1999年8月2日(月)から2000年3月31日(金)まで,文部省在外研究員(若手教官)として,
アメリカ合衆国テキサス大学オースチン校に派遣されることになりました。

このページでは,8ヶ月にわたる滞在の記録をつづっています。


11月16日−30日 : Houston 旅行

11月16日
今朝は,「ゆい」が風邪をひいて熱を出しているので,daycareは欠席。
楽しみにしていたようで,かわいそうだが,仕方ない。
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大学に向かう途中,Highway は大きな事故で大渋滞。
Highway にのらずに,アクセスロードをずっと走り,途中から他の道に逃げて, なんとか大学についたが,1時間もかかった。
本当に事故が多い。
11月19日
今日のトポロジーセミナーでは,University of South Alabama の Igor Mineyev 氏が"Bounded cohomology and hyperbolic groups" という題目で講演した。
closed hyperbolic 3-manifold の基本群は,hyperbolic group だそうだが, 群がhyperbolic であるときに,その bounded cohomology から 通常のcohomology への写像が全射になるということなどを話していた。
セミナー後,Igor と,彼の奥さん,テキサス大学の彼の友人であるロシア人研究者と いっしょに大学内のカフェへいった。
Igor の奥さんは日本人で,ユタの大学で勉強していた当時,Igor と 出会ったそうだ。
テキサス大学のシンボルであるタワーの前には,小さな池があり, 「かめ」がたくさんいる。
とてもかわいくて,それを眺めている学生も多い。
今日は,そこに,Austin のlocal new channel であるNew 8 Austin の カメラマンが撮影にきていた。
Igor がいうに,「かめ」のインタビューだそうだ。
11月22日
今日のセミナーには,Tim Cochran がやってきた。
Houston にあるRice University にいるそうだ。
John Hempel もRice にいる。
"Higher order Alexander modules and slice knots" という題目。
classical knot のconcordance group のfiltration を考えていて, infinite cyclic cover のさらにcovering をどんどんとっていくということを していた。
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Gordon 先生に私が今考えている研究のレジメを渡したのだが, 今日はお忙しいようで,相談することはできなかった。
11月23日
今日のランチは,John,Alan,Hugh,Rob Williams,Tim Cochranと私。
明後日からのThanksgiving Day (11月第4木曜)による4連休は,家族が一同に会するのが伝統だそうで, John も奥さんの実家があるDallas へ帰るそうだ。
私は,Houston に旅行にいくことにした。
11月24日
毎朝,「ゆい」のdaycare まではアパートから5分。
すぐにバイバイしてくれるので,Highway にのるのが8:50。
まっすぐなhighway I-35を大学のきわまで,100km/hでとばしてちょうど 10分で駐車場に到着するのが9:00。
最後に駐車場から数学教室まで歩いて10分!
今日は大学の駐車場が若干すいている。
すでに帰省しているということだろうか。
11月25日
Thanksgiving Day という祝日。
私たちは,Houston へ2泊3日の旅行に出かけた。
Freeway をのりついで2時間半。
ほぼ130km/h で走りつづけたので,意外と早かった。
まずは,The Galleria というモールへ行ってみたのだが,祝日で休み。
仕方なく,動物園へ。
San Antonio の動物園にはずいぶん劣ると思った。
ホテルは,Hawthorn Suites を予約している。
Austin で1ヶ月滞在したホテルの系列なので,かってがわかっている。
ただ,Austin のそれよりも少々古いようだ。
夜,Galleria のあたりで,Light Parade があるというので,暗くなってから 出かけたのだが,大混雑。
車の中から少し見えたが,あんまりたいしたことはない。
それよりも,たまたまみつけた小さい移動遊園地に向かう。
結構本格的な乗り物があったが,「ゆい」が乗れるものは限られていて, それでもいつもいくAustin の小さい小さい遊園地よりははるかによい。
夜だから電飾も派手で,「ゆい」は乗れる限り乗って大喜びだった。
11月26日
今日は,After Thanksgiving Day といって,やはり祝日。
しかも大shopping day らしい。
7時から多くのモールが開いている。
我々も朝食後,さっそくGalleria へ。
ほとんどが高級ブランド品の店で,私たちには興味がないものばかりだった。
次に,Houston の中心部からメキシコ湾の方へ30分ほどfreeway を走ったところにある NASA のJohnson Space Center へ。
Houston といえば,やはりここへいかないと。
展示などは期待したほどではなかったが,20分ほど待ち時間をしんぼうして 実際の訓練施設などの見学はまずまずだった,
真空実験室や訓練用のシャトルなどを見せてもらった。
ロケット広場という場所に横たわるサターンV型ロケットは,本当に大きかった。
私が幼稚園の時,アポロ11号が月面着陸に成功したのだが, その当時の雑誌「楽しい幼稚園」の付録に, 紙のサターンV型ロケットがあったのを今でも覚えている。
NASA からさらにメキシコ湾へ向かってfreeway を走ると,やがてGalveston 島 にでる。
そこのビーチで日が暮れる直前まで遊んだ。
Houston の街中まで戻り,ちょっと豪華に夕食。
食べ放題の寿司,刺身!
11月27日
とうとうAutin に戻る日。
ダウンタウンの高層ビル街を走ったり,モールをまわって過ごした。
帰りのfreeway もすいていて,2時間半で無事Austin へ帰ってきた。
つくづく思うが,車がないとはじまらない国だと思う。
無くても過ごせるが,行動範囲が著しく狭まってしまう。
Houston まで往復したといっても,日本と違って高速料金はいっさい 不要。ガソリンも半額ほど。
食事に行くにも買い物に行くにも車で移動するのが一番効率的だし, どこもかしこもそういう風に作られている。
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明日はまだ日曜日。
そして「ゆい」の6歳の誕生日だ。
11月29日
今日のトポロジーセミナーでは,Alan の学生であるChris 君が, Whitehead link exterior の片方の境界にDehn filling したものは, すべてvirtually fibered であるという結果を話した。
virtually fibered というのは,S^1 上のsurface bundle をfinite cover に もつものをいう。
全てのhyperbolic 3-manifold はvirtually fibered ではないかと 考えられているそうだ。
Chris 君の結果は,かなりの部分をNeumann-Reid による結果に頼っていた。
11月30日
とうとう11月も終わりだ。
今月の初めにいやなことがあり,今でも時々気になっている。
人間はどんどん忘れるという自己防衛機能をもっているそうだが, 私はいやなことを忘れるのに時間がかかる。
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Thanksgiving の休暇も終わり,街はChristmas へむけてのムードが高まってきている。
朝夕はずいぶん気温もさがるが,日中にはまだTシャツ姿もみかける。