天文・天体物理若手の会 '97夏の学校 観測機器分科会における発表のabstractです。
低分散偏光分光測光装置( HBS )の開発について
偏光現象は、塵粒子による散乱、シンクロトロン放射等により生じる。これらの現象を観測し理解することは、天体物理学上非常に重要である。特に可視・近赤外領域における偏光観測は、塵粒子のサイズや空間分布の非対称性など、他の観測では得難い貴重な情報を与えてくれる。
我々が開発した国立天文台堂平観測所の新しい主力観測装置である低分散偏光分光測光装置( HBS )は、λ= 450-800nm をΔλ= 10nm (モードによりΔλ= 3nm )でカバーし、500nm 以上の波長域で、偏光度にして 0.2% 程度の精度を達成している。また、目的天体と近傍skyそれぞれの常光・異常光の情報を、すべて同時に取得できるように工夫されている。
現在更なる精度の向上を目指しており、最終的な精度は偏光度にして0.1% 程度を見込んでいる。HBSを用いた観測により、星間・星周空間における塵粒子や、系外の活動銀河核等の高エネルギー領域への理解が更に深まるはずである。
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東北大学大学院理学研究科天文学専攻
博士課程前期1年(発表当時)
秋田谷 洋
akitaya@astr.tohoku.ac.jp
Apr.27,1998.