正準相関分析は、二組の変数群に対する測定値が与えられている場合に、相互の変数
群の関連を最大とするような解を求めるために、Hotelling によって 1936 年に導入
された手法である[172]。正準相関分析は、単に応用の観点だけでなく、手
法の数学的構造の一般性にも関心が注がれてきた。例えば、重回帰分析は正準相関分
析の特殊な場合と考えられるし、判別分析は一方の変数群がカテゴリカルデータ(ど
のクラスに属するかを と
で表したデータ)で与えられる場合の正準相関分
析と考えられる。また、数量化3類も両方の変数群ともにカテゴリカルデータの場合
の正準相関分析と考えることができる。従って、正準相関分析を非線形に拡張するこ
とは、その数学的構造の一般性の点からも興味深い[6]。ここでも、従来
の線形の正準相関分析について概観し、それを非線形に拡張することを考える。
今、二組の連続な確率変数を
および
とし、
それらの同時確率密度関数を
とする。この時、正
準相関分析は、条件
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最適な線形写像の係数行列 ,
は、よく知られているように、固有値問題
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線形写像の制約を取り除いて、 および
として一般の非線形の写像を
許す場合には、最適な非線形写像は
と
に関する連立積分方程式
これらの連立方程式から
を消去すると、
に関する固有方程式
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前述の数量化3類の基本方程式は、ちょうどこの積分固有方程式に対応する行列の固 有方程式である。つまり、数量化3類は、ふたつの事象の間の関係が同時確率として 与えられた場合の非線形の正準相関分析であるといえる。