医療と倫理を考える会・広島
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第53回例会


開催年月日   テーマ  話題提供者
53 平成22年8月19日 「子どもから大人へのメッセージ
 〜チャイルドラインに届いた「子どもの声」〜」
上野 和子先生


子どもから大人へのメッセージ

〜チャイルドラインに届いた「子どもの声」〜

チャイルドラインは、18歳までの子どもがかける専用電話です。子どもの気持ちに耳を傾け「心を聴く」電話です。この事業は、民間のボランティアによって推進される非営利の活動であるという点に特徴があります。また、チャイルドラインは、国際条約である「子どもの権利条約」に基づいて設置し、子どもに主導権がある電話です。

20104月現在、全国41都道府県に70団体が、チャイルドラインとして子どもの声に耳を澄ませています。2009年5月5日からは、全国統一番号・フリーダイヤル0120−99−7777が本格スタートしました。全国どこからかけてもチャイルドラインに繋がります。

http://hiroshima-childline.org/      http://www.childline.or.jp/supporter/

そんなチャイルドラインの活動を始めて、11年目を迎えました。これまでにひろしまチャイルドラインに届いた「声」は、約45000件に上ります。子どもたちは、身近な大人たちが、自分の気持ちをわかってくれない。と訴えます。

先日大阪で起きた2人の子どもの育児放棄による事件は、母親だけの問題としてとらえるのではなく、社会の問題、つまり私たちの問題でもあるのです。2人の幼子の「声」は周りの住人たちには届いていました。なのに、救えなかった二つの命。子どもは泣き声で、SOSを発信していました。まさに自分の気持ちを「誰か気づいて!分かって!」と叫んでいたのです。

チャイルドラインは、「子どもの声」を聴くことから、子どもの命を支えるひとつの社会システムとして、子どもと大人のパートナーシップで、子どもも大人も尊重される社会、日本の子ども達が安心して、生活できる社会を目指しています。

日本の子どもたちは今、毎日3人が虐待により命を奪われ、1日に子どもの自殺が1.4人、15歳の子どもの3人に一人が孤独を感じていると言った状況です。最近では、「子どもの貧困」という言葉を見聞きしない日がありません。このデータから、子どもたちの生きにくさを推し量ることが出来ます。

今私たちがすべきことは、子どもの権利条約に謳われている「子どもの最善の利益」が保障される社会を作ることに他なりません。それは、「子どもへのまなざしを変え、子どもも人として尊重される社会を作る」ことですし、地域の中に安心できる「人」や「場所」がある、つまり「居場所」がある。ということです。子どもたちの安心とは、自分らしさを認めてくれる人。自分の話を聴いてくれる人。自分がそのままでいられる場所。これが「安心」できる人、場所の存在です。私たち大人もそうですが、話したいときに聴いてくれる人の存在がなければ、話すことはできません。子どもも同じです。安心して話を聴いてくれる人の存在があってこそ、話すことができるのです。この関係が、子どもと大人の信頼につながっているのです。そして、子どもたちが安心して自分の気持ち悩みSOSが話せるように、チャイルドラインへのフリーダイヤル電話代支援も今私たちができることのひとつです。

日本の子ども達は今、アジアやアフリカの子ども達のような状況とは違った、別な意味で過酷な状況にあることを私達が認識することが大事です。

私たちは「子どもは、社会の共通の宝物」という意識を持ち、子どもがおとなの優しいまなざしを感じられるそんな社会を作るべく、子どもの声に耳を澄ませ続けたいと思います。

 全ての「子どもに笑顔と安心を」今日から、一緒に考えていきましょう。

まずは、「子どものことは、子どもに聴く」ことを大事に、自分の周りの子どもの声に耳を傾けてみてはどうでしょうか。




                   特定非営利活動法人

                   ひろしまチャイルドライン子どもステーション

                         理事長  上野 和子




 

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