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本章のまとめ

本章では、図形を例示して類似画を検索するシステムにおいて、検索結果に利用者の 主観的類似度を反映させる手法を提案した。ここでは、利用者により異なる主観的類 似性への適応法と、例示画でのパターン変動に焦点をしぼり、多変量解析的アプロー チを用いた実現法を示し、検索実験によりその有効性を示した。

また、印象派の絵画のデータベースを例に、利用者の主観を反映させた印象語からの 絵画データベースの検索法を提案し、検索実験によりその有効性を示した。そこでは、 正準相関分析により印象語と画像特徴との相関関係を学習しそれを検索に利用した。 画像特徴としては印象に大きな影響を与える色彩に関する特徴のみを用いたが、実際 には絵画から受ける印象は色彩だけでなく、絵画のタッチ、構図、描かれている内容 などにも影響されるため画像からどういう特徴を抽出すべきかについてはさらに検討 が必要である。また、ここでは印象語と画像特徴との関係を正準相関分析により学習 したが、これをニューラルネットなどを用いて非線形の対応関係を学習するように拡 張することなどは今後の課題である。

本章では、絵画のデータベースに対する検索法についてのみ考察したが、提案した手 法は一般的なものであり、「悲しいイメージの曲」とか「ほのぼのとしたイメージの 曲」といったキーで BGM を検索するなど画像以外のメディアにも適応できるであろ う。



Takio Kurita 平成14年7月3日