IntroductionのMoveでは、IM1→IM2→IM3の順で、一巡することが多い。
l IM1: Presenting Background Information(研究対象の背景情報)
Ø IM1-Step1: Reference to established knowledge in the field(研究対象・分野の紹介)
Ø IM1-Step2: Reference to a gap in established knowledge(研究対象に関する課題)
l IM2: Reviewing Related Research(関連する先行研究と着眼点)
Ø IM2-Step1: Reference to important previous research(重要な先行研究)
Ø IM2-Step2: Reference to a gap in previous research(解くべき問題の提示)
l IM3: Presenting New Research(本研究の紹介)
Ø IM3-Step1: Reference to the purpose of the present study(本研究を行った目的)
Ø IM3-Step2: Reference to new findings in the present study(本研究で明らかにした知見)
Ø IM3-Step3: Reference to strategies used in the present study(本研究で用いた戦略)
IM1では、研究対象の背景情報を述べる。まず、研究対象・分野の重要性を強調しつつ背景情報(IM1-Step1)を述べ、特徴づけを行う。さらに、研究対象に関する大きな課題(IM1-Step2)を述べることが多い。
IM2では、関連する先行研究について述べる。特に、その論文におけるユニークな着眼点となる先行研究について述べる(IM2-Step1)ことが重要である。さらに、本研究で解くべき問題(IM2-Step2)を提示するとこが重要である。
IM3では、本研究の紹介を行う。本研究の目的(IM3-Step1)、本研究で明らかにした知見(IM3-Step2)、本研究で用いた戦略(IM3-Step3)などを述べる。Stepは、この順に登場することも多いが、1つか2つのStepのみが用いられることも多い。
【Introductionのストーリー展開】
上述したように、IntroductionのIM1とIM2では類似の展開が用いられる。具体的には、IM1では「背景」→「課題」、IM2では「先行研究」→「問題提起」という、類似の流れが繰り返す。これを少しストーリー展開の型という観点から考えてみると、図のように全体で「背景」→「問題」→「解決」の繰り返しと捉えることができる。即ち、IM1の最後で示される「問題(課題)」に対して、IM2ではそれの「解決」に繋がる「先行研究(背景)」が示されることが期待される。さらにIM3では、IM2の最後で示される「問題」を本研究でどのように解決するかが示されるはずである。つまり、下図に示すような「背景」→「問題」→「解決」の繰り返し構造が、Introductionの基本の型と言えるであろう。
河本・石井 (2022) 『 ライフサイエンストップジャーナル300編の「型」で書く英語論文』(p.274)より改変