形容詞を使いこなそう(I)


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ドイツ語の形容詞の変化がklein, kleine, kleiner, kleines などとたくさんあって,分からないのですが。


いろんな教科書などを見てると,やたら形容詞の変化の表が多くて,とまどってしまうよねでも,あまり難しく考える必要はないんだ。

 まず,基本の使い方をおさえよう。

形容詞とは,ものやヒトの性質を表す語で,状態を表す sein とくっついて述語を作る:

klein(= small) : Das Haus ist klein. (「その家は小さい」→ わが輩の家のこと)

gro(= big) : Das Haus ist gro. (「その家は大きい」→ そんな家に住みたい。。。)

das Haus


◎述語としての用法では,形容詞はぜんぜん変化しない。

この点をおさえておこう。

変化するのは,sein(=英語の be )の方だ:

「私」 Ich bin alt. (年とった)

「君」 Du bist jung. (若い)

「彼」 Er ist sportlich. (スポーツ好き)

「彼女」 Sie ist nett. (感じがよい)

「学生たち」 Die Studenten sind jung. (若い)

「あなた」 Sind Sie mde? ( 疲れた)


というわけで,sein の変化はちゃんと思い出そう。

動詞の基本変化 ( sein = (be) )

単数

複数

1人称

ich bin

イッヒ  ビン
wir sind

 
ヴィア  ズィント

2人称

du bist

 
ドゥー ビスト
ihr seid

 イーア  ザイト

3人称

er/sie /es ist

エア/ズィー/エス イスト
sie(Sie*) sind

   ズィー ズィント








 


 

* 3人称の複数形(彼ら・それら)は

2人称の敬称としても利用されます。

あとは,この sein と形容詞を組み合わせると,「○×は。。。だ」という表現をいくらでも作ることができる。

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この他には,副詞的な使い方でも形容詞はそのまま。

"schnell" (速い):

Ich esse sehr schnell.

(私はとても速く食べる)

Ich finde die Jacke schick.

(私はそのジャケットをシックだと思う)




分かったような気がします。でも,形容詞の語尾にくっつくあの変なのはいったい何でしょう?


 名詞の前にくる場合の語尾だね。これは形容詞の屈折語尾で,形容詞の名詞的な用法で現れるということになっている。これに,パターンが3つあってややこしくなる。でも,基本のタイプをしっかりおさえておけば心配ご無用。

名詞的な用法: (冠詞)+形容詞語尾 +名詞

◎ いちばん簡単なのは,定冠詞のあとに形容詞が来ると,1格(主語)で,ぜんぶ(男性,中性,女性)で,-e をくっつける:

Der Himmel ist blau. → der blaue Himmel (青い空)

der blaue Himmel   das gelbe Hemd   die rote Blume

(その青い空)  (その黄色いシャツ) (その赤い花)


中性や,女性は4格(「を」にあたる)でも冠詞は上と同じ形だから,

形容詞の語尾もそのまま:

Ich kaufe das gelbe Hemd.

(私はその黄色いシャツを買う)

Sie kauft die rote Blume.

(彼女はその赤い花を買う)


それ以外は,ぜんぶ語尾は en の形になります:


2格  des
blauen Himmels  des gelben Hemds  der roten Blume

3格  dem blauen Himmel dem gelben Hemd  der roten Blume

4格  den blauen Himmel  ( das gelbe Hemd   die rote Blume )


注意してほしいのは,男性の場合の4格目的語では,

den ____en という形になることです。


音が同じのが2つ現れて,韻律的に同一のものになるわけです

(デン ブラウエ より,デン ブラウエンのほうが響きがよい)


複数はぜんぶ,-en の語尾です:

die jungen Studenten

der jungen Studenten

den jungen Studenten

die jungen Studenten


というわけで,定冠詞のあとでは,-e, -en の2つの語尾があるということになる(2種類しかない,あるいは2種類もある?)。

口調をよくするために,入っていると考え,繰り返して,覚えよう。


Wie findest du den neuen Computer?

(その新しいコンピュータをどう思う)

Ich finde diesen blauen Computer sehr gut.

(私は,この青いコンピュータをとてもよいと思う)

Dieser blaue Computer ist sehr gut.

(この青いコンピュータはとてもよい)



でも,まだ他に-erとか-esの変化があったような気がしますが。。。


そう,冠詞が不定冠詞 ein の場合だね。でも,これは上の変化の付け足し

と考えていいんだ。「ある」「一つの」を表す ein は男性(単数)と中性(単数)

の2つに現れるよね。

ein Tisch (机,男性) ein Buch (本,中性)

ここに形容詞がくっつくと,男性と中性を区別しようとする。つまり,男性では男性のマーク -er を,中性では中性のマーク -es をくっつけるんだ:

男性 ein _er: ein neuer Tisch (新しい机)

Da ist ein neuer Tisch. (あそこに一つの新しい机ある)

中性 ein _es : ein altes Buch (古い本)

Da ist ein altes Buch. (あそこに一つの古い本ある)


で,もう予測がつくかもしれないけど,中性では4格目的語も同じく

ein __es 名詞 となる:

Ich lese ein altes Buch. (古い本を1冊読んでいる)


あとは,さっきの定冠詞の語尾とまったく同じ(特に女性名詞は

まったく同列):

男性    中性    女性

1 ein _er ein _es eine _e

2 eines _en eines _en einer _en

3 einem _en einem _en einer _en

4 einen _en ein _es eine _e


これだけでもうじゅうぶん。

他に,冠詞がまったくない場合もあるが,基本は einの場合と

似ている:

男性1格 roter Wein (赤いワイン: 男性)

男性4格 roten Wein (赤いワインを: 男性)


中性1・4格 gut
es Bier (よいビール: 中性)

女性1・4格 neue Musik (新しい音楽: 女性)


※実はこの場合,2格・3格はまたちがった変化になるが,冠詞が

ないのは物質名詞や抽象名詞だけで,主語や目的語以外はほとんど

つかわないから,初歩の段階では覚える必要はない。




ありがとうございます。これだけでも,覚えるのがたいへんですねえ。何のために形容詞の変化ってあるのかなあ?


 そう,意味を考えるうえではほとんど必要ないといえる。けっきょく,名詞の領域の中では,冠詞でも形容詞でも何でも性や格,数を表そうとするドイツ語の特徴といってよい。

とにかく,まちがいをおそれずに,話してみることだ。

わからなかったら,名詞の前ではなんでも -e をつけて

言ってみるくらいでも

会話では(最初は)かまわない(と思う)。



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