認知発達理論分科会                           01/09/15  小沢 恵美子 Chapter 13 Sources of Conceptual Change THE VERY NOTION OF CONCEPUTUAL CANGE   認知発達・・新しい表象の供給源(resources)から構成されている         概念の新しいシステムの獲得からも構成される          →知識獲得が概念変化を巻き込む場合は常に現れる   概念変化と認知発達の区別    ・知識獲得:より焦点化されている    ・認知発達:一番広範囲    ・概念変化:最も特殊  概念変化は理論発達のケースを巻き込んでいる    ある時点1で与えられた理論1(T1)とある時点2での理論2(T2)    は比較が出来ない  概念変化のいくつかの形    識別 / 融合  概念発達は概念変化を巻き込む、という主張に関する誤解    知識を豊かにする事と概念変化の違いは鮮明なものではない    →概念変化は急激に生じるものではない WHAT IS AT STAKE  知識獲得が同じ標準で計れないものを巻き込むのはどのような場合か?  子どもの信念が比較できない概念を越えるのはいつか? CONCEPTUAL CHANGE IN CHILDHOOD : INTUITIVE BIOLOGY  多くのケース研究は、T1からT2の歴史的変化について    燃素理論から酸素理論へ  アリストテレスからガリレオへ  子どもの概念変化の研究    小学生の実在についての直観的理論について  直観的生物学の理論についてのフレームワーク理論に焦点    4〜10才 人間と動物の存在論的概念の変化について       小学生でも人間についての複雑な概念を持っている       年少児ですら、人間と人間でないものの区別がある     →にもかかかわらず、就学前児の動・植物の概念は10才児とは異      なっている  動物についての就学前児の概念の核    就学前児のフレームワーク理論(T1)は直観的生物学というより、    心の理論or 直観的心理学    10才児は、生物学の新しい直観的理論(T2)を構築 CONCEPUTUAL CHANGE IN INTUITIVE BIOLOGY : THE EVIDENCE  就学前児の活力的生物学の出現の証拠    Piaget の臨床的インタビュー・・直観的生物学の分野    アニミズムのインタビューから    就学前児は life の生物学的概念を他の概念(活動性、存在、リアリティ)    と区別していない       無生物も生きていると判断   Carey(1985)  life 概念の源は2つ    ・生きているものの概念は、alive の大人の使用によって支えられている    ・就学前児は生と死の生物学的概念を構築していない  就学前児のalive についての区別されていない概念の3つの使用    ・就学前児はT2を構築してはいない    ・区別されていない概念それ自体はT2の源泉の一部である    ・何故就学前児は生きているものの生物学概念に対してalive を使用し     ないのか、という説明としてT2の欠如  死の概念について    就学前児・・変化した状況、ある場所に存在している、と理解    4〜6才児・・死んだ人は食物、空気、水は必要か?動いたり夢を見るか?       →半数以上は肯定的に答えた  就学前児の死の概念はlife の概念と密接にからんでいる    死んだ動物は横たわって、動かない ・・活動と行動は動物概念の核     →就学前児にとって、死は区別されていないlife 概念のネガティブな      側面  身体の機構についての理解    人間の体の中には何があるか? ・・就学前児はほとんど何も知らない    Simons & Keil (1995) ・・就学前児は動物の体の中について何も                 知らない    Crider (1981) ・・10才児は身体のコンテナ理論を、持っている      ある物質が身体のメンテナンスのために必要で、胃などはその物質を      環境から取り組むためのコンテナである      Inagaki & Hatano (1993) ・・6〜8才児 説明選択課題    どうして食べるの?  意図的説明/活力論的説明/メカニックな説明                     (6才児)    (10才児)      →子どもが最初に構築するのは活力論的説明で、6〜10才の間に       メカニックな説明にシフト    Jaakkola (1997) ・・訂正案    4才児・・どのような説明も好まない    6才児・・活力論的説明とメカニックな説明  先行研究に対する、最近のより焦点化した研究からの反証    臨床的インタビュー・・T2の構造としての身体の活力理論、生死につ               いての生物学的概念は小学校の終わり頃に成立    最近の研究・・6才児でもT2を構築している  小学生はT1によって動きが取れない、という主張を否定    Inagaki & Hatano (1996)       4〜5才児・・動植物は成長や食べることと同様に死ね      動物と植物は似ている、という子どもの認識を引き出す試み        →80%植物も死ぬ  13%無生物は死なない  まとめると・・    ・死についての臨床的インタビューでの結果から、就学前児が「植物は     死ぬ」ということの意味は何かを問う必要がある    ・最も初期の知識獲得を扱い、T1の概念を形づくり、T2を構築する     ための材料を供給する    ・T1とT2間の移行は6才児で生じる  ライフサイクルの概念に基づく動物の理解    誕生を理解する ・・動物のライフサイクルの始まり/生物学的再生産                                のプロセス               →動物としての種の源/個々の特性    素朴な生物学の側面も6〜7才頃に出現      概念の核の中での変化/概念のタイプの変化  Keil (1989)・・4〜7才間の、動物の種類についての概念の核の変化    スカンクのような動物の写真 「これはスカンクor アライグマ?」     変化1:外科医、スカンクの頭の形を変え、体を大きくする                              →アライグマ     変化2:獣医、間違って撃ってしまった →アライグマのような動物      7〜9才児・・変化1はスカンク             より年長の子どもは変化2もスカンク      就学前児・・アライグマの体をしていれば、それはアライグマ      就学前児は誕生を種に固定したものとは見なしていない    スカンクのような動物の写真 「これはスカンク?」     お話:科学者がこの動物の両親を見つけた(アライグマの写真)、赤        ちゃんはこれ(アライグマ)  動物はスカンクor アライグマ?    7〜9才児・・アライグマ      →身体の特徴や特徴的な行動から動物の起源を考える、という種類       の核についての変化  誕生と生物学的再生産の理解は、baby の概念変化を支えている    Callanan (1992)・・実物大の馬の写真 「お母さんウマ」             赤ちゃんウマは?  実物大のウマ/子犬  →概念変化は一般的な認知発達の中で生じる     PROCESSES UNNDERLYING CONCEPUTUAL CHANGE -- THREE FALSE STARTS  T1は概念、信念を表現するための表象の供給源を持っていない  T1は生きているものの概念、ライフサイクル等の概念を含んではいない    →では、どうやって構築していくのか? T2 Is Socially Constructed   T2は社会的に構造化されたもので、子どもは社会化のプロセスの中で獲得    →子どもは事実や因果関係をどのように学ぶのか?      ・・新しい事実の学習は、利用可能な概念を越えてつくられなければ        ならない Disequilibration Is the Engine That Underlies Conceputual Change   子どもは失敗した予想や彼らの信念間の内的矛盾に気づく    →T1の欠点を示すが、T2がどこから生じるのかには答えていない Domin-General Cognitive Development   領域一般の認知発達は、理論発達のための新しい供給源を産出するが、その   供給源はT2の根源とはならない SOURCES OF T2 ; BEGINNING POINTS   乳児ですら、ピアジェが認めた以上の概念的発達をしている   多くの領域一般の表象能力は、就学前児でも使用することができる Domain-General Support for Theory Construction Essentialist Construal of Kinds   素朴生物学は動物についての essentialist reasoning を含んでおり、まさに   T2がそうである   essentialist construal of kindsは、全ての領域の理論組立を助ける Capacity for Causal analysis ; the Aristotelian Explanation Categories   因果関係は全ての理論の核となる   特殊な原因は領域特殊である    →にもかかわらず、推論能力は領域一般で、理論組立の能力にとって重     要な要素である   因果関係の心理学的分析/哲学的分析   因果関係研究の第2は、推論メカニズムの分析 Domain-Specific Support for T2    Core Domains   乳児の知識の本質について様々な意見があるが、その存在は疑う余地は無い    core knowledge 仮説・・乳児の知識獲得は生得的で、領域特殊な原理に               よって導かれる   Carey & Spelke (1997)   核となる領域はやはり理論であり、存在論的に重要な概念の核を決定する T1 Itself   乳幼児・・動物は行動するものである、ということを理解   3才半〜4才児・・欲求/信念   就学前児・・信念についてのより広いネットワーク WHAT ELSE IS NEEDED ? Analogical Mapping   概念変化は類推的なマッピングである     Maxwellの場合・・電子磁石現象をニュートン数学に適用しようとした        Smith et al・・どうやってドット/箱の領域が、物質理論の概念変化を引き          起こすのか? Coherence, Causal Netwarks, Entrenchment, and Neurath's Boat   類推的なマッピングは、他人の力を借りないで自分でやるプロセス   ブーツストラップメタファの適用     Neurath's Boat・・理論構築は海の真ん中でボートをつくるプロセス     T1概念の中に基礎を置くはしごのイメージ   ブーツストラップのプロセスは知識に依存している    A WORKED EXAMPLE : THE CONSTRUCTION OF T2 ( A SKELETAL VITALIST BIOLOGY )   Inagaki & Hatano (1996)    5才児は生きているものの概念をすでに持っている   食物や水が必要だ、成長するものといったカテゴリーが生きているものと   いうカテゴリーになるのはいつか? →4〜6才児、T2の出現と一致   4才&5才児での調査・・体と死についてのインタビュー      子どもの身体機能の知識と死についての知識の関係      life理論/ non-life理論   子どもが活力論的生物学の基礎を構築してしまうと、体や死については   個々人の興味や経験に依存するようだ     CONCLUSION   類推マッピングも領域の中でのブーツストラップも、一定の規則のプロセス   ではない