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本章のまとめ

本章では、図形の形(輪郭)などの平面上の曲線の認識のための平面曲線の自 然な記述(不変特徴抽出)法として、複素自己回帰モデルに基づく手法を提案 した。複素自己回帰モデルにおける複素自己回帰係数および複素 PARCOR 係数 は、原点回りの回転および輪郭を追跡する際の始点の選び方によらない特徴で ある。これらは、目的に応じて平行移動や大きさに関しても不変することがで きる。さらに、これらの係数を高速に計算するためのアルゴリズムを示した。 これらの方法の有効性を確かめるために、輪郭線を極座標で表現し実自己回帰 モデルをあてはめる従来法との比較実験を行いより高い識別率を得た。また、 5種類の木の葉の認識実験でも、低次のモデルで高い認識率が得られた。

また、複素自己回帰モデルに基づく輪郭形状間の相似変換に不変な距離尺度を いくつか提案し、その距離尺度と輪郭点列にモデルをあてはめたときの誤差の 確率分布との関係やスペクトルとの関係についても考察した。

提案した距離尺度の性質や有効性について調べるために実験を行い、複素 PARCOR係数のユークリッド距離、対数尤度比距離、複素パワーケプストラム距 離および複素パワーメルケプストラム距離は、輪郭形状間の距離として有効で あることが確かめられた。特に、複素パワーメルケプストラム距離は、主観的 な形状間の距離にかなり近い距離尺度であるように思われる。



Takio Kurita 平成14年7月3日