けられたそうで,未設定のまま放置していたら叱られました.近いうちに学外から接続できなくなると恫喝されてしまったので,悲壮な覚悟で設定作業を開始しましたとさ.工学部の教員として出来ないとは言えませんので.泣きながら注力したところ何とかメイルが読めるようになりました.ところで,WebブラウザのAuthenticatorとは何者ですか.
10月3日.新型コロナウイルス感染症の新たな感染者数は減少傾向にありますが,下げ止まっているようにも見えるので今後が心配です.感染症対策は台湾やニュージーランドに学べばよいと思うのですが….
鯵豆腐(←謎めいた酒肴)をつまみつつ,
YWV36 のっかってる鯵がですね,とんでもない良い味になっているんですね.
江戸開城(←芝の酒)を呑みながら,
YWV37 もうね,魂も開錠しました.
2021年9月
9月26日.ウルトラセブンの最終回,ダンがアンヌ隊員に対して自らがウルトラセブンであることを告白する場面は印象的ですが,そこで流れる音楽がリパッティの弾くシューマンのピアノ協奏曲の第一楽章であることを先日知りました.私自身のウルトラセブンに対する愛情は,自分が思っていたほど深くないことに気付かされてしまいましたとさ.
2021年8月
8月29日.厚生行政の無政府状態はいつまで続くのであろうか.
緑茶ハイを呑みながら,鶏のから揚げを摂取し,
YWV32 このたれの味,ヨーロッパ風の中華味みたいな….
茹でガツを前にして,
YWV33 では,がっつりといただきます.
いかなごの釘煮を摂取しつつ,
YWV34 いかなごの釘煮なんですが,ハーブ系の味付けがされるんですね.
(←ナレーターの河本さん曰く,調べたところ生姜のようです.)
焼きなすを摂取した後,一ノ蔵(←宮城の酒,学部生の頃よく呑んだ)を口に含んで,
YWV35 言うことなす.
8月23日.21日(土)に第二回ワクチン接種を受けたところ,翌日(日)は朝から37度台前半の微熱が続き無気力状態(←飲酒意欲も減退)で一日を終える.本日(月)は平熱に戻ったので,気合を入れて自然郷(bio)と竹雀を呑みます.
2021年7月
7月31日.少々遅ればせながら,自宅近傍の診療所にて第一回ワクチン接種を受ける.今のところ異常なし.老化のため反応が鈍いのであろうか.
実篤記念館にて油彩画「南瓜と人参」を鑑賞しつつ,
YWV31 野菜ですが油彩です.
7月25日.「アルバの二十三日」(ベッペ・フェノーリオ著,楠瀬正浩訳,バジリコ)を読み始める.手塚訳ファウストの文庫本を探しに行った書店で,本書のカバーに掲げられたパルチザンの肖像(のモザイク的集合)を見て衝動買いしたもの.数年前,ボローニャのマッジョーレ広場(確か旧市庁舎の壁面)で同様のモザイクを目にしたときは神々しい印象を受けたものです.カバーのモザイクはアルバのドーモ近辺に掲げられていると勝手に想像しましたが,自宅にてカバー写真の説明文を読んだところ,ボローニャのものと書いてあり少し驚きました.なお,当該説明文には「アルバから西方の位置にあるボローニャ…」と書いてあるが,これは誤り.西方ではなく東方である.
2021年6月
6月27日.某研究室主催オンラインセミナーの講師をうっかり引き受けてしまいましたとさ.40分くらいのおしゃべりのつもりが,予定時間は1時間半と言われ少々驚く.時間が延びる分には問題ないと言われるにおよんで明確に動揺する.集中砲火を浴びて炎上するのでありましょうか.
桑の都(←八王子の酒)を摂取しつつ,
YWV29 桑の都,そうと(桑都)ですね.そうと知っていれば最初から….
馬刺を摂取しつつ,
YWV30 これが究極の旨さでしょうね.ウマだけに.(←なるほどうまいことを言う.ウマだけに,とナレーターの河本さんが被せる.)
2021年5月
5月26日.私にチェーホフを薦めてくれたO氏は,当時人気絶頂の南野陽子さんを敬愛しておられた.全く関係ないが,私が4年生の一年間を過ごした通信用電子物理部門では,研究室として南野陽子ファンクラブに入会すべきか否か真剣に討議したのでありました.
5月23日.チェーホフの「かわいい女・犬を連れた奥さん」(小笠原豊樹訳,新潮文庫)を読了.チェーホフ再読は私にとって大変有意義でありました.チェーホフに初めて触れたのはM1の頃,二学年下のO氏のお薦めがきっかけでした.Y氏(同じく二学年下)のお薦めに従い泉鏡花を読み始めたのも同時期だったと思う.
レバーステーキを摂取しつつ,
YWV28 なんてレバー,素敵(ステーキ)なお味なんでしょう.
5月8日.チェーホフの「桜の園・三人姉妹」(神西清訳,新潮文庫)を読了.
5月5日.チェーホフの「かもめ・ワーニャ伯父さん」(神西清訳,新潮文庫)を読了.これまた三十数年ぶり.チェーホフは真面目に読み直すことにします.
5月4日.ツルゲーネフの「はつ恋」(神西清訳,新潮文庫)を読了.同じく三十数年ぶり.
5月3日.カミュの「異邦人」(窪田啓作訳,新潮文庫)を読了.通読は三十数年ぶり.
2021年4月
4月25日.新型コロナウイルス感染症をここまで蔓延させてしまった原因の一つが,PCR検査の抑制にあることは既に明らかと思われる.PCR検査抑制論者(特に医師)の動機を知りたい.
じゃあ蒼伝(←福岡の酒)と云うことで,
YWV24 そうでんなあ.(←ナレーターの河本さんまで,うまそうでんなあと被せる.)
妙高(←新潟の酒)を摂取しつつ,
YWV25 妙高けっこうおすすめですよ.
鯛の刺身を受け取りつつ,
YWV26 これはもう見るからにありがたいですね.(←ありがたい白身には日本酒を合わせたいと,河本さんが被せる.)
鯵フライを摂取しつつ,
YWV27 これはいいお味ですね.(←採録すべきか迷った.)
2021年3月
3月21日.学会が終わり,最後の***委員会も終わり,やっと少しばかり落ち着けそうです.我ながらよく労働したと思う一年間でした.助手の頃からこのくらい働いたならもう少し立派な研究者になれたかもしれないと,若き日の高踏的怠慢を少々悔やむ今日この頃です.
グルクン(←沖縄ではお馴染みのお魚だそうです)を摂取しながら,
YWV20 この旨味,脳天までぐるくん.(←意味は良く分からない.)
馬鈴薯を細長く麺状にして揚げたつまみをを摂取しつつ,
YWV21 ジャガイモが麺になります.御免なさい.(←意味は良く分からない.)
イクラ入りの卵焼きを摂取しつつ,
YWV22 イクラが幾らか入っていますね.
タイ茶漬けを摂取しつつ,
YWV23 皆さんもね,この秘伝の鯛の味,是非とも食べていただきたい.
2021年2月
2月2日.1月18日に投稿した件の論文は,本日掲載可となる.presentationが雑と(正当に)酷評する口の悪いreferee氏ではありましたが,ご指摘は慈愛に満ちているのでありました.恥ずかしながら,指導教員から作文指導を受けた気分です.関係ありませんが,オンライン投稿システムの履歴には
Reminder to Editor
との記録が残っています.Reminder to Refereeは頻繁に見かけますが,Reminder to Editorは希少だと思う.
2021年1月
1月31日.なんだかんだと雑務に追われる毎日なのでありました.
柿サワーと牡蛎のオイル漬けを食しながら(ナレーターの河本さん曰く,柿と牡蛎のコラボレーション),
YWV17 結構,でも,この取り合わせ画期的ですね.
小料理屋錦にて,赤い糸唐辛子のかかった鯵の南蛮漬けをつまみながら,
YWV18 錦をまとってますね.
YWV19 この味噌がとにかくミソだと云うことを常連さんが仰っています.
1月11日.今日で完全引きこもり5日目です.論文草稿も一通り完成してしまった.算数的完成度は低調なれど,物理的には大変面白いと自画自賛したい.算数的完成度は高いが物理的に寂しい論文を書くのが得意な私としては想定外の逸品なのでありました(←個人の感想です).明日は久しぶりに出勤予定.
「御免」ですねと(居酒屋の名前を確認しつつ)暖簾をくぐり,
YWV14 あ,ごめんください.
クエをつつきながら,
YWV15 なかなか,クエって喰えないんです.
銀盤(←富山の酒)を呑みながら,
YWV16 滑らかに舌の上で滑って行きますが,口の中でアイススケートのショーが始まっています.
1月2日.一日中怠惰に過ごすのは意外と難しいので,非エルミート・トポロジカル系に関する論文草稿の手直しに取り掛かる.私自身が非エルミート病に侵されるとは思いもよりませんでした.大昔,羽田野さんの非エルミート局在話を聞いたとき,小心者の私は(世の中には変わったことを考える人がいるものだと)驚嘆したものでした.
1月1日.あと数か月経てば***委員長の年季も明けるので,良い子の自由研究を爆発的に進展させるべく全身全霊を捧げる所存なのでありました.とは言え,息抜きも必要なので,3日までは怠惰にアルコール摂取に励むことにいたします.
炭火焼鳥まかやを後にして,
YWV12 ほんまかやと思うような店でした.
蒼天伝(←気仙沼の酒)じゃないですか,
YWV13 知ってます,(しっ)てんでんみたいな感じ.←(かなり無理がある)
2020年12月
12月22日.政府は各地で生じている(或いは,生じつつある)医療崩壊を放置するつもりなのであろうか.
2020年11月
11月21日.ローデンバックの「死都ブリュージュ」(窪田般彌訳,岩波文庫)を読了.なんと三十数年ぶり.教養部の頃から福永武彦の随筆を通してその存在を認識していたものの,入手が叶わなかった.大学院に進学した頃に生協書籍部にて発見し,伊良子清白の「孔雀船」(岩波文庫)と一緒に購入した記憶がある.現在はどちらも品切れとのことで,少々残念です.
11月11日.小鯵の唐揚げを摂取しつつ,
YWV11 ひとあじ違いますね.
11月06日.研究室のPCに疎行列用ライブラリー(z-Pares)を導入すべく鋭意努力してまいりましたが,本日奇跡的に成功してしまいました.面倒を見て下さった筑波大学のF先生に深く感謝いたします.
2020年10月
10月30日.12月から始まるオンライン講義の準備がとりあえず完了しました.長く苦しい作業から解放され,とても幸せな気分です.常軌を逸して分かりやすい量子力学の参考資料(←個人の感想であり効果・効能を示すものではありません)ができあがりました.学生諸氏のお役に立てば幸いです.
10月4日.10月1日の東京新聞によれば,「学者の立場から政策提言する国の特別機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補6人の任命を、菅義偉首相が拒否したことが分かった。」とのこと.学問の自由や思想信条の自由を侵害する行為ではなかろうか.
2020年9月
9月2日.軟骨の串焼きを摂取しつつ,
YWV10 一応食べるにはなんこつではない.←(難儀?困難?)
2020年8月
8月30日.ゼノンと僧院長との対話は身に沁みると言った方が適切であったか.根本的に立場の異なる生者間に誘起される親和力は美しい.末尾におけるゼノンと教会参事の対話とは絶望的に対照的なのでありました.
8月23日.マルグリット・ユルスナールの「黒の過程」(岩崎力 訳,白水社)を読了.主人公ゼノン(錬金術師,兼医師,兼哲学者,兼…)と僧院長との対話が大変刺激的でありました.作中で暗に言及されるヒエロニムス・ボスの「快楽の園」はプラドにあるそうです.
8月20日.非エルミート系のトポロジカル数について考えています.うろ覚えのbiorthogonal eigenstateを用いた計算で大やけど.基礎的理解の大切さを思い知らされましたとさ.
2020年7月
7月1日.2編の投稿論文が片付いたので,新たな課題に取り組みます.
YWV9 鶏の妖精がステップを踏んでいるような味.(←またしても,意味は良く分からない.)
2020年6月
6月10日.オンラインでPhysical Review B(米国物理学会APSの雑誌)の論文を読もうとしたところ,以下の文言が現れました.
APS is closed today to stand in support and solidarity with the Black community and #Strike4BlackLives, and to commit to eradicating systemic racism and discrimination, especially in academia and science.
日本物理学会もかくありたい.
6月8日. 5月はひたすらオンライン講義の準備をして過ごしました.少しは学生諸氏の役に立つと良いのですが.
YWV7 もそろ(もうそろそろ)酔ってきますね.(←濁り酒「醪(もそろ)」を呑みながら.)
YWV8 うまくて,あまくて,うっふんな味.(←意味は良く分からない.)
2020年5月
5月11日. 久しぶりに出勤.
YWV6 ハツだけに溌溂とした味がします.
2020年4月
4月20日. 今後の見通しについて益々悲観的にならざるを得ない今日この頃であります.
YWV4 由比の酒だけに…,マスターがそう言い(ゆい)ました.
YWV5 浜千鳥を呑んで何度千鳥足になったことか.
2020年3月
3月23日. 検査しまくって信頼できるデータを集めないと,まともな感染症対策などできる訳がない.今後の見通しについて悲観的にならざるを得ない今日この頃であります.
3月11日. 神経がささくれだっている時は何故かシュスタコが聞きたくなる.ここ一か月くらいショスタコーヴィチばかり.
ピアノ・コンチェルト(←トランペットが出てくる方)とピアノ五重奏曲が定番です.ときどきピアノ三重奏曲やチェロソナタ.
2020年2月
2月12日. 東京新聞(2月8日)の報道によると,原子力規制委員会は敦賀原発2号機の審査会合において日本原子力発電が提示した地質データに不適切な書き換えがあると指摘したとのこと.従来の資料における「未固結粘土状部」との記載が,「固結粘土状部」に変わっていたそうです.これは不適切な書き換えではなく改竄と言うべきでしょう.原発立地に関する地質データの改竄が疑われる事例は過去にも報告されていたと記憶しておりますが,規制委員会に指摘されてしまうとは.詳細は分かりませんが,規制委員会でさえ指摘せずにはいられないほど杜撰だったと云うことでしょうか.
原子力規制委員会と云えば,関西電力に求める火山灰対策の方針を決める会議(2018年12月)での不明朗な運営が発覚したばかり(毎日新聞2020年1月13日).
1月25日に発生してしまった四国電力・伊方原発3号機の外部電源喪失もとんでもない話(←ハーバー・ビジネス・オンラインに掲載された牧田寛氏の論考が有益でした).
原発に関連するあらゆる現場において疲弊が顕在化しているように感じます.このような状況において,原発の維持は無理筋としか思えない.
2月6日.期末試験の採点に集中します.終わったら論文の執筆.おやじギャグについて語っている場合ではない.
2月5日.吉田類氏のおやじギャグを記録する試み.氏の俳句は含蓄に富むとは言い難いものの,おやじギャグは大変味わい深い.吉田類おやじギャグ作品番号(YWV)なんて如何でしょうか.YWVはYoshida-Werke-Verzeichnisの略称.
YWV1 甲類,乙類,吉田類.
YWV2 マスターおすすめのマスタード.
YWV1は記憶のメカニズムを破壊する劇薬的快作である.忘れようとしても忘れられない.YWV2は極めて単純な構成にもかかわらず後からじわじわと沁みてくる佳品であり,名作の条件を満たしている.
2020年1月
1月15日.一週間前の工学部***委員会(←なんと私は副委員長!)をすっぽかしてしまったことに気付く.またやらかしてしまったと落胆しつつ同僚氏にお詫びしたところ,同委員会は議事僅少のためメイル審議に切り替えられたことを冷静に指摘される.奇跡的に助かっておりました.
1月4日.「モンテ・クリスト伯(1-7)」を読了.大変優れた娯楽小説なのでありました.心理描写を抑え伏線の回収を重視する点は巷に氾濫する現代的娯楽小説と良く似ているが,流石にそれらと比較しては大デュマに対して失礼でありましょう.
2019年12月
12月27日.代休をいただいて今日から冬休み.「モンテ・クリスト伯」 (山内義雄訳,岩波文庫)を読み始める.休みの間に読み切れるのであろうか.
12月7日.出張から帰ったら2kgほど肥えておりました.私の目方は緩慢なる長期低落傾向を示していたので少し嬉しい.やればできる子なのだ!
2019年11月
11月16日.毎日新聞によると,官邸幹部曰く「唐揚げ増やすなどやり方ある」とのこと.唐揚げが気の毒でなりません.
2019年10月
10月29日.LINEてなんですか.Instagramてなんですか.twitterてなんですか.生きていてもいいですか.
10月10日.「お好み焼きの日」は何事もなく過ぎにけり.
2019年9月
9月25日.10月10日は「お好み焼きの日」です.お好み焼き文化の守護聖人・オタフクソース株式会社によると,鉄板やホットプレート上でジュージューとおいしそうな音を立てるからだそうです.
2019年8月
8月29日.巻付き数の定義方法について考えながら生協の食堂へと向かう.研究科の玄関を出たあたりでちょっとした違和感を覚え,そこから100メートル程歩行すると違和感は決定的となり老眼鏡のまま外出してしまったことに気付く.怖いし目は疲れるし少々難儀しました.久しぶりに飯粒の形を明瞭に観察できたのが唯一の収穫なり.
8月21日.近所の爛れたおっさん呑み屋で一人呑み.鰹のたたきと野菜炒め,ビール大瓶,酒一合でしばしくつろいでいたところ,カウンターに海外観光客の女性2人連れを発見し驚愕する.天ぷら定食を摂取したのち風のように去って行くのでありました.
8月17日.6日かけてウンベルト・エーコ の「バウドリーノ(上,下)」(堤康徳 訳,岩波文庫)を読了.通奏低音は明るく開放的であり「薔薇の名前」や「プラハの墓地」とは対照をなす.前半部分にはエーコ大先生の故郷アレッサンドリアにまつわる挿話が織り込まれています.アレッサンドリアと言えばチェーザレ・パヴェーゼの「月と篝火」を思い出す.主人公の養父母はアレッサンドリア市の孤児院から僅かな援助を受けていると云う設定でした.個人的に愛好するBarbera d'Astiの産地であるアスティはアレッサンドリアの西側に位置する.
8月1日.原稿執筆に没頭し時間感覚を失う.講義をすっぽかしてしまったことに気付き(既に30分経過),焦って部屋を飛び出し階段を駆け下りる.研究科の玄関に到達した時点で,講義は明日で有ることに気付く.作文や計算への超常的没入は一種の特技と自認してきましたが,おつむの不具合ではなかろうかと恐れを抱きはじめた今日この頃です.
2019年7月
7月15日.二十数年ぶりに「終電車」(監督 フランソワ・トリュフォー)を観る.トリュフォー映画としては「隣の女」を偏愛してきたため本作とは疎遠でありましたが,記憶よりも大分良い印象を受けました.老化して初めて分かることもあるのですね.
7月5日.近所の居酒屋でカープの負け試合をTV観戦しつつ単独小宴会.小鰯刺と手長蛸煮付け,焼売をあてに生ビール小と楽器正宗,亀齢を摂取.お隣の超ベテランお姉さま方は四十過ぎの店主をからかいながら,女子会と称して愚痴話に情念を燃やすのでありました.
2019年6月
6月4日.薬研堀の小料理屋で小宴会.品書きを眺めていたら,鰻の隣に「ドラゴン」なる未確認物体を発見する.太刀魚の大物に対する呼称とのことですが,なんだか詩情に欠けますなあ.
2019年5月
5月7日.今週は芸風に適合しない非定常業務が盛りだくさん.自転車操業モードで耐え抜きます.
5月6日.「黒死館殺人事件」(小栗虫太郎,社会思想社・現代教養文庫)を読了.超常的衒学趣味に彩られたルール無用の反則技が懐かしくなり,二十数年振りに再読と相成りました.純粋な暇つぶしとしては可だが,二回も読む必要はないと確信するに至る.
大昔,特許庁にて特許出願書を収集するアルバイトに従事した際,分類不能と題した書冊から突き抜けた反則案件を掘り出すのが楽しみでした.例えば,「ニコニコだるま貯金の方法」(←超絶的にお金がたまる現代の錬金術)や「明日を天気にする方法」(←岩木山にお祈りして翌日の快晴を導く秘法)など.最も印象に残っているのは「逆さ膝落とし」(←革命的プロレス技).恐らく反則だと思う.
5月2日.「幻影の明治: 名もなき人びとの肖像」 (渡辺京二,平凡社ライブラリー)を読了.「旅順の城は落ちずとも」(←"司馬史観"に対する厳しい批判)が目当でしたが,「山田風太郎の明治」や「豪傑民権と博徒民権」にも感銘を覚えました.
2019年4月
4月16日.カープが弱くてさあ大変.居酒屋のおっちゃんたちは,****辞めろ!とかxxx引っ込め!と咆哮するのでありました.なんだかとても懐かしい風景.まだまだこれからですよ.
2019年3月
3月24日.卒業式も終了し,ついに類長(←学科長に相当)の業務から解放される.自身の社会性(特に協調性と意思疎通能力)の欠落を明確に認識していたがゆえに学問(その中でも単独で遂行できる理論分野)を志した私が,卒業式で挨拶する立場に直面するとは思いも寄りませんでした.
年たけてまた越ゆべしと思ひきや命なりけり小夜の中山
2019年2月
2月12日.久しぶりに流川の小料理屋に出掛けたら,もう筍が登場しておりました.季節感がおかしくなりそう.
2月11日.ハーバービジネスオンラインに「黒川名誉教授緊急寄稿。疑惑の被ばく線量論文著者、早野氏による「見解」の嘘と作為を正す」が掲載されました.黒川氏の主張は極めて正当.
2019年1月
1月14日.早野氏が発表した「伊達市民の外部被ばく線量に関する論文についての見解」によると,被ばく線量の過小評価が生じたのは第二論文であり,第一論文に解析上の誤りはないそうです.原因は計算プログラム上の換算ミスとのこと.しかし,牧野淳一郎氏(神戸大学)や押川正毅氏(東京大学),谷本溶氏(ローマ大学)らがTwitter上において正当かつ明快に指摘しているように,それだけでは第二論文に見いだされる多くの不整合を説明できません.黒川Letterで指摘された多くの疑問点に対する回答として著しく不充分なのです.
私はTwitterの仕組みに不案内ですが,今頃になってその利便性(と弊害)を認識するに至りました.商売柄,押川さんが超一流の物性理論家であることは認識しておりましたが,これらの問題についてご自身の見解を分かりやすく発信されているとは知りませんでした.大変立派なお仕事であり頭が下がります.ある物理学者に対する押川さんの問いかけは穏当ですが,問いかけられた側は回答に窮するでしょう.****は鬼より怖い,にっこり笑って人を斬る.
1月13日.今頃になって「雪の階」(奥泉光,中央公論新社)を読了.大変おもしゅろうございました.呉清源ネタで二度吹いてしまいましたとさ.
1月6日.忘年会(12月26日)の帰路,西条の大通りで盛大に転倒し複数個所を負傷しましたが,おかげさまで擦傷や皮下出血痕は冬休みの間にほぼ完治しました.累積して(させて)しまった業務の可及的速やかな遂行に向けて,エフォート10%くらいで前向きに努力したいと存じます.
1月4日.チェーザレ・パヴェーゼの短編集「祭の夜」(河島英昭訳,岩波文庫)を読了.息苦しさに身を苛まれ,容易には読み進めることができない.特に「新婚旅行」と「自殺」の二編が絶望的に切ない.
1月1日.宮崎氏と早野氏の第二論文[M. Miyazaki and R. Hayano, J. Radiol. Prot. 37, 623-634 (2017)]の問題点を指摘する論文[S. Kurokawa, arXiv:1812.11453]の存在に今朝気付きました.黒川眞一・高エネルギー加速器研究機構名誉教授は"serious inconsistencies in the second paper"に絞って問題点を指摘されていますが,2本の宮崎-早野論文に関して再検討すべき事項は多岐にわたるようです.この件に関しては,同氏の論述[被災地の被曝線量を過小評価してはならない, WEBRONZA, 2017年05月29日]が参考になります.
現時点において,私には何が「3分の1に過小評価」されてしまったのか理解できていません.宮崎氏と早野氏が明確に説明してくださることを庶幾します.[少々加筆修正,1月2日]
2018年12月
12月31日.毎日新聞の報道(2018年12月27日 21時48分)によると,早野龍五・東大名誉教授らが英科学誌に発表した個人被ばく線量に関する2本の論文について,倫理的問題(本人の同意のないデータの使用)と解析結果に関する問題(線量を過小評価)が指摘されているそうです.これは聞き流せない問題です.後者に関しては計算ミスによって線量を3分の1に過小評価していたとのことですが,軽微な訂正では収まらないかもしれません.なにしろ,2016年出版の第一論文[M. Miyazaki and R. Hayano, J. Radiat. Prot. 37, 1-12 (2016)]の抄録には,"The results show that the individual doses were about 0.15 times the ambient doses, the coefficient of 0.15 being a factor of 4 smaller than the value employed by the Japanese government, throughout the period of the airborne surveys used."と記述されているのですから.
大雑把に説明すると以下の通り.放射線量は室外と室内では異なる(遮蔽効果のため室内だと低減される)ので,個人の平均的被ばく量を推算する際には環境モニタリングで測定された空間線量に低減係数を掛けて調整します.お上はこの係数を0.6と定めているが,実際に測ってみたら約0.15(0.6の4分の1)だったと云うのがこの論文の主たる結論です.つまり,お上の決めた計算式が大幅な余裕をもって安全側に立つことを支持する結果でした.もし,この結果も「3分の1に過小評価」されていたとすれば,その余裕は激減してしまうのです.[少々修正,1月1日]
12月19日.近所の呑み屋にて,おっさんの単身赴任哀愁話を聞き流しつつ単独小宴会.〆鯖と焼き空豆を肴に一歩己,日輪田, 日置桜を各一合弱づつ摂取する.一歩己は「いぶき」と読むそうです.
2018年11月
11月19日.ここ二週間,四極子トポロジカル絶縁体の端っこ局在状態とやらに執着しているのですが,どうしても解析解が見つからず難儀しておりました.先ほど神のお告げを賜り,大変すっきりさっぱりとした解を見出すことに成功しました.すこし幸せ.
11月8日.近所の呑み屋にて,おっさん方のカープ哀愁話を聞き流しつつ単独小宴会.〆鯵と湯豆腐を肴に宙弧,竹鶴にごり,玉櫻を各一合弱づつ摂取する.適量なり.
11月1日.底抜けディラック模型でベクトルポテンシャルに対する電流応答を計算すると,容赦なく発散してしまいます.これを避けるためにエネルギーあるいは波数に対する単純な切断を敢行すると,今度は絶望的に病的な症状(←正常状態で無散逸電流が出現)が出来してしまいます.この宿痾を治療するための加持祈祷法をでっちあげて論文にまとめました.我ながらあきれるくらい地味な仕事ですが,もしかすると大事かもしれない.
2018年10月
10月31日.先週のおはなし.国連人権理事会で有害物質の管理・処分などを担当するトゥンジャク特別報告者は,『東京電力福島第一原発事故で避難した子どもや出産年齢の女性について、事故前に安全とされた被ばく線量を上回る地域への帰還を見合わせるよう、日本政府に要請する声明を発表した』とのこと(東京新聞から引用).ごく真っ当な声明だと思います.
10月27日.お久しぶりの流川の鮨屋で宴会.特別にお願いしなくても,偏愛する青魚を数種類ほど用意していただけるのが嬉しい.今期は北海道産の真鰯が大変激しくよろしいようです.
2018年9月
9月7日.新幹線の代替輸送も今週でおしまい.と云う訳で,もうキティーちゃん新幹線に乗る機会はないでしょう.さよならキティーちゃん,お世話になりました.
9月3日.アルゲリッチ大先生のピアノでバッハのパルティータ2番とイギリス組曲2番を聴く.大変久しぶり.若き日の大姉御様の演奏は激しく動的でチャキチャキ.普段はチェンバロの演奏しか聴いていないので,大変新鮮なのでありました.
2018年8月
8月19日.「ハドリアヌス帝の回想」(マルグリット・ユルスナール,白水社)を読了.やっと読めました.
8月16日.久しぶりにキティーちゃん新幹線で出勤.キティーちゃんの頭はとても大きい.
2018年7月
7月24日.大雨で山陽線がいかれてしまった為,新幹線の代替輸送で凌いでおります.今朝も全車両桃色のキティーちゃん新幹線(←キティーちゃんのお人形がお出迎え)で出勤.いまひとつ勤労意欲が燃え上がらないのでありました.
2018年6月
6月21日.ワイル半金属の風変わりな電気磁気応答に関する論文を投稿する.底抜けワイル模型にまつわる問題点や注意点がほぼ明らかになったと自負しております.年度初めの病的な繁忙期に思いついた構想ですが,地獄のような雑務に耐えつつ何とか形にすることが出来て少し幸せ.
6月10日.近所の音大で福田進一氏(g)のリサイタル.アランフェスの二重奏版をはじめて聴きました.武満徹の「ヒロシマという名の少年」もはじめて.
2018年5月
5月8日.高度にお下劣な悪態を発したいと云う本能的な衝動を抑え難い今日この頃でございます.
2018年4月
4月14日.Vino Nobile di Montepulciano Riserva/Tenuta S. Agnese (1995)を摂取して悦楽.20年以上の年月を経ているが,お疲れの様子はなく大変お元気なのでありました.
2018年3月
3月27日.就職関連の調整で企業の人事部門に電話を掛けまくったり,学生さんと面談したり….芸風に適合しない不向きな仕事を延々とこなす.その合間に,レフェリー・リポートを書いたり,論文草稿を推敲したり….なんだかとんでもなく多忙な今日この頃でございます.とは言え,このくらい働いてやっと人並みなのかもしれませんが….
3月14日.卒業生・終了生の皆様へのご連絡.O氏のご尽力により,3月24日(土)秋葉原にて同窓会的小宴会を開催することになりました.参加ご希望の方はご連絡をお願いいたします.
3月13日.遠くからお客さんが来られたので未訪の人気居酒屋を予約したところ,当方が未成年ではないことを厳しく確認されてしまいました.相当十分しっかり大人なので安心してください.
2018年2月
2月23日.どんぐりころころドンブリコ,雑務に追われてさあ大変.泥鰌でも猿や雉でもかまいませんから手伝ってください.
2018年1月
1月26日.宿痾としか言いようのない計算機音痴を軽症化するための自主企画第二段として,Gnuplot(←激しく有名な誰でも使えるはずのグラフ作成用アプリケーションソフトウェア)の使用法習得に挑む.長いあいだ私には無理だと思っていましたが,三日かけて泣きながら試行錯誤したら何とか使えるようになりました.約500本の分枝からなる七色のエネルギーバンド図(←神々しい)を作成することができ大変感動的に嬉しい.
1月13日.久しぶりに流川の鮨屋を訪れる.寒波のせいか精彩を欠く鮨種が散見されましたが,その分勘定も控えめ.真っ当な商売なのでありました.やはり女将はアンパンマンに似ている.
1月10日.「薔薇の名前」(ウンベルト・エーコ,東京創元社)を読了.大変お久しぶり.「反キリストは、ほかならぬ敬虔の念から、神もしくは真実への過多な愛から生まれて来るのだ。」
1月3日.半年ほど放置してしまった「土の記(上,下)」(高村薫,新潮社)を読了.郷里の風景や風習を思い出す.実家の水田に鯰は現われなかったなあ….
2017年12月
12月18日.柄にもなく予定が目白押しの毎日.一日に三つ以上の非定常的業務が重なると何れかを忘れてしまう性癖のある私としては神経の疲れる毎日でございます.
12月9日.お気楽な中華料理屋で軽く宴会のつもりだったのに….ひょんなことからパトスに突き動かされ,お久しぶりの三段梯子.
2017年11月
11月17日.共同研究に誘ってくれた韓国のグループから論文草稿が届く.彼等の実験結果は我々が5年前に発表した(が反響がほとんどなかった)理論と大変美しく一致するとのこと.私の理論が実験のお役に立つことは極めて稀なので大変嬉しゅうございます.
11月14日.先週より広島駅西側の昭和的雑居店舗密集地帯(エキニシ)の呑み屋新規開拓事業に注力しており,その一環として大変評判のよい候補店に潜入.料理と酒のまりあーじゅを目指した店のようですが,肝心の料理が絶望的な惨状を呈しているのでありました.にもかかわらず,店は満席で大繁盛なり.私は味覚まで病的に世間ずれしてしまったのでありましょう.「われ既に勇気おとろへ暗澹として長なへに生きるに倦みたり.」
11月8日.ベッセル関数だらけの少々異様な論文に対して掲載可の判定が下る.研究である以上,他人が未だ成し遂げていない仕事を志向しなければならない.多くの研究者は皆が興味を抱く重要な対象について他人より早く成果を挙げることを目指す.私自身はこれが正しい研究者の姿であると正当に認識しているにもかかわらず,どうしても中心的課題から外れた対象を偏愛してしまう.既に鬼籍に入って久しい母親は私が幼少の頃から発露していたこの病的な傾向に気を揉みつづけていたことを心苦しく思い出す.
2017年10月
10月24日.カープが苦杯を喫したため,流川(←広島の飲食店集積地帯)はお葬式のようでありました.広島在住横浜ファンとしては微妙に息苦しい状況であります.
10月15日.破滅的天才料理人I氏よりご連絡をいただく.大変久しぶり.社会復帰したので,いま世話になっている店を訪ねて欲しいとのこと.来週伺います.アルコール摂取はほどほどに….
2017年9月
9月27日.科研費の申請書作りはしんどいが,流石にもういやだとは言えない.大人だもの!
9月7日.久しぶりに堀川町の小料理屋.鯛や鯵を少々引いてもらった後,たれぬき(?)の鰻の蒲焼(←この店は白焼きを扱わない)などを摘みつつ酒二合を摂取.初めて訪れたころ赤ん坊であった大将の孫娘は,もう立派な高校生なのでありました.
2017年8月
8月24日.螺旋転位を含むワイル半金属の準粒子状態に興味を抱き,その振る舞いを解析的に記述しようと試行錯誤を繰り返しておりました.さきほど神のお告げを賜り,なんとか解を構成できそうな段階に到達する.少し幸せ.変形ベッセル関数は偉大なり.
8月21日.Goteborgは気候と景観に優れた美しい街でしたが,酒類の調達には悩まされました(大型小売店等では低アルコール度数のビールしか見当たらず).Tourist Informationのお姉さんに質問したところ,笑いながら「ワインなどはSystembolaget(政府運営の小売店)でしか入手できない」と教えてくれました.と云う訳で,街中のSystembolagetに日参しましたが,どう考えても同業者にしか見えない人たちに高確率で遭遇するのでありました.
8月16日.低温物理国際会議(LT28)のため一週間滞在したGoteborg(Sweden)から帰国.トポロジカル絶縁体と超伝導体の接合系におけるジョセフソン効果や一次元原子細線系におけるMajorana粒子の探索等,実験技術の進展に感銘を受けました.私ももう少し頑張らなければならないと思うのであります.
2017年7月
7月16日.半年ほど放置してしまったウンベルト・エーコの遺作「ヌメロ・ゼロ」(中山エツコ訳,河出書房新社)を一気読み.記述がやや淡白なのは,掘り下げる時間が残されていなかったと云うことでありましょうか.
7月15日.約十年ぶりに袋町の人気居酒屋に潜入.好印象を抱いた記憶に反して,素材にも技術にも満足できず.嗜好が老化したせいか?
7月4日.出勤途中,広島名物「エルドレッド選手のママチャリ走行」を目撃する.ちょっと窮屈そうなのでありました.
2017年6月
6月7日.必要に迫られ(これまで愛用してきたグラフ作成ソフトで)色つきのグラフを作成する方法を習得する.かれこれ20年以上,白黒のグラフで押し通してきましたが,これからは色彩感に溢れた高雅にして感傷的なグラフを作成しようと心に誓うのでありました.ほんの少しだけ人並みに近づけた気がいたします.
6月3日.並木通りのカウンター飲み屋にて,トリッパと蒸し野菜を摘みつつ店主に薦められたPicci'/Panevino (2014)を素直に摂取.「一口試して駄目そうなら別のvinoに換えます」と店主が前置きするくらいに激しく個性的なサルディーニャ産赤葡萄酒.強烈な破壊力を備えた自然派ランブルスコ・ロッソと云う趣でありました.
6月1日.久しぶりに近所のおっさん呑み屋に潜入.鰹のたたきとモヤシ炒め,衣かつぎに,ビール中瓶と燗酒一合で2300円なり.勤続20年超のおばちゃんは今日もお元気なのでありました.
2017年5月
5月10日.冷酷無比にして非人道的なマニュアルを解読し,疎行列用サブルーチンの活用に成功する.倒錯的な達成感を得てしまいました.
5月5日.「レクイエム」を再読.イザベルにまつわる挿話が想起できない原因が分かり少し安心(←結局,具体的な挿話は描かれていなかった).関係ありませんが,前回は気にも留めなかった空飛ぶ魚に関するおはなしに憑かれてしまいました.このお魚はヒエロニムス・ボスの「聖アントニウスの誘惑」(←私自身は画家にも作品にも不案内)の右翼に描かれているそうです.作中人物である模写画家氏によれば,「魚にまたがって空を飛ぶ,太った男と老婆」は「悪魔に会って,どこかでとんでもない悪さを仕掛けようとしている」のだそうです.
5月3日.先日読み終えたアントニオ・タブッキの遺作「イザベルに ある曼荼羅」(和田忠彦訳,河出書房新社)のおはなし.この小説では同じ著者の「レクイエム」に脇役として登場したタデウシュとイザベルが主役を務めていますが,私自身は「レクイエム」のイザベルにまつわる挿話が全く想起できず少々落ち込んでいます.数年前に読んだばかりなのに.記憶力の減退が指数関数的に進行しているのでありましょうか.
2017年4月
4月24日.某社の疎行列用サブルーチンを利用しようと試みるも,使い方が絶望的に分からない.マニュアルは愛想の欠片もなく冷酷無比なのでありました.
4月1日.大手町まで出掛けてお久しぶりの西班牙料理.日頃,モナストレルと云う品種で醸されたスペイン産激安葡萄酒を大量摂取しておりますが,これは仏蘭西のムールヴェードルと同一品種なのだそうです.全く知りませんでした.
2017年3月
3月28日.高熱が収まらず4日ほど寝て過ごす.食事もままならず体重は約4kg減少.所謂インフルエンザという奴でありましょうか.3日間断酒できたのが唯一の収穫なり.
3月14日.ナノスケール構造においてワイル半金属が示す変態的な振る舞について数ヶ月のあいだ考え続けてきましたが,どうにも解決できず諦めかけておりました.本日なんだか突然ひらめいてしまい,うまく解決できそうな予感に包まれています.少し幸せ.
2017年2月
2月14日.日曜日になんとなく手にとってしまったフランソワ・モーリヤックの「テレーズ・デスケイルゥ」(杉捷夫訳,新潮文庫)を読み終える.裏表紙の宣伝文句によれば,「情念の世界に生き、孤独と虚無の中で枯れはててゆく女テレーズを、独特の精緻な文体で描き、…」とのこと.この文庫本を入手したのは学部生の頃.学業そちのけで救いのない小説や映画に耽溺していた当時の私は,「枯れはててゆく」テレーズの姿に「孤独と虚無」の深淵を垣間見た(気になった)のであります.
2月4日.並木通りのカウンター飲み屋にて,トリッパとインゲン豆を摘みつつVino Nobile di Montepulciano Riserva/Poderi Sanguineto I e II (2011).自然派葡萄酒に特有の香りが漂うのでありました.
2017年1月
1月20日.数値計算ではいまだにFORTRAN77を利用しておりますが,このたびFORTRAN77仕様の昭和枯れすすき的計算プログラムを外部のグループに提供することになりました.いくらなんでもFORTRAN77では恥ずかしいと思い,一念発起してFortran 90仕様への書き換えを敢行したのであります.これで昭和枯れすすきともお別れ.
1月11日.私個人も(なんちゃって)担当者である創発的物性物理研究拠点のセミナーと打ち上げに参加.良い刺激を受けました.
1月8日.「レ・ミゼラブル(1,2,3,4)」を読了.通俗読み物として大変上質ですが,上部構造にも瞠目せざるを得ません.市民社会の進歩に対する文豪の熱い信念が叩き込まれているのでありました.
2016年12月
12月24日.「レ・ミゼラブル」(豊島与志雄訳,岩波文庫)を読み始める.小学生の頃に子ども用の超短縮版を読んだことしかないので,実質的には初見となります.コゼットちゃんの挿絵はやはり可愛い.
2016年11月
11月23日.ひろしま美術館までお散歩.たまたま開催されていた「安野光雅のものがたり絵本展」は素通りするつもりでしたが,絵本平家物語に魅入られてしまい予定が狂う.これを機会に,「忠度都落」や「忠度最期」,「敦盛最期」を読み返したのでありました.
11月3日.八丁堀まで出掛けて「とうもろこしの島」(監督 ギオルギ・オヴァシュヴィリ)を観る.グルジアの紛争地帯に位置する小さな中州において,素朴にとうもろこしを育てる老人と孫娘のお話.よい映画でしたが,終幕部の筋書きは少し安直ではなかろうか.
11月1日.ひろしま駅ビルでは,今日まで「広島東洋カープ感動をありがとう!セール」を開催中.ちなみに,ドトールコーヒーは「500円以上ご利用の方にもみじまんじゅう1個プレゼント」だそうです.おちゃめ.
2016年10月
10月14日.近所の仏料理屋の大将が超格安で調達してくださった,1994年もののボルドーを恭しく摂取.大変激しくお久しぶりの五大なんとかでありました.
10月8日.久しぶりの鮨屋にて.どう云う訳か米の品種が話題になる.かつて実家の水田では「日本晴」を植えていたが,隣のお客さんの家でもそうだったとのこと.亡母は「倒れにくくて扱いやすい」と評していたが,今となっては確かめようもなし.昨今の米屋では全く見かけないが,どんな風味であったものやら.
2016年9月
9月25日.約三十年振りに「狭き門」(山内義雄訳,新潮文庫)を読了.懐かしいとしか言いようがありません.
9月20日.久し振りに薬研掘の小料理屋でちょい呑み.若旦那曰く,カープが優勝を決めた当日(9月10日)の流川は狂乱状態となり,サーバーを担いでビールを噴霧しつつ歩く方まで登場したそうです.
9月2日.上京のついでに,学生時代にお世話になった無気力サークルの先輩方と品川にて宴会を催す.Eさんは肝機能系の検査結果が全てC評価,かつて痩身であったBさんはマラドーナのように劇的に変貌,そしてHさんは会社で仕事がないそうです.上記3名は0次会と称して17:00からロケットスタート.賃金労働者がなぜ平日の17:00から宴会できるのか摩訶不思議なり.昔から酒の呑み方に関しては絶望的にだらしのない集団でしたが,(自分を含めて)50歳を過ぎても全く進歩がないのでありました.
2016年8月
8月28日.近所の音大までMarcin Dylla氏のギターリサイタルを聴きに行く.超絶技巧を感じさせない優美にして繊細な響き.私のような素人をも全く飽きさせず集中させてしまう驚異的な演奏でありました.最終曲の演奏中に鳴り響いてしまった携帯電話の呼び出し音がなんとも悔やまれます.
8月10日.異国雑誌の新規査読案件を一つ片付け解放感に浸っていたら,非新規案件(第二幕)が一度に二つ降ってきました.どうして面倒な仕事はこう見事に重なってしまうのでありましょうか.
2016年7月
7月28日.近所の居酒屋は8月9日と10日に「全国で一番早いカープ優勝(祈願)セール」を決行するそうです.生ビールと酎ハイが200円!
7月15日.乗り継ぎで訪れたイスタンブール空港にてクーデター未遂事件に巻き込まれる(←本当のお話).ビールなど摂取しつつ待ち時間を潰している間に空港は閉鎖され,状況説明の無いまま30時間以上も閉じ込められてしまいました.夜間には不吉な爆発音や低空飛行する戦闘機の激烈な衝撃音にさらされて肝を冷やしました.与党支持者(←後で分かった)の空港内大規模デモ行進も大変激しく恐ろしゅうございました.
2016年6月
6月15日.午前中,久しぶりに激しく深く解析計算に没頭し時間感覚を失う.ふと机の上に放置した板書用ノートを視界の端に認識した瞬間,講義を完全にすっぽかしたことに気付く.今さら出掛けても全く間に合わないことを絶望的に確認し,暗澹たる気分のなかで善後策を模索しはじめた瞬間,講義は明日であったことを思い出す.
計算に没頭して講義をすっぽかしたことはこれまでに三度ありますが,最後にやらかしたのはもう10年以上前の大昔.今日はちょっとひやっとしましたが,まだまだ情念が衰えていないことを自己確認できて少し幸せ.
6月4日.某鮨屋にて.大将が車海老にマヨネーズを塗布し海苔巻を作成するのを目の当たりにし,少々驚く.伝統を重んじる鮨屋はやりたがらない仕事なものですから.小上がりに子供さんがいたことを思い出し納得しかけていたら,なんと完成した海老マヨ巻は常連と思われる厳つい一人客氏に供されたのでありました.まあ,みんな好きなものを好きなように食べればよい訳ですが,ある意味で勇気があるなあと感心した次第でございます.
2016年5月
5月22日.先月,プーランクの即興曲「エディット・ピアフを讃えて」を聞くためにピアノ曲集(パスカル・ロジェ)を入手した際,未見の夜想曲「幻の舞踏会」がジュリアン・グリーンに捧げられていることを知りました.日本語解説によれば,『冒頭にグリーンの「幻に生きる人々」の一節が引用されている。「ワルツやスコットランド舞曲の一音さえ家中から消えた。そこで病人は祭りに加わり、若き日の良き歳月を粗末な寝床で夢見ることができた」。』とのこと.このやや不明瞭な翻訳がどうにも気になってしまい,十数年ぶりに「幻を追う人」(福永武彦訳,人文書院)を読み返しました.どうやら否定文を訳し損ねており,一音さえ家中から失われなかった(つまり,病人にも聞こえた)と訳すのが正しいようです.それはさておき,そこに描かれているのは幻に逃避した主人公が夢想するお城の情景であり,そこでは全てが死に憑かれているのでありました.
5月17日.西条は田植えの季節となりました.私の郷里では6月に入ってからだったと記憶しています.私が幼少のころは手作業で行っていましたが,小学校低学年の頃に田植機が導入されました.初めて田植機を見たときは本当に感動したものです.
5月2日.学部の講義で,ボルンの確率解釈とシュレーディンガー方程式の変数分離についておしゃべり.連休の谷間であるにもかかわらず,面倒な話をしてしまった罪深い私をお許しください.
2016年4月
4月19日.学生さんからお下がりのiPadを相手に悪戦苦闘.画面がくるくる回転し始めたときは壊れたと思いました.なんとかインターネットとメイルは使えるようになりましたが,人並みに使いこなすことは永遠に不可能でありましょう.TwitterやLINEは未だに何の事だか分からないし,携帯電話も持っていません.将来が心配である.
4月10日.ウンベルト・エーコの「プラハの墓地」(橋本勝雄訳,東京創元社)を読了.年の功として身に着けた雑多な知識が読解に役立ちました.大変面白い.
2016年3月
3月20日.学会出張先の仙台にて,懐かしのホルモン焼き屋***に単独突入.学生の頃,こじれた宴会の行き着く先はこの店と決まっており,狂乱のn次会(n>2)の主戦場でありました.店のおばちゃんには本当にとんでもなくお世話なったとしか言いようがありません.代替わりしているだろうと半分は諦めつつ訪れたのですが,相変わらず一人で切り盛りしているそのお姿を発見し,正直泣きそうに感動しました.山盛りのキムチとハツ,酒二合で勘定は1300円なり.
3月16日.近所の居酒屋で大徳利を二本.しばらく見かけなかったバイトのTちゃんは内モンゴルに里帰りしていたそうで,お土産の蒸留酒を少々味見させてくれました.大陸の刺激的な香りが特徴的で,個人的には気に入りました.関係ありませんが,欧米人と同様に内モンゴル人も血液型には無関心なんだそうです.以前,お客さんから血液型を尋ねられて困ったTちゃんは,思わずC型と答えてしまったのでありました.
2016年2月
2月16日.修士論文発表会と(当研究室所属院生二名の)学位論文公聴会が終了.皆さんお疲れ様でした.宵の口より近所のビストロでお気楽宴会.Aglianico Del Vulture/Feudi di San Gregorio (2011)をひっかけながらリエットやカンパーニュ風パテなどを摂取する.少し幸せ.
2月6日.久しぶりに銀山町の怪しい居酒屋へ.居酒屋評論界における知性派耽美系の巨匠O氏(←庶民派無頼系の人気者Y氏とは対照的な芸風)の影響でしょうか,かつてカウンターに屯していた不良中高年のうらぶれた姿は消え去り,店内は相対的に健全な一見客のみなさんで埋め尽くされているのでありました.煙草吸いが激減したため飲酒環境は劇的に改善されましたが,なんだか全く怪しくないのでありました.
2月1日.擦った揉んだの挙句,院生A氏との共著論文の雑誌掲載が決定する.後はしっかり修論を仕上げてください.
2016年1月
1月22日.「科学の健全な発展のために」(日本学術振興会)によれば,『一つの研究を複数の小研究に分割して細切れに出版することは「サラミ出版」または「ボローニャ出版」と呼ばれて』いるそうです.サラミもボローニャ・ソーセージも薄く切って食べるからなんだそうですが,業績水増し攻撃なんぞに関連付けられて気の毒でなりません.
ボローニャ・ソーセージは正式にはモルタデッラ(mortadella)と称します.確かに薄く切って食べるのが一般的だと思いますが,下町の食堂で賽の目に切ったモルタデッラを豪快に供され仰天した記憶があります.土性骨のすわったSangiovese di Romagnaと良く合うのでありました.
1月10日.「デイヴィッド・コパフィールド(1,2,3,4)」を読了.古典的な勧善懲悪物語といった風情ですが,それなりに楽しめました.最後の方(第四巻)は終息を急ぎ過ぎか?
1月9日.移転して再出発した鮨屋に赴く.アンパンマン似の可愛い女将さんは相変わらず働き者なのでありました.
1月3日.年末から読み始めた「デイヴィッド・コパフィールド(1,2,3,4)」(中野好夫訳,新潮文庫)は,休み中に読み終えることができず.
2015年12月
12月29日.大変久しぶりにシュトルムの「みずうみ」(高橋義孝訳,新潮文庫)を読む.「みずうみ」といえば「トニオ・クレーゲル」と云う訳で,以下は高橋義孝訳からの引用.ちなみに「湖畔」=「みずうみ」です.念のため.
おまえの長く切れた青い陽気な目、金髪のインゲよ。おまえのように美しく朗らかにしているには、間違っても「湖畔」を読んだり、また自分もそういうものを書いてみようなどと思ったりしてはならないのだ。それは悲しいことなのだから。
12月26日.久しぶりに鮨などつまむ.小鰭は皮目を表にして握るが,裏返して皮目が酢飯と接するように握ると味が変わると何方かが仰っていたことを思い出す.面白半分で大将にお願いしたところ,本当に二種類の小鰭の握りを拵えてくれました(←反転小鰭は大変握りにくいそうです).実地検証の結果,有意な差異は生じないことが判明しました.一件落着.
12月9日.行きつけの店に三軒連続して振られ,すごすごと家路につく.師走の居酒屋行脚はちょっとだけ辛い.
2015年11月
11月23日.本通りまで出掛けて,「草原の実験」(監督 アレクサンドル・コット).台詞を排した映画は幾つもあるが,本作における実験(←表題の実験とは無関係)は表層的には成功であっても,主題を掘り下げる余地を狭めてしまったと云う意味において本質的には失敗だったと思う.映像と主人公の少女は大変美しい.
11月20日.甘く危険な五十の手習い論文を先週の水曜日に投稿したところ,二日後の金曜日には速攻でreferee reportが届き驚嘆.月曜日に修正稿を再投稿したところ,本日金曜日に掲載が決定してしまいました.最短記録更新.
11月11日.二週間ほど相対論的場の量子論を勉強して,ディラック模型の量子異常に関連する論文をでっちあげる.電気出身の私は相対論的なお話にはほとんど触れたことがなく,明らかに無理筋の題材ではありますが,思い切って激しく危ない橋を渡ってみることにしました.五十間近の手習いは通用するのでありましょうか?
2015年10月
10月25日.老眼症状の悪化に伴い財布に収めた硬貨の判別が困難となりつつあります.そのため,特に酔っている場合,硬貨を用いた細かい支払いを諦め,紙幣のみで対応することが多くなってしまいました.財布が所持金額に釣り合わない異常な重みを呈していたので中身を調べてみたところ,10円玉が13個と100円玉が12個,500円玉が2個見つかりましたとさ.昨晩の長梯子の成果なり.
10月3日.近所のBarにて,葡萄酒など摂取しつつ変則三重奏団(vn, vc, g)の生演奏を楽しむ.古典は一曲だけで,あとはピアソラのOblivionやモリコーネ親子のNuovo Cinema Paradiso,チャップリンのSmileなどなど.終演後,お隣の人生経験豊富なご婦人方は「vn氏とvc氏のどちらが男前か」と云うどうでもよい問題について熱く論争するのでありました.ちなみに,両氏とも五十凸凹.
2015年9月
9月28日.近所の仏料理屋で働くMちゃんは底知れぬ将来性を秘めた魅惑の天然娘です.売り切れ仕舞いの常套句,「なくなり次第終了」は店主が亡くなれば閉店と云う意味だと,この胸に信じて生きてきたんだそうです.泣きたくなるようなつらい時も,この調子でがんばってください.
9月12日.亡父の五十日祭(←仏教なら四十九日の法要に相当)のため郷里に赴く.「折々のうた」(大岡信,岩波新書)に所収の短歌一首(作者 木俣修)
罪びとのごとくに坐して妻とふたり秋夜の骨を守らむとする
の解説には「幼い子を先立たせた親には、その死がいかに不可避な場合でもなお、みずからを「罪びと」と感じる思いがある」と記されている.この言明は私の亡き両親に対しても厳密に適合したようである.
2015年8月
8月22日.久しぶりに堀川町の小料理屋へ.大将は体を壊してしまって静養中とのこと.そう言えば,銀山町の居酒屋のおやじや流川町の小料理屋の大将は病から復活されましたが,なんだかしんどそうに見えます.みなさん,お大事に.
8月14日.大変久しぶりに「トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す」(高橋義孝訳,新潮文庫)を読了.博士課程在籍時,周囲から孤立していた私にとって「トニオ・クレーゲル」はちょっとした心の支えでありましたが,いま読んでも身に沁みます.
8月12日.近所の仏料理屋で宴会.看板娘のMちゃんに彼氏ができたそうです.青春万歳.
2015年7月
7月20日.二十数年振りに「嘔吐」(人文書院・旧版)を読了.
三連休を費やして純粋な非生理的吐き気について非生産的に思いを巡らす.
なんのこっちゃ.
7月16日.人の命が軽んじられる世の中にしてはならない.
7月10日.異国雑誌からの断れない査読依頼が集中し,レフェリーレポートの作成で大いに消耗.他人の論文のあらさがしとイギリス語によるその言語化のみ急速に上達している今日この頃でございます.素直な良い子になりたいのに….
2015年6月
6月12日.「大いなる遺産(上,下)」(ディケンズ,新潮文庫)を読了.ややっこしいこと抜きで楽しめる正しい古典的小説なのでありました.学生の頃は古臭く単純そうなディケンズの小説にはあまり魅力を感じず,「クリスマス・キャロル」と「二都物語」に触れただけでした.「オリヴァー・ツイスト」は数年前に楽しく読んだので,次は「デイヴィッド・コパフィールド」と言うことになりましょうか.
2015年5月
5月23日.便所の落書きと言えば大学の図書館を思い出す.一級上のKさんから「(文系)図書館の手前から**番目の個室便所の落書きが面白い」と教えてもらった(当時大学一年生の)私は,早速その作品を拝見しに当該便所へと急行したのでありました.詳細は覚えていませんが,法学部某教授の言行不一致を鮮やかにおちょくっていたと記憶しています.今にして思えば,常軌を逸して暇だったんだなあとしか言いようがありません.
5月16日.先週は体調を崩して寝込んだりと散々でしたが,とりあえず
「桜島・日の果て」と「幻化」(梅崎春生,新潮文庫)の再読だけは果たすことが出来ました.この二冊は大学に入学したときに実家から下宿先に携えて行ったものですが,未だに所有しています.どうして高校時代に梅崎春生の小説に興味を持ったのか今では思い出せないが,「桜島」に見出される救いのない挿話(耳のない妓,納屋の老人)や「幻化」の最後の場面に関する記憶は意外にもかなり正確でありました.
5月6日.横浜ベイスターズの快進撃は(大洋ホエールズ以来の)愛好家としては嬉しい限りですが,正しい広島市民との軋轢を避けるため気を遣わねばならないので少々不自由です.安寧秩序を守るため,カープvs.横浜の試合がある晩は近所の居酒屋への出没も自粛するのでありました.
2015年4月
4月7日.通勤途中に「白痴(上,下)」(木村浩訳,新潮文庫)を読了.
「サクリファイス」(監督 タルコフスキー)の主人公はムイシュキン公爵役で名声を得た元俳優と云う設定だったはず.
また,「戦場のピアニスト」(監督 ポランスキー)では主人公の弟が小銭稼ぎに道端で本を売る場面があり,
そのとき唯一売れたのが白痴だったはず.
大事なことは忘れてしまうのに,瑣末なことは良く覚えている.
2015年3月
3月20日.新宿にて四畳半下宿の同窓会.
約三十年振りに五十凸凹の同級生7人で盛り上がる.
みなさん,意外と健全に生き延びているのでありました.
2015年2月
2月27日.4年生の時に通読した「量子力学」(メシア,東京図書)の第21章(第3巻)
の冒頭には「Se non e vero, e bene trovato」(アクセント記号省略)なる文章が
掲げられており,日本語で「たとえ本当でなくても,独創は美しい」と添えてあります.
今頃になって調べたところ,「Se non e vero, e bene trovato」ではなく
「Se non e vero, e ben trovato」は多数引っ掛かり,
特に古典からの引用という訳ではないようです.
井村さんから借りた英訳本にも和訳本と同じ文句が記されているので,
仏語の原典においても「Se non e vero, e bene trovato」なのでしょう.
何方か詳しい方,正誤について教えて下さい.
2月11日.中の棚まで出掛けて「ジミー、野を駆ける伝説」(監督 ケン・ローチ).
深い緑色に覆われたアイルランドの田園風景があまりに美しい.
I may lose my child, but Ireland loses much much more.
2015年1月
1月25日.今月初旬,「月と篝火」と「富士」(武田泰淳,中公文庫)を読み終えた後,
暇つぶしに「長いお別れ」(清水俊二訳)を再読したが,やはりこの感傷的な小説に過剰な愛着を抱くには至りませんでした.
「長いお別れ」と同時期に読んだ「血の収穫」(田中西二郎訳、創元推理文庫)を再び
読み始めましたが,こちらは大変面白いと思う.
今回気付いたのですが,翻訳は新潮文庫の旧版「嵐が丘」と同じ方なのでした.
1月24日.お久し振りに堀川町の小料理屋.おでん少々,蝦蛄と地鯵にきんきの煮つけ.
煮魚の汁で食す冷麦が美味なり.
年始.チェーザレ・パヴェーゼの「月と篝火」(河島英昭訳,岩波文庫)を読了.
ピエモンテの村を舞台に,
ファシズム時代およびその後の厳しい生活や痛ましい出来事が描かれるている.
月と篝火によって照らし出される情景は徹底的に負の様相を帯びているにもかかわらず,
澄みきった文章は詩的で限りなく美しい.
2014年12月
12月19日.国際会議のExcursionをさぼって鴨川沿いをふらふらした後,
三条京阪近くの宿に帰還する.
宿近傍の年季の入った居酒屋に開店前の待ち行列が出来ているのを発見し,
どうにも気になってしまい頃合いを見計らって店内へ単独突入.
馬蹄形のカウンターのみの店内はほぼ満席の大盛況でありました.
名物と思われる強気なおばちゃんにやり込められながら,
鯖きずし,野菜天にお銚子三本を摂取する.
野菜天の破滅的な盛りのよさに驚嘆.
12月13日.入り浸っていたジャズ喫茶と言えば,発作的に便所の落書きを思い出す.
めったやたらと色々書いてあったが,最も印象に残っているのは「Left Alone」の歌詞.
おかげで聴いたことも無い詞(←曲は知っていた)を覚えてしまいました.
Where's the love that's made to fill my heart? Where's the one from whom ….
12月6日.大変久し振りに「Demon's Dance」(Jackie McLean)に収録されている
「Sweet Love of Mine」を聴く.
学生の頃入り浸っていたジャズ喫茶でよく流れた,哀愁漂う青春の名曲なのであります.
ある時これをリクエストしようとしたが表題を記憶していなかったため,
店主と以下のようなやり取りをした記憶が鮮明に残っています.
私 :ジャケットに気色の悪い人形みたいなのが描いてあって,ここでよく掛るやつをお願いします.
店主:(戸惑いつつ暫し思案したのち,ある一枚を引っ張り出して)これ?
私 :(満面の笑みを浮かべて)これです!(但し,描いてあるのは人形ではなかった.)
店主:A面,B面?(←当時はレコードが主流)
私 :いつも掛っている方!
このような,やや間抜けな努力の甲斐あって「Sweet Love of Mine」に辿り着けたのでありました.
赤い自転車の「A Day in Holland」(Alvin Queen & Dusko Goykovich)もよく掛ったなあ….
2014年11月
11月10日.理研のH(←教養部生の頃,同じ下宿に生息)より極秘指令が届く.
京都の国際会議に出席する際,広島駅の新幹線KIOSKで売っている「海の干しがき」を
五袋買って来いとのこと.東京では入手不可なのだそうです.
11月2日.「パルムの僧院」(新潮文庫)を読了.約30年振り.「赤と黒」と同様,抜群に面白い.
主人公が幽閉されたファルネーゼ塔はハドリアヌス帝の霊廟(←バチカン近くのサンタンジェロ)
にならって建てられたことになっているので,
それに太めの塔をひっつけた架空建造物を想像しながら読み進めました.
この夏訪ねたボローニャのサンペトロニオ聖堂(←これは実在)も登場するのでありました.
2014年10月
10月25日.近所の仏料理屋の店主がお亡くなりになり,店を畳まれることになったそうです.
ご夫婦だけで営む(稀にソムリエおじさんの応援が入る)小さな店でしたが,
何を食しても店主の一所懸命な気持ちが伝わってくる爽やかな良店でありました.
10月17日.ここ数年,秋田のHさんと仙台の師匠と組んで電荷密度波系の
非平衡ダイナミクスを記述する枠組み(TDGL and Boltzmann equations)の
微視的導出に取り組み,なかなか綺麗な結果を得たと思い込んでいました.
が,先月の学会でHさんから致命的な問題点を指摘され,それ以来悲しみの試行錯誤地獄に陥っていました.
今週,Boltzmann equationに想定外(だけど良く考えれば当然)の新奇項が現れることに気付き,
問題が全て氷解しました.
なんだか大変美しい形にまとまり,個人的には手ごたえを感じています.
10月4日.近所の音大まで,遠くからいらっしゃった先生のリサイタルを聴きに行く.
曲はベートーヴェンのソナタ第1番(←多分初めて)と夜のガスパール,
シューベルトのソナタ第18番.
10月1日.会議を梯子すると思い出してしまうこの一節(「牧羊神」から引用).
恋しいな、
気障な奴等の居ないとこ、
銭やお辞儀の無いとこや、
無駄の議論の無いとこが。
2014年9月
9月27日.某料理屋で伺ったお話し.
お茶目な大将は,カープのベテラン右腕N投手に対して
「お兄さんは随分立派な体をお持ちだが,なにかスポーツでもやりなさるか?」
と尋ねてしまったそうです.
9月13日.なんとか「魅せられたる魂」を読了しました.なんとも力強い激烈な人生.
翻訳は第二次世界大戦中になされたそうで大変な労作ですが,
現代人には少々読みにくいことは否めません.
2014年8月
8月30日.品切れになっている「魅せられたる魂」(岩波文庫,改版5冊組)の古書
が入手できたので,のろのろと読み進めています.やっと第三分冊を読了.
「ジャン・クリストフ」と同様,激しく波瀾万丈なのであります.
8月18日.ウズベキスタン在住の中村勝弘先生よりお便りをいただきました.
相変わらずお元気な様子でなによりです.
大阪市大応用物理学教室在籍時のボスである中村大尊師は,
見ず知らずの私を助手として採用して下さった恩人ですが,
研究者として生き抜くための実践的指針や知恵も授けて下さいました.
例えば,
(1) 研究主題に対する無垢な信仰と熱情が未来を切り拓く,
(2) 楽観主義に徹する,
(3) 非合理的突撃精神も有効な場合が稀にある,
(4) 変人と見なされた大学教員は大抵何をやっても許される(諦めてもらえる).
ちなみに,(4)の精神は忠実に実践しております.
2014年7月
7月24日.延々とヴィオラ・ダ・ガンバの独奏曲集
「Viola Da Gamba Solo Recital」(Wieland Kuijken)を聴きながら答案の採点に勤しむ.
知らない作曲家の知らない曲ばかりなので購入する時は少し躊躇しましたが,渋い素敵な演奏です.
高校生の頃,バッハのソナタを聴いて以来(ヨハネス・コッホと云う方のレコードだったはず)
このくすんだ音色の古楽器に惹かれ続けていますが,無伴奏の音源に接したのはこれがはじめて.
全く関係ありませんが,大学一年の頃,一級上の先輩に連れて行かれた医学部生氏の部屋で
チェンバロを目の当たりにし驚嘆したことを思い出しました.
7月9日.若手著名研究者のご意見を伺うため北海道大学に参上.
学生さんの服装が広島大学とほとんど同じなのでありました.
7月4日.碩学のご意見を伺うため上智大学に参上.
学生さんの服装が広島大学とかなり異なるのでありました.
7月2日.国民を危険にさらす恐れが増大するとしか思えない.
2014年6月
6月26日.今週で数値データ収集がやっと終了.ほっとした気分で葡萄酒呑みに出掛ける.
近所の洋風居酒屋で薦められた Il Buonvicino・Leonardo (2012)と云う vino rosso は
民宿(agriturismo)のおばちゃんがこさえているそうで,醸造年やアルコール度数(←なんと15%)
は手書きです.なんだか良く分からないことだらけですが,
強烈な旨みと甘味に満ち溢れた逸品でありました.
6月7日.類長代理として駅伝大会の開会の挨拶を仰せつかる.
今晩は堀川町か薬研堀の小料理屋に出没し,小鰯か太刀魚なんぞをつつきながら
冷や酒を煽りたい気分です.もう少しで穴子や鱧の季節ですね.
6月4日.(最近やや陰りが見えるものの)広島カープが好調だったせいでしょうか,近所の呑み屋で
野球中継を注視しつつアルコホールを摂取する常連客のご機嫌が
大変よろしゅうございます.昨年までならあり得ないことなのですが,
カープが負けていても余裕に満ち溢れ紳士的なのでございます.
この平和がいつまでも続きますように.
2014年5月
5月28日.「万葉秀歌(上・下)」(岩波新書)を読み始める.
不勉強なもので「我れはもや 安見児(やすみこ)得たり 皆人の…」という歌を初めて知りました.
安見児とは女性(采女)の名前なんだそうですが,「海市」(福永武彦)のヒロインは
安見子だったなあ,なんぞと瑣末なことを思い出すのでありました.
5月23日.一週間,マタイ受難曲を聴きながら英作文と数値計算データの収集に明け暮れる.
肩こりが極度に悪化.Erbarme dich, mein Gott.
5月6日.「レイテ戦記(上,中,下)」(大岡昇平,中公文庫)を読了.
五月連休の爽やかな陽気には絶望的に不釣り合いな,極めてしんどい書物でありました.
「レイテ島の戦闘の歴史は,健忘症の日米国民に,他人の土地で儲けようとする時,どういう目に遭うか
を示している.それだけではなく,どんな害をその土地に及ぼすものであるかも示している.
その害が結局自分の身に撥ね返って来ることを示している.」
2014年4月
4月26日.横川まで出掛けて,「60万回のトライ」(監督 朴思柔・朴敦史).
ドキュメンタリー映画はほとんど観た記憶がないのですが(←大昔の「戒厳令下チリ潜入記」以来か?),
食わず嫌いはよろしくないと実感しました.
4月19日.大変久し振りに堀川町の小料理屋へ.女将曰く,正しい広島市民は
ビニール袋のことをナイロン袋と呼ぶのだそうです.全く知りませんでした.
4月5日.先月逝去された大西巨人氏には活字を通して大変多くのことを
教えて頂きました.長い間観たいと思いながら叶わずにいる映画「小市丹兵衛」
(監督 稲垣浩,1937年公開)もそのひとつです.傘貼り浪人丹兵衛と飲食店の酌婦お園
との味わい深いやり取りが,「神聖喜劇」において効果的に援用されています.
ここでは「遼東の豕」(大西巨人,晩聲社)から少々改変して引用.
ひそかに丹兵衛を愛して
いるお園は,掛け取りを口実にして,よく丹兵衛の長屋を訪れる.
そして,たいてい言い合いをする.ある日のこと.
丹兵衛:いつもいつも,金のことばかり言わずに,たまには女らしいことを言ったら,どうだ?
お園 :どんなことを言えばいいの?
丹兵衛:そりゃ,まあ,「寒くなりましたねぇ.」とか「月が出てますわねぇ.」とか
「人間は,なぜ死ぬのでしょうかねぇ.」とか,….
次ぎの場面.長屋近辺の露地.お園はしゃがみ,丹兵衛は立つ.中天に月.
お園 :寒くなりましたねぇ.
丹兵衛:あぁ,寒くなったねぇ.
お園 :月が出てますわねぇ.
丹兵衛:あぁ,出てるねぇ.
お園 :人間は,なぜ死ぬのでしょうかねぇ.
丹兵衛:さぁ?あとが閊(つか)えてるからだろう.
2014年3月
3月23日. 午前中,ゼーバルトの「アウステルリッツ」(鈴木仁子訳,白水社)を読了.痺れる.
午後は卒業式に出席.今日は燃え尽きるまで呑みます.
3月7日. 約30年前の想い出.大学受験のため北国のとある駅に
降り立った私は,奇矯な装いのお兄さん方(←応援団)が太鼓をたたきながら以下のように
絶叫するのを耳にしたのでありました.
「度胸八割,実力二割,親の付き添いマイナス五割!」
世の中の移り変わりは激しいものだと実感します.
3月3日. お休みをいただき閑散としたひろしま美術館で憩う.
「マイスナー嬢の肖像」を眺めながら,資本主義社会には無益なパズル的命題に沈潜する.
2014年2月
2月20日. 脱力状態で銀山町の怪しい居酒屋へ.
昨年,「嫁に行くことになりました!」と力強く報告してくれた天然Nちゃん
(←中高年に大人気)は,相変わらずてきぱきと働き者なのでありました.
2月16日. 「侍」(遠藤周作,新潮文庫)を読了.中学生の頃に狐狸庵先生の
随筆やら軽い小説に触れた記憶がありますが,物心ついてからは「海と毒薬」に目を
通したくらいで没交渉でありました.年末に「沈黙」と「白い人・黄色い人」を読み
まずまずの感興をそそられたので,「侍」も試してみたと云う訳です.哀切なる冒険譚
としては魅力的なのですが,本筋や人物像がやや簡明に過ぎる印象を受けてしまいました.
2月8日. ここのところ根性の無いトポロジカル絶縁体の表面状態を記述する理屈
を考えているのですが,今週無理やりでっちあげた手法が本質をついていたようで,
予想外にきれいな結果が得られそうで少し幸せな気分に浸っています.
今年は雑務がきつくなりそうですが,研究もきっちり進めて行きたいと思います.
2014年1月
1月28日. 就職担当を仰せつかったため,ほぼ毎日企業の方々とお会いして
お話しを伺っております.困ったことに,未だに正しい名刺交換の方法が分かりません.
恐らく珍妙な所作を連発しているのではないかと危惧しますが,生温かく見守って下さい.
1月11日. 「神聖喜劇」全5巻を読了.とんでもなく物凄い小説としか言いようがありません.
1月6日. 正月休みの間,昼間は「神聖喜劇」(大西巨人,光文社)を繙き,
夕刻以降は飲酒に勤しむ.大著の通読を試みるのは約三十年振りか.
大量に引用されている古の詩歌等の意を解すことができず大変苦労したことを覚えています.
なにせ,万葉集の「隼人の名に負ふ夜声いちしろく…」どころか,
西行の「年たけてまたこゆべしと思ひきや…」でさえ知らなかったのですから.
「鈴ヶ森の白井権八」やら「先代萩の政岡」もなんのことやらさっぱり分からなかったはず.
馬齢を重ね,田能村竹田や江馬細香などの読み方くらいは覚えましたが,
読解は相変わらずお粗末の限りなのであります.
2013年12月
12月22日. 鷹野橋まででかけて「ハンナ・アーレント」.
私にとっては「ローザ・ルクセンブルク」(←学部生の頃)以来の
マルガレーテ・フォン・トロッタ監督作品でした.
様々な組織や集合体において思考停止が目に余る昨今,大変示唆に富む内容だと思う.
12月14日. 先日のどうでもよい話.薬研堀の某老舗小料理屋の大将は
年季の入った天然として有名です.
大将:今日は焼いて食べると美味しい葱があるんですよ.「下ネタ」葱って云うんです(きっぱり).
お客:…….
女将:「下仁田」葱でしょ.もう….
12月5日. 民主主義の根幹を揺るがしてはならない.
2013年11月
11月30日. 有楽町にて,四年生の一年間だけお世話になった研究室の同窓会.
実質的な棟梁であったI先生を囲んで楽しいひと時を過ごしました.
一学年上のKさんは切れ味鋭い革命的下ネタ話で場を盛り上げて下さったものですが,
現在は円熟みを増した至芸とでも云うべき下ネタ話を若手社員の士気向上に
有効活用されているそうです.
11月16日. 地蔵通りまで出掛けて仏料理店の新規開拓.
近所のビストロの大将から薦められていた店で,
店主はホテル時代の後輩なのだそうです.
行こう行こうと思いながらぐずぐずしているうちにタイヤ屋さんの星が付き
行きにくくなってしまったのですが,勇気を出して初潜入とあいなりました.
動物性油脂を過剰使用しない軽快な料理であり,大いに感銘を受けました.
タイヤ屋さんの番付も,こと仏料理に関しては納得できる気がします.
11月11日. 院生A氏との共著論文が掲載可となり少し幸せ.
今回は編集部を通して英文添削をお願いしましたが軽微な修正のみで済み一安心.
2013年10月
10月15日. 手こずっていた問題が解けてしまったので,
機嫌良く銀山町の怪しい居酒屋に直行.
人気のある店なのですが,なんと客は私一人のみ.
中高年層に大人気の天然Nちゃんがお酌してくれました.
2013年9月
9月28日. 元院生S氏の披露宴に参加.大変久し振りにネクタイを締めました.
9月21日. 「ジャン・クリストフ」(岩波文庫)を読了.
圧倒的な不撓不屈の人生.真似はできないしする気もありませんが,
少し背筋を伸ばして研究に励みたいと思うのでありました.
9月16日. 二日続けて広島市映像文化ライブラリーに通って「晩春」と「麦秋」
(監督 小津安二郎).
観客の平均年齢は恐らく60歳を軽く越えていたと想像しますが,
みなさん大変楽しそうに観賞されていました.
麦秋の冒頭,登場人物氏は通勤途中に「チボー家の人々」を読むのでありました.
9月1日. 「ジャン・クリストフ」(岩波文庫)の第一分冊を読了.
初めて読んだのは博士課程の一年目,将来に対する具体的な不安に押し潰されそうな毎日でした.
思えば遠くへ来たもんだ.
2013年8月
8月24日. 久し振りに新天地近傍の呑み屋に出掛けたら,
料理担当のSさんが見当たらずすっかり様変わり.
情報収集のためSさんの古巣へ梯子をかけてみました.
板前のO君曰く,3週間前くらいに件の店を辞めてしまった,
目撃情報から広島市内に潜伏している様子,自分探しでもしているのでは,とのこと.
50歳を過ぎて今さら自分探しなんて勘弁して下さい.
8月13日. 約二十年振りに「死の島」を読了.
主人公たちの年齢を越えてしまったせいか,学生のころと同じようには読めません.
AAの「内部」には(敢えて)立ち入らない構成にやや不満を抱いてしまいました.
とは言え,やはり好きな小説の一つであることは変わりありません.
「馬鹿な人だ、相馬さん。」
8月9日. 「死の島」(福永武彦,新潮文庫)の上巻を読了.
学生のころ福永武彦の小説は偏愛の対象であり,酒を摂取しながらの「草の花」
一気読みは何度企てたか分かりません.
「告別」とか「心の中を流れる河」とか,何度も読み返したものです.
そういえば竹橋の近代美術館までベックリンの「死の島」を見にいったこともありました.
8月5日. 杭州市で開催された国際会議に参加しました.
私の発表はやや的外れではありましたが,数人の若い衆が興味を示してくれた
ので良かったことにしましょう.
ところで,ホテルのバーで白葡萄酒を注文したら全く通じません.
紙に white wine と書いたらウォッカ(SMIRNOFF)を供してくれました.
ジントニックは簡単に通じたのに何故?
2013年7月
7月20日. 十日市町まで出掛けて久し振りに伊料理.数ヶ月前から
店主の御母堂がお手伝いをされているのですが,仕事にも慣れたご様子で
楽しそうに振る舞われているのが印象に残りました.
大変お久し振りのVino Nobile di Montepulciano/POLIZIANO (2008)
が(ちょっと若かったけれど)美味しゅうございました.
7月19日. 頭の調子が悪く(←医学的には無問題)研究が全く進まない.
来週頑張ります.
2013年6月
6月8日. 流川の気楽な鮨屋でちょいと摘まむ.やや生彩を欠く鮨種に
激おこぷんぷん丸(←近所の仏料理屋の兄さんに意味と使い方を教えてもらいました).
6月1日. 高校生の頃,たまたま聴いた「Still Night」(豊島たづみ)と云う
アルバムがなんだか性に合ってしまい,特にB面の最後に収録された
「街に灯,空に星」と云う曲を偏愛しておりました.
「寂しい女が切ない気分に閉ざされた時,馴染みの酒場で仲間と戯れ
ひと時の平安に浸る」と云う趣旨の何の変哲もない歌詞でしたが,
当時の私はこの煤けた世界に大いに感動し,立派な大人になったら
気のきいた酒場の常連になり悲劇的な恋に身を捧げようと固く決意したのでありました.
昨年,そのアルバムを入手し時々ターンテーブルに載せています.
高校生の頃の遠大な目標は達成できませんでしたが,
やはり素敵な曲であることは変わりありません.
2013年5月
5月25日. 漱石の後期三部作を二十数年振りに読了.
「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」との言明を初めて目にしたのは
現代国語の教科書だったと記憶している.
Kに対する意趣返しとして用いる場面の印象があまりに強烈だったため
未だに忘れることができない.
夕刻より学生時代の友人と宴会.
懐かしい方々の近況に触れ驚くこと頻り.
5月17日. 近接効果のお話は何をやっても上手く行かず
困っておりましたが,波動関数を繋がないで済ませる方法を思いついたら
簡単に解決してしまいました.すこししあわせ.
5月5日. 市民映像文化ライブラリーまで出掛けて「処刑の丘」
(1967年,監督 ラリーサ・シェピチコ).知らない監督の聞いたこともない作品を
偶然見てしまったのですが,秀作でありました.
ロシア・ソビエト映画特集を組んで下さった担当者氏に感謝いたします.
しかし,五月の連休にこのような渋い企画を立てて文句を言われないので
ありましょうか?少し心配になりました.
5月3日. 未見であった漱石の前期三部作を読了.
「三四郎」は伊坂幸太郎の青春小説を格調高くした感じでありました.
「それから」は主人公の心境の変化があまりに急激すぎる.
「門」では参禅が唐突すぎる.
十分面白いのですが,大昔に読んだ後期三部作と比べると
やはり小振りに感じてしまいました.
夕刻より近所の魚介伊料理屋で宴会.
現地味とは異なる大人しい味付けが気に入っています.
2013年4月
4月20日. 「続明暗」(水村美苗,ちくま文庫)をあっという間に読了.
読者を物語に強く引き込もうと云う著者の目論見はきっちり成功しているが,
少々やり過ぎてしまったようにも感じる.
とは言え,この「続明暗」がなければ本家「明暗」とは無縁のままだったはずなので,
それだけでもこの作物に感謝しなければならないと思う.
4月10日. トポロジカル絶縁体に対する近接効果を微視的なモデルに基づいて
調べているのですが,波動関数がうまく繋がってくれません.
本命と思っていた読み筋が外れてしまい,お先真っ暗.
4月6日. これまで縁のなかった「明暗」(新潮文庫)を読了
(正直に白状すると,猫や坊ちゃん,三四郎も未見).
「続明暗」(水村美苗,ちくま文庫)を読むための準備と云う
やや不純な動機で取りかかったのですが,病院での闘争の場面などは
大変おもしゅろうございました.
4月5日. 御初の鮨屋で大火傷.つまみは良いのですが….
2013年3月
3月29日. 新しい広辞苑でちょっとした語句の意味を確認した際,
かつて大西巨人氏が(「運命の賭け」あるいは「遼東の豕」所収の随筆で )
同書の伊良子清白に関する記述の誤りを指摘されていたことを思い出す.
ついでに確かめたところ,誤りは訂正(すずしろ→せいはく)されていました.
岩波文庫の「孔雀船」は品切れの様子で,大いに残念.
3月16日. 三越裏の小料理屋でぐずぐず.
大将は歌舞伎座のこけら落としが気になって仕方ないのか,
料理そっちのけで主要な演目を台詞混じりに解説するのでありました.
3月1日.昨日をもって卒業研究も無事終了.みなさんお疲れさまでした.
2013年2月
2月24日.鷹野橋まで出掛けて「ニーチェの馬」(監督 タル・ベーラ)を見る.
虚無感のみで構成された灰黒色の映像詩.
2月23日. 二十数年振りに「苦海浄土」(石牟礼道子,講談社文庫)を読み強い感銘を受けたので,
続けて「天の魚」(石牟礼道子,講談社文庫)を読んでいます.
後者の文庫版は絶版になってしまったようで大変残念です(藤原書店刊の全集なら入手可).
2月16日. ひろしま美術館までお散歩.「酒場の二人の女」と「青いブラウスの婦人像」
にはお逢いできましたが,ルオーの版画部屋はお休みで少し残念.
2月9日. 年明けから二度も体調を崩してしまいましたが(二大流行ウイルス完全制覇?),
やっと調子が上向いてきたので三越裏の小料理屋に出掛けて少し贅沢.
ロールキャベツと野菜がんも,おいしゅうございました.
2013年1月
1月22日. 戦争と平和を読了.一度は読むに値する清く正しい名作だと思う.
が,私としては病的なドストエフスキーの世界により惹かれてしまうのでした.
1月8日. 新年早々体調を崩し二日間断酒.
いきなりつまずいてしまいましたが今年もぼちぼち頑張ります.
とりあえずの目標は,曲がったトポロジカル絶縁体表面のディラック電子
に対する一般論(←にわか仕込みの微分幾何が役に立ちました)を論文にまとめること.
少なくとも数学的には大変流麗な形に仕上がりました.
1月年始. 戦争と平和(工藤精一郎訳,新潮文庫)をのろのろと読む怠惰な正月.
Sagrantino di Montefalco 25 anni/Arnaldo Caprai (1999)が大変素晴らしい状態になってまいりました.
期待していた日本酒は空振り.
2012年12月
12月年末. 横川まで都合三日間通って,未見のタルコフスキー映画を三本.
「アンドレイ・ルブリョフ」と「鏡」,「サクリファイス」.
映像の美しさに浸ることはできましたが,総じて私には難解でした.
最後のサクリファイスは少し理解できたかなと云う程度.
冒頭でゆったりと映し出される絵画は「マギの礼拝」(←フィレンツェで見た記憶あり)
だと思うのですが,本筋とどの様な関係があるのでしょうか?
12月8日. 近所のビストロに出撃.タイヤ屋さん(おフランス)配下の偵察隊が来訪されたとかで,
大将は上機嫌なのでありました.
12月1日. 「恰度、休電日ではあったが、朝から花をもって街を歩いている男は、
私のほかに見あたらなかった。その花は何という名称なのか知らないが、黄色の小瓣の可憐な野趣を帯び、
いかにも夏の花らしかった。」
老眼鏡のおかげで極小活字に対応できるようになったので,やや古びた書物をいくつかひもといてみました.
引用元の文庫本には昭和五十九年六月十日二十刷と記してあるので教養部生の頃に読んだのでしょう.
感銘を受けた記憶はあるのですが,今となっては浅瀬を辿っただけであったろうと思わざるをえません.
2012年11月
11月26日. 必要に迫られ,初歩的な計量微分幾何学のお勉強を始める.
とても辛い.酒量が増えそう.
11月19日. 球状トポロジカル絶縁体に関する投稿中の論文が掲載可となりそうで一安心.
「排水溝問題」はarXivに放り込んでみたものの反応は皆無.空振りか?
11月10日. 幟町にある音大の定期演奏会に出掛ける.牧神の午後への前奏曲,
ラヴェルの協奏曲,展覧会の絵など.
演奏を終えた学生さんたちの充実感に満ちた爽やかな表情が印象に残りました.
胡町に移動し爽やかさとは無縁の宴会をしめやかに取り行う.
11月5日. トポロジカル絶縁体における排水溝問題(と勝手に名付けた渋い問題)
が解けたので論文にまとめています.
渋いけど発想は新しいと思うので,みなさんに面白がってもらえることを期待しております.
2012年10月
10月27日. 近所の店で新蕎麦にありつく.蕎麦屋酒は大好きなのですが,長居できないので
必然的に梯子となってしまうのが難点か.味噌田楽,おいしゅうございました.
10月16日. 話題となっている「戦後史の正体」(孫崎享,創元社)を読了.
大変分かりやすい有意義な書物だと思います.
名指しで批判されている大新聞は黙殺してしまうのでしょうか?
10月6日. 流川にある中国家庭料理の人気店で小宴会.いつもは前菜と水餃子,
軽い炒め物などをつまみつつビールを摂取するのですが,少し趣向を変え本場の味と賞賛される麻婆豆腐に
挑戦してみました.大量投入された花椒に舌がしびれ涙目になりながらもなんとか完食.
辛味をさらに強化した麻辣豆腐も大人気とのことですが,私には理解不能です.
日本人に受ける調理法を編みだした陳建民氏の偉大さを思い知りました.
2012年9月
9月22日. 老眼鏡を買いに出掛ける.やや切ない.
9月1日. イタリア各地の市内バスおよび路面電車,地下鉄は
切符一枚で一定の時間(75分あるいは90分)乗り放題であり,地下鉄以外はなんどでも乗り換えできます.
そのため下車時,不要となったまだ使える切符を貧しそうな方々に
譲るという習慣が成立しているようです.
カターニャの街中で空港行きのバスを待っていたところ,
降りてきた気のよさそうな婆様から切符の施しを受けそうになってしまいました.
ちなみに,これで2回目.そんなに貧相に見えるのでしょうか?
2012年8月
8月25日. 先日「悪魔のトリル」が収録されているCDを発見し,懐かしさのあまり衝動買いしてしまう.
約20年前,バロックサロンxxxと云う流行らない店でよく流れていました.
店主のKさんは酔うと同じ話を繰り返す癖があり,偏愛するリパッティのレコードをかけては
ブザンソンでの最後のリサイタルについて語るのでありました.
植木屋になると言って出奔してしまいましたが,どこにおられるのやら.
8月6日. きょうは原爆の日.昨今,原子力発電所の立地と活断層等に関する情報が
しばしば報道されるようになりました.
かつて地盤の脆弱性やボーリングデータの捏造を指摘した科学者の意見が
なぜ一顧だにされなかったかを検証する必要がありましょう.
8月2日.朝の列車内にて「失われた時を求めて」を読了.
約三ヶ月もかかってしまいましたが,学生のころから憧れていた小説なので
(←当時生協の書棚に鎮座していた井上究一郎訳の豪華本にはとても手が出なかった),
ちょっとした達成感を得ることができました.
若さに響く部分も無いわけではありませんが,少々歳を重ねてから踏み込んだ方が
より深く楽しめる書物だと思いました.
2012年7月
7月28日.久し振りに堀川町の小料理屋.
夏ばてのせいか目方も酒量も減少傾向にあり,
ついつい日本酒を避けて麦酒へと逃避してしまう.
お薦めの鰻は食す気になれず,鮎の塩焼きでお茶を濁す.
7月27日.出勤の電車内において,失われた時を見出すシーン
(第十二巻,ゲルマント邸で敷石につまずきヴェネツィアを想起するくだり)に到達.
7月13日.今週はI.K氏らとの共著論文(都合4編)を投稿したり,再投稿したり,
煮たり焼いたり炙ったり.
I.K氏の饒舌なバルザック的英文(←物性研のK氏曰く「愛を語るような文章」)に
眩暈を覚えることしばしば.
7月1日.近所の教会までオルガンを聴きに行く.初めて聴いた
フランクの「前奏曲,フーガと変奏曲」に感銘を受ける.
2012年6月
6月30日.流川の飲み屋に出掛けて前回の泥酔を謝す.
6月16日.五月の連休明けから「失われた時を求めて」(集英社文庫,鈴木道彦訳)を
読み続けていますが,一週間に一冊の調子でやっと「第四篇ソドムとゴモラ」まで辿り着き
ました.全十三巻のうち第一巻(四刷)と第二巻(二刷)以外は全て初刷だったので落伍せず
最後まで読み通せるか少し不安になりましたが,そのような心配は無用のおもしろさです.
6月14日.蕁麻疹に罹る.過労とストレスのせいだと主張したところ,家人の失笑を買う.
2012年5月
5月24日.約半年の間,折れ曲がったトポロジカル絶縁体表面における散乱問題
を考え続けてきましたが,いくら試行錯誤しても解決の糸口さえ見つからずもう諦めようかと
思いはじめたところで,やっとひらめきました.この瞬間の心地よさは格別.
5月6日.「細雪(上,中,下)」(新潮文庫)を読了.娯楽読物としても圧倒的に
優れていることが良く分かりました.今年も非生産的な五月連休.
5月3日.東区民文化センター・小ホールにてブラームスのクラリネットソナタを二曲.
2012年4月
4月13日.久し振りに西条界隈をうろうろしていたら,某電機会社の技術者S氏と鉢合わせ.
お供して二軒はしごと相成りました.実は先週,流川のカウンターで遭遇したばかり.
4月8日.鷹野橋まで出掛けて「旅芸人の記録」(監督 テオ・アンゲロプロス).
教養部生だったころ,独文専攻のSさんから「あれは良い映画だ…,観ておけ・・・.」
と勧められたことを思い出す.
2012年3月
3月30日.先月「痴人の愛」を読了して以来,谷崎に憑かれております.
先日の学会出張中には「卍」を読了.大阪弁風一人称告白体のこなれ具合を,
Oさん(←当研究室随一の純正大阪弁の使い手)に実地検証していただきたい
と云う衝動に駆られる今日この頃でございます.
3月16日.研究の不調を嘆きつつ銀山町の居酒屋でぐずぐず.
焼き場担当のKさんが定年退職とあいなり,金土だけ助っ人に入ることになったそうです.
個人経営の居酒屋さんにも定年退職という制度があるのですね….
2012年2月
2月28日.昨日は卒業論文発表会.皆さんお疲れさまでした.
ところで4月上旬鷹野橋にて「旅芸人の記録」(監督 テオ・アンゲロプロス)が
追悼上映されるそうです.情報を提供してくださったFさんに感謝いたします.
2月23日.酒宴場のファンタジスタJ先生(←元研究科長閣下)の最終講義.
退職後もご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします.
2月12日.広島市映像文化ライブラリーまで出掛けて「こうのとり、たちずさんで」
(監督: テオ・アンゲロプロス).やはり,河を挟んでの婚礼シーンには震えてしまう.
静謐にして神秘的なまでに美しい映像.静謐な美しさと言えば,約二十年前に見たきりの
「ざくろの色」と「スラム砦の伝説」(監督 セルゲイ・パラジャーノフ)が忘れられない.
但し,こちらは極彩色.
2月5日.文治が復活するそうですね.三枝師匠が文枝を継がれることは聞いて
おりましたが,東京の襲名話は知りませんでした.松鶴と圓生,志ん生はどうなるのでしょうか?
ちなみに私が好きな噺家さんは五街道雲助師匠と春風亭小柳枝師匠です.
2012年1月
1月29日.未読であった「ゴリオ爺さん」(平岡篤頼訳,新潮文庫)を読了.
大変おもしゅろうございました.
1月22日.行きつけの小料理屋の大将から竹製の手提げ籠をいただく.
私が長年愛用している通勤用竹籠(←博士課程在学時に仙台の老竹細工職人から入手)
が大分くたびれているのを見かねて,
歌舞伎見物のついでに築地の道具屋で入手して下さったとのこと.
有難うございます.
1月年始.復活はなんとか読了するも,アンナ・カレーニナほどの感銘は
得られなかった.ところで正月に摂取した酒のなかでは,
Brunello di Montalcino/Il Colle (2004)が当たり.
ちょっと若いのが心配でしたが,もう呑み頃に差し掛かっているようです.
2011年12月
12月年末.夏休みに読んだアンナ・カレーニナが意外に面白かったので,
冬休みは「復活(上,下)」(木村浩訳,新潮文庫)を読むことにする.
これも約二十年振り.
12月28日.英作文がはかどらずイライラしていたら,威勢の良いノックの音.
誰かと思ったらOBのG氏でありました.おつれあいと一緒に旅行中とのこと.
お元気そうでなによりです.
12月23日.ひろしま美術館までお散歩.「酒場の二人の女」と「青いブラウスの婦人像」
に憑かれているのですが,前者は休養中とのこと.残念.
12月5日.海外逃亡中のI.K.氏(くるりんこ論文の売り込み工作に従事)より
営業活動報告が届く.第三くるりんこ論文の評判がよろしいとのこと.
12月3日.院生S氏と考えているグラフェンの端っこ問題がさっぱり進まず
困っておりましたが,やっと解決の糸口が見えてきました.
と云う訳で,ちょっと贅沢して Ai Suma/Braida (2001).
2011年11月
11月6日.第三くるりんこ論文(←ワイル半金属の表面状態とベリー位相の影響を解析)
に対する返答が届く.今回は虐められるだろうと覚悟しておりましたが,
望外の好意的コメントに拍子抜け.
11月5日.幟町の音大でブラームスのヴァイオリン・ソナタを三曲.
2011年10月
10月15日.ひろしま美術館(←職員証/学生証で無料入館!)までお散歩.
閑散としたルオーの版画部屋でキリストや骸骨,悪魔らに囲まれてうだうだ.
10月11日.第二くるりんこ論文(←トポロジカル絶縁体の表面Dirac状態における
ベリー位相をやさしい方法で導出)に対する返答が届く.的確かつ好意的なコメントで少し嬉しい.
10月10日.鷹野橋で「バビロンの陽光」(監督 モハメド・アルダラジー)
を観た後,銀山町にて一人宴会.いつもの場所が埋まっていたので慣れない席に座ったら,
いつもと少し違う新鮮な気分を味わえました.
10月1日.東区民文化センターまで日韓若手音楽家交流コンサートを聴きに行く.
4人のピアニストによる競演とのことで,ショパン/バラード4番,リスト/バラード2番,
ブラームス/ソナタ3番,ラフマニノフ/ソナタ2番,ベートーヴェン/ソナタ18番とてんこ盛り.
全身でピアノと格闘する人もいれば,(肘から上だけを見ていると)ピアノを弾いている
のか焼き鳥を焼いているのか分からない人もいて,人それぞれなのでありました.
2011年9月
9月11日.トンブリーの地元民御用達飯屋でビアチャン飲みながら
ヤムウンセンとグリーンカレー.
外人割引なしの容赦ない辛さに痛めつけられても,やめられない止まらない.
9月6日.I.K.氏と考え始めた問題(←北京の餃子屋での与太話が発端)がきれいに解決し
大変嬉しい.また,ロシアの大作も無事読み終えることができ良い気分です.
アンナ・カレーニナはやはり名作だということがよく分かりましたが,
同時に学生時代の自分が熱中出来なかった理由もおぼろげながら思いだしました.
2011年8月
8月27日.アンナ・カレーニナが思っていた以上に面白い.学生の頃は,ドストエフスキー
は面白いけどトルストイはつまらないと思っていたのですが・・・.すっかりメロドラマ好きに
なってしまいました.
8月20日.北京ではビールばかりだったので,日本酒が美味くてたまりません.
なんとなく「アンナ・カレーニナ(上,中,下)」(木村浩訳,新潮文庫)を読み始める.
二十数年振り.
8月17日.低温物理国際会議の閉幕と同時に北京より帰国.主としてトポロジカル絶縁体
に注目しておりましたが,中国系研究者の活躍が目立ちました.我々も頑張らな
ければとは思うが,もう手遅れか?I.K.氏に連れて行かれた驢馬肉食堂に感激!
2011年7月
7月17日.中区の教会で開催されたアマチュア合唱団(宗教曲専門)の定演に潜入.
主たる曲目はペルゴレージのスターバト・マーテルとヴィクトリアのレクイエムで,
アンコールではモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスを歌ってくれました.
伴奏はオルガンだけ.弦の絡まないスターバト・マーテルはやや質素なれど,
やはり生演奏は格別です.
7月2日.「長いお別れ」(清水俊二訳,ハヤカワ・ミステリ文庫)を読了.
他人が言うほどの大傑作なのであろうか?
バーにでかけてギムレットを注文する気にはなりませんでした(そもそもカクテルは苦手).
2011年6月
6月25日.故武谷三男先生が提唱された「許容量の考え方」の有効性を再認識.
今こそ活かされるべき概念だと思う.
「***以下だから安全」とか「***km圏外だから安全」と云う言説は何を
根拠にしているのであろうか?
6月16日.くるりんこ論文に対する返答がやっと届く.
3人のレフェリーがみな好意的なコメントで拍子抜けしました.
今週末は気持ちよく梯子できそうです.
2011年5月
5月21日.久し振りに堀川町の小料理屋.出席率が悪いと叱られる.
鱧やら団扇海老,蛸の子などつまみつつ冷や酒.
お隣のカナダ人兄さんはカマの照り焼きに大興奮.
5月1日.昨秋,「或る女」(新潮文庫)を初めて読んだのですが,本質的内容は全く
古びておらず大変激しく感銘を受けました.
当時の作物をもう一丁と云うことで「暗夜行路」(新潮文庫).
「或る女」ほどではありませんが十分楽しめました.
本筋とは関係ありませんが,昔の作家はとんでもなく教養があり且つお金持ちだったんだなあ
と妙に感心してしまいました.
2011年4月
4月23日.放射線による晩発性障害に関する情報周知が不足しているように
思えてならない.
4月16日.「ショパン 炎のバラード」(ロベルト・コトロネーオ 集英社)の再読完了.
初回は訳文と調子があわず難儀しましたが,二回目は律動的に読み通すことができました.
現実的な問題として,ミケランジェリはバラード第4番の録音を残しているのでしょうか?
4月9日.横川のとある店で呑んでいたら,見覚えある筆使いの素描が飾られている
ことに気付く.店主に伺ったところ,やはりKさん(以前某所のカウンターでよくお見かけ
した方)が描いたものとのこと.お懐かしゅうございます.
4月2日.「フラナリー・オコナー全短篇(上,下)」(ちくま文庫)を読んだら
神経がささくれだってしまいましたとさ.教条的な善意によって形成される陰惨な世界.
リハビリテーションとして「オリバー・ツイスト(上,下)」(新潮文庫)を読み始める.
よい子の読書感想文に好適と思われる素朴なお話し.
2011年3月
3月8日.それでも「2D くるりんこ model」に基づく解析は有意義との結論に至る.
I.K.氏とT.A.氏が論文(arXiv:1103.1430)にまとめてくれました.
3月1日.「2D くるりんこ model」は本質を突きまくっていたのですが,類似した
モデルが Phys. Rev. B に報告されておりました.残念無念.
2011年2月
2月23日.I.K.氏に唆されて 3D topological insulator 中に現れる helical mode に
足を突っ込む.有効モデルとして「2D ぺったりんこ model」を提案するも,
gap が開かず大失敗.懲りずに再提案した「2D くるりんこ model」は本質を突いている
と思うのですが….
2月13日.遅ればせながら「逝きし世の面影」(渡辺京二,平凡社)を読了.
大変有意義でありました.おかげで,古典落語等の不可解な筋書きに対する違和感を
少し解消できたような気がします.
2月11日.本通りまで出掛けて「白いリボン」(監督 ミヒャエル・ハネケ).
美しい白黒の映像で語られる陰惨な出来事の連鎖.
跳び込みで潜り込んだお初の伊料理屋で大火傷.
2011年1月
1月21日.近似の問題が解決したので論文執筆を再開.I.K.先生の英作文教室でしごかれる.
1月9日.「魔の山」を読了.初めて読んだのは学部3年生の夏休み(だったと思う).
セテムブリーニとナフタの問答に難儀したことを覚えています.
今回はと云うと,やはり理解困難な点が多々あり学芸的精神的な力不足を痛感しました.
「人生の厄介息子」のまま馬齢を重ねてしまったと云うことか.
でも面白かったから,これでいいのだ.
1月6日.グラフェンを介したジョセフソン効果に関する渋い論文を書いていたら,
用いた近似の精度が気になりだして途中下車.悩ましい.
2010年12月
12月年末.昼間は「魔の山(上,下)」(高橋義孝訳,新潮文庫・旧版)に集中,
夕刻以降は飲酒に専念.Solare/Capannelle (1999)で痛い敗北を喫しましたが,
開運純米吟醸・雄町とCh. Pichon Longueville Baron (1999)は大変よろしゅうございました.
12月13日.院生S氏の論文原稿がほぼ仕上がる.少し安心.さっさと投稿して下さいね.
12月11日.久し振りに堀川町の小料理屋.女将の漫談を遮り損ねついつい長居.
2010年11月
11月27日. 日向ぼっこしながら,手元にあった「海と毒薬」(遠藤周作,講談社文庫)
を読む.老眼には厳しい極小活字に対応するため,眼鏡外し作戦を敢行.眼鏡無しで
(薄いとは言え)一冊の本を読み通したのは約30年振りか….
11月25日. 筑波大のK先生にお越しいただき集中講義.どうも有り難うございました.
11月10日. 数値シミュレーションプログラム(←院生A氏入魂の力作)のバグが取り
除けず困っておりましたが,アルゴリズムには全く問題がなく私の見落としが原因と判明.
またやっちまったよ….
2010年10月
10月25日. Eilenberger方程式を解いてJosephson電流を求める計算練習.
数因子が合わずいらいら.
先月のお話し. 大阪府大を訪問したついでに懐かしの阿倍野橋界隈を放浪.
あべの銀座は見る影もなく,和源やマルヨシ,aaは移転済み.唯一昔のままの明治屋に
お邪魔する.老舗の健在ぶりを喜ぶ間もなく,11月には移転のため店を閉めるとの話を聞く.
残念至極.駅近くのトップシンバル(←大昔,毎週通ったJazz屋)に向うも跡形なし.
二年前に閉店したとのこと.これも残念.
10月3日. 若くして逝った友人Tの命日.もう18年.
2010年9月
9月17日. タシケントで出稼ぎしているN大尊師より近況報告が届く.
9月に帰国予定だったが,ウズベキスタン大学物理学科で更にひと儲けすることになったので,
2年間延長して営業するとのこと.お元気そうでなによりです.
9月16日. 約8ヵ月分ため込んでしまった未読雑誌(J. Phys. Soc. Jpn.,
Phys. Rev. Lett., Phys. Rev. B, Europhys. Lett., Physica E)にざっと目を通す.
専門分野以外は素通りしたにもかかわらず,3日もかかってしまう.Phys. Rev. B の
分量は異常ではなかろうか?
9月5日. 昨年の夏休み,パリでもブザンソンでもなくチャオプラヤーの畔で「赤と黒」
(←約20年振り)を読了.今年度はヒース生い茂るムーアとは無縁なイオニア海沿いの港町で,
約15年振りの「嵐が丘」(田中西二郎訳,新潮文庫).
流石,メロドラマ史に燦然と輝く不朽の金字塔!炸裂する激情に感銘を新たにする.
2010年8月
8月21日. 久し振りに研究成果が得られたので,新天地の居酒屋で気持ちよく憩う.
店の名物大オヤジに捕まるも,即解放され一安心.改装した別の店が忙しいんだとか….
8月8日. 「怒りの子」(高橋たか子,講談社)を読了し,高橋たか子さんの小説をほぼ
制覇.結局,最も惹かれるのは初期の作品と云う結論にたどり着きました.
私にとっては「骨の城」が白眉.
2010年7月
7月25日. 数ヶ月前,広島市内某レコード店でのお話し.少し気になった
「It was silly of me」と云う表題のCD(自主製作LPの復刻盤)を手に取ったところ,裏面に
葛西暉武(p),高橋明久(b),民部田敏晴・熊谷清記(ds)と記されているのを発見し激しく
感動する.約二十年前大学院生であった私は,仙台駅前の某ジャズ呑み屋で不定期に催される
ライブ(←チャージが安かった)に通っておりましたが,そこで演奏されていた方々なのです.
当時私がお世話になった店は,定禅寺通りのバーを除いて全て閉められたそうな.
なんだか寂しいものです.
7月4日. 近所の床屋で散髪.円形脱毛箇所が隠れるように仕上げて下さいました.
本人は全く気にしていないのですが….院生の頃,頭髪の半分以上が抜け
落ちたとき(←落武者のようだと言われた)は流石に悲しかったが,それ以来,少々のことで
は気になりません.
2010年6月
6月中旬. なんだかんだと忙しく道楽に走る余裕もない毎日.通勤途中に読んだ「ユルスナールの靴」(須賀敦子,白水Uブックス)に感銘を受ける.暇ができたら「ハドリアヌス帝の回想」を読みたい.
2010年5月
5月連休. 苦労して手に入れた「天路の奈落」(大西巨人,講談社)を読了.
気合いを注入されました.どの古書店でも高値(>5K円)が付けられており
手を出しあぐねておりましたが,何故か1200円という破格値で入手に成功.
嬉しゅうございました.
2010年4月
2010年3月
3月29日. 井村さんと院生S氏の居室は今日も薄暗く寒々としておりました.蛍光灯と大型暖房機器がお嫌いなんだそうです.「中原よ。地球は冬で寒くて暗い。ぢゃ。さやうなら。」
3月13日. P子ちゃん(オバケのQ太郎の妹)はヘミングウェイを読んだことがあり,コールドウェル(←私は未読)やフォークナーにも通じているんだそうです.オバケ学校では優等賞.なんたる才媛.
3月6日. 「太陽を曳く馬(上,下)」(高村薫,新潮社)を読了後,鷹野橋に出掛けて「カティンの森」(監督 アンジェイ・ワイダ)を観る.なんとも重たい一日.その後,流川で大爆発.
3月1日. 井村さんが着任されました.美しい仕事を期待しております.
2010年2月
2月16日. 修論発表会も今日でおしまい.M2のみなさん,お疲れさまでした.
2月12日. 論文一編をe-print arXivに放り込む.二段組みにすると何故か激しく型崩れするので,仕方なく一段組みで投稿.我が計算機音痴は不治の病か.
2月6日. 芸風に背反するお仕事を拝命したせいか,なんだか気が晴れぬ日々.と云う訳で,街まで出掛けて息抜き.流川界隈をふらふらしていたら,Sagrantino di Montefalco 25 anni/Arnaldo Caprai (1999)があり得ない安値で売られているのを発見.即購入し,伊料理屋に持ち込んで宴会.まだ少々熟成が足りない感じでしたが,十分おいしゅうございました.
2010年1月
1月16日. 休日出勤で消耗後,八本松の激安伊料理屋で大食.またもや猪と鹿.
1月10日. 京橋町の南仏料理屋で猪と鹿.手頃なボルドー産赤葡萄酒がそこそこ旨い.
1月8日. 地味な発想は空振りに終わる.少し不幸せ.
1月年始. 「悪霊」を読了.少し満足.年末に思いついた地味な発想が上手くまとまりそうな予感を得る.少し幸せ.
2009年12月
12月年末. 伊料理屋と鮨屋にお世話になり,今年の放蕩もおしまい.伊料理人I氏は所帯を持たれるとのこと.おめでとうございます.鷹野橋で「隣の女」(監督 フランソワ・トリュフォー)を観たり,「悪霊(上,下)」(江川卓訳,新潮文庫)を読んだり….どちらも大変お久し振り.
12月17日. 卒研生T君の異常と思われる計算結果に困惑しておりましたが,それが正当であることにやっと気付く.T君,ごめんなさい.
12月12日. 流川で摘まんだ帰り道,お初の蕎麦屋に紛れ込む.随分とお久し振りの蕎麦屋酒.
2009年11月
11月28日. オバケのQ太郎(藤子・F・不二雄大全集,小学館)でほのぼの気分.「小池さん」が結婚していたことを初めて知りました.研究不調.
11月7日. 「1968〈下〉叛乱の終焉とその遺産」(小熊英二,新曜社)を200頁ほど読んでから,街へお出掛け.駅前の本屋で「霧のむこうに住みたい」(須賀敦子,河出書房新社)を入手したのち,堀川町の小料理屋でぐずぐず.
2009年10月
10月17日. 鷹野橋まで出かけて「ポー川のひかり」(監督 エルマンノ・オルミ)を観る.余韻は深く楽しめる映画ではありましたが,主人公の行動に必然性が感じられない.15:00前に終わってしまったので,ひろしま美術館(←職員証あるいは学生証を提示すると入館無料)に移動し夕刻まで暇つぶし.
10月7日. 怪しいアイディアに基づいた計算が,あり得ないくらい上手くまとまってしまい大感激.さっさと論文書きます.
10月3日. 二週間前に思いついた怪しいアイディアが大変激しく美しい結果につながりそうな感触を得る.良い気分で流川の伊料理屋に出撃.気が大きくなり Sassicaia/Tenuta San Guido (2001) に手を出してしまう.
2009年9月
9月19日. バンコクから帰国.街は少しずつ変わっています.気付いた変化は以下の通り.(1)クロスタービールが消滅.(2)トンブリー側の運河乗合ボートが消滅.(3)インド人街にビル(India Emporium)が建ち雰囲気激変.
9月6日. 20数年前に見た映画の原作が復刊されたので,とりあえず読んでみました.記憶の中でモノクロームになってしまった映像を思い起こしつつ.「ハイファに戻って/太陽の男たち」(ガッサーン・カナファーニー,河出書房新社).
9月5日. 街まで出かけて江戸前鮨.つまみで頂いたノドグロが秀逸.
2009年8月
8月27日. 秋田まで出かけてお勉強会.当方が準古典Keldysh法を用いて導出した方程式系について,みっちりと議論していただきました.お久し振りの共同研究と云う訳で,新鮮な気分.
2009年7月
7月26日. 「ブロデックの報告書」(フィリップ・クローデル,みすず書房)を読了.読んでいると息苦しくなるが,放り出すこともできない.陰鬱な力作.
7月13日. 失くしたと思っていたバスカードを洗濯機の中から救出.約二週間ほどお隠れになっていた勘定になります.おいたわしや.無理とは思いつつ通勤時に試用したところ,利用可と判明.磁気記録万歳!
7月5日. 夜半,ふとAntalya(トルコ)なる街の位置が気になり地図を開くも,極小の活字が見にくく判然とせず.試みに眼鏡をはずし裸眼を至近距離に近づけたたところ,よく見えるのなんの.老眼症状が出始めたことにうすうす感づいてはおりましたが,ここまで立派に進行していたとは.
2009年6月
6月21日. 学生時代のお話.私が属していたサークルには宴会などで社会科学に関して難解な議論をかわされる年長者が数人おられ,素直な私は憧憬の念をもってその言説に接していました.一方,私が敬愛していたKさんは彼らのことをやや批判的に捉えておられるようでしたが,その理由は分かりませんでした.長じて,彼らの言説は啓蒙書等の受け売りにすぎなかったことに気付き愕然としたことを覚えています.
最近,ある知人のブログを拝見した際,そんな昔の事を思い出してしまいました.学生さんの背伸びは可愛げがあって悪くはないと思うのですが….
6月13日. 横川まで出掛けて「子供の情景」(監督 ハナ・マフマルバフ)を見る(上映初日).大変素敵な映画でありましたが,観客はまたしても十名未満.なんとかなりませんかねえ….六歳の少女バクタイが激しく可愛い.流川の魔窟に移動して,Tramonto d'Oca/Poggio Bonelli (2000).
6月1日. 若林さんがご栄転となり,新しい職場へと旅立たれました.健闘を期待しております.
2009年5月
5月17日. 某週刊誌の編集後記に記された忌野清志郎さんへの追悼文から引用.”個人的に好きな曲を一つ選ぶなら,RC時代の「エンジェル」”.全く以て同感!「エンジェル」と「よそ者」,それから「ヒッピーに捧ぐ」が好きでした.
5月13日. 着任の際、伊澤さんに買ってもらった計算機(Windows2000)を延々と使ってきましたが,そろそろ限界と云うことで新調しました.絶望的に計算機音痴な私にとって,移行作業は苦痛以外のなにものでもありません.
5月4日. 流川の魔窟にて葡萄酒呑み.30th Anniversary ブラッククイーン/白百合醸造 (1978).珍味なり.士別産の子羊,おいしゅうございました.
5月3日. 宿泊参加と相成ったオリエンテーション・キャンプ二日目.M学生生活委員長閣下,H副委員長殿と牛頭山(←689m)に登る.鬼のような速さで駆け登る委員長閣下の体力に驚嘆.泣きながらついて行きましたとさ.
2009年4月
4月24日. 仕事帰り,自宅近傍の居酒屋に出没するも,うら若き娘さん達に囲まれ居場所なし.お久し振りのバーに移動したら,今度はおっさんばかり.口臭・加齢臭よけの薬について教えて頂きました.
4月19日. 街で大酒呑んだ翌日と云う訳で,おとなしく「ディビザデロ通り」(マイケル・オンダーチェ,新潮社)を読んで過ごす.この人の小説は「イギリス人の患者」以来なので約十年ぶり.不発!寡黙な美しさを評価すべきなのでしょうが,小説家は語るのが商売ではないのか?
4月9日. 久し振りの講義で少々疲れました.横浜は順調に黒星を積み重ねていますが,鯨時代からの愛好者にとってはなんてことありません.長きにわたり諦観を積み重ねておりますから.
2009年3月
3月24日. 研究室の送別会・第二部の帰り道,岡町の路上にてS先生(←学校の大先輩)とY先生に遭遇.未知なる倒錯の世界へ誘って頂きました.
3月20日. 鷹野橋にて「かくも長き不在」(監督 アンリ・コルピ)を見る.渋いの一言.流川の伊料理屋から銀山町の居酒屋へと二段梯子.
3月7日. 横川まで出掛けて「シリアの花嫁」(監督 エラン・リクリス)を見る.上映二日目だと言うのに観客は十名未満.感動的な点も多々あれど,政治的バイアスが気になりました.シリア側の視点に立ったとき見えてくるであろう風景とは?
2009年2月
2月20日. ここ数日,図書館の書庫にこもって60-70年代ロシアの文献を渉猟.院生の頃やや遠きものに思ひし Soviet Physics JETP と,薄暗がりで戯れる不健康な毎日でございます.
2月15日. 市内堀川町の小料理屋に出没.Mちゃん(7歳)がおしぼりを出してくれました.お手伝いしたい年頃なんだそうです.生蝦蛄旨し.
2月8日. 井上慶太八段(45歳)がA級順位戦への昇級を決められたと知り,感動する.少し年の若い私は,もっと激しく精進せねばならないと強く思うのでありました.
2009年1月
1月29日. 読了.恐ろしいほどの射程の長さに改めて感じ入りました.
1月25日. 中巻を読了し,下巻に突入.前日,流川に出撃しなければ読み終わっていたはずなのに・・・.
1月23日. 数十年振りに「カラマーゾフの兄弟(上,中,下)」(原卓也訳,新潮文庫)を読み始める.四日かけて「大審問官」まで到達.初めて読んだのは教養部にいた頃で,まだ十代だったはず.年代もの(上巻は1984年9月30日発行の十四刷)であるため活字が小さく,老眼症状の出始めた現在の私にはやや辛い.
1月14日. 昨年度修士課程を修了されたF氏がご来学.当然の事ながら宴会と相成り,午前様.
1月3日. 流川の魔窟にてブレスのシャポンを摂取.激しく美味しゅうございました.
1月年始. 「新リア王(上,下)」(高村薫,新潮社)に引き込まれる.仏教用語連発には苦しみましたが,重厚にして粘着的な精神的対話を堪能.《愁いの王》なんぞと云うお懐かしい言葉に触発され,「死霊」の六章を読み返してしまいましたとさ.
2008年12月
12月27日. 本通まで出掛けて「この自由な世界で」(監督 ケン・ローチ)を見る.ケン・ローチらしい映画ではあるが,やや出来が悪いように感じた.もう一度「ケス」が見たい.京橋のビストロで葡萄酒を摂取して帰宅.
12月26日. 今日はM1の中間発表会.みなさん,お疲れ様でした.
12月14日. これまた遅ればせながら,「本格小説(上,下)」(水村美苗,新潮文庫)を読了.展開される恋愛模様には少々違和感を覚えましたが,大変おもしゅろうございました.
12月7日. 遅ればせながら,「ミラノ 霧の風景」(須賀敦子,白水Uブックス)を読む.「インド夜想曲」などの翻訳を通して著者の文章に触れたことはあるが,随筆は初めて.過度の感傷に浸ることなく端正な文章で綴られた,過ぎ去りし日々への追憶.
12月1日. 健康診断結果を受け取る.身長が 1.7 cm 増大し,矯正視力は (0.6, 0.6) から (1.2, 1.0) に向上.測定精度に問題があるような・・・.
2008年11月
11月22日. 街まで出掛けて久し振りの江戸前鮨.驚異的に脂の乗った穴子と太刀魚に感涙.細魚もご立派.帰りに立ち寄った京橋町の南仏料理屋は大繁盛のご様子.より一層の業績向上を祈念しております.
11月21日. お絵描きソフトで蜂の巣格子の図作成に挑戦.試行錯誤の末,グリッドを1:√3に設定し直せば好都合なことに気付く.なんとか目的を達成するも,不細工な出来映えに泣きそうになる.半日費やしたのに・・・.
11月8日. 三越裏の小料理屋を覗くも敢え無く敗退.これから暫くの間,飛び込みでの席確保は困難か・・・.方針変更して流川の伊料理屋へ.
2008年10月
10月22日. 久方ぶりに Tomonaga-Luttinger model で玩具遊びをしようと思い立ち,昔のノートに目を通しております.自分で書いたメモが理解できず,ややへこむ.
10月12日. 焼尻産仔羊(←かなり品薄)が再入荷との報せを受け,流川へ出撃.前回はロースをいただいたので,今回はヒレとタン,スペアリブを所望.激しくアロ〜イ!Solengo/Argiano (2000)で悦楽.
10月11日. 西条の街は酒祭りでにぎやかです.窓を締め切り,論文草稿に朱を入れたり,「アルトナの幽閉者」(人文書院)を読んだり.体に悪い.
10月1日. もう新学期なんですね.夏休み中にやっつけそこなった論文を,ちびちびと書き続ける毎日でございます.皆様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか.今年の夏にはこんなこと もございました(神○さん(筑波大)に無理やり連れて行かれた先斗町歌舞練場にて).金研の K 先生,阪府大の K さん,秋田大の H さんもご機嫌でございました.
2008年9月
9月23日. 涙の「新幹線乗り継ぎ攻撃」で学会出張先(盛岡)より帰還.連夜の親睦活動(注:情報収集活動を兼ねております)により体重微増.
9月9日. 機中にて「チーム・バチスタの栄光(上,下)」(海堂尊,宝島社文庫)を一気読み.大変読みやすいが,ただそれだけ.読みやすさを優先するあまり,内面描写を放棄しているように感じる.
2008年8月
8月26日. T氏(八木Gr.)の実験が順調とのこと.私自身も少々絡んだ話なので,とても嬉しい.良い結果を期待しております.
8月23日. 某鮨屋にて瀬戸内の鯖(初物)をいただく.まだ脂の乗りは浅いが,なかなか立派でありました.築地では三陸産が相当量出回っているそうです.まだ8月だと言うのに・・・.季節感が崩れて行く.
8月9日. レコードプレイヤーの針を交換.久し振りに Barney Wilen (ts) のレコード(La Note Blue と French Ballads ← 名盤!)を聴く.今となっては CD を選ぶべきだったと思うが,当時は LP のほうが安かったんですよね・・・.
8月1日. 京都にて超伝導の研究会.勉強になりました.
2008年7月
7月26日. 猛暑の市民球場にて野球観戦.熱血カープおばさんのドツキに耐えながら横浜を応援したのに・・・.研究も不調.
7月13日. 三越裏の小料理屋で宴会.独りじゃ寂しいわね・・・,と女将に慰められてしまう.
7月3日. 研究科の七夕飾りに短冊つけて,神様にお願い.ベイスターズが100敗しませんように.
2008年6月
6月11日. 外部資金を当てまくり景気の良い WK 氏は海外逃亡中.不景気な私は,孤影蕭然として今も尚ほ「らるきん-おぶちにこふ」を読む.
2008年5月
5月24日. 悪天候にもめげず,流川の魔窟へ出撃.花付きズッキーニ,水ナスのサラダ,・・・を摂取しつつ Solare/Capannelle (1997).
5月17日. オリエンテーション・キャンプに駆り出され,新入生と一時間半ほどおしゃべり.青春真っ只中!
5月3日. やや無気力に「黄色い雨」(フリオ・リャマサーレス,ソニーマガジンズ)を読みはじめるも,止まらなくなり即日読了.絶望を通り越した孤独の極致.
2008年4月
4月23日. Usadel 方程式と和解成立.数値解の挙動がなんとも怪しいので計算間違いを犯していると思い込んでいましたが,ただの勘違いだったようです.空しい.
4月6日. 二日かけて「中村屋のボース」(中島岳志,白水社)を読了.客死した革命家に対する著者の思い入れが胸に染みます.
4月2日. Usadel 方程式と格闘中.どうにもこうにも上手く解けず,泣きが入っております.誰か助けて!
2008年3月
3月24日. 学会出張で大阪へ.下宿の同期と二十年ぶりに再会し,大いに呑む.大変楽しゅうございました.企画を立ててくれた花栗(@理研)に感謝.
3月15日. 流川の魔窟 Enoteca *** にて Le Stanze/Poliziano (2001).サルシッチャが美味しゅうございました.
2008年2月
2月24日. 「狼たちの月」(フリオ・リャマサーレス,ヴィレッジブックス)を読了.テオ・アンゲロプロスの映画のような,磨りガラス越しの詩的空間.
2月14日. 今日は修論発表会.皆さん,お疲れ様でした.
2月2日. 街まで出掛けて大宴会.ついでに,グルダの最後の録音(即興曲と楽興の時+ゴロヴィンの森の物語)を入手.日本語解説曰く,「涙なしには聴けない名演」.やや感傷に過ぎるとは思うが,気持ちは分かる.もっと早く聴くべきであった.
2008年1月
1月12日. 東下り(帰省)のついでに廉価版を大量確保.やっと入手しました,Bridge のチェロソナタ(演奏は Rostropovich (vc) & Britten (p)).Trio Fontenay のピアノ三重奏曲集(Ravel / Debussy / Faure)も宜しゅうございます.
1月7日. 論文を投稿.さて,次は何に手を付けたらよいのやら.関係ないけど,先日,市内京橋町のビストロに初潜入.伊食堂@八本松の南仏版といった風情でなかなか宜しゅうございました.
1月年始. 机上熟成させてしまった,「つみびと」(ジュリアン・グリーン,人文書院)と「ガラスの家」(プラムディヤ・アナンタ・トゥール,めこん)を読んでおしまい.
2007年12月
12月年末. Y鮨でつまんで遊び納め.「土星の環」(W・G・ゼーバルト,白水社)をめくりつつ,西条にて越冬.
12月17日. 中村勝弘大尊師(大阪市大)御退職お祝いの儀が,来年3月10日に挙行されます.こんな所に書いても無意味とは思いますが,行方知れずのOB・OGに関する情報をお待ちしております.
12月1日. 三越裏の小料理屋に一番乗し,なんとか席を確保.刺身(鰆,鰤のずり,等),小鯛の塩焼き,おでん,・・・.流川の魔窟 Enoteca *** に移動して,Barbera d'Alba/Luciano Sandrone(1999).
2007年11月
11月26日. コンダクタンス揺らぎを無理やり数値計算.古典モンテカルロ法に四苦八苦.
11月17日. 八本松の伊食堂で小宴会.トリッパの煮込みとポレンタ(+ゴルゴンゾーラ),マルゲリータで悦楽.調子に乗り,西条岡町にてウイスキーを過剰摂取.
11月9日. 完全透過チャネルを持つ量子細線に関する研究の一環として,コンダクタンス揺らぎの計算に着手.DMPK方程式の厳密解が与えられているのだから楽勝と思っていたが,実際は近似計算すら上手く行かない.なんたる不条理!
2007年10月
10月13日. 広島駅前の本屋にて,「ガラスの家」(プラムディヤ・アナンタ・トゥール,めこん)を発見し,びっくり.即購入.ついに出版されましたか!パルコのレコード屋では,Rolf Kuhn(cl)のSolarius(ピアノは勿論Joachim Kuhn)を発見し,びっくり.即購入.ついに再発されましたか!良い気分で,移転したY鮨へ.
10月9日. レフェリーやったり,(当たらない)科研費の申請書を書いたり,なんだか落ち着かない学期始め.
10月6日. 休業していた市内幟町の伊料理店が店を畳んだとの噂を聞く.愛好していた店なので,極めて残念.六月下旬,店主にお会いしたときには,「・・・近々店を閉める,・・・一回り小さくして再開予定,・・・その時は連絡する」と仰っていたので,今後に期待しております.
2007年9月
9月10日. 先月中に作文した本論文をやっと投稿.細かいミスが次々と見つかり,仕上げに手間取りました.夏休み中にやっつけることができて,一安心.
9月8日. 流川の鮨S(随分と久し振り)でつまんでから,葡萄酒呑みに流れる.八月におふらんすへ行かれたソムリエ氏によると,今年の出来は最悪なのだそうです.業者の方々は,ボジョレ(の早飲み)をどう売り込むのでしょうか?
2007年8月
8月19日. Richard GALLIANO (accordion) の新譜(愛の賛歌が入っているやつ)を入手したのですが,なんだか面白くありません.Gary BURTON (vib) とは合わないということなのでしょうか?
8月15日. 流石に学校は静かです.Suspended Night(Tomasz Stanko Quartet, ECM)等を聴きながら英作文.
2007年7月
7月28日. 広島市内で鮨.Y 鮨は相変わらず突き抜けた旨さでありました.今回の一押しは,連子鯛と夜鳴き.渋い!近々,もう少し便利な場所に移転されるとのこと.
7月27日. 超幾何関数とガンマ関数,およびそれらの親類と戯れること四ヶ月.やっと計算から開放されました.積分表示やら解析接続のことは,暫く考えたくない気分.
7月7日. 広島市内流川の魔窟 Enoteca *** で葡萄酒呑み.Vietti のバローロ・ロッケ(1998)で悦楽.仕上げにいただいたインド産マンゴーは,何故かミントの香り.そう言えば,某鮨屋さんから頂戴した
Sula(インド産)
のソーヴィニヨン・ブランは,青唐辛子の香りだったなあ・・・.
2007年6月
6月30日. 愛好している広島市内某西欧料理店にて夕飯.ハトのローストが激しく美味でありました.店主より「近々店を閉める」と告げられ動揺する.
6月17日. 「テロリストのパラソル」(藤原伊織,講談社文庫)を読了.展開は巧みであり良く計算されているとは思うが,「テロリスト」の描写が安直すぎるのでは?
2007年5月
5月27日. 「砂漠」(伊坂幸太郎,実業之日本社)を読了.ちょいと軽いが,娯楽青春小説としては楽しめました.仙台市内にある「国立大学」の旧教養部が「川内砂漠」と呼ばれていたことを想起し,何らかの関連性を想像しましたが,全くの見当違いでした.「神聖喜劇」ネタはやや場違いか?
5月2日. たった三つの格子点上で定義された,相互作用する粒子数非保存なボゾン系の基底エネルギーが求められずに四苦八苦しておりましたが,超幾何関数とその積分表示の知識を用いてなんとか解決.昔々にお勉強した超幾何関数が役に立つとは思いませんでした.
2007年4月
4月28日. 市民球場にて対阪神戦.フェルナンデスのナックルボールに感銘を受ける.恐ろしくゆるい球なのに,何故打たれないのであろうか?ちなみに,直球も驚異的に遅い.
2007年3月
3月31日. 某氏ご推奨,J. Kuhn (p), J.-F. Jenny-Clark (b) & D. Humair (d) の Live in Europe Vol.1 を聴き,激しく感動する.
3月23日. 広島まで出掛けて研究室宴会.小料理屋風居酒屋→焼き鳥屋→西条の居酒屋.担がれずに無事帰宅いたしました.
3月9日. アルコールを大量摂取し,担がれて退場.院生S氏に感謝.
2007年2月
2月22日. 院生S氏の公聴会終了.大変優れた発表でした.お疲れ様.
2月10日. 広島市内で宴会.天満屋裏の小料理屋に侵入を試みるも,満席のためあえなく敗退.昨年末から数えて三連敗!方針変更して,怪しい居酒屋(銀山町)のお世話になる.相変わらず安くて美味しい.
2月3日. 長い間探していた「つみびと」(ジュリアン・グリーン,人文書院)を,ネット上の古書店にて遂に入手.万歳!
2007年1月
1月24日. 院生S氏の予備審査終了.お疲れ様でした,と云う訳で岡町へ出撃.
1月20日. 休日出勤のあと,西条の居酒屋兼料理屋(ご****菜)にて宴会.自宅から徒歩圏内で和食となると,この店が唯一の選択肢となります.まるはげの肝で悦楽.
1月年始. 「単一民族神話の起源」(小熊英二,新曜社)を読了.「民主と愛国」同様,物語としても楽しめるすぐれもの.勉強になりました.これが修士論文とは驚き!年末年始は,うだうだと酒(竹鶴・小笹屋・宿根雄町,山形正宗・雄町・純吟,・・・)を呑み,本読んでおしまい.唯一の外出は鷹野橋.「麦の穂を揺らす風」(監督 ケン・ローチ)を観ました.この監督の作品を拝見すると必ず息苦しく絶望的な気分に陥るが,今回も同様.
2006年12月
12月年末. 「風の影(上・下)」(カルロス・ルイス サフォン ,集英社文庫)を一気読み.フメロ刑事の造形がやや雑に感じましたが,娯楽小説として上出来.翻訳も上出来.続いて,「コレラの時代の愛」(ガブリエル・ガルシア-マルケス ,集英社)を読了.流石,ガルシア-マルケス!「わが悲しき娼婦たちの思い出 」は短すぎてマルケス流小説世界に浸っている暇がありませんでしたが,これは分量も十分.やや丸みを帯びてきたマルケス節も炸裂.堪能いたしました.
12月22日. 八木さんの実験結果を説明すべく,ボルツマン方程式の数値計算を始めて一月半.遂に収束.今晩は,真っ白に燃え尽きるまで呑みます.
12月2日. 「悲劇週間」(矢作俊彦,文芸春秋)を読了.それなりに面白いにも関わらず不満を感じてしまうのは,「ららら科學の子」を読んだ後だからか?一人称「僕」を用いた語りは,著者の芸風と不適合.
2006年11月
11月18日. 月一回程度の頻度で通っている,八本松の伊食堂(A*** S***)で夕飯.塩気がやや強いが,西条近辺では最も評価できる真っ当な料理店のひとつだと思う.セコンドピアットが品書きに無く,葡萄酒の品揃えが貧弱な点は寂しいが,店の性格上致し方なし.今回はトリッパの煮込みに感涙.こう云う手間のかかる家庭料理をきっちりと仕上げ,破格値で提供してしまうところがこの店の真骨頂.
11月11日. 今週は作文三昧でありました(4本の論文を同時進行で作成中).一週間よく働いたと云うことで,山田師匠の店へ出撃.欧州からお越しになったペルドロをローストで頂く.大変激しく美味しゅうございました.酒は Giacomo Borgogno の Barolo Liste (1998).
11月5日. AI 将棋(将棋ソフト)三段に初勝利.ああ,しんどかった.
2006年10月
10月29日. 「ららら科學の子」(矢作俊彦,文春文庫)を読了.もっと早く読むべきであった.
10月25日. 仕事がはかどったので,院生S氏御用達の居酒屋へ.店内は,明るく正しく健全に酔っ払った某おじさんの独擅場.「大将!芋焼酎,ダブルの大盛りね!」.梵天丸はかくありたい.
10月9日. AI 将棋二段に三連勝.完全に勝ち越せるようになり,大変嬉しい.先週あたりから研究も進み始め,もう少しで不振から抜け出せそうな予感.
10月7日. 西条は酒祭りと云うことで,広島市内へ脱出.お祭り嫌いなもので・・・.鷹野橋にて「狩人と犬,最後の旅」(監督 ニコラス・ヴァニエ)を観る.複雑であるはずの背景が人畜無害な形に漂白されているような印象を受けたが,映像自体は文句無く美しい.幟町まで移動して,Foradori の Granato (2002)を摂取.まだ若いが,なかなかの珍味でありました.
2006年9月
9月22日. 学会出張で千葉へ.車中にて「クライマーズ・ハイ」(横山秀夫,文春文庫)を一気読み.大変おもしゅろうございました.
9月5日. 行方知れずであった流離のギタリストO氏(2004年卒)が作業服姿で登場.某機械メーカーに正社員として潜り込んだそうな.良かった,良かった.
2006年8月
8月28日. 先月末から休業状態であった研究を再開.新しいテーマに手を出すも,上手く行かない.上手く行きそうな気配もなし.
8月5日. 広島市内まで出掛けて鮨.もしや「シンコ」にありつけるのではと期待しましたが,またまたご不在.今季はもうお会いできそうにありません.残念.
2006年7月
7月18日. 院生S氏が半導体物理国際会議(@ウィーン)に向けて出立.やや無責任ではありますが,勝手にしっかり発表して下さい.
7月8日. 激しく有名な Fournier (vc) & Gulda (p) の Beethoven: complete works for cello and piano を衝動買い.表紙の写真がイラストに変更されていました.「若き日のグルダ」師 が「やくみつる」さんに見えてしまうのは私だけ?その他,Enrico Pieranunzi Trio のパリ・ライブやミシェル・ペトちゃんのソロ(OWL 時代のやつ)などを購入し,散財.
7月4日. 院生M氏の予備審査が終了.ほっとしました.
7月1日. 広島市内・鷹野橋まで出掛けて「家の鍵」(監督 ジャンニ・アメリオ).あざとい演出とは無縁の佳品でございました.幟町の伊料理屋でMYSTERE(1999)を空けて悦楽.
2006年6月
6月25日. AI 将棋(将棋ソフト)初段に勝ち越せるようになったので,二段と対局しております.全く歯が立たず七連敗中でしたが,遂に初白星をあげる.良い気分で,「真夜中へもう一歩」(矢作俊彦,角川文庫)を一気読み.研究は春先から超ウルトラ絶不調のままですが,こっちの方もなんとかしたいものです.
6月24日. 街まで出掛けて独り呑み.葡萄酒一本空けてから,知人が(雇われ店長として)始めた店に顔を出して帰宅.
6月6日. 成り行きで Journal of Mathematical Physics の長大な論文を解読せねばならない状況に陥る.とても辛い.
2006年5月
5月20日. 4年間ほったらかしていた「晴子情歌」(高村薫,新潮社)を読了.いたって地味な物語ですが,「照柿」を思い起こさせる執拗な描写に引き込まれてしまう.「新リア王」に対する意欲が湧きました.広島市内に出撃し,幟町の伊料理屋等で宴会.
5月連休. 広島市内に出撃し,ピオ・チェーザレのバローロ(1986)を頂く.大変おいしゅうございました.後は「目眩まし」(W・G・ゼーバルト,白水社)などを読みつつ,西条にておとなしく過ごす.ゼーバルトにはまってしまったようです.
2006年4月
4月26日. 出勤途中,ロケ中のアンガールズを観測.
私 「今朝,西条中央公園でアンガールズがキャッチボールしてたよ.」
W. K. 氏 「アンガールズって誰?」
4月19日. 某呑み屋にて某玄人楽隊員氏より8枚ほどCDを借り受ける.Bridge のチェロ・ソナタと云うのが気に入りました.
4月初旬. K. Y. 氏に嵌められ,教務委員を仰せつかる.柄にもなく忙しい学期始めでありました.事務能力の貧困さを再認識せざるを得ない毎日.
2006年3月
3月26日. 学会出張.「春の岬 旅の終わりの・・・」なんぞと口ずさみつつ,船に揺られて松山へ.
3月5日. 「反社会学の不埒な研究報告」(二見書房)を一気読み.父上は国際スパイ,母上はナポリの陽気な花売り娘・・・,謎の社会学者パオロ・マッツァリーノ氏の第二作.相変わらず笑えるが,前作と比べるとネタの質が落ちているような・・・.
3月4日. 広島市内,幟町の伊料理屋Sp・・・に潜入.月に一回弱の頻度で通っておりますが,料理の完成度が確実に向上している.素晴らしい!さらなる葡萄酒の摂取を目指して馴染みの店に突撃したところ,待ってましたとばかりにマルゴーのセカンド(2002)を強力に薦められる.若すぎるなあ・・・と思いつつ頂いたところ,これが大正解.葡萄酒は難しい.
2006年2月
2月27日. 10日ほどかけて,小熊英二氏の労作「民主と愛国」(新曜社)を読了.戦後思想に関する自分の無知・誤解に気付かされることの多い10日間でした.「物語」としても秀逸であり,読み進めることに苦痛を感じる暇無し.なんたる力技!
2月24日. 八本松の伊料理屋(A*** S***)に初出撃.ピゼリアと云うことなのでしょうか,料理はピッザと前菜,パスタのみ.豆のアクアコッタと鹿肉のラグ−(パスタは手打麺)を頂いたのですが,これが正しい伊料理なんでびっくり.まともな伊料理を供する東広島で唯一の店と呼んで宜しいのでは?葡萄酒の品揃え(現時点では絶望的)や店の雰囲気にはかなり問題もありますが,とにかく頑張って下さいまし.
2月1日. 「真夜中」(ジュリアン・グリーン,人文書院)を読了.昨秋よりネット上の古書店にてジュリアン・グリーン全集(絶版)の内の数巻を漁っておりましたが,年末に「漂流物」と「真夜中」の入手に成功.「漂流物」は劇的な出来事とは無縁のやたらと渋い話で読み進めるのに難儀しましたが,「真夜中」には強く惹きつけられました.独特の暗い夢幻世界が魅惑的であります.この作家に出会ったのはちょうど学部に上がった頃.福永武彦訳の「幻を追う人」がきっかけでした.
2006年1月
1月23日. 三次の美和桜・山廃原酒(八反)にはまってしまいました.最近,自宅ではこればかり飲んでます.酸が素晴らしく綺麗で,飲み飽きしない.
1月22日. 「容疑者 x の献身」(東野圭吾,文芸春秋)を即日読了.面白いのは確かですが,数学教師の心理描写があまりに不十分.多くの書評は「献身」へと突き進む理由を「純愛」の一言で片付けているようですが,安易に思えてならない.
1月19日. 研究室ほぼ総出で「牛角」に出撃.何周年記念とかで激安でございました.
2005年12月
12月24日. 「移民たち」(W・G・ゼーバルト,白水社)を読了.これは沁みます.深夜,山形正宗の雄町純吟を摂取しつつ,故吉朝師匠の噺を三席.残念としか言いようがありません.合掌.
12月11日. 船戸与一の新作「蝶舞う館」(講談社)を読了.濃密な物語を期待していたのですが,またもや不発.「猛き箱舟」や「砂のクロニクル」は良かったんだけどなあ・・・.
12月4日. 「ある秘密」(フィリップ・グランベール,新潮社)を読む.筆致は極めて淡白なれど,まずまずの感興が得られました.最後尾の挿話は蛇足と思われる.
12月3日. 院生M氏との共著論文が掲載可となりひと安心,と云う訳で広島の街まで出掛けて三段梯子.
2005年11月
11月27日. 横山秀夫の短編集「動機」(文春文庫)を読了.表題作の出来が出色.「半落ち」のような人情噺が十八番なのでしょうか・・・.
11月18日. 院生S氏との共著論文を遂に脱稿.数ヶ月もかかってしまったが,しっかりした良い論文に仕上がってちょいと満足,と云う訳で,広島の街まで出掛けて鮨を摂取する.Y鮨は今日も激しく美味しゅうございましたが,無粋な「先生」の規格外病的単独行動主義に辟易.生真面目な店主に対して同情を禁じえない.
11月5日. 自宅にて Cerret・Bricco Rocche, Barolo Bricco Rocche (1996).大変激しく美味しゅうございましたが,あと数年は更なる向上が期待できそうな気配.
11月4日. 近所の居酒屋で酒のみ.河内町の川にてお捕まりあそばされたモクズガニ,美味しゅうございました.
2005年10月
10月22日. 広島市内Y鮨に出撃.ちっこい甲イカの握りに感涙.
10月15日. 「うさぴょん」(フリーの将棋ソフト)を相手に孤独な修行を始めて数ヶ月.大抵勝てるようになったので,「AI将棋」の廉価版を購入.大抵勝てない.
2005年9月
9月24日. 鷹野橋まで出掛けて「眠狂四郎無頼剣」(監督 三隅研次).ロビーに大集結した小母様方を目の当たりにし「市川雷蔵」人気炸裂と驚嘆するも,誤解でした.実は韓国映画がお目当てだったようで「無頼剣」はガラ空き.「伝説の貴公子」も韓国の若手俳優に完敗.
9月12日. 暗澹として長なへに生きるに倦みたり.
2005年8月
8月27日. 恐らく今期最後のシンコのにぎりと,今期最高の鯵のにぎりで悦楽.「モーダルな事象」(奥泉光,文藝春秋),大変おもしゅろうございました.
8月25日. 多層 carbon nanotube の電気伝導実験に関する文献をざっと調べたのですが,無茶苦茶な理論解釈を多数発見し感動する.有名論文誌も例外にあらず.
8月12日. 夏休み.行きつけの店でウィスキーをひっかけた帰り道,フルートの音色に誘われて某 live 屋に初潜入.fl,ep,eb と ds と云う編成で怪しげな音を奏でておられました.ds 以外は学生さんないしは素人さんとお見受けしましたが,間違っていたらごめんなさい.ほとんど理解不能でしたが,最後の口直し(?)に演ってくれた「Nancy」を聴いてほっとしました.ちなみに,「Nancy with the Laughing Face」だったり「Nancy (with the Laughing Face)」だったりしますが,厳密にはどれが正しいのでしょうか?
2005年7月
7月24日. 近所の本屋で文庫本を仕入れて暇つぶし.「薬指の標本」(小川洋子,新潮文庫)と「刺繍する少女」(小川洋子,角川文庫).
7月23日. 広島市内,銀山町の怪しい居酒屋にて宴会.8時くらいに入店したが何故やら閑古鳥.宇品の花火大会の影響だとか・・・.子鰯,鯵,夜鳴き,メバルの煮付け,地鶏焼き,水菜のおひたし,等々.相変わらず安くて美味しい.院生N君のご要望にお応えして万暦(初留取り240)を入手した後,葡萄酒を一本空けて帰宅.
7月9日. 新進気鋭の伊料理屋Sp・・・(幟町)に初出撃.接客はお世辞にも上手とは言えないが(明らかに人員不足)料理はA級.ガスパチョ(感涙),鯵のカルパッチョ風サラダ(美味なれど鯵はやや弱し),サザエの肝ソース・焼きリゾット添え(ソースも焼きリゾットも激しく上等だが,別々に食べたほうが旨かった),トマトのパスタ(文句なし),鯒(激しく美味なれどソースとの相性は?)と仔羊(やや大振りで野性的.個人的にはもう少し生育日数の短いほうが好み).葡萄酒の品揃えはそう多くはないものの,なかなか鋭い.Cascina la BARBATELLA・MYSTERE (1999)を頂く.予約時間が重なったためか調理場が大渋滞の模様で,主菜に取り掛かる前に酒が空いてしまった.二本目を思案していたら,お姉さんが Planeta・Chardonnay と Antinori・Cervaro を薦めてくれました.なかなか鋭い攻撃.後者を頂く.
7月6日. 近所の居酒屋で酒のみ.ラッキーエビス(ラベル違いのエビスビール,希少品!)を見せていただきました.但し,今のところ幸運には恵まれていない.
7月2日. 鷹野橋にて「エレ二の旅」(監督 テオ・アンゲロプロス,2004)を観る.余りにも哀しい旅に泣かざるを得ない.山田師匠の店に流れて Avignonesi & Capannelle・50&50 (1998).
2005年6月
2005年5月
5月29日. 学生の頃から気になっていた「虚無への供物」(中井英夫,講談社文庫)を読了.「黒死館・・・」みたいな推理小説と勝手に思い込んでいたのですが,読んでみたらあらびっくり.まるで少年探偵団.でも楽しめました.
5月17日. 中村勝弘大尊師のお招きを受け大阪深南部へ.お仕事の後,懐かしの阿倍野界隈を放浪.先ずは「和源」.上沼恵美子似のおかみが憶えていてくれて,なんだか嬉しい.胃がやや重たかったので「明治屋」乱入を断念し,某Jazz屋へ.マスターが憶えていてくれて,なんだか嬉しい.大昔のレコード(Tatum (p) & Webster (ts) の有名なやつ)をかけてくれましたとさ.・・・.
5月15日. 自宅にて拡大宴会.竹鶴小笹屋(大和産雄町使用),磯自慢純吟と秋鹿一貫造り(1994年仕込み)を用意しましたが,一貫造りが一番人気.個人的にも気に入っている酒なので,密かに嬉しゅうございました.
5月8日. 「The wrong goodbye」(矢作俊彦,角川書店)を読了.衒学的(??)な小ネタが多数仕込まれており,個人的にはついて行けませんでした.実は本家本元の「The long goodbye」を読んだことが無い(と言うか,チャンドラーやハメットには触れたことが無い)ので,コメントは差し控えるべきか・・・.
5月4日. 山田師匠の店にて宴会.空豆とトマトのサラダ,カポナータ,ラザニアなどを食しつつ,Ceretto・Bricco Asili Barbaresco Bricco Asili (1979).当時 Barbaresco は DOCG に昇格する前だったようで,DOC と表記されていました.コルクが砕け散ったあたりで「はずれ」を覚悟したのですが,意外やしっかりとした酒質でびっくり.私好みの枯れ具合で,大変美味しゅうございましたした.
2005年4月
4月24日. ほったらかしていた「城」を読み始める.純粋に楽しい.そうそう,6月下旬には鷹野橋にてテオ・アンゲロプロスの新作「エレニの旅」が上映されるそうです.「こうのとり、たちずさんで」における河を挟んでの婚礼のような,絶望的に美しいシーンを激しく期待しております.
4月1日. 広島市内Y鮨に出撃.例によって周りは「社長」と「先生」だらけで「平民」は私等のみ.ややしっくりこないものの,大変美味しゅうございました.
2005年3月
3月19日. 鷹野橋まで出掛けて10数年ぶりに「山猫」を観る.お懐かしゅうございました.山田師匠の店に流れて一人呑み.トマトと空豆のサラダ,はまぐりのパスタとElio Grasso・Barbera D'Alba Vigna Martina (2001).
3月17日. 囲碁棋聖戦が終了.地味な関西棋院に所属し孤軍奮闘する結城九段に勝って欲しかった.残念.
3月5日. 書評にて評判の良い「おわりの雪」(ユベ−ル・マンガレリ,白水社)を読む.最近は書評に嵌められることが多く心配でしたが,これは佳品.すぐ読み終わってしまうのが難点か.読みながら摂取した「楯野川」の出来も素晴らしい.絶品,だと思う.
3月4日. 広島市内,銀山町の怪しい居酒屋にて宴会.子鰯,〆鯖,白子ポン酢,鰆味噌漬,地鶏焼き,空豆,等々.安くて美味しい.胡町の酒屋にて楯野川の雄町純吟と万暦(初留取り60)を入手した後,葡萄酒を一本空けて帰宅.
2005年2月
2月26日. 竹鶴小笹屋(大和産雄町使用)を摂取しつつ,「灰色の魂」(フィリップ・クロ−デル,みすず書房)を読む.止まらなくなり,結局のところ即日読了.悔恨と憂愁に包まれた救いの無い物語.
2月12日. 6年ぶりに小屋(広島市内鷹野橋)にて映画を観る.大阪に棲息していたときは,阪和線→大阪環状線→阪急電車と乗り継いで「十三第七芸術劇場」へと出掛けたものでしたが・・・.拝見したのは「少女ヘジャル」(監督 ハンダン・イペクチ,2001)と云うトルコ映画.最初は久方ぶりの字幕に戸惑いましたが,やはり映画館は雰囲気があって宜しいですね.映画自体の出来にはやや不満なれど,終幕直前には号泣寸前.大昔に岩波ホールで見た「路」(監督 ユルマズ・ギュネイ)のことを少しだけ思い出しました.飯を食ってから,山田師匠の店にてSilvio Grasso・Barolo L'Andre (2000)を頂く.師匠曰く,2000年が初ビンテージだそうです.大変美味しゅうございました.
2005年1月
1月22日. 「破裂」(久坂部 羊,幻冬舎)を読了.あちこちの書評で激賞されているようですが,登場人物の心理描写が甘すぎるのでは?まあ,おかげでサクサク読めるんですけど・・・.
1月10日. 「ことばとは何か」(ちくま新書)を読了.気合を注入されました.「あとがき」によれば,著者(田中克彦先生)が悲しいできごとを思い出して打ちひしがれていたとき,91歳になる御母堂より「あんたのしごとは学問だってことを忘れてはいけないよ。ちゃんと勉強しているかい」とのおことばを賜ったそうです.しびれる.
正月休み. 西条にて越年.東北泉・雄町大吟,黒龍・樽酒(限定品・頂きもの),瀧自慢・大吟出品酒,Salvioni・Brunello di Montalcino (1999),Tuarita・Redigaffi (2002) 等を飲み倒す.大変激しく遅ればせながら,「家族狩り」(約5年前に阿倍野橋の旭屋で購入後ほったらかし)と「OUT」を読む.取り合わせが悪かったの一言.
2004年12月
12月25日. 平和大通りにて今年度最後の鮨.煙害および香(水)害と無縁の恵まれた環境のもとで喰いまくる.「黒龍・しずく」などを摂取して悦楽のひととき.コハダ(倉橋産)のにぎりが秀逸でした.場所変えて,山田師匠の店にてポリツィアーノ Asinone (2000).
12月11日. 前日の激宴会ダメージをやや引きずりながら,天満屋裏の小料理屋へ.寒ブリと鰆の刺身,〆鯖,おでん(大根,つみれ,ロールキャベツ),生牡蠣,太刀魚塩焼き,等々.正しいブリは脂にしつこさが無いと聞いておりましたが,全くその通り.風味は力強いが嫌味は絶無.太刀魚は身が厚く,きれいな脂が乗っており感涙ものでした.私が今まで食ってきた太刀魚は一体なんだったんだ.場所変えて Ch. La Mission Haut Brion (1996)を摂取し,帰宅.銭はかかったが激しく満足.
12月3日. 師匠 の還暦祝いで鳴子温泉.お疲れ様でした.
2004年11月
11月24日. 全く面識のない Zirnbauer 先生より短いメイルを頂く.曰く,"・・・ thank you for your beautiful clarification of the subject!".素直に嬉しい.e-Print archive に論文を載せた甲斐があったという事でしょうか.
11月20日. 広島の街まで出かけて鮨.鯖が絶品でした.身はしっかりしていながら程よく脂がのり,全てが完璧.にぎりは大体いつもの通りでしたが,青ナマコを初めて頂きました.長い時間をかけて酒で煮るそうです.同席の方々は絶賛されていましたが,私としては・・・.身がやや固いので口の中でシャリから孤立してしまい,一体感が得られない.場所変えて葡萄酒呑み.チーズを齧りながらポリツィアーノの Le Stanze (2001)を頂く.おいしゅうございました.
11月18日. e-Print archive に論文を載せるべく死力を尽くす.超スーパー計算機音痴の私には絶望的な難事業でありました.三回ほど reject された時には殆ど「キレ」かけましたが,四回目でなんとか成功.
2004年10月
10月17日. パオロ・マッツァリーノ(??)著「反社会学講座」(イーストプレス)で大笑い.ネット上では続編も公開されています.「反抗期の大人にもおすすめ」だそうです.さて,一週間ほど前に故サイード先生の自伝「遠い場所の記憶」(みすず書房)を読了. 「乾いた哀愁」を感じてしまいました.「この幼年時代の物語からは,自分が病んでいるという痕跡はほとんど拭い去ったつもりであるが・・・」と記されているが,私は同意できない.
10月16日. 広島市内,天満屋裏の小料理屋.クエの刺身,〆秋刀魚,おでん,キンキの干物,ひつむし,等々.東広島市内にも正しい小料理屋が在ると大変嬉しいのですが・・・.
10月2日. 半年振りに平和大通りのY鮨へ.訳ありで期間を空けたのが良かったのでしょうか,旨さが身に沁みました.先ずはつまみ.平目に感動し,煮蛸に動揺し,サヨリ(出汁につけてから焼いたもの)には感激しすぎて平常心を失う.鯖はまだまだこれからとおっしゃっていたが,やはりものが違う.にぎりはコハダではじまり,連子鯛,煮穴子,夜鳴き,キス,など.考えてみりゃ渋いネタばかりでしたが激しく満足.私は関東人なんですが,いつのまにかマグロに執着しない体になってしまったようです.最後に干瓢巻きとコハダをいただいてしめました.
2004年9月
9月25日. コロンボより香港経由で帰国.約一週間ぶりに口にした日本酒は革命的においしゅうございました.スリランカの印象を激しく大雑把に表すと
スリランカ = (インド − 野良牛 ) × F
(F:観光客に対する当たりの強さ係数)
てな感じで,F = 0.4 くらいでしょうか.大変お美しいSigiriya Lady(フレスコ画)にお逢いできて満足.
9月14日. 上喜元・雄町純米大吟醸がやっと空になる.吟醸香がきつすぎて,せっかくの雄町の良さが感じられない.やや下品な印象を受けてしまうのは,全体のバランスに難があるからか?開運・波瀬正吉を開けてみたら,なんと上品なこと.勿論,値段も違うんですけどね.これで,日本酒の在庫は空蔵・雄町を残すのみ.
9月7日. 台風にびびって家にこもる.音楽など聴きながらお勉強.Keith Jarrett Trio の新譜「The Out-of-Towners」なんですけど,最後の曲「It's All in The Game」が気に入りました.この曲だけソロでやってまして,「The Melody at Night, with You」を想起させる好演,・・・だと思う.
9月4日. 山田師匠の店にてエリオ アルターレ・ラリージ(1998).やたらと力強く複雑なくせに十分な気品有り.バルベーラからどうしてこんな強烈な酒ができてしまうのでしょうか.4年前にスピネッタ・ガッリーナを飲んだとき以来の衝撃.そうそう,数週間前にいただいたバローロ・アルボリーナ(1998)も感動的でした.
2004年8月
8月盆. 自宅で無気力に酒飲んで過ごす.初亀・瓢月,磯自慢・山田錦大吟など.「クレヨンしんちゃん:電撃!ブタのヒヅメ大作戦」を終いまで見てしまったとさ.クレヨンしんちゃんの映画版は何れもやや精彩を欠くように思えてなりません.
8月6日. T鮨でコハダを喰いそこなう.ややへこんだまま,場所変えて葡萄酒.ソムリエ氏のお薦めに従いカルフォルニアのメルローなんぞをいただく.CORLEY FAMILY 2001 Estate Grown Merlot.期待はしていなかったんですが,直球勝負の根性系でなかなか立派でありました.微妙なニュアンスには欠けるが,いたしかたなし.実は結構な希少品で,いまのところ広島でしかお目にかかれません.
2004年7月
7月25日. 知人に薦められていた,池内紀訳のカフカ小説全集(白水社)を読み始める.いきなり「城」とか「審判」はしんどいので,まずは4巻(変身など)から.昔読んだ高橋義孝訳の「変身」とは確かに違う.
高橋訳 最初、手伝い女は、「馬糞虫さん、こっちへおいで」とか、「本当にねえ。この老いぼれ虫は」などと・・・
池内訳 「さ、おいで、年寄りのクソ虫さん!」 あるいは、こうも言った。「なんて老いぼれのウンチ虫だこと!」
7月18日. 出張で仙台.院生の村上氏と一通り飲んだあと,森羅万象(ショットバー)にて単独宴会.7月は開店記念の月とのことで,年代物が超破格値で供されていました.
INVER GORDON 36年 51.8%, BALLINDALLOCH 35年 48.5%
CRAIGELLACHIE 33年 46%, STRATH ISLA 33年 58.3%
BRUICHLADDICH 32年 53.8%, GREN FIDDICH 30年 40%
THE DALMORE 30年 40%.
これらが全て一杯千円とは驚異的.STRATH ISLA と INVER GORDON を一杯づつ頂きましたが,どちらも大変激しくおいしゅうございました.他に二杯ほどひっかけて宴会終了.
7月6日. 自宅にて机上堆積物をいじくっていたら,いつぞやの「折々のうた」の切り抜きを発見.”溢れる才華を惜しまれつつ早世”した石橋秀野が取りあげられていました.療養所入院時の「蝉時雨子は担送車に追ひつけず」と云う句に猛烈に感動し,失念せぬようにと切り抜いたことを思い出す.”絶唱として有名な絶作”と記されていましたが,まさに絶唱.
7月3日. 広島市内,ANAホテル近くのT鮨を初襲撃.勘定の割には充実した内容であり,満足できました.激しく感動的なネタはないものの,はずれがなく高打率.シャリはちょい甘めで西国風?紫煙燻蒸攻撃を受けずに済んだのがなによりでした.広島の鮨屋では煙突の四,五本は日常茶飯事であり,これは奇跡的!
2004年6月
6月27日. 「万暦」おいしゅうございました.個人的には,問題になった「ちびちび」より好みです.
6月26日. 広島市街で酒のみ.カステッロ・ディ・アマの単一物,キャンティ・クラシコ・カズッチャ1989.少しばかり古酒のような香りがのっておりましたが,10数年経過しているとは思えない力強さ.感服.帰り道,胡町の酒屋で万暦(西酒造:富乃宝山が激しく有名)を大量に発見.かみさんに唆されて二四〇を一本購入.
6月13日. 由布院に出掛ける.由布岳の眺めが見事でした.中心街は気色悪い状況に陥りつつあるので,近づかないようにする.宿は玉の湯.早めに入館し,だらだら過ごす.極めて快適でありまして,難癖つけるとすれば酒の品揃えがややさびしいことくらいか・・・.無量塔や亀の井別荘も大変宜しいそうですが宿泊経験なし.
2004年5月
5月16日. 東野著「幻野」を読了.「白夜行」と比べると相当に出来が悪いのでは?あまり関係ないけど,宮部著「火車」が極めて上等であったことを再確認.
5月14日. 数値計算でもしましょうか,と云う訳で久方ぶりにプログラミング.設定の変わった計算サーバに全くついて行けず,院生諸氏にも見放される.コンパイルの方法が分からず血圧上昇.
5月8日. 広島市内の某小料理屋.タコとカレイの刺身,のどぐろの塩焼きなど.ウドの金平がおいしゅうございました.
5月1日. ブルーノ・ジャコーザのバルバレスコ・リゼルバ1990.これ泣けます.過去一年間以内に試したものの内では,バルバレスコ・ソリティルディン(GAJA)1995およびバローロ・グランブッシア(アルド・コンテルノ)1995と並んで三傑.
2004年4月
4月17日. 師匠の店で葡萄酒呑み.なんと1966年もののバルベーラ・ダルバ.生産者は良く分からない.色は枯れまくってましたが,ボディーは意外にしっかりしておりピノノワールの古酒みたいな感じ.シェリーやマデラの香りあり.うーむ,勉強になりました.そうそう,子羊が大変おいしゅうございました.
2004年3月
3月23日. 卒業祝賀会のあと学生さんと長梯子.「なわない」→「もRiもRi」→「働く男」.2時を過ぎても延々と呑みつづける酒井氏を残し,自主退場.死ぬかと思った.
3月13日. 胡町(広島市街)の酒屋を覗いたら,楯野川の斗瓶囲い・山田錦35を発見.衝動買い.一升瓶2本をぶら下げて山田師匠の店へ.GAJAのバルバレスコ・ソリティルディン1995.大変激しく圧倒的においしゅうございました.
3月10日. 屋敷伸之八段が将棋順位戦C級1組からB級2組への昇級を決められました.これほどの実力者が10年以上C級にとどまっていたなんて・・・.将棋界の七不思議に数えられていたそうです.九段への昇段も決まっていることですし,きっちり活躍して下さい.
3月6日. 先月,発作的にグルダの平均律(廉価盤)を購入したのですが,けっこうよろしくてはまっています.しかも,なんとびっくり4枚で4000円.学部学生の頃,リヒテルのを入手した際には12000円くらい払ったはず.命懸けでした.
2004年2月
2月28日. 平和大通りまで鮨を食いに行く.もう鯖の季節は終わりなんだそうです.落胆.今期,立派な鯖にお目にかかれたのはたったの二回.
2月22日. 大西巨人氏の近著「深淵」を読了.こんな文章を書く人はもう現れないでしょう.同氏の大長編「神聖喜劇」を読んだのは,確か大学2年生のとき.一級上のKさんに勧められ(強要され)たのがきっかけでした.Kさんは文学部で社会学を専攻されていましたが,文芸などにも詳しく,私はその人柄をも含めて彼のことを尊敬していた.Kさんの周りには,妙に映画に詳しい人やら,文芸に詳しい人,音楽に詳しい人,古典芸能に詳しい人,花火に詳しい人・・・などがおられ,皆が眩しい存在でした.
2月7日. 唐津まで出掛けてアラを食す.大変激しくおいしゅうございました.
2月1日. 遅ればせながら「博士の愛した数式」を読む.即日読了.80分しか記憶がもたない元数学者,と云う設定に惹かれました.美しく切ないおはなしではありますが,小さくまとまりすぎ.これが著者の「最高傑作」では寂しすぎると思う.それに,阪神タイガースの江夏といわれても,わたしゃ大洋ホエールズのファンですから.平松じゃ小説にならないんでしょうね.但し,博士考案の回文「冷凍トイレ」は,私の記憶に8年くらい保持されそうです.
2004年1月
1月31日. ピザを食いに広島は三川町まで遠征.口コミ情報ではサイズが小さい(しやや高い)とのこと.2人で2枚注文したが,全然小さくないし高くも無い.満腹.マルゲリータ,大変おいしゅうございました.生ハムとルッコラのやつは塩気が強く,私としては△.葡萄酒はテーブルワイン・クラスがいくつか揃えてありまして,とても安い.オルネライアのセカンドを空ける.山田師匠の店になだれ込み,アンティノーリのブルネッロ1997.とてつもない凝縮感.1997は特別なんですね.
1月28日. 左側頭部に円形脱毛症による無毛部分が現れてからはや半年.縮小傾向にあるようです.ちなみに,最盛期には直径3.5cm(推測値)に達したが,現在の直径は2.5cm(実測値).よかった,よかった.
1月10日. 正しいコハダの握りを摂取すべく,平和大通りのY鮨へ.今日のコハダは前日に仕込んだそうで,やや浅めの仕上がり.さわやかな感じがいたしました.それはそれで旨し.MVN(Most
Valuable Neta)は鯖.とろける.
開封してよいとのことなので,遠慮なく黒龍・石田屋をいただく.美麗.軽すぎて面白くないと仰るかたもおられるでしょうが,私にとっては許容範囲.数ヶ月前に同席の方から恵んで頂いた石田屋には不穏な香りがのっており,気になったことを思い出す.流石に口にはだせなかったけど・・・.やはりあれは劣化していたのだなあ.
「酔うと気が大きくなる病」を発症し,場所変えて葡萄酒呑みに突入.ソムリエ氏にピノで何か下さいとお願いしたら,ロベール
シュヴィヨン ニュサンジョルジュ レプリュリエ 1998.充分ひらいており,おいしゅうございました.
1月2日. 暇なので広島の街に出る.山田さんの店で葡萄酒呑み.スピネッタの"ガッリーナ"バルベーラ・ダルバ
2001.流石に旨いのですが,やや単調か?もう少し複雑さがあったような気がするんですが.イベリコ豚のカツレツ,大変おいしゅうございました.
正月休み. 開運・波瀬正吉,喜楽長・天保正一・大吟,空蔵・山田錦14BY,日高見・天竺・山田錦,などを摂取.天保正一はとてもきれいなんですけど,もうちょい根性があっても良いのでは.空蔵の山田は初めて.雄町のほうが大分良いのでは.値段も違うけど.
読みそこなっていた本を片付ける.「ロサリオの鋏」,「逃げてゆく愛」など.故エドワード・サイードの本(薄いやつ2冊)なんぞにも目を通す.熱い.