1. 多様体とは何か
空間内の曲面と平面直線の全体などを多様体の例として挙げ、
多様体とは何かを簡単に説明した。
多様体の講義を始めるにあたって必要になるm次元数ベクトル空間に関する準備を行った。
その内容はm次元数ベクトル空間の距離およびそれから定まる位相、
ベクトル空間としての構造、関数や写像の偏微分、微分写像、
C^r級関数、C^r級写像などである。
2. 多様体の定義と例
位相多様体とC^r級多様体を定義し、
球面S^nを多様体の例に挙げた。
3. 多様体上の可微分関数と可微分写像
C^r級多様体上のC^s級関数とC^s級写像を定義し、
簡単な例を挙げた。
4. 接ベクトルと接空間
曲線に沿う方向微分の性質を抽出することにより、
多様体の接ベクトル空間を定義した。
5. 写像の微分
曲線の方向微分に対して写像で写した曲線の方向微分を対応させることにより、
多様体の間の写像の微分を定義した。
逆関数定理と陰関数定理を説明し、
写像の一点の逆像が部分多様体になることを説明した。
6. ベクトル場
多様体のベクトル場を定義した。
ベクトル場のブラケット積を定め、その基本的性質を解説した。
ベクトル場の積分曲線と生成する一径数変換群を定義した。
7. 微分形式
多様体の一次微分形式、さらに一般次数の微分形式を定義した。
ベクトル空間上の交代形式の空間の基底を利用して、
微分形式の可微分性を定めた。
微分形式の局所座標系を利用して外微分を定義し、
その定義が局所座標系のとり方に依存しないことを示した。