杉本俊多の書斎 広島大学名誉教授
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研究   広島市の歴史的都市空間
     

  
 広島市は1945年8月6日に原子爆弾によって一瞬にして廃墟となりました。それは人類史上に特記すべき事件であり、また未来永劫、あってはならないものです。
 そのような悲劇を知るのに、被爆直後の町並みが消えた写真があります。しかし、被爆以前の広島市の姿については、手近な資料がほとんどなく、いったいどのような破壊がなされたのか、あまり知ることができませんでした。広島大学に着任した時にそのように感じ、それ以来、広島市の被爆直前、つまり昭和初期の都市空間を復元研究することに務めてきました。卒論、修論のテーマとして、すでに多数の蓄積があります。
 その後、研究は次第に時代を遡るようになり、約400年前の桃山時代に計画、建設された広島城下町の研究にまで至っています。
 現代的な課題である都市の持続可能性というテーマは、平和都市広島市の将来にわたる持続可能性にも関わる問題です。生命体都市としての広島市の進化過程を正しく理解し、それを将来の都市計画につなげたいと考えて、研究を続けてきました。
 景観デザインという都市政策上の課題に関連して、広島市の景観審議会等を通して、提案をし、また考え方を提示してきました。また、学識経験者としての立場から広島県、広島市のいくつかの審議会、プロジェクト型の委員会に参画し、建築史・意匠学の知見をもとに提言をしてきています。

 

  主な研究発表
 
著書
  • 庄野直美編, 石丸紀興, 大牟田稔, 小原誠, 叶真幹, 山下和也, 杉本俊多, 他12名著『被爆50周年未来への記録 − ヒロシマの被爆建造物は語る』、広島平和記念資料館、全399頁、1996。担当=第4章(pp.266-275)
  • 福井憲彦、陣内秀信編、杉本俊多、他7名著『都市の破壊と再生 − 場の遺伝子を解読する』、相模書房、全293頁、2000年。担当=「広島の破壊と再生 −都市生命体の観点から−」(pp.17-37)
  • 五十嵐敬喜、アレックス・カー、西村幸夫編集『私たちの世界遺産 1 − 持続可能な美しい地域づくり 〜世界遺産フォーラムin高野山〜』、公人の友社、全212頁、2007年。担当=「原爆ドーム 世界遺産化の経緯と景観問題」(pp.100-109)
  • 被爆70年史編修研究会編『広島市被爆70年史 あの日まで そして、あの日から 1945年8月6日』, 広島市, 全788頁, 2018.07.28。執筆担当項目= 戦前編 第5章 第1節「近代都市への景観の変貌」98-103頁; コラム「広島の近現代建築」116-121頁, 戦後編 第2章 第4節「丹下健三と広島の都市デザイン」310-315頁; 第6章 第1節「グローバル化と21世紀の平和都市像」488-491頁.
 
論文

・「「広島県物産陳列館」(原爆ドーム)の設計コンセプトについて」, 『藝術研究(広島芸術学研究会)』第二号, 1989年7月, 1-14頁. [pdf]

 

 資料   広島市の歴史的都市空間の復元