平成18年度数理物質科学研究科コロキュウム 第11回
- 課題:長さの比較
- 日時:12月14日(木)15:15〜16:30(5時限)
- 場所:第一学群棟1H101
【講演要旨】
同じ直線上にある二つの線分の長さの比較は容易にできますが、
空間の異なる場所にある二つの曲線の長さの比較をするには、
どうすればいいのでしょうか。
そもそも曲線の長さとは何なのでしょうか。
曲線の長さは、パラメータ表示したときの速度ベクトルの長さを
積分したものとする定義と、曲線を折れ線で近似してその折れ線の長さの
極限として定義する方法があります。
速度ベクトルの長さの積分は数学的には明解ですが、
現実の曲線の長さを測定するためには向いていません。
他方、折れ線近似の長さの極限による定義は数学的には
少し複雑ではありますが、現実の曲線の長さを測定するときには
極限をとる手前の有限の折れ線の長さの近似を利用することができ実用的です。
ただし、誤差をどの程度に見積もることができるのか不明な点があり、
現在考察を進めているところです。
次に、異なる場所にある曲線の長さを比較する基本になる曲線と線分の
長さの比較について、三つの考え方を紹介します。
Croftonの公式と呼ばれている積分公式を利用する考え方、
キャリブレーションと呼ばれる微分形式を利用する考え方、
直交射影を利用する考え方です。これら三つの考え方を平面曲線の場合に
詳しく解説します。
これらの考え方は平面に限らず高次元のユークリッド空間や球面などの
曲がった空間への拡張も考えることができます。
これらの考え方の拡張についても触れたいと思います。
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