今日は以下の内容で演習を行います.
プログラミング言語には必ず存在する”変数”を理解し使えるようになってもらいます.具体的には,以下のような内容をしっかり身に付けてください.
C言語では,ソースプログラムを読みやすくするために,コメントを書き込むことができます.コメントは
/* と */ で囲まれており,/* と */ で囲まれた部分にかかれていることはコンパイルに影響ありません.例えば,前回の例題ソースプログラムにコメントを書き込みましょう.(各自後ほど, エディターで hello.c を開き,次のように変更しましょう.)
/* サンプルプログラム hello.c */
/* b000000(学籍番号) 情報活用演習
*/
#include <stdio.h>
/* main 関数 */
int main()
{
/* Hello! と画面に表示する */
printf("Hello!\n");
}
このような短いプログラムではあまりコメントのありがたみは分かりませんが,より長いプログラムでは大変効果的です.プログラムのこの部分ではどのような処理をしているかといった内容をコメントとして書き入れる癖をつけておきましょう.
注意: 全
角と半角に気をつけてください.日本語が打てる状態で * や /
を書くと全角文字になってしまう場合があります.空白文字も同様に全角の空白文字となってしまうことがあります.こまめに日本語モードと英数モードを切り
替えてください.このようなミスもコンパイル時にエラーとなります.例えば
* / a B は半角文字ですが,* / a B
は全角文字です.つづりも文法もあっているのにエラーが出る場合,まずは全角文字を使っていないか疑いましょう.
サンプルソースプログラムでは適当に字下げが行われていました.実は,コンパイル時には字下げは全て無視されます(コ
ンパイラーにとっては字下げなど不要).字下げは,人間がソースプログラムを読みやすくするために行うもので,今後,より複雑なプログラムを作成する際に
は見やすいように字下げをしてください.字下げのスタイルは色々ありますが,今後私が示すサンプルプログラムの字下げを参考にして,自分なりに見やすい字
下げを模索してみてください.
上記,コメントと字下げについては,プログラムの読みやすさという意味では特に重要です.本演習でのレポートとして提出してもらうプログラムの採点では,読みやすさを採点の対象としますので,気をつけてください.
全てのプログラミング言語には変数と呼ばれるものがあります.変数は,データ(数値であったり,文字列であったり)を一時的に保存しておく箱によくたとえられます.変数にデータを入れることを代入と呼びます.コンピュータープログラムは,そのような変数と呼ばれる箱に入ったデータを処理することにより,有用な仕事をします.
変数には,整数型,実数型,文字型と数種類ありますが,まずは整数型変数を扱います.整数型変数は,整数値を保存するための箱です(実数値は保存できない).
変数にはそれぞれ符号付型(signed)と符号無し型(unsigned)の二種類がありますが,当面符号付型を用います(負の数も扱いたいので).
C言語では,変数を使う場合には関数のはじめの部分で全て宣言し
ておく必要があります.次に「変数aに次々と値を代入する」簡単なサンプルソースプログラムを示します.ファイル名を variables01.c
として keisuu2016
フォルダーに保存して、コンパイル、実行してみてください.(説明の為に行番号をつけています.エディターにて打ち込む時には行番号は打ち込まないでくだ
さい.)
変数は代入が行われる度に、値が更新されます。(前の値の情報はどこにも残らない)
1:
#include <stdio.h>
2:
3:
int main()
4: {
5: int a ;
6:
7: a = 7;
8: printf("a is %d \n", a);
9: a = 9;
10:
printf("a is %d \n", a);
11: a = 10+20+30;
12:
printf("a is %d \n", a);
13: }
ちなみに、コンパイル、実行の仕方は、
cc variables01.c -o variables01
./variables01
です.
以下プログラムの説明です。 5行目: 7行目: 8,10,12行目: 9行目: 11行目: C言語において"="は代入を意味し、数学の等式を意味するわけではありません。 例えば、"a=b; b=a+1;"という連立方程式を満たすa,bは存在しませんが、 プログラム上では"aにbの値を代入し、bには「aの値+1」の値を代入する"という意味になります。 プログラムvariable02.c にコメントをいれて書き直したものを次に示します.ここでの目標は,整数型変数の内容を画面に表示する場合のprintf 関数の使い方をマスターすることです. #include <stdio.h> int main() /* 変数 c の内容を画面に表示 */ 最初の変数の宣言の場所で, 二つの変数(整数)を画面に表示するにはこの例のように printf("a = %d, b = %d\n", a, b); などと書きます.最初の%dの部分がaの値に、二つ目の%dの部分がbの値に置き換わり,画面に文字列として表示されます。 printf("%d %d %d\n", a, b, c); この場合,%d が3つ並んでいますが,これらはそれぞれ後に続く a, b, c に対応しています.
これはこれから main 関数の中で使う変数を宣言している部分です.int は Integer の略で,整数型の変数を宣言する場合に使います.その int のあとに a, b, c と列挙されていますが,このようにカンマで区切って列挙することで,一度に整数型変数
a, b を宣言することができます.行の最後のセミコロンは文の終わりを示しています.宣言とは,先ほどの変数は箱だという説明に沿って考えると,整数を入れることができる
a, b とそれぞれ名前のついた2つの箱を用意したことになります.
整数型変数 a に整数の値 7 を代入しています.
(それぞれの時点での)整数型変数 a の内容を printf 関数を用いて画面に表示します.
整数型変数 a に整数の値 9 を代入しています.
整数型変数 a に10+20+30を演算した結果の値(整数) を代入しています.
変数の代入とは(a=bとb=aの違い)
a=bとb=aでは全く意味が異なります。
{
/* 整数型の変数 a, b, c を用意する */
int a, b, c;
/* 整数型変数 b に値 12 を代入 */
b = 12;
/* 整数型変数 a にbの値 を代入 */
a = b;
/* 整数型変数 b にa+1の結果を代入 */
b = a+1;
printf("a = %d, b= %d \n", a, b);
/* 整数型変数 c に a+b の結果を代入 */
c = a+b;
printf("c = %d\n", c);
}
int のあとに a, b, c と列挙されていますが,このようにカンマで区切って列挙することで,一度に整数型変数
a, b を宣言することができます.
1: "="の右側の数式中の変数を全てその値に置き換えて,演算を行う.
2: 上の演算結果を"="の左側の変数に代入する. 今後この演習では、以下の変換文字列がよく使われます. %d 10進数で出力する %f %lf 浮動小数点数として出力する (%lf
は倍精度浮動小数点) このような変換文字列を,変数の型や表示したい様式にあわせて使うことになります. 言葉で説明するとごちゃごちゃしてわかりにくいですが,あれこれ自分で試してみるのが一番良いと思います.次の課題に取り組んでください. 例題プログラム variable02.c を変更して,整数型変数の加算以外の演算を試してください(整数型変数とprintf関数の使い方に慣れてください.). C言語では + の他に + 加算 - 減算 * 乗算 / 除算 % 剰余 (整数のみ) が利用できます.
ということを行っている.
課題1
実数型変数は float u, v, w; または、 double u, v, w; というように宣言します.float は,浮動小数点数の(floating
point number)からきています.また,doubleはfloatより精度が高い実数を表すことができ倍精度浮動小数点と呼ばれている. printf 関数で実数型変数を表示する場合の変換文字列は %f です.以下のプログラムをエディターで打ち込み実行してください.ファイル名は variable03.c としてください. #include <stdio.h> int main()
実数型変数
{
double x, y, s;
x = 1.7;
y = 3.0;
s = x*y;
printf("%lfと%lfの積は%lf です.\n", x,y,s);
}
注意 1: 実数型変数に値を入れる場合、r = 2.0 のように、少数点つきで値を与えるようにします。(逆に整数型変数に値を入れる場合、n = 2 のように、整数で与えます。) 注意 2: C
言語の実数型(浮動小数点数型)には
float (単精度浮動小数点数型)のほかに double
(倍精度浮動小数点数型)があります.名前からわかるように,倍精度浮動小数点数型の方が,より高精度に数値を表現することができます(通常単精度浮動小
数点型は32bitであって,倍精度浮動小数点型は64bitで表現される). 半径 1.5 の円の面積(の近似値)を出力するプログラムvariable04.cを作成せよ. ただし,半径はr,面積はsとして,それぞれdoubleで宣言すること. 実数型変数を使うことで,円の面積(の近似値)を求めることができました.し
かし,これでは違う半径の円の面積を求めたい場合,課題3のようにいちいちエディターでソースプログラムファイルを変更して,コンパイルし実行せねばなり
ません.半径はキーボードで我々が入力したいものです.次節では,標準関数である
scanf 関数を使って,キーボードからの数値データの入力を実現します. キーボードから数値データを入力するには scanf 関数という標準関数を用います.printf
関数は出力を行う関数でしたが,scanf 関数は入力を行う関数です. scanf 関数を用いたもっとも簡単なプログラムは次のようなものになります.ファイル名を input01.c として,エディターで打ち込んでください. 1: #include
<stdio.h> このプログラムは,キーボードから入力された整数値データをそのまま画面に表示します.(コンパイルして実行したあと、整数値を打ち込んでEnterを押すと、その数値が表示されます。)このプログラムの中で,7行目の
scanf 関数がキーボードからのデータ入力を行います. scanf("%d", &i); となっていますが,前半のダブルクォーテーションで囲まれた文字列は,printf 関数と同様の変換文字列です.ただし,printf
関数のように通常の文字列と変換文字列が両方書くことはできず,scanf 関数では変換文字列のみ書くことができます.このサンプルプログラムでは,整数型変数
i に値を入力するので,整数型変数の変換文字列である %d がかかれています.そのあとには コンマ に続いて &i とかかれています.scanf 関数では,変換文字列に続いて,入力されたデータを格納する変数名がきますが,変数名の頭に
& をつける必要があります.& をつけねばならない理由はもちろんあるのですが,ここでは scanf 関数では変数の頭に必ず & をつけると覚えてください. scanf 関数を用いて,実数値を入力し,それをそのまま出力するサンプルプログラムは次のようになります.ファイル名を
input01b.c としてください(input01.c とほとんど同じなので,input01.c を変更し,別名保存しましょう). 1: #include
<stdio.h> 先の2つのプログラムでは,「・・を入力してください」といったメッセージは全く画面にでませんでした.これでは,プログラムを使う人にはあまりに不親切です.次のように input01.c を次のように変更しましょう. 1:
#include <stdio.h> 7行目に printf 文が加わりました(9行目も変更されています).このように,入力促進メッセージは,scanf
関数に先立って printf 関数で表示する必要があります.次のように書きたくなる人もいるかもしれませんが,このような書き方はできません. 間違った例 scanf("実数値を入力してください: %lf", &a); では,scanf 関数を使って,先にでてきた円の面積を求めるプログラムを改良しましょう. 次のサンプルプログラムを input02.c としてエディターで打ち込んでください(行番号は無視してください).これまでの知識で十分理解できるはずです. 1: #include
<stdio.h> このサンプルプログラムは,先ほどのサンプルプログラムvariable04.c を少しだけ変更した内容となっています.先のプログラムで , r = 2.0; としていた部分が,printf 関数と scanf 関数に置き換わっています.ターミナルでコンパイルし,実行すると, 円の半径を入力してください: と表示され,その状態でとまります.そこで,メッセージどおりに,面積を求めたい円の半径を入力します.例えば,
3.2 と打ち込んで,Enter キーをおしてみましょう.半径 3.2 の円の面積が求まったでしょうか? この節でわかったことをまとめると, printf 関数と scanf 関数を組み合わせて用いれば,メッセージを表示して,キーボードから数値を変数に読み込むことができる ということになります. これまでの内容の復習として次の課題に取り組んでください. 整数n,mを入力すると、nをmで割った余りを表示するプログラムを作成せよ.(ヒント:n%mを使う。) という漸化式が成り立つとする.実数x0を入力すると、x1, x2, x3を出力するプログラムを作成せよ
課題3
scanf 関数
scanf 関数による整数値の入力
2:
3: int main()
4: {
5:
int i;
6:
7:
scanf("%d", &i);
8:
printf("%d\n", i);
9: }scanf 関数による実数値の入力
2:
3: int main()
4: {
5: double a;
6:
7:
scanf("%lf", &a);
8:
printf("%lf\n", a);
9: }入力促進メッセージの出力
2:
3:
int main()
4: {
5:
double a;
6:
7: printf("実数値を入力してください: ");
8:
scanf("%lf", &a);
9:
printf("入力された実数値は %lf です.\n", a);
10: }
円の面積を求めるプログラム(改良版)
2:
3:
int main()
4: {
5: double pi, r, s;
6:
7:
pi = 3.14159;
8:
9:
printf("円の半径(実数)を入力してください:");
10:
scanf("%lf", &r);
11:
12:
s = pi*r*r;
13:
14:
printf("円の面積は %lf です.\n", s);
15: }
処理が実行される順番.
課題5
課題6
.
ちなみに「n桁以下の自然数を入力したら」という課題は,n+1桁以上の数字を入力したときの出力はどうであっても良いとします.(ヒント:整数同士の演算" / "や" % "の意味をよく把握していれば解けるはずです.)
課題7
課題6を一つの変数を宣言するだけで作成せよ.
課題8
三桁の自然数を入力したら,100の位の数字を出力するプログラムを作成せよ
課題9
五桁以下の自然数を入力したら,全ての桁の数字を足した数字を出力するプログラムを作成せよ
課題10
五桁以下の自然数を入力したら,下三桁の数字を出力するプログラムを作成せよ
課題11
三桁以下の(10進数の)自然数を入力したら,その数を二進数で表示するプログラムを作成せよ (解答例:その1)
例:
三桁以下の自然数を入力してください:231
二進数であらわすと11100111です.
今日学んだ事